エンドユーザー大変記[38]おっさんアニメに見るアニメの将来と頭脳戦/ジョニー・タカ

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ここ近年、アニメをしっかり見ている。病気がちだった頃は一本見るのにやっとであったのに、今は1クール(12〜13回。いわゆる3ヶ月)に3〜4本くらい。人によっては1クール殆どすべてのアニメを見てる方もいるから、私にしてはスゲエ、と思うしかない。

その中で最近浸透し始めている「おっさんホイホイアニメ」(以下おっさんアニメ)について書く。

これは"昔のアニメ"の意味ではなく、"アニメの中に昔のアニメネタを入れ込む"という意味である。それがアニメに限らず、特撮、マンガ、ドラマ、時事ネタにも及んでいることもある。

特徴としては、一定の年代以上には楽しめるが、年代を下回ると入れ込んだ元ネタが分からず、面白さがまったく伝わらない危険性があることだ。

おっさんホイホイ/同人用語の基礎知識
< http://www.paradisearmy.com/doujin/pasok_ossan_hoihoi.htm >

それを代表するのが、今年を代表するアニメとなった『這いよれ! ニャル子さん』である。
< http://nyaruko.com/ >

過去のアニメ、特撮、ゲームネタをこれでもかと詰め込みまくっており、ツイッター、2chの実況スレなどでは元ネタ探しが躍起になっていた。




しかも、テレビでの放送翌日にニコニコ動画で放送するため、ここでのコメントで元ネタの当て合いがあり、更に元ネタの検証動画がアップされるという循環が発生する。

当然、年代が高いほど有利になっており、昔録画していたビデオを持っていればすぐに検証が可能である。

さらにそれを突き詰めたのが『えびてん〜公立海老栖川高校天悶部〜』。
< http://ebiten.jp/ >
(公式サイト自体2chまとめサイトを模していて、物凄く凝っている)

アバンタイトル(略してアバン)で過去のアニメ・実写のオープニング/エンディングを堂々と変えて入れ込んでいる上(例:聖闘士星矢、セーラームーン、蒼き戦士レイズナー、ドラゴンボールZ、堺正章版西遊記...etc)、ストーリーの中にもそれ以外の小ネタをこれでもかと入れ込んでおり、もはや制作側と視聴者との高度な頭脳戦と化していた。ストーリーの中に「チャタレイ夫人の恋人」や山村美紗サスペンス的シチュエーションをさり気なく入れ込んでたりする。

最終回の「ビューティフル・ドリーマーズ」では、なんと押井守の黎明期の傑作、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』をまんま完コピするという...ここまでくると無謀というか、やんちゃである。

そうしたら、見事に年代差が明らかに出てしまい、元ネタが分かる人には分かるけど、分からなければさっぱり分からないという事象が発生した。

ネタが分からず、"クソアニメだ"と切り捨てるのは簡単である。しかし、そう簡単に捨ててしまっていいのか? 元ネタを探すこともアニメを見る一環である。掘り下げて見れば、まったく違う世界が見えてくる。そういう面白さがある。

結局、何が言いたいのかというと、今後こういう"おっさんアニメ"がアニメの主流になる予感を物凄く感じたからである。

日本は今後、総選挙でも喧伝されている少子高齢化時代になる。当然、オタク層も高齢化していく。ターゲットを固定化して売り込んで行かないと結局続編も作れず、一過性に終わってしまう。ただ下手な鉄砲も数打ちゃ当たるでは、市場自体が萎んでしまうのは明白である。

『這いよれ! ニャル子さん』は続編の制作が既に決定している。
本格的に"おっさんアニメ"をトレンドにする気なのだろう。
来年以降、アニメの細分化が進んでいくか、見ものである。

【ジョニー・タカ】johnnytaka32(a)gmail.com

1976年、横浜・関内で生まれ、上州と越後の風を受けて育ち、来世でもFUNKを踊り続けるフリーランサー。ヴァーチャル・キャラクターに曲を付けて選曲を展開する"コンピレーション"を1998年から行っている。2012年はようやく発売されたPSPソフト『フォトカノ』のコンピレーションを展開中(と言っても勝手にやってるだけです。それを続けて14年目)。PS3でも『THE IDOLM@STER2』が発売されたので、そちらの選曲作業も始めてます。
< http://music.ap.teacup.com/cafedejohnny/ >

(日常ブログ)< http://ameblo.jp/johnnytaka/ >
(ツイッター)< http://www.twitter.com/johnnytaka1962/ >

○10日に36歳になりました。その象徴として、段々腹が出始めました(笑)。まだまだ拙いですが、宜しくお願いします。

○好評であれば来年も見続けるつもりだが、今年見たアニメの中でベスト3を上げるならば...

1位:『這いよれ! ニャル子さん』

1位:『PHYCHO-PASS サイコパス』
< http://psycho-pass.com/ >
総監督・本広克行、シナリオ原案・虚淵玄、アニメ制作・プロダクションI.G.という錚々たるメンツ。内容的には"サイバーパンク+刑事アニメ"という本広、虚淵両者の得意技を合わせたものだが、第1話から見て、自分がこういうテイストに飢えていたことがよく分かった。とにかくツボを押していくかのごとく内容がすっと入っていく。これから話がどんどん展開していくため、毎週楽しみなアニメ。

3位:『キルミーベイベー』
< http://www.tbs.co.jp/anime/kmb/ >
< http://killmebaby.tv/ >

低予算・少人数でもアニメは作れる見本。原作を第1回から読んでいた身としては「これ本当にアニメになるのかよ」と不安だったが、アニメになってからは杞憂だった。

原画や背景は手描き、登場キャラクターが基本2人しかいないので声優も最小限。「金がないならこう撮れ!」(by 藤村忠寿/北海道テレビ・「水曜どうでしょう」チーフディレクター)の典型。意外だったのが、放送終了後の評価が「新手の百合アニメ(女性同士の恋愛を描いたアニメ)」だということ。

○しかし、面白かったのが、『えびてん』が10話完結だったため、終了したら放送していた時間が通販番組に変わっていて、その通販番組で"エア実況"を行なっていたこと。ツイッターのトレンドで挙がっていたので「何で? 終わったべや?」と思ったらそういう理由だった。オタクという人種は、新たな遊びを作り出すことが得意である。

○この稿が載る翌々日が総選挙な訳だが、新聞の事前情勢調査に踊らされてないか? 蓋を開けてみなければ分からないわけだから...そんな中、北朝鮮がフェイントを掛けて"ミサイル"を発射してきた。

どの党がキャスティングボートを握るか分からない。ただ、こういう事態が発生した時の各党の言は記憶しておくべきだ。同じことがまた起こるかもしれないから...最近の選挙で「選挙後を注視しよう」と喧伝している意味はある。