ローマでMANGA[59]下は5歳、上は80歳の読者に好感を与えた「ユーリ」/midori

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●今度こそユーリが軌道に乗った

今までの話し合いですでに出ていたこと、変更したものを含め、最終的に、以下のように決定した。

・普通のコマ割りは使わず、片面か見開きに一枚絵という絵本のようなスタイルで進める(たまに大きく2コマくらいに分けても良い)。
・「0歳から100歳までの子供が楽しめる物語」
・オールカラー。
・一話8ページで、10話で単行本にまとめる。
・登場人物
 ユーリ:宇宙で一番小さな宇宙飛行士。ママを探して宇宙を旅する。チョコ
 レートが大好き。
 ウバ:第五世代の木製乳母ロボット。ユーリのお世話係。感情も持っている。
 グリーンカンガルー:ユーリが旅に使っている巨大宇宙船。
 ボゾ:グリーンカンガルーを制御するコンピューター。
 ジェリー:孤独な遊び好きの巨人。旅の途中で出会う。

イゴルトはネームを次々に制作し、順調に編集者とのやり取りを経て制作開始になった。電話回線を通ってネームや下書きがボローニャ、ローマ、東京を往復し、完成原稿が飛行機でボローニャから東京へ飛んだ。

ここまで来るのにいろいろ躓きがあった分、このスムーズさはご褒美のようで、平和なひとときを楽しんだ。

この企画が出てきた時、息子はやっと首がすわってきた頃だった。そして、歩くようになり、カタコトを2、3言うようになった頃、10話分の完成原稿が編集部に貯まり......

< http://www.igort.com/immagini/books/not-available/yuri/yuri_01.gif >
1996年6号のモーニング誌に巻頭カラーで掲載開始!!!

画像を見ていただけばお分かりの通り、普段だと週刊誌の表紙には連載中のタイトルが全て並ぶのに、この号は「ユーリ」の文字だけ。編集部の期待と力の入れ具合がわかる。同じ絵を使った車内吊り用のポスターも作られた。




●ユーリ「我が世の春」

時計の針をちょっと元に戻して、イゴルトが東京に滞在した5か月の間に、面白い話が持ち上がっていた。ユーリのアニメ化だ。

ユーリのキャラクターとしての強さを直感で「いける!」と押すことにした担当編集者は、もともと、二次使用でもいけると考えていた。イゴルトの東京滞在中に、編集長も含めてアニメの話をした。アニメは劇場用とし、雑誌掲載を経て、読者の反応を見てから制作を開始する、ということになっていた。

イゴルトは、もちろん大いに乗り気で(このために日本に話を持っていったのだし)、もともと頭にあった、知り合いのミラノのアニメスタジオと仕事をしたい旨を申し出てきた。

日本での成功のためには、日本のアニメーターの参加も不可欠だとした。「日本語を話す場合の口の動きに日本人が必要という他に、AKIRA(大友克洋原作)のレベルにしたいから」というのがイゴルトの意見だった。

この話ですごく記憶に残っているのは、イゴルトが送ってきた劇場用アニメ「ユーリ」の物語だ。東京からイタリアに戻ってきてから、「アモーレ」「ユーリ」それからイタリアの雑誌のための「brillo」制作をしながら、それを作った。
< http://www.coconinopress.it/autori/igort/brillo-croniche-di-fafifurnia.html >

あらすじよりはずっと長く、台本にはなっていない。「物語」だ。100ページあったからシノプシスとかプロットとは呼びがたい。あらすじを送ってくるのだと思っていたから、どっしりした郵便小包みが届いたときは驚いた。

翻訳をする時、元の文を書いた人との相性みたいなものがかなり結果に関わってくる。イゴルトとは相性がいいらしくて、翻訳するために読み始めたら、するすると物語の中に入ってしまった。

イゴルトが書いたイタリア語の文章に、最もふさわしい日本語を探すために頭の中でその状況を反復する。頭の中で再生する。アニメのための物語だし、もともと漫画家だから、状況の説明がすごく映像的で、読みながら頭の中にまだできていないアニメが再生されていった。

主人公のユーリがある星に着いて、その部族の呪術に参加する場面があった。大きな焚き火を囲んで呪術師が呪文を唱える。何度も何度も。その風景と、まだ誰も発音してない呪文が頭に響いて夢まで見たほどだった。

100ページの物語をするすると訳し、ワープロに放り込んで、プリントアウトして校正し、また打ち込んでプリントアウトして郵送した。これは急いでいないので。100ページファックスしたら国際電話代がすごいことになっていたと思う。もっとも、この頃はファックスが通信手段だったから、国際電話代は毎回すごかったけど。

イゴルト+講談社のアニメ企画にイゴルト推薦のアニメスタジオが入る、ということで、他の企画の合間にこの話の打ち合わせがファックスを通じて少しずつ進んでいった。

●愛されるユーリ

単行本第一巻分の原稿が上がって「週刊モーニング」に連載が始まった。巻末の読者はがきで、ユーリに対する感想も届き始めた。担当編集者の思惑通り、なんと、下は5歳から上は80歳の読者からはがきが来たのだ。可愛いという感想が大半を占め、これも編集部と作者の狙った通りだった。

そして、極めつけは一通の手紙だった。若い奥さんからで、生まれたばかりのお子さんを突然死で亡くし、悲しみが癒えないでいたところユーリでとても元気つけられた。また子を授かれるように元気を出す。という手紙だった。

編集部も担当者も私も、そして作者のイゴルトもこの手紙に感動した。私はしばらくこの方と手紙のやりとりをして、その後、第二子が生まれて写真も送ってもらった。マンガ作品が人に感動を与え、人生の困難を乗り越える起爆になる、というそのことがまた感動的だった。

ユーリ最終話が校了に入る時点で、単行本の打ち合わせが始まった。その打ち合わせで、「日本市場優先頭」と「ヨーロッパ市場も視野に入れたい頭」がぶつかることになって、この平和なひとときがまた崩れるのであった。つづく

【みどり】midorigo@mac.com

日本人のまともさがわかった総選挙でした。

この3年間で、宮崎の口蹄疫で、死ななくてもいい牛さんや豚さんが殺されてしまってごめんなさい。
< http://anond.hatelabo.jp/20100510214137 >
その結果、自殺者まで出してしまってごめんなさい。

福島で起こらなくてもいい水素爆発させてしまってごめんなさい。
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< http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2012/07/600.php >
その後の対応が遅れ遅れ、風評被害も抑えられなくてごめんなさい。

中国も韓国もロシアも日本の領土を狙って、どんどん高飛車に出るのを許してしまってごめんなさい。

高い犠牲を払いました。そのおかげで、日本がどうあらねばならないかに気がついた人が多くなりました。犠牲になった方、動物たちのご冥福を祈ると共に、過ちは繰り返しません、と誓います。

主に料理の写真を載せたブログを書いてます。
< http://midoroma.blog87.fc2.com/ >