デジタルちゃいろ[28]今昔wordpressとわたし
── browneye ──

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振り返ってみるとあれはいつだったか。前職に入社してすぐに、Wordpress案件のチームに投入された。PHPはようわからんものの、PHPベースのCMSも人よりあれこれいじってる自負もあったので、余裕であろうと思ってた。

蓋を開けてみると、なかなかどうして、CMSに移行するには通常以上のカオスな静的サイトのWordpress移行。なまじフリーダムな静的サイトだったが故、年月を経て建て増しを繰り返されたサイトでは、グローバルナビゲーションからひとつのカテゴリに入ると、全く違うデザインの、まるで独立したサイトが存在している。

トップページ以外の各カテゴリも、特設ページも、全てがそんな感じ。普通に乗せかえられない。そして膨大なコンテンツ量。しかも、そのデザイン...というか構造は踏襲して欲しいとのオーダー。

当時のWordpressはまだ、確か、所謂ブログ機能に、おまけみたいなウェブページ機能が搭載されたばかり。勿論、今みたいにウィジェットとして容易にカスタマイズ出来るメニューもない。とはいえ、Wordpress本来のブログ機能側を使ってなんとかするよりは、ウェブページ機能を変態的に駆使しての実装の方がまだ可能そう、という方針になった。

WordpressはCMSと言っても、テンプレート自体がかなりPHP寄り。しかもすごいイレギュラーな処理を施さねば実現不能。なので、当初はプロジェクトメンバーにしっかりとプログラマさんがアサインされてなかったものの、相当な助力をお願いすることに。




で、紆余曲折を経て、「Wordpressだったもの」への移行は完了した。完了したものの、今はどうなったか定かではないが、当時の貧弱なウェブページ機能に入れ込んだ膨大な記事数にDBが悲鳴を上げた。プログラマさーん、助けて!

そんな感じでWordpress初案件が、Wordpress耐久テストみたいな案件だったコトもあって、それ以来ずっとWordpressにいい印象がないまま長い時間が経った。まぁ、Wordpressがいけないんじゃなくて、

・CMSを使うならそのCMSでできる事、できない事を、事前に非制作者と共にきちんと把握・共有した上でCMSの選定をする

・(仮に出来てしまう技術のある人がいても、)CMSは拡張し倒して使うな

というのを、しっかり肝に命じるきっかけにはなりました。

とはいえ、時は流れ、イマドキの主流はWordpressな訳なので、独立してからはどうしても触れない訳にもいかないので、最近はちょいちょいWordpressと相見える機会も多くなって来ましたが、当時に比べてやっぱり格段に便利になってますね。もしかしたらあのトラウマ案件も、今ならあんなに条件分岐の分岐の分岐の...なんてヒィヒィ言わずに出来てしまうのかもしれない。

で、最近やっと、積極的に使い始めるようになりました。まぁ、当時ほど規模の大きいお客さんも多くはなくて、単純な構成のサイトを扱う案件が多いっていうのもありますが。やった! ウン年越しのトラウマ払拭!

前置きが長くなりましたが、そんな感じで今更Wordpressヒヨッコみたいな感じで作業するにあたっての自分用便利だったメモ的です。なので大分初心者向け...かな? 初心者の基準がよくわからないけど、ある程度HTMLいじれて、ゴニョゴニョ出来る人にとってのはじめてのWordpress的な。

●Xampp+Wordpress+パーマリンク

パーマリンクの設定はどんなサイトを作るときにもそれなりに重要ですが、ワタシがローカルの環境で使ってるXamppだと、一筋縄では設定出来ないのですね。いや、Xampp使ってたら全てうまくいかないのかは定かではありません。もしかしたら、バーチャルホストでローカル内に複数のサイトの環境があるせいかも。

通常、サーバ上ではWordpress上のパーマリンク設定時htaccessがよしなにしてくれるのですが、サーバの方がWordpressのディレクトリに生成されたhtaccess上の設定よりも何かを優先してしまうようで、うまくいかない。所によってはどうしてもテンプレ内に決め打ちでリンク入れたりする必要は出てきてしまうので、それは困る。

色々調べた結果、apache側の設定で

  \xampp\apache\confにあるhttpd.conf のコレコレの行を編集

というのがよく出てくるのですが、恐らくこれはバーチャルホストの設定のない、Xampp内に単一サイトがない場合には有効な様子。なので、バーチャルホストの設定をする。

\xampp\apache\conf\extra\httpd-vhosts.conf の方に、バーチャルホストの
設定とは別途、

< Directory "C:/your/vertualhost/directory" >
  Options FollowSymLinks Includes ExecCGI
  AllowOverride All
  Order allow,deny
  Allow from all
< /Directory >

を入れて解決。
(ちょっと上記の全部の記述が必要かどうか不明ですが、多分AllowOverride Allは必須かな)

あ、ちなみにXamppとかバーチャルホストの設定とかは、下記でモニャモニャ書いてます。Xamppそのものの設定は参考にならないかもしれませんが、バーチャルホストについては今でもちゃんと使える内容だと思います。

□デジタルちゃいろ[07]
│へっぽこウェブデザ向けローカル開発環境再構築メモ
└< https://bn.dgcr.com/archives/20120117140100.html
>

●親テーマ・子テーマ

さて、後はテーマカスタマイズ端折り版。フルスクラッチでテーマ作成する場合は別ですが、ビジュアルやちょっとした要素の追加は必要だとしても、基本の構造は、ネット上に豊富にある既存のテーマで使いまわしたい、そんなコトは結構多いはず。

なまじCMSのテーマ作成手順にオレオレに慣れてしまってると、インストールしたテーマを直にいじって済ませちゃったりしがち(あっ、ワタシか)ですが、Wordpressはテーマのアップデートにも対応してくれてるが故、直にいじってしまうとアップデートと共にカスタマイズ部分が闇に葬られたりします。

別にやりがちなのは、既存テーマをテキトウにリネームして、設定ファイルだけ変更して使いまわす。これは逆に、テーマのアップデート、要するに過去にあった、不具合の修正やら何やらが元テーマにあっても、その恩恵が受けられない。

イマドキのWordpressには、親ガメ子ガメならぬ親テーマ子テーマという機能も加わっているので、ソレをしっかり使っとくが吉です。

これはテーマディレクトリ内に、親テーマを入れた上で、任意の子テーマ用テーマフォルダを作って、最小構成ならCSSだけ入れて、そのCSSファイル内に子テーマ認定を受けられる設定の記述をちょこっと書くだけ。

後は適宜、CSSをいじったり、必要に応じてカスタマイズしたい部分の該当ファイルだけ親テーマからコピーして編集すると、子テーマ側でカスタマイズした部分以外は勝手に親テーマの諸々を継承してくれます。詳細は、以下が図解でとてもわかりよいです。

□【重要】WordPressテンプレートのカスタマイズ前に子テーマをつくる方法
│ CSS篇[ThePresentNote]
└< http://presentnote.com/child-theme-customaize/
>

●ドメイン変更付きのWordpressのDB移行

ワタシの場合、大体は開発環境でひとしきり作業をした上で本番にアップしてめでたく公開! という流れが多いので、コレは必須。

これもググると色々出てきて、結構、「MySQLをドンブリで全選択エクスポート→ドメイン書き替え→インポート」という、ちょっと乱暴なリソースに行き当たるのですが、各環境にインストールした際の設定情報まで含むwp_optionsまで移行して、別環境の情報に書き換えてしまうのはよろしくないらしいです。

以下のサイトの手順なら今のところ何も考えずに従うにも吉な感じ。

□WordPress→WordPress ドメイン変更を伴うサーバ移行手順
│[hijiriworld Web]
└< http://hijiriworld.com/web/wordpress-transfer/
>

具体的な細かい小技やトラブル回避などは、ワタシ自身これからどんどんぶち当たっていくコトになるでしょうが、先に書いたトラウマも手伝って、無理やりCMSをカスタマイズするのは、もう絶対やらない方針を貫きたいと思います。

最近CMSではなく、とあるJSフレームワークを使ったお仕事もしましたが、トラウマとは関係なく、フレームワークって、基本はそのまま使ってきっちり動くように、結構寸分違わず設計されてるもの、だからこそフレームワークなので、無茶苦茶なカスタマイズは、その時要求されてる最低限の状況では実現可能だったとしても、ソレをやることでどこで何が起こるかの責任、担保できないわ、と改めて思いました。

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■今回のどこかの国の音楽

□Umrao Jaan "Dil Cheez Kya Hai"
└<
>

最近多忙杉であまり新しいものが仕入れられておりません。...という訳で古ボリ(ボリウッド)の名作ご紹介。音楽...というより、映像(ダンス)込みで。

この「Umrao Jaan」(邦題:踊り子)という映画、原作は19世紀のウルドゥー文学で、これまでにパキスタン・印度で何回映画化されています。これは印度での81年版。21世紀に入ってからもミスワールドにもなった女優さんが主演でリメイクされていますが、こちらの女優さん、レーカー版の方が今でも評価高いようですね。

ストーリーは子供の頃にさらわれて娼家に売られた高級娼婦の悲話。シチュエーションがシチュエーションなだけに、美しくて綺麗な音楽とダンス盛りだくさんでございます。

【browneyes】 dc@browneyes.in
日常スナップ撮り続けてます。アパレル屋→本屋→キャスティング屋→ウェブ屋(←いまここ)しつつなんでも屋。
□立ち寄り先一覧 < http://start.io/browneyes
>
□デジタルちゃいろ:今回のどこかの国の音楽プレイリストまとめ
└< http://j.mp/xA0gHF
>

テレビは我が家、持ってないのでわかりませんが、ネットも週末(というか主に日曜日)はすっかり選挙一色でしたね。必要以上に投票を強要する意識の高さの目立つネットに違和感を持ってしまうのは、ワタシが捻くれているせいなのかわかりませんが、蓋を開けてみると更なる低投票率。

投票に行く、参政権を無駄にしない、それは大事なコトだという前提ありきで、マスコミも政府も、更には(一部の?)世論すらうまく機能していない感じがひどく気になる週末でした。

高い意識風に呼びかけるよりも、「めんどくせぇなぁ、まぁ、しゃあない」と毒づきながら、それでも、子連れで投票に向かう、友達同士で投票に向かう、みたいな、ナチュラルな空気がコツコツと社会に浸透するのが理想的な「教育」なんじゃないかな、とか個人的には思ったり。そういう、選挙も当たり前に参加するものだ、という常識自体がなくなって久しいのかもしれない。