デジタルちゃいろ[31]夢見のヘタな女
── browneyes ──

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咽頭炎とやらにかかってしまい、週の半ばから数日寝込んでいた。疲労で半日だらだら寝入る程度は時折あっても、病で寝込むのは数年ぶりかな。

社会人になってからは大抵、不健康な分、全壊することは少ない低空飛行安定型なので、ちょっと珍しい。しかも、ノロやインフルエンザみたいなメジャーどころに引っかからずに咽頭炎。どこでどう拾ってきたのやら。

症状はほぼ喉に集約されるので、全体的に見てもそこまで大変な病気、というわけではなかったものの、症状の出方はあまりにも急激だった。

前夜、寝る前に、妙に喉に痛みを感じて就寝。起きたと思ったら、痛みの度合いは跳ね上がってる。切れてるのかと言わんばかり。声も出ない。喉が窮屈。舌で中を探ると、あり得ない場所で喉の入り口や舌の付け根に行き当たる。

喉というより口腔の左奥1/4が丸々腫れていたようだ。リンパというか、首まで腫れてるわ、左の奥歯まで虫歯様の痛みを感じるわ。

リンパの腫れの割に熱は微熱止まりだったものの、仰向けに眠ってると気道が軽く塞がれる勢いで腫れ上がっているため、うとうとしては息苦しくて目が覚める。丘の上で溺れるが如く。

精神も肉体も再構築のために休息を求めているものの、浅い眠りしか許されず、じわじわ精神に来る。眠らせない拷問って、こういう感じか、恐ろしい。

一日と一晩様子を見たものの、この急激な悪化ぶりと、この腫れそのものよりもむしろ、喉がふさがれて寝てる間に死ぬんじゃないか、みたいな恐怖に駆られ、医者嫌いのワタシでも、その翌日にはアサイチで自発的に医者に向かった。すがる子犬みたいな目だったに違いない。医者に言わせると、浮腫も出ていたとか。




そんな中、久し振りにたくさんの夢を次々と見た。ひとつもきちんと覚えていないものの、走馬灯......というよりもメリーゴーランドに転々と飛び乗るが如く、次から次へと見た、記憶だけある。ちょっと楽しかった、記憶だけある。ワタシにとっては、「夢を見た」という事実を記憶しているだけでも珍しい。

友人・知人に夢見の上手な人はたくさんいる。

複雑で長そうな夢をキチンと書き付けられる人。
それを種に物語にまで育て上げる人。
こんな夢が見たい、あの夢の続きが見たい、と床につき実際に見ることのできる人。

ワタシは夢を見るのが下手らしい。

見ていない訳ではないと思うので、正確には、夢を記憶にとどめておくのが下手、なのかな。大人になってからは顕著だが、若い頃から得意な方ではなかったように思う。見る夢のコントロールまではしたいとは思ってないが、せめて、見た夢くらいは覚えておいて反芻したい。

子供の頃、概念的に記憶に残っていた夢でさえ、「あのね、夢でね、カブトムシのバスでね、あれっ、えーっと......」と、誰かに伝えようとしている矢先にどんどん霧散してしまった、という悲しい事後の記憶ばかりだ。

それって、要するに、言語化しようと試みる傍から、その夢の世界がいかに非論理的で非現実的なものだったかに気づいてしまい、立ち止まってしまうのだろうか。だとしたらワタシは余程頭が固いのか。まあ、それもなくはない。だとすると、かなりつまらない子供だ。

いずれにせよ、言語化を試みて霧散させてしまう以前に、基本的に夢見自体をきちんと記憶しているケースの方が圧倒的に少ないように思う。

高校生くらいまでは、よくありがちな追いかけられる夢だったり、空を飛ぶ夢だったりを見なかったわけではない、と思う。思春期特有なんだろうか。その後はほぼサッパリだ。

幾つかは覚えてる。

大学時代に見た夢。当時交際していたボーイフレンドが出征してしまい、出征先から戦死の便りが、ロケ地「南の島(出征先)」のイメージ付きで届く。おんおん泣いてがばりと目が覚めた。

次は比較的新しく、今から10年以内に見た夢。前々職で仕事帰り、乗るはずもない路線の地下鉄に、一緒に帰ったことなどない同僚と乗っていて、見知らぬ男にいきなり刃物で刺されて死ぬ。

この夢に限り、情景も妙に具体的で生々しく記憶している。座席に座ってる設定のようなのに、刺される時は何故か吊革につかまっている目線高さの絵で、だんだんくずおれて、視点の中心も対面の窓からシートに下がり、床に至る前に絶命した感じ。

腹から血をドロドロ流しながら「死ぬところを知人に仔細に見られるなんてバツが悪いなぁ」などと、死に際するにあたってはどうでもよさそうなコトを感じながら、刺された痛みと視界がどんどんフェードアウトして死んでしまう。

幾つか......以上である。

禄なもんじゃないし、たったのこれだけだ。短期的に記憶していた夢は他にも多少あるかもしれないけど、長期的に覚えてる夢なんてこんな程度だ。つまらない。

夢見エキスパート(?)の一人である配偶者に言わせると、夢を見て目覚めるまでの、まずはそのタイミングがキモらしい。自発的に目覚めた場合の方が、夢見の記憶はしっかりしているそうだ。レムとかノンレムとか的にもそうらしい。多分(テキトウ)。

あとは、目覚めてすぐには布団から出たり、即現世の思考に向かわない。覚醒までのもにょもにょした時間をしっかり持って、その狭間で夢を反芻する。そこで反芻できないと記憶として定着しないらしい。

この二つを聞いただけで、ワタシに夢見記憶能力は望めないコトがわかる。

極端に寝付きの悪いワタシが、不定な入眠時間からの自発的な目覚めを待ってたら、眠れる森の美女並に眠り続けてしまうので日々に支障が出る。おまんまの食い上げだ。目覚ましやら目覚まし人やらによる他力本願な目覚めに頼って無理矢理起きるしかない。

他力本願な目覚めで目だけ覚ましても、布団に放置してると、今度はずるずると眠りの沼に帰ってしまう。つまり、狭間の反芻タイムはどうしても取れない構造になる。どう考えても夢の定着なんて夢のまた夢。

きっと夢見の上手な人は眠り上手なんだろうな。

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■今回のどこかの国の音楽

□Double Dhamaal "Jalebi Bai"
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久しぶりにボリウッドど真ん中(?)。...といっても王道名作系ではなく、ゴージャスコメディのゴージャスミュージカルシーン。

ボリウッドに限らずですが、歌って踊っての印度映画、そんな中でも実はどれも並列な訳ではなく、「アイテムソング」という冠のつくミュージカルシーンが一作品にひとつは作られます。目玉呼び物のひとつなんでしょうね。

そして「アイテムソング」に登場するダンサー(兼女優)さんを「アイテムガール」なんて呼んだりします。時に、本編とまるで関係ないダンサー(兼女優)さんがそのミュージカルシーンにだけ現れたりします。

そんな形でよく登場するのが、印度でもやや傍系っぽい括りになる、露出度高めのセクシー系女優さん。あまり主役などは張らない割に、色々な映画の目玉ミュージカルシーンで、清潔感は保ち続ける主役のヒロインとは違った形で華々しく燦然と現れます。

今回の動画のメインのMallika Sherawat嬢もそんな役回りの多い女優さん。この映画では珍しくアイテムガールに留まらず、きちんとヒロインとして全編に出ています。最近は米国でもちょこちょこ活躍している様子。このアイテムソングは大好き。

王道の潔癖ヒロインが出る映画も嫌いじゃないですが、最近はコメディ映画にも予算のしっかりしたものが多いのか、ビジュアルの質もゴージャス、且つ、俗っぽい優等生っぽくないイマドキ男女(都会風でやたらとお洒落)も出てくるので、かえって気になるものが増えて来ました。

とはいえ、言葉や文化に即しすぎてるお笑いネタは、異邦人にはどうしても理解しきれるものじゃないのがコメディ系は歯がゆいところですね。

【browneyes】dc@browneyes.in

日常スナップ撮り続けてます。アパレル屋→本屋→キャスティング屋→ウェブ屋(←いまここ)しつつなんでも屋。
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□デジタルちゃいろ:今回のどこかの国の音楽プレイリストまとめ
└< http://j.mp/xA0gHF
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数年ぶりにPCを買い替えた。筐体も昨今のスッキリスリムトレンドの中、以前よりデカい。デカい割にはよくまとまってるイケメンかな。64bitのWindows8、タッチパネル対応なメトロUIは、起動しちゃえばデスクトップモードでしか使用しないので、存在すら大して意識しない。操作性に大きな変化はそこまで感じない。

使い道自体、これまでの低スペックマシン時代と変わらないので、マシンが快適に動くのを満喫。併せて長いことアップグレードしていなかったAdobeのCSも思い切ってCreative Cloudで一新。こちらも64bit版が入った訳だがまだそんなに出番なし。あぁ、でも他社製品の某3D画像処理ソフトは快適だった。