ネタを訪ねて三万歩[97]新しい切り口の写真講習が4月スタート
── 海津ヨシノリ ──

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急遽4月から、某所にて写真撮影全般に関する講習をすることになりました。スポットではなく、ほぼ一年を通しての講習です。もちろん毎日というわけではありません。

具体的な事については非公開のために伏せさせていただきますが、ちょっと不思議な体験をしましたので、そのあたりを今回のネタにしたいと思います。

さて、この写真講習では当然ながらデジタルカメラを利用するわけですが、スタジオ撮影の他にスナップ撮影会も行う事になっており、カメラをどうするかで相談がありました。聞けば、ある程度の予算があると言うことでしたので受講者のカメラに頼るのではなく、講習会側で用意することになりました。

実はこの講習会、昨年まではフイルムカメラで行われていたのです。しかし、フィルムの現像はまだなんとかなっていますが、印画紙の調達が厳しくなってしまったためにデジタルカメラに移行し、私に白羽の矢が立ったというわけです。ちょっと重圧に潰されそうですが、前任の講師から指名されたわけですから、大役を果たさなくてはなりません。

最近の若い方達は、改めてカメラを購入するという考え方が少ないようで、多くはiPhoneなどでの撮影がメインという方が多いのです。別途デジタメカメラを持っているとしても、コンパクトでデジタルカメラ止まりです。

コンパクトでも写真は撮影できますが、スタジオ撮影となるとかなり苦しくなります。やはり基本をマスターするためには、どうしても一眼レフが必要なのです。




また、フィルム時代と異なり、露光が足りない場合はISOが自動的に変わってしまう芸当が出来るデジタルカメラは一筋縄ではいきません。もちろん、これはインテリジェントオートのようなモードを設定しているときだけですが、それでも撮影全般に対する考え方が、フイルムカメラとは180度違うのが曲者ですね。

それでも、フイルムカメラを理解していればデジタルへの移行はそれほど難しくはないのですが、まったく何も解らないという方にとっては、絞り値の刻印のないレンズや、シャッター速度を調整するダイアルすらないデジタルの方が簡単なようで難しいかも知れません。

そこで、どのカメラにするかで四苦八苦したわけです。スタジオ撮影用は、既にN社の一眼レフと18-200mmレンズの組合せが2セット用意されていました。このレンズについては何故? という疑問があるのですが、スタッフの方が揃えたそうで、文句も言えずちょっと残念な結果でした。まずは18-55mmのセットとし、余った予算で50mmまたは85mmの単焦点レンズが手に入ればと思っていたからです。

さて、それとは別のスナップ撮影用で白羽の矢を立てたのは、O社のミラーレス一眼レンズキットです。3万円を切っていたので、これならば10台ぐらいは確保出来ると思ったからです。理想としてはビューファインダーです。

ちなみに講習会は10名程度で行う予定になっています。みんなが同じカメラで講習に望むスタイルはなかなか魅力的です。ところが、業者が突然5万円近くに値段を上げてきたとかで大騒ぎ。

私が勝手に購入してくるわけにもいかないので、機種選定は白紙に戻ってしまいました。ところが、ここで私は思わぬヒントを得た事に気が付きました。この業者を変更することは出来ないので、価格.comでこの業者の販売価格を調べることで、理想的なカメラをゲット出来るわけです。

早速に調べていくと、値段がつり上がった当初のカメラは最初から5万円近かったのです。私が見ていた3万円を切っていたのは別の業者でした。どのショップもすべてが安いわけではなく、得意としているメーカーなどがあるようですね。

さて、こうなるとミラーレス一眼である必要もないので、片っ端から常識的な性能の範囲でカメラを捜しまくりました。結果として、既にあるN社のカメラ2種類と、S社そしてP社のレンズキットに絞り込まれました。

あとの処理は私の手を離れてしまいましたので、結果を待つだけになりました。私としては、N社は学生の頃から利用しているので大歓迎ですが、もしS社またはP社に決定したら個人的に購入するつもりでいました。ちなみにC社のカメラとは未だに何故か縁がなく、不思議な思いをしています。

とにかく、そんなことも忘れかけていたある日、突然嬉しいお知らせが舞い込んできました。何故か予算が上積みされ、既にあるN社のレンズキットが10セット購入されることになったのです。そしてレンズは18-55mmです。

これで既に購入してあったカメラと結果的に同じモノになったので、色々と都合が良くなりました。それなりのスタジオは既に用意されていますので、後は私の準備だけです。

もちろん、カメラの性能に関しては上を向いたらきりがありません。レンズも拘ればドロ沼です。当然ながら、出費しただけの結果は得られますが、大切なのは仕組みを理解して撮影を楽しむ事。あとは撮影を沢山することですね。興味を持てば、個別に気に入ったものを購入すればよいことです。道具は相性というモノがありますから。

さて、とにかく作ってみる、やってみるという基本的な考え方が日本人はどうも欠如している気がしてなりません。道具に拘ることはとても大切ですが、道具が良ければ良い作品が出来るわけではないからです。

実は、デザインを学ぶとき、絶対に必要不可欠なのが一眼レフだと確信しています。昔はマイクロレンズ付きの一眼レフがデザイナーの必需品でした。原稿を複写するための手段だったからです。

もちろん、当時もデザインを学ぶという意味で一眼レフは有益な道具でした。それは、トリミングの練習になるからです。画面を切り取って撮影することはレイアウトの基本に近いからです。

また、写真はモノクロ撮影が勉強になります。今はわざわざモノクロで撮影することは少なくなりましたが、カメラの設定ひとつでモノクロ撮影が楽しめますので、チャレンジしてみることをお薦めします。色で惑わされない感覚を養うのに最適です。

さて、フイルムカメラ時代の流れは、撮影・現像・プリントでした。デジタルカメラからは、撮影・RAW現像・レタッチ・合成・プリントという流れになります。もちろん無理に合成などする必要はないのですが、Photoshopでの一連の処理までも網羅した写真講習ということになるわけです。

私もそれなりに撮影に対する独自のセオリーがあるので、4月からは思い切った切り口で講習を行ってみたいと考えています。失敗談や予想外の展開など、予想される面白い話などは、今後のネタにしてみたいと思います。

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■今月のお気に入りミュージックと映画

[Trouble]by Coldplay in 2000(U.K.)

イギリスのロック・バンド、コールドプレイの3rdシングルで、いくつかのアレンジが存在していますが、1999年11月からピアノを取り入れてライブで演奏されるようになり、最終的にギターを遅くした現在のバージョンが『パラシューツ』に収録されたようです。最近この手のシンプルな楽曲に傾倒しています。

[Tangled]by Nathan Greno & Byron Howard in 2010(U.S.A)

原作はグリム童話の『ラプンツェル(髪長姫)』で、邦題は「塔の上のラプンツェル」。とにかく気持ちの良い展開で一気に鑑賞出来ます。CGの綺麗さもさることながら、カメラアングルがとてもいいです。

そして、ディズニーらしいウィットなシーンも沢山。エンディングも単なるハッピーエンドではありませんが、見ていてとっても気持ちの良い作品です。

またヒロインに欠かせない、身近にいる動物は小さなカメレオン。言葉は話さないのですが、とってもカワイイなくてはならない存在。そして、絶対に外せないのが警護隊長の馬マキシマスと酒場の荒くれ者たち。彼らのキャスティングが華ですね。

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■アップルストア銀座 3月18日(月)19時00分からのセッション

Hands on a Macとして画像処理セッション
『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol.75』

パターン生成が誰にでも簡単にできるようになったIllustrator CS6で、デジタルカメラで撮影した小物を利用するなど、実用的なパターン生成についてハンズオンします。素材としてのデジタルカメラの使い方と撮影テクニックを説明いたしますので、講習後に活用して下さい。集めた素材をPhotoshopで上手に加工します。なお、ハンズオンセミナーは予約制で、申し込みに関してはAppleに一任しております。

【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/怪しいお菓子研究家

yoshinori@kaizu.com
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最近インポートでリージョン1のDVDをアメリカから色々とゲットしています。ちょっとしたマイブームかも。まず最初に購入したのは「Mighty Mouse」。アップルのマウスではなく、ねずみのスーパーマンという設定の1940年代から50年代にかけて作られたドタバタ漫画です。

次が1922年から1944年まで作られた「Little Rascals」で、邦題は「ちびっこギャング」。日本では60年代に放映されています。アルファルファ、スパンキー、バックウィート、ポーキー、ドーラ、それに犬のピート......知っている人にとっては涙モノです。ちなみに1994年の映画はリメイク版です。

続けて「Felix the Cat」は、邦題で「フィリックスくん」。これはそれほどマニアックではないので、知っている方も多いと思います。大博士に豆博士、テレビ人間とユニークなキャラが出てくる楽しい漫画ですが、なんといっても魔法の黄色いカバンを持った、クロネコのフィリックスくんの愛くるしさに尽きますね。