[3431] Romanticが止まります

投稿:  著者:  読了時間:24分(本文:約11,600文字)


《お前は食い物のことしか考えていないのか》

■ショート・ストーリーのKUNI[135]
 タッチパネル
 ヤマシタクニコ

■3Dプリンタ奮闘記[05]
 3Dプリンタを導入した理由と機種
 織田隆治

■歌う田舎者[42]
 Romanticが止まります
 もみのこゆきと




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■ショート・ストーリーのKUNI[135]
タッチパネル

ヤマシタクニコ
< http://bn.dgcr.com/archives/20130228140300.html >
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家族会議が開かれた。母親が息子と娘を前に話し始めた。

「あなたたちに知らせておくべきことがあります。お父さんは今日からタッチパネル式お父さんになりました」
「はあ?」
「なんでおとうさんが、タッチパネル式?」
「わけわからん」
「ウィキペディアによれば、タッチパネルとは、液晶パネルのような表示装置とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、画面上の表示を押すことで機器を操作する入力装置です」
「それはわかってるけど」
「おとうさんがそんなものになれるわけないじゃん。だいたい、今もそこにいるけど、見かけいっしょじゃん」
娘は母親の横に無言で座っている父親を指した。父親は背筋をぴんと伸ばし、ソファに座っている。Tシャツの上にパーカを羽織っているが、普段通りだ。
「ではあなた、見せてやって」
母親がそういうと父親はパーカをぱっと脱ぎ捨てた。Tシャツの胸に「ログイン」と文字が書かれている。
「まじか」
「だから言ったでしょ」
「きもっ」
「あなたたちが何と言おうとむだなの。おとうさんはもう、タッチパネル式になったんだから。もちろん、お父さんは人間なのでウィキの説明通りではありません」
父親は無言でゆっくりうなずく。
「何考えてんだよ」
「意味わかんないんだけど」
「おとうさんは、ずっと前からロボットになるのが夢だったの。だれでもロボットにはなりたいと思うでしょ」
「思わないって」
「でもそれは無理なのでタッチパネルでがまんしたのだそうです」
「そうです、って何それ。なんか他人ごとっぽい」
「あたりまえでしょ。他人だもん。とにかくね。おとうさんは、そういうわけで、早期退職しました。もうこれからは会社に行かず、他人とはできるだけ関わらない生活をするそうです」
「え、要するに、ひきこもり?」
「ありえんだろ。トシ考えろよ」
「早期退職ってことは、退職金は多めにもらえたんだよね。まさかお金がないからあたしが大学に行けないってことないよね」
「どうかしら」
「ひどい。なんか無責任っぽい」
「とにかく、今後はお父さんに何か用ができたら、まずログインするの。あなたたちはタッチしただけで自動で認証されるようになっているそうだから」


一週間後、ふたたび家族会議が開かれた。
「あなたたちに言っておくべきことがあります。わが家は問題を抱えていると言わざるを得ません。お父さんは沈鬱と困惑の中にいます」
「なんで」
「何が困るの」
「タッチパネル式になったのに、だれもタッチしないからです」
父親は黙ってうなずいている。
「そんなの知るか」
「必要ないんだもん」
「そうなの。お父さんも、失敗だったと認めています。よく考えたら、わざわざタッチしなきゃならないほどの用件ってなかったということに気づいたのです」
「いまごろ?」
「ばっかじゃねえの」
「でも、このままではタッチパネル式にした甲斐がありません。なので、今後はどうしてもあなたたちがタッチしないわけにはいかないようにしようと考えたらしいです」
「それ、どういうこと」
「お父さんは今日からトイレの前にいることにしたそうです。トイレに行きたかったらお父さんにタッチしてから行くように。タッチしないとトイレに行けないようがんばる、と先ほど決意のほどを語りました」
「えーっ!」
「最悪!」
「じゃ、じゃあ、どうしてもお父さんの体にタッチしないといけないの?!」
娘は泣きそうになった。
「そうよ。何か問題でも」
「拷問じゃないの、そんなの!」
「ひとに苦痛をあたえて何が楽しいんだ!」
「あたしたちだって人間なのよ!」
「親が子どもにすることか!」
「へんたい!」
「ちきしょう、今度から家のトイレには行かない......ああ、やばい、そう思ったらとたんに行きたくなった! 腹痛い!」
あわててトイレに走る息子。しかし、父親が必死で先回りした。コンマ1秒の差でトイレのドアの前に立ちはだかる。
「あ〜〜〜!!!」
息子は一瞬悩んだが状況は猶予を与えなかった。ぶるぶると震える指先で父親のTシャツの胸の「ログイン」と書かれた部分にタッチした。父親はさっとドアの前をどいた。ほっとして駆け込む息子。


「あー、まいったまいった」
しばらくして息子が戻ってきた。見ると、妹が青ざめている。
「どうしたんだ。おまえ、まさか」
「おにいちゃん、そうなの、あたしも急にトイレに行きたくなってしまったの」
「無駄な抵抗よ、あなたたち。トイレに行くことができないと思うと急に行きたくなるのが人間というものです」
「何だよその冷たい言い方。鬼か」
「母親とも思えないわ......ああ、だめ、おなか痛い......でも、でも、お父さんにタッチするなんて、ありえない!......でも......ああ、やっぱりがまんできない!」
娘はトイレに行った。ドアの前に父親が座り込んでいる。娘は心を無にして、「ログイン」の部分にタッチした。すると父親がTシャツの裾をぱっとめくった。なんとその下にはもう一枚のTシャツがあり、キーボードが印刷されている。ちょうど腹の上あたり。Tシャツはぴったりと肌に密着している。
「何これ!」
母親がやってきた。
「そこからがタッチパネル式お父さんの醍醐味なの。そのキーボードをタッチして『トイレに行きたい』と書き込めばいいらしいわ」
「おにいちゃんのときは『ログイン』をタッチしただけでよかったじゃない!」
「さっきは初めてでお父さんもうっかりしたのよ」
父親は横でうなずく。娘はいまや怒りからか腹痛からかはたまた嫌悪感からかわからない冷や汗をたらたらと流し、呆然としていたが、やがてあきらめ、泣きながら父親の腹の上のキーボードをタッチした。
と い れ に い き た い
父親は満足そうな笑みを浮かべ、さっとドアの前を離れた。


一時間後。居間は重苦しい雰囲気に包まれていた。


母親が沈黙を破って言った。
「あなたたち、どうしたの。そんな重苦しい表情をして」
だれも答えなかった。
「今日はいわばタッチパネル式お父さんデビューの日だというのに。といっても別に私もうれしくもなんともないんだけど。なんというか、はっきりいってどうでもいいの」
娘も息子もやはり黙っていた。
「でもね。さっき、何気なく『トイレに行きたい』と入力したと思うけど、お父さんのほうはそれがはっきり見えないのよ。見えなくても、自分のおなかの上に何という文字が入力されたかを、おなかで感じ取らないといけない。これってたいへんなことなのよ」
息子も娘も反応なし。
「これはだれにでもできることではないの。だからお父さんは、タッチパネル式になると決めたその日から、血のにじむような訓練を重ねてきたの。それで、今ではかなり複雑な文章を書かれても感じ取れる。わが夫ながら......りっぱだと思うわ」
母親の目に涙がにじむ。娘はスマホをいじりだした。息子もヘッドホンで何か聴き始める。
「これが、もともと器用な人ならともかく、お父さんみたいに何をさせても不器用な人の場合はどれだけたいへんか。お父さんはね、若いころ、ギターを弾けるようになりたいと思って毎日毎日、C、Am、F、G7のコードを練習したけど、ついに習得できなかった人なんだから」
トイレのドアの前からじゃん、じゃん、じゃん、じゃかじゃかじゃん、どこかはずれたギターの音が聞こえてきた。

【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net
< http://midtan.net/ >
< http://yamashitakuniko.posterous.com/ >

ドラマや映画のタイトルバックを見るのが好き。いま放映されているのでは「ビブリア古書堂の事件手帖」。人物のかたちの白い紙がぱらぱらぱら〜っとめくれていくところ。ラストの、本とそれを持つ腕だけが浮遊しているような絵。軽くて、現実感のない感じがいいなあと思う。中身のほうも......そうかも。


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■3Dプリンタ奮闘記[05]
3Dプリンタを導入した理由と機種

織田隆治
< http://bn.dgcr.com/archives/20130228140200.html >
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さて、これまでざっくりと3Dプリンタの紹介をしてきたわけだが、ここで僕がどのように使用しているかを書きたいと思う。その前に、僕の仕事を少し紹介しておきたい。

現在の僕の仕事は、映画やパチンコ液晶、映像等で使用されている3DCGの制作と、展示模型の制作、店舗内装や施設のデザイン設計を主にしている。自分で設計した物が展示され、尚かつ制作をするというのは楽しい事だ。

模型制作に関しては、20年ほど前から行っていて、その頃から手作りの模型、造形に携わってきて、制作機械等もよく使っていた。3Dプリンタもそんな機械のひとつ、と言いたいところだが、これまでの機械とはひと味違うものであるかと思う。

3Dプリンタは便利な機械であるが、その使用目的によって、
1)どの機種を導入すべきか
2)導入するか、出力サービスに出すか
が決まって来る。

新しい技術を目の前にして、その面白さに流されてしまわないよう、この選択はしっかりと考慮して決定しておきたい。もちろんの事だが、3Dモデリングも出来る環境にあるのは言うまでもない。この点の注意点は次回にでも。

僕の場合は、2011年の暮れに、色々なプリンタや、その使用感や出来上がったサンプルを見せて頂いて、自分の使用目的に照らし合わせ、2012年1月に決定、購入した。

僕が使用しているのは、ABS樹脂やPLA樹脂を溶かしながら積層するタイプの「BFB 3D TOUCH」だ。

何故この3Dプリンタに決定したかと言うと、
1)そのままの素材で展示に応用出来る
2)比較的安価で導入出来る
3)自ら3Dデータを制作出来る
という3点が主な購入のきっかけとなった。

このプリンタは、積層ピッチが0.125mmと比較的荒い部類に入り、その積層痕がはっきりと出てしまう。そのまま製品にするには難しく「後加工」「仕上げ加工」が必須となる。

単にヤスリがけをして仕上げれば良いじゃん、って事なのだが、世の中には仕上げ加工をする「フィニッシャー」といわれる専門職があるくらいで、その仕上げ程度で製品の価値が変わって来るくらい重要で、実に奥の深い技術なのである。

僕の場合は、以前から模型や造形を生業としてやってきたから、この「後加工」が出来るという特徴が、仕事での制作対応に大いにプラスすると感じる。

導入して最初の頃は、楽しくてさまざまなテストで出力してみた結果、色々な事が分かってきた。当初は、ABS樹脂での造形がメインとなると思われたが、同じプリンタで出力した物でも、PLA樹脂とPLA樹脂では、造形品質に違いが出て来る事が分かった。

ABS樹脂は融点が高く、造形時の「歪み」が顕著。
PLA樹脂は融点が低く、「歪み」は小さいように感じる。

この融点、というのは、「後加工」にも影響してくる。表面処理の際に、ベルトサンダー等の高速に回転する研磨機で削った場合、回転数を押さえて使用しなければ、摩擦熱で樹脂が溶けてしまい、研磨するのが難しくなる。

そういった素材や機械の特徴を押さえ、把握した上で使用すると、とても素晴しい機械なのだ。

【織田隆治】
FULL DIMENSIONS STUDIO(フル ディメンションズ スタジオ)
< http://www.f-d-studio.jp >

今回は僕がどの機種をどういった理由で導入したか、等を主軸に紹介してみました。次回は、3Dデータの扱いと、制作について、を主軸にします。


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■歌う田舎者[42]
Romanticが止まります

もみのこゆきと
< http://bn.dgcr.com/archives/20130228140100.html >
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結婚式である。6年ぶりである。ご祝儀分は取り返そうと、飲む気満々である。しかし、きょうびの若い者はあまりアルコールを飲まない。そのような中で、呑ん兵衛のおばちゃんと隣同士の席にしてくれた新婦の温かいお心づかいに、目頭を押さえるわたしである。

わが人生において、結婚式が怒涛のようにあった時期は15年ほど前であるが、その頃と比べると、おそらくいろんなところが様変わりしているであろう。今どきの結婚式取材班としては、詳しい説明を試みるべく、トレンチコートの襟の隙間から眼光鋭く周囲の状況確認に励む所存であった。しかし、飲む気満々すぎて、しょっぱなから半ば酔っぱらっていたため、食い物のことしか覚えていない。

その食い物であるが、15年前は伊勢海老のテルミドールや鯛の塩焼き、お赤飯のお持ち帰りが定番であった。しかしながら今どきの結婚式には、もはやそのようなものはない。すべて腹に入れてお持ち帰りするのが基本である。

テーブルは白い花だけで飾られ、四角いガラス皿にはアミューズがお洒落に盛りつけられている。ワインやビール、ノンアルコールドリンクなども所狭しと並べられており、ビンボー人としては久々に見るご馳走を前に、パブロフの犬になりそうである。

あぁ、しかしこれを口にするまで何分かかるのであろうか。新郎新婦の入場を待ち、媒酌人の挨拶があり、来賓の祝辞などなど......ゆうに30分はかかるであろう。タラバ蟹のゼリー寄せや帆立貝柱のマリネ、ロマネスコと小カブのサラダなどを前にしながら、涼しい顔で無視しなければならんのである。パブロフの犬になっちゃいかんのである。わんわん。

ところが今どきの結婚式は違うのだ。天よりの使者(お給仕のおねえさん)がやってきて優しく囁いた。

「どうぞお召し上がりになりながら新郎新婦のご入場をお待ちください」

えええぇぇ! 食っていいんすか? 飲んでいいんすか? 素晴らしいぞ! 今どきの結婚式! ご馳走を前に、偉い人の挨拶が終わるのをしびれをきらして待たなくてもいいことになっているのだな。おぉ、よく見れば媒酌人もいないではないか。良きことじゃ良きことじゃ。これこれ、そこなおなご。そなたにも一献差し上げようぞ。苦しゅうない、近う寄れ。

お前は食い物のことしか考えていないのかと言われそうだが、それがどうした。わが日本には「据え膳食わぬは人間の恥」という諺がある。すでにテーブル上に設置してある食べ物については、熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに、とっとと食すのが礼儀だと諭した言葉である(ウソだが)。

そうしなれば帆立貝柱のマリネが『ようよう乾いていく貝柱、少しかぱかぱ、上に散らしたる紫蘇が風にたなびきたる』になって、せっかくのご馳走が台無しになる。そのようなことになっては、しばれる天候の中、宗谷岬から船を出し、腰を悪くしつつも重い網を巻き上げて帆立漁に励む漁業者の皆様に申し訳が立たないではないか。

♪波の〜谷間に〜命の花が〜ふたつ並んで〜咲いて〜いる〜♪

その上、今回の結婚式はスピーチも歌も頼まれていなかったので、誠にもってラクちんなのであった。人前で話すのが得意だと勘違いされ続けて幾星霜。出席した結婚式の半分以上で、スピーチか歌か、あるいは芸などを披露していた気がするのだが、しかしそれは大きな勘違いなのである。『人前で』がつくと、からきしダメな小心者なのであった。これでよくも将来の夢はタカラジェンヌなどと思っていたものである。

とくにスピーチなど頼まれた日にゃあ、一週間前から鬱状態。しかも友人代表のスピーチなどというものは、来賓のスピーチが終わって、乾杯が終わって、「皆様どうぞしばらくの間ご歓談ください」が通り過ぎて、式も半ばを過ぎた時間帯になる。緊張のあまり据え膳食うどころじゃないのである。帆立貝柱のマリネなど、ひからびて帆立の干物になってしまうのである。

本当にお前は食い物のことしか考えていないんだなと言いたければ言え。その通りだ。いつ何どきも食い物のことしか考えていない。食い物こそわが命。

それにしても世の人々は、どこで結婚できるスキルを身につけたのだろう。どこか専門学校にでも通ったのであろうか。わたしには到底できそうにない。思うに、美女でグラマラスで気立てがいいことと、結婚できる能力は全く別物なのだ。

......と書きたいところだが、リアルで会ったデジクリライターさんが増えてくると、モノが飛んできそうな気もする。気もするが、室伏広治でも呼んでこない限り、薩摩藩までモノを飛ばすことは不可能であろうから、やっぱり美女でグラマラスで気立てがいいということにしておく。

いや、話を戻すと、結婚に至るにはロマンティックなひと時、ロマンティックな一言、ロマンティックな一夜という、なにやらロマンティックなことをしなければならないはずである。日本国憲法第百二十九条には、科目ロマンティックにおいて「可」以上でなければ婚姻届は受理されないと書いてある。

その科目ロマンティックがどうしてもダメなのだ。そういうものは舞台の上やブラウン管の中でスターがすることではないのか。結婚にたどり着いた皆様は、いったいどのようにしてそのなりきりスキルを身に付けたのであろうか。

女はみな女優だとはよく言われることである。しかし男だって俳優である。ここで男優と書くと、話が違う方向へハッテンしそうであるが、まぁこの話題に深入りするのはこのへんで勘弁してやろう。

またまた話を戻すと、つまり結婚している皆様方は、その前になにがしかのロマンティックな儀式を通過しているはずなのである。いや、覚えがないとは言わせない。

いきなり彼氏がダンプカーの前に飛び出し「僕は死にましぇん。あなたが好きだから、僕は死にましぇん。僕が、幸せにしますからぁ! ♪SAY YES〜」といった出来事に遭遇したことはないか。

窓から見える広場がバラで埋め尽くされ、♪あなたにあなたにあなたにあげる〜♪とか言われたことはないか。

なに? そんなドラマティックな出来事など身に覚えがない? それなら、彼氏が家まで送ってくれたあと、角をまがるときにブレーキランプをア・イ・シ・テ・ルと5回点滅させたことはないか。このくらいなら身に覚えがあるだろう。

夜の帳が下りるにいたっては、あなたが噛んだ小指が痛いとか言って殿方の胸にしなだれかかったり、長く甘い口づけのあと、深く果てしなくあなたを知りたいと言われちゃったり言っちゃったりなんかしただろう、この野郎! ネタは上がってんだ、吐け! 吐くんだ!!

そのようなロマンティック攻撃が目の前に展開されたとき、どのように迎撃するべきか、ぼく、学校で習ってないんですけど。皆さんはどこで習ったんですか。もしかしてユーキャンにそういう講座があるんですか。おせーておせーて。

かようなわたしでも、若かりし頃は多少なりともロマンティック寸前まで行ったことはある。しかし、どこからともなく「ロマンティック爆弾発射準備完了」のカチンコが聞こえると、「げげっ、なっ、なにやら面妖な雰囲気が漂ってきておるが、この微妙な沈黙は何であるかっ!」と脳内アラームが鳴り響き、

♪だ・れ・かRomantic と・め・て Romantic
♪むーねがー むーねがー くーるしーくーなるー
動悸がしてくるのである。

西郷隆盛曰く、写真を撮られると魂が抜けるそうであるが、わたしの場合、ロマンティックすると心臓病になるのである。

そして、この状況をなんとかブチ壊すために、「ってやんでぇ、べらぼうめ! 御託がすぎらいっ!」と掻きまわしてみたり、突然下ネタトークを繰り出してみたりしているうちに、人生は黄昏てしまった。思えば遠くへ来たもんだ。いまや自分の葬式費用のほうが気になるお年頃である。

そういえば、昔、母校に教育実習に行ったとき、最後の感想文にこんなものを書いた生徒がいた。

「先生、老人ホームに行ってから結婚しないようにしてください」

チッ、今よりずっと美女でグラマラスで気立てがよかった吾輩に対して何を言うか、このうつけが! と思っていたが、ひょっとすると彼は未来から来た予言者だったのか。ちなみにその生徒はなかなかのイケメンで、名をS田君といい、進学希望先は東京外国語大学ロシア語科であった。イケメンの進路調査表は30年経っても覚えているのである。

どなたかわたしに科目ロマンティックについて家庭教師でもしてくれまいか。これから20年ほど修行を積めば、老人ホームに入る前に、どんなロマンティックも演ずることができる役者となれるのではなかろうか。そして、華燭の典を挙げた暁には、S田君に「外したな、ノストラダムス2世」と言ってやらねばならぬ。

かなわなかった時は、「スパイに孤独はつきもの。危険な恋とは無縁ね」と、トレンチコートの襟を立て、風に吹かれていよう。

※「ROMANTICが止まらない」C-C-B
< >
※「兄弟船」鳥羽一郎
< >
※「SAY YES」CHAGE & ASKA
< >
※「100万本のバラ」加藤登紀子
< >
※「未来予想図II」Dreams Come True
< >
※「小指の思い出」伊東ゆかり
< >
※「接吻」オリジナル・ラブfeatuing横山剣
< >
※「思えば遠くへ来たもんだ」海援隊
< >

【もみのこ ゆきと】qkjgq410(a)yahoo.co.jp

いつのことかと言われそうだが、デジクリ2/15の編集後記。編集長が週刊新潮、週刊文春の最新号について書いておいでなのだが、薩摩藩ではこの週刊新潮2/14号が手に入らない状況になっていた。Facebookのウォール内で、「どこに行っても週刊新潮がない」とつぶやく領民が複数いたので気づいたのだが、週刊新潮2/14号には、地元選出議員の下半身スキャンダルが掲載されていたのだ。

うーむ......スキャンダルの内容なぞ、そのうちネットに誰かがスキャン画像でも流すだろうからどうでもいいのだが、ほんとうに薩摩藩中の本屋から消えているのだろうか......そっちの方が気になったわたしは、現場検証に行ってみた。

薩摩藩で最もでかいジュンク堂と丸善。たしかに一冊もない。どちらの店舗にも「週刊新潮2/14号は品切れ中です。次回の入荷は2月中旬頃を予定しております。ご希望の方は店員までお申し付けください」という主旨の張り紙が。発売当日にこんなの見たことないぞ。コンビニを6店ほど確認したが、最後の一店に一冊だけ見つかった。しかし週刊文春の間に挟まれていたので、おそらく見逃されたのであろう。知人のコンビニ店長によると、全て買い占めて領収書を......おや? こんな時間に誰だろう。


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編集後記(02/28)

●2月15日の読売新聞朝刊全国版に30段(見開き)をつかい、宝島社の企業広告が掲載された。西郷隆盛の銅像写真に「子孫のために、借金を遺す。」というコピー。こんな説明がある。[西郷隆盛は言いました。「児孫のために、美田を買わず」。人間は多くの辛酸を舐めてこそ成長することができる。下手に財産を遺すのは子孫のためにならないとの遺訓です。なるほど日本がいま抱える膨大な借金にしても、その返済は次の世代を大いに鍛え、たくましくしてくれるはず。借金を負の遺産としてただ嘆くのではなく、将来につながる正の遺産として活かす。そんなしたたかな国になりたいものです。]

「子孫のために、借金を遺す。」って思想、まあ人それぞれの価値観だが、まったく共感できない。わたしは子孫のために財産は遺したい。借金なんてとんでもない。逆説のテクニックかと思ったが、説明を読むとそうでもなさそうだ。西郷さんだって変にパロディ化されてお怒りではないだろうか。また、説明の前段はわかるが、後段はいきなり飛躍している。「日本がいま抱える膨大な借金」とは何を指すのか。

マスコミはいつも「国の借金」とか「国民一人が約752万円の借金を背負う」といった脅し文句を使う。そのことをいっているのか。これは財務省による情報操作で、増税路線を推進するために「国の借金」というウソを垂れ流しているのである。「国の借金」とは正しくは「政府の負債」のことで、その債権者は日本国民だ。つまり「国民一人が約752万円の債権を持つ」ってことだろう。その意味では、広告のまとめ部分は正しいことを言っているのかもしれないが、よくわからない。

それにしても、全国通し30段二連版の広告料金はいったいいくらかかるのか。広告料金シミュレーションしてみたら、少なくとも8900万円以上と出た。すご過ぎるぞ、宝島社。いまどき出版で大もうけしているおそるべき会社。完璧な宝島流マーケティングが快進撃の秘密だという。1998年から独特の企業広告を出していて、最近では2011年の「いい国つくろう、何度でも。」ではマッカーサーの写真を使い物議を醸したものだった。2012年は見落としていたが、「ヒトは、本を読まねばサルである。」っての、これ素晴らしい! よくぞ言ってくれた。(柴田)

< http://tkj.jp/company/ad/ >
宝島社 企業広告

< http://bn.dgcr.com/archives/20110902140000.html >
編集後記で「いい国つくろう、何度でも。」に文句をつけた


●うちのFIX窓の清掃が、雨や強風で四度延長した。四度ってなかなかないよね。今日やっと朝から業者の人がロープを使って清掃してくださっている。

タッチパネルで連想した。『SpaceTop』という3Dインターフェイスのディスプレイのこと。透けているディスプレイの後ろ側に手を伸ばして、パソコンを操作してた。紹介しようと検索したら、エロ目的に使えるだの、医療関連で使えそうだの書かれていた。一般実用化はまだ先だと思っているが、エロは強いから早いかもなぁ......。(hammer.mule)

< http://www.theverge.com/2013/2/26/4031220/jinha-lee-spacetop-3d-desktop-lets-you-reach-inside-computers >
SpaceTop。動画あり。
< http://hypernews.2chblog.jp/archives/51522557.html >
3D画面の中に手を伸ばしてウェブページや文書を「つかむ」ことができるディスプレイ「SpaceTop」が凄いwwwww
< http://www.appbank.net/2013/02/27/ipad/546143.php >
[iPad] EF LENS HANDBOOK:一眼レフユーザーがレンズを学べるカタログアプリ。無料。
< https://yorimo.yomiuri.co.jp/csa/Yrm0401_C/1221823776639 >
懐かしくて新鮮? 自分で組み立てる究極の手作りカメラの巻