3Dプリンタ奮闘記[05]3Dプリンタを導入した理由と機種/織田隆治

投稿:  著者:  読了時間:3分(本文:約1,300文字)


さて、これまでざっくりと3Dプリンタの紹介をしてきたわけだが、ここで僕がどのように使用しているかを書きたいと思う。その前に、僕の仕事を少し紹介しておきたい。

現在の僕の仕事は、映画やパチンコ液晶、映像等で使用されている3DCGの制作と、展示模型の制作、店舗内装や施設のデザイン設計を主にしている。自分で設計した物が展示され、尚かつ制作をするというのは楽しい事だ。

模型制作に関しては、20年ほど前から行っていて、その頃から手作りの模型、造形に携わってきて、制作機械等もよく使っていた。3Dプリンタもそんな機械のひとつ、と言いたいところだが、これまでの機械とはひと味違うものであるかと思う。

3Dプリンタは便利な機械であるが、その使用目的によって、
1)どの機種を導入すべきか
2)導入するか、出力サービスに出すか
が決まって来る。




新しい技術を目の前にして、その面白さに流されてしまわないよう、この選択はしっかりと考慮して決定しておきたい。もちろんの事だが、3Dモデリングも出来る環境にあるのは言うまでもない。この点の注意点は次回にでも。

僕の場合は、2011年の暮れに、色々なプリンタや、その使用感や出来上がったサンプルを見せて頂いて、自分の使用目的に照らし合わせ、2012年1月に決定、購入した。

僕が使用しているのは、ABS樹脂やPLA樹脂を溶かしながら積層するタイプの「BFB 3D TOUCH」だ。

何故この3Dプリンタに決定したかと言うと、
1)そのままの素材で展示に応用出来る
2)比較的安価で導入出来る
3)自ら3Dデータを制作出来る
という3点が主な購入のきっかけとなった。

このプリンタは、積層ピッチが0.125mmと比較的荒い部類に入り、その積層痕がはっきりと出てしまう。そのまま製品にするには難しく「後加工」「仕上げ加工」が必須となる。

単にヤスリがけをして仕上げれば良いじゃん、って事なのだが、世の中には仕上げ加工をする「フィニッシャー」といわれる専門職があるくらいで、その仕上げ程度で製品の価値が変わって来るくらい重要で、実に奥の深い技術なのである。

僕の場合は、以前から模型や造形を生業としてやってきたから、この「後加工」が出来るという特徴が、仕事での制作対応に大いにプラスすると感じる。

導入して最初の頃は、楽しくてさまざまなテストで出力してみた結果、色々な事が分かってきた。当初は、ABS樹脂での造形がメインとなると思われたが、同じプリンタで出力した物でも、PLA樹脂とPLA樹脂では、造形品質に違いが出て来る事が分かった。

ABS樹脂は融点が高く、造形時の「歪み」が顕著。
PLA樹脂は融点が低く、「歪み」は小さいように感じる。

この融点、というのは、「後加工」にも影響してくる。表面処理の際に、ベルトサンダー等の高速に回転する研磨機で削った場合、回転数を押さえて使用しなければ、摩擦熱で樹脂が溶けてしまい、研磨するのが難しくなる。

そういった素材や機械の特徴を押さえ、把握した上で使用すると、とても素晴しい機械なのだ。

【織田隆治】
FULL DIMENSIONS STUDIO(フル ディメンションズ スタジオ)
< http://www.f-d-studio.jp >

今回は僕がどの機種をどういった理由で導入したか、等を主軸に紹介してみました。次回は、3Dデータの扱いと、制作について、を主軸にします。