クリエイター手抜きプロジェクト[348]映像編 ブームが去った後の3Dカメラ
── 古籏一浩 ──

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ふとしたきっかけで、3D映像が撮影できるハイビジョンカメラを貸してもらったので、使ってみた感じなどを書いてみます。そのカメラはパナソニックのAG-3DA1です。

・AG-3DA1
< http://pro-av.panasonic.net/jp/3d/ag-3da1/index.html
>

パナソニックは他にもいくつか3Dカメラを出しています。ハイエンドとしては以下のカメラがあります。

・AG-3DP1G
< http://pro-av.panasonic.net/jp/3d/ag-3dp1g/index.html
>

ローエンドだとTM-750に3Dコンバージョンレンズをつけて3D撮影をします。

・TM-750
< http://panasonic.jp/dvc/tm750/
>

TM-750で撮影した映像は、サイドバイサイド(左右の映像が横幅半分になったものが一枚の映像になる)になります。実際に撮影した映像は以下にあります。

・フリー実写3D映像素材
< http://footage3.openspc2.org/HDTV/footage/HD/3D/
>




AG-3DA1には3Dアシスト機能がないみたいで、映像が3Dとして破綻していないかどうかの確認が大変です。AG-3DA1の3D映像の確認は、MIXモードボタンを押します。すると左右のカメラで撮影した映像が、半透明で合成されて表示されます。

これで視差がわかるのですが、あまり役に立たない感じがします。どうせなら、Nintendo 3DSのような裸眼立体視の方がいいんじゃないかと思ったりもします。200万円以上するカメラですし、そのくらいあっても文句は出ないでしょう。

とりあえず、AG-3DA1を使って何か所か撮影してきました。以下のページに、フリー素材としてアップロードしてあります。

・フリーFullHD 3D実写映像素材
< http://footage3.openspc2.org/HDTV/footage/3D/60i/
>

実際に撮影してみると、結構大変だということが分かります。まず、撮影した映像が、3Dにした時に破綻していないかどうか確認ができません。確認するにしても、SDカードのデータをパソコンにコピー(左右あるのでコピー時間も2倍)してから処理することになります。

ざっと確認するなら「裸眼立体視」を使います。撮影した左右二枚の映像の表示サイズを小さくして、QuickTimeプレイヤーで見るわけです。3D映像として破綻していないことを確認したら、ようやく編集になります。

撮影時に破綻していたら(失敗していたら)どうしようもないので、撮影に失敗しないことが前提です。遠景だけだと立体感がなく、かと言って手前を撮影すると3D映像として破綻します。

そこそこ手前から奥に向かって遠近感が出るような......例えば並木道のようなものであればきれいに立体感がでます。まあ、そんなに都合良い場所があるわけでもないので、撮影場所はかなり制限されてしまいます。

レンズの画角も特に広角というわけではないので、対象物から離れなければいけません。ズームも5.6倍ほどなので、花をズームしてアップしようとしても限界があります。大きくしようとして近づいて撮影すると、3D映像として破綻するという、なかなか難しいカメラです。

こうやって使ってみると、3D映像が注目されるきっかけになった「アバター」は、とても凄い映画だというのがわかりました。というか、よくそんなものを作った(3Dで作ろうと思った)としか言えません。だいたい、やること自体がおかしい。

・アバター
< http://ja.wikipedia.org/wiki/アバター_(映画)
>

それから、AG-3DA1は二眼カメラなのですが、撮影した左右の映像の色味が違ってしまうことが結構あります。以前TM-700で左右に並べて試験的に3D映像を撮影したことがありましたが、この時も撮影した映像の色味が違ってました。

当時はカメラの個体差だと思ったのですが、200万円もするカメラでも結構色味が違うとなると、どうしようもない。後で調整するかないのでしょうけど。AG-3DA1を3Dカメラとしてではなく、普通のフルハイビジョンカメラとして見ても、今となっては厳しい部分があります。同じパナソニックの家庭用カメラよりも画質、性能とも格段に落ちます。

・X900M(一世代前の家庭用カメラ)
< http://panasonic.jp/dvc/x900m/
>

・X920M(こっちは今年出た家庭用カメラ)
< http://panasonic.jp/dvc/x920m/
>

3Dテレビがあっても、コンテンツがなければどうしようもありません。施設作ったけど制作者が誰もこないという状態にも似ています。仏作って魂入れず......。3Dカメラはパナソニック以外にもSONYやVictorが出していますが、いずれも売れませんでした。それでも、まだ撮影できるカメラが家庭用として出ただけよかったのかもしれません。

3Dの後は4Kだといって、家電メーカーがTVを出してきていますが、4Kなんて撮影できるカメラがほとんどないのに、どうするんでしょうか。


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
< http://www.openspc2.org/
>

3D映像は左右あるのでエンコードも2倍。転送時間も2倍。かなり無理があります......。貸してくれた方は、SDカード2枚入るから結婚式などで1枚壊れても予備として撮影されているから大丈夫なんですよ、みたいなことを言ってました。AG-3DA1は2台貸してもらったんですが、何とまだ2台会社にあるそうで......。

・フリーFullHD 3D実写映像素材
< http://footage3.openspc2.org/HDTV/footage/3D/60i/
>

・Nexus 10(アンドロイドタブレット)使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/Android/Nexus10/
>

・Kindle Fire HD使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/Kindle/Fire_HD/
>

・Nexus 7(アンドロイドタブレット)使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/Android/Nexus7/
>

・iPad mini(アイパッドミニ)使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/iPad/mini/2012/
>

・JavaScript逆引きハンドブック
< http://www.amazon.co.jp/dp/4863541082
>

・改訂5版JavaScriptポケットリファレンス
< http://www.amazon.co.jp/dp/4774148199
>

・ハイビジョン映像素材集
< http://www.openspc2.org/HDTV/
>

・クリエイター手抜きプロジェクト
< http://www.openspc2.org/projectX/
>

・Adobe Illustrator CS3 + JavaScript 自動化サンプル集
< http://www.openspc2.org/book/PDF/Adobe_Illustrator_CS3_JavaScript_Book/
>
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