[3458] 「正義の念オシ」と「悪のレッテル」

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     《それに比べて我らが阪神タイガースはときたら......》

■装飾山イバラ道[118]
 「正義の念オシ」と「悪のレッテル」
 武田瑛夢

■おかだの光画部トーク[97]
 なぜ文系と理系って分けちゃうの?
 岡田陽一




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■装飾山イバラ道[118]
「正義の念オシ」と「悪のレッテル」

武田瑛夢
< https://bn.dgcr.com/archives/20130409140200.html
>
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やる事がたまってくると、テレビ番組の録画を見るのが大変だ。録画可能な残り時間との戦いみたいになってくる。

「デクスター」の新シーズンのシーズン7が始まっているので、録画した一番最初の回を見始めた。前見た時からだいぶ経つので全然忘れてるなーっと思いながら見たら、どうも全く覚えがない感じ。

なんだか絶対におかしいと思ってよくよく確認したら、シーズン7の前のシーズン6を全話丸々見いないことに気がついた! わかる訳ないよね! (以下は少しだけネタバレしています)

1話見逃すとかじゃなくて1シーズン見逃すって、我ながらどういった時間感覚だろう。歳を取るのって本当に怖い(きっと歳だけが原因ではない)。

結局「デクスター」のシーズン6全話のDVDを借りに行って、がんばって数日かけて見た。そんなことをしているから、他の番組を見る時間がなくなる。ただし、見てからわかったけれど、シーズン6とシーズン7は話の流れが完全に繋がっているので、続けて見て正解だったのかもしれない。

・デクスター|DEXTER特設サイト
< http://www.dexter.jp/
>

・デクスター 〜警察官は殺人鬼 シーズン7
< http://tv.foxjapan.com/crime/lineup/prgmtop/index/prgm_cd/1597
>

◎装飾山イバラ道[54]「デクスター 〜警察官は殺人鬼」にハマる
< https://bn.dgcr.com/archives/20100413140200.html
>

以前にも記事[54]に書いたけれど、「デクスター」は立て続けてに見るには少々キツい内容の連続殺人鬼のドラマだ。アメリカって、万人向けの作品では必死に血を隠して色も変えていたりするけれど、大人向けのチャンネルだと血の描写は遠慮なく真っ赤だし大量だしで、見慣れないと驚く。

見慣れてきたら見慣れてきたで、シーズンごとにエスカレートする猟奇的なシーンにまたびっくりする。でもじっくり見ていると、出演者の演技が素晴らしくて、他のドラマにはない見応えがあるのだ。

特に主役のデクスターの義妹のデボラ役の、ジェニファー・カーペンターが力強い。デクスター役のマイケル・C・ホールと現実世界で結婚したまでは知っていたけれど、すでに離婚していることをWikipediaで知った。マイケルの癌闘病をジェニファーは支えていたというし、ネットでの情報では復縁説もあってなかなか本当のところはわからないけれど。

●曖昧な正義

以前にも書いたけれど、「桃太郎侍」のような「悪」をざっぱりと斬り倒すような勧善懲悪物はスッキリするので私も大好きだ。「水戸黄門」とか「遠山の金さん」もそんな感じだ。

日本刀で助さん格さんたちがざっくざっくと悪役を斬るけれど、たまにしか血がスプラッシュしていなかったような記憶がある。あれがもし「デクスター」のように血が出ていたら、お庭は血の海で見ていられなかったことでしょう。あれはあれで良かったとホッとする。

このドラマの主人公のデクスターは、連続殺人鬼だけれど殺しにはルールがあり、同じ連続殺人鬼だけがターゲットだ。自分が極悪連続殺人鬼を殺すことで、新たな犠牲者が増えないということを正義にしている。

正義であり、言い訳であると、自覚があるところに苦悩も見える。連続ドラマなので見ている側も、殺人なんて嫌だと思っていたはずが次第にデクスター側を応援してしまう。

「正義」という言葉は、意識しなくても自然に人に備わっているようなものだけれど、曖昧さがある。ハーバードのマイケル・サンデル氏の講義のように、大切なのに曖昧なままにしていることだからこそ、議論すると盛り上がるのだろう。テーマが大きいので、話し手がうまいと、切り口でいかようにも話は広がる。

人は何かを選ぶ時に自分なりの尺度と確信を持って、決断しているものだ。善も悪も見方を変えれば入れ替わってしまうことも多い。助さん格さんたちが斬った悪党たちにも家族があっただろうし、使い古しのアイデアかもしれないけれど悪役視点のストーリーがあれば見てみたい。

●リアルな世界に「痛快」はいらない

水戸黄門も遠山の金さんも「身分を隠す」という嘘を平気でついている。黄門様たちはギリギリまで悪を放置しておきながら、最後は悪党をほぼ皆殺しに(話による)するなんて、考えてみたらヒドイの極みにも思える。

もちろん正義の念オシみたいに、黄門様側は身分を明らかにして悪党を一旦捕まえるだけに見せてもいる。しかし、結局悪党は悪党だから手下に声をかけて黄門様にも斬り掛かってしまい、それが成敗のキッカケみたいになって悪党は全滅する。

テレビ番組だからわかり易いのが好まれるのは当然だし、それでいいとも思う。「痛快」であるためには必要だろうし。

ただ、この「正義の念オシ」と同じようなことが、今の世界レベルでもきっとリアルに起こっているようなのが怖い。

世の中に「悪」のレッテルを堂々と大きく貼れるようなことが起きると、一斉によってかかって倒そうと動いてしまう。いじめ問題でも、国と国との問題でも、個人の失敗でも、ニュースというニュースにその傾向がある。「正義の念オシ」が貼った「悪のレッテル」は果たして正しいのだろうか。

他の方法で何とかするとすれば、未然に防ぐために最大限のエネルギーを使うことしかないと思う。物事がエスカレートしないように、やさしく見張るのだ。今は悪のように見えていることも、抑えられているうちに別のところに原因が見えてくるかもしれない。

水戸黄門で例えて言うなら、風車の弥七が悪事に気がついて知らせを受けた時に、黄門様たちは何らかの手を打つべきだと思うのだ(事件を未然に防いだ結果、痛快さがまったくない時代劇になってしまうけれど)。

人は「正義の念オシ」が好きなのも事実なので、そっち側もやさしく見張る必要がある。「見張る」って言葉がキツければ、「見守る」の方がいいかもしれない。

エンターテインメントとリアルは違う。人の目の力で何が起こっているのかを見守り続けなければ、全員が間違うこともある。どっちもエスカレートすれば危険ということを忘れないのが大切だ。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/
>

皮膚科でもらった漢方薬の量が多くて困る。漢方というのはそういうものらしいけれど、数か月分をもらったらパン屋の紙袋かと思うようなサイズなのだ。どうせ薬を飲むならとサプリメントも飲み始めた。これもアメリカサイズなので粒もボトルも大きい。目立つので飲み忘れなくていいけれど。


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■おかだの光画部トーク[97]
なぜ文系と理系って分けちゃうの?

岡田陽一
< https://bn.dgcr.com/archives/20130409140100.html
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球春到来ということで、WBCのことなど今となってはまるでなかったかのように誰も話題にすらしない中、プロ野球もシーズンが始まりました。いや〜、巨人強いですね! 勝率10割ですか。まだ負けてないんですね(2013年4月9日時点)。凄いですね。それに比べて我らが阪神タイガースはときたら......。

今年のプロ野球は、ルーキーに何かと注目が集まっています。中でも北海道日本ハムに入団した大谷翔平選手。ピッチャーと野手を両方挑戦し、「二刀流」と新聞紙面でも話題になっています。

チーム競技でありながら、高校野球ではピッチャーで4番という選手は多く一人のスターに頼ることがよくありますが、プロではなかなか珍しいことで、スポーツニュースの野球評論家の中には「そんな甘いものじゃない。早くどっちか決めて練習しないと両方ダメになる」と酷評している人も見かけます。

専門家ではないのでよくわかりませんが、ほとんどの人が専門的にやっている中で二刀流、三刀流の人がいてもいいじゃないと思います。むしろ、それは誰にもできることではないので、凄い武器なはずです。やる前から芽を摘んでしまうのはもったいない。

アメリカでは、メジャーの野球選手が、冬にはアメリカンフットボールの選手だったり、バスケの選手だったり、違う競技での二刀流の選手もいて、そのありあまる才能を別の分野でも発揮できる環境があります。

先日ラジオでこんな話を聞きました。ドイツの自動車メーカー、BMWの幹部に日本の記者が取材をした話です。

「日本の自動車メーカーは環境性能ばかり追って、F1などメジャーなモータースポーツからどんどん撤退しています。ヨーロッパの自動車メーカーは今も、燃料をいっぱい使ってスピードや馬力を競っている。この時代になってそれをどう思いますか?」というような質問に、

「我々はスコップを作っているのではなく、バイオリンを作っているのです。スコップならただどれだけ深く掘れるか、一度にどれだけの土を掘れるかという話ですが、バイオリンを作るということは、それをいかにいい音で演奏するかというコンサートの場が必要です。他の楽器と一緒にいい曲を奏でることを研究し、多くの人に楽しんでもらうのが使命だと考えています」

つまり、ヨーロッパの人にとってはレースはコンサートと同じで、文化として捉えているんですね。エンジニア達が文化を尊重して、それに参加することを楽しんでいる。

話がそれてしまいましたが、そもそも日本では高校の時に、文系と理系に分けてしまうのがダメなんじゃないかと最近思っています。

わたしも、小・中学校の頃は、星が大好きで、月食や流星群の観測の詳しいレポートが今も残っています。数学も好きでしたし、その頃通っていた数学の塾の先生が、NECのパソコンで円周率の計算を延々と走らせていたのに興味を持ち、パソコンを手に入れ、当時のBASICマガジン(通称:ベーマガ)を買って掲載されていたプログラムを打ち込んで遊んでいました(まさかその当時雑誌に載っていた高校生の森くんが、数10年経って一緒に仕事する仲の森巧尚さんだとは驚きですw)。

しかし高校で、文系か理系か強引に選択させられ、結構理系の分野のことにも興味があったにもかかわらず、化学だけが異常に苦手でアートやデザインが少し得意だったという理由で、文系を選択しました。それ以降、理系分野に苦手意識が出来たように思います。

逆に、理系を進んで今に至っている人で、デザインがわからないと苦手意識を持っている人も多いのではないでしょうか。

そこで、文系、理系と分断せずにもっと柔軟に両方、二刀流で学べる環境にできないものかと考えます。

レオナルド・ダ・ビンチは科学者であり医者であり、素晴らしい画家でした。そして、日本では、手塚治虫が医学の道とまんがの道を両方進み、医学・科学の知識に基づいたまんがを描き多くの人々に影響を与えました。

アメリカやヨーロッパがすべて良いとは思いませんが、才能の芽をつぶさない環境があるのは素晴らしいと思います。

と、野球の話からずいぶんと遠くまで来てしまいましたが、話を戻して、阪神タイガースがんばってください!

【岡田陽一/株式会社ふわっと 代表取締役 ディレクター+フォトグラファー】
< mailto:okada@fuwhat.com > < Twitter:http://twitter.com/okada41
>

CSS Nite in KOBE, Vol.2を6月30日(日)に開催することが決定しました。今回は、「デザイン再考(サイコー!)」と題してWebにまつわるデザインについてのセッションになります。Web「デザイン」を今、原点に戻って見直してみましょう! ということで、関西方面のWeb関係のみなさん、当日はスケジュール空けておいてくださいね! お楽しみに。
< http://cssnite-kobe.jp/
>


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編集後記(04/09)

●なんて美しい少女なんだ、西洋の美少女って半端ではない、と目を見張ったのがホラー映画「フェノミナ」に主演したジェニファー・コネリー(当時14歳)だった。25年以上前に、WOWOW(?)の録画を見てそう思った。そのVHSはずっと保存版にしていたが、10年前の引っ越しで処分してしまった。わたしの中では、美少女といえばフェノミナである。かつて感動した美しさにまた会いたいな、殆ど内容を忘れているけど。すると、DORAMAの旧作100円棚にあった〜!

イントロでバスに乗り遅れた女の子が出て来るが、あれ? この娘がジェニファーだっけ? そこそこ美人だけど、かつてはこの程度に夢中だったのかと思っていたら、惨殺されてしまいホッとしたりして。スイスにある全寮制の音楽学校に入学したジェニファー。虫めづる姫君で、夢遊病でもあるという難儀なキャラクターだ。ジェニファーが教師や生徒たちから吊るし上げをくらっているとき、窓の外には彼女を守るために無数のハエが結集する。このときのジェニファーの美しさといったら。神々しさといったら。

この天使のような少女が、数々のとんでもない目にあわされるのがこの映画の見どころなのだから、監督は美少女いじめの変態だ。この脚本を読んで、それでも出演したジェニファーもおかしいけど。これでもか、これでもかって感じで彼女は痛めつけられる。最悪なのは蛆虫まみれの腐乱死体がいっぱいの汚物プールに落とされるシーン。よくそんなものまで用意したな。とにかく蛆虫の登場が少なくないから苦手な人は絶対に見ないように。わたしも苦手ではありますが、高校は生物部ですから。

ところが、頭から全身が汚物にまみれたはずなのに、その直後のシーンでは白い服に汚れがなく、髪の毛も顔も美しいのはどういうわけだ。これで助かったと思いきや、予想外の展開が。ホラーの定石にプラスアルフアといった感じで、最後の連続殺人には驚く。美少女ホラーのジャンルで評価が高いのは当然だと思った。次は「サスペリア」見ようかな。同系列の。というわけで、昔の美少女ホラー映画好きですが、なにか?(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005G0DR/dgcrcom-22/
>
フェノミナ-インテグラルハード


●AHMADの『English Tea No.1』が美味しいと教えてもらう。フルーツティー
セレクションもよく買うそうだ。ティーバッグで100個入りのが、成城石井100店舗達成セール。100は消費できるかどうかと迷っていた友人に、25個分を引き取ると話して買ってもらった。ひとつあたり7円未満。

日常使いだと茶漉しを使って、優雅にブレイクタイムを楽しんでいる場合ではないので、ティーバッグでいいのだ。ストレートで飲めるスッキリ味がいいのだ。クセもいらない。このEnglish Teaは日常使いにちょうどいい感じ。25個は一か月しないでなくなりそう。

成城石井では、マリアージュフレールの『マルコポーロ』缶入り100gまでセール。思わず買ってしまった。が、ネットで調べたらもっと安いのはあったわ。円高で安くなっていたのね。最近買っていなかったから知らなかったわ。 (hammer.mule)

< http://www.ahmadtea.jp/products.php?flavor=10
>
アフタヌーンティー・まろやか・爽やか・オレンジがかった紅色
< http://ahmadtea.shop-pro.jp/?pid=16549244
>
定価でも840円か。円安でこれから上がって行くだろうなぁ
< http://www.seijoishii.co.jp/
>
成城石井
< http://www.mariagefreres.co.jp/
>
マリアージュフレール