Dの憂鬱[21]電子書籍の「なんとなく面倒」を探る/笠居トシヒロ

投稿:  著者:  読了時間:7分(本文:約3,000文字)


まいど、笠居です。4月に入り、もうすっかり春の気候になってきましたね。先日は爆弾低気圧とやらが猛威を奮って、関東以北はエライことになっていたようですが、関西は幸いにして「雨風強いなー」くらいですみました。

とはいえ、週末に予定していたお花見がこの雨でポシャってしまい、ついでにテニスコートのキャンセル料も払わないといけないのでかなりガッカリな状態だったことは間違いないですが。。。(´・ω・`)

さて、「グイン・サーガ」のほうは、とうとう60巻を突破してしまいました。最初のうちは一冊200円だったのが、10数巻を超えたあたりから一冊400円になり「してやられた」感が半端なかったのですが、もう後戻りできません。すでに2万以上突っ込んでいる格好になってしまいました。まぁ、それでも単行本を買うよりは、随分安いんですが。。。

そんなこんなで(グイン・サーガしか読んでないですが)Kindleでの読書というのが、ある意味生活の中にひとつのスタイルとして根付いてきたようなわけですが、これだけはどうにも紙の本のほうがいいなあと思うこともちょこちょこ出て来ました。

主にというか、元凶(は言い過ぎか)となるのは、やはり「ぱらぱら」がやりにくい、という一点につきます。




例を挙げると、とある登場人物の背景というものが物語の後半になって明らかになってきた際に、その人物が登場した時の様子をもう一度読み返したい、と思ったとき、ずっと以前に読んだ巻を取り出してパラパラとページを捲りそのシーンを探す、といったことがやりにくいわけです。とくのこの「パラパラとページを捲り」ってのがやりにくい。

まぁ、そこはデジタルデータですから、検索機能はちゃんと付いています。検索窓に人物名を入力すれば、「ぱらぱら」なんてやらなくてもあっという間に該当箇所を見つけてくれます。現在開いている一冊の中はもちろんのこと、ホームに戻って検索をかければ、書庫に入っているすべての本について串刺し検索が可能です。

「なんだ、それじゃあとくに問題ないじゃん」と思われるでしょうが、これがね、なんとなく「やる気が起こらない」んですよね。なぜかといわれると困るんですが、ほんとに「なんとなく面倒」なんです(^_^;)。

電子書籍というのは、最初のページから順に読んでいくには何の問題もないんですが、この「パラパラ」で表す行為がやりにくい(というか面倒)です。ランダムアクセスもそうですが、興味の薄いところを読み飛ばす「ナナメ読み」もなんとなく面倒で、ついつい「しっかり」文字を追ってしまいます。何なんでしょうね、この「なんとなく面倒」な感じは。

そういう意味で言うと、Webページもそんな感じが若干ありますね。デジタルデバイスというのは、表面に見えている分量の情報しか認識できないからでしょうか、数ページある全体を順に閲覧していくのには問題なくても、肝心なところ(自分がほんとうに必要としている情報)だけを「拾い読み」するのには、なんとなく向いていないのではないか、と最近思いだしています。

Webのページをデザインする際、これまでの印刷物的なレイアウトに倣って、A4サイズ一枚分くらいの分量の情報をWeb一ページに収める、というのが「見栄えの良い」ページを作るためのひとつの基準としてあったと思いますが、じつは読み物として情報を伝えるやり方としては、あまりよい方法ではないのかもしれません(熟考の末の結論じゃないので、あくまでも「かも知れない」レベルですが)。

では、ひとくくりの情報を一枚のながーいページに収めるほうがいいのでしょうか? 長いページは「見た目がダサい」とか、「読み込みに時間がかかる」とかネガティブな印象がありますが、じつは情報を複数のページに分割するよりも、閲覧性の面では優っているのかもしれません。

検索という点で考えてみると、複数ページにわかれている情報を串刺し検索しようとすると、サイト内検索を使うわけですが、長い一ページに全ての情報が詰まっているのであれば、ブラウザのページ内検索が使えます。

検索語はあくまでキーワードであり、ほんとうに必要なのはそのキーワードの前後にある「文章」です。どちらの検索でより素早く、必要とする情報を手に入れられるのかと考えれば、自ずと「長い一ページ」に軍配が上がるでしょう。

もちろんこれは「とある一塊の情報」を分割するか否か、という問題であって、何でもかんでもやたら長いページにすればいいというものではありません。有名な「楽天メソッド」とも、少し角度の違う問題かと思います。

楽天メソッドについてちょっと説明しておくと、これは、楽天に代表されるECサイトやアフェリエイトブログ、ランディングページなどでよく使われる手法で、以下のような構造になっています。

1)商品の画像を掲載。
2)訪問者に対して「あなたには○○○という悩みがありませんか?」と問いかける。
3)訪問者に対して「この商品があればあなたの悩みを解決することができる!」と提案する。
4)商品の魅力を文章やデータを使ってアピール(ココが大量w 且つ繰り返しアリ)。
5)実際に商品を使い、悩みを解決できたというユーザの声を掲載。
6)購入フォーム、もしくは申し込みページへのリンクボタンを設置。

これだけのものを一ページに盛りこむので、当然のことながらながーいページになりますし、ハッキリ言ってこのようなページ構造を好きだという人は殆どいません。少なくともオレの周りでは(制作者ではないコンシューマも含め)このようなページが好きだといった人は一人もいません。

にも関わらず、楽天自身の調査データによると、こういったページは「長ければ長いほど売れる」んだそうで、楽天市場に出店する店舗に対して、楽天ではこういう作りの長ーいページ構成を推奨してるんだそうです。びっくりデス。

ちょっと脱線しましたが、ここまで書いてきたことをまとめると、デジタル化された文章の弱点というか、馴染めない部分(もしくは人が感じる不安要素)は、「一覧性(ひと目で全体が見渡せること)に欠ける」ところじゃないのかな、と思われます。

まず、どの程度のボリュームかが判りにくい(紙の書籍なら本の厚みで全体のボリュームを推し量ることができる)。いま全体のどの辺りを読んでいるのかが判りにくい(紙の本ならこれまた残りのページ数というか厚さで判断可能)。

先ほどの「前の文章を読み返す」にあたっても、「ああ、前半4分の1くらいの所で出てきたよね」といったように、おおまかなアタリを付けて検索することがやりにくい。

まぁ、実体を持たないデジタルデータなんだから当たり前っちゃ当たり前なんですが、「バックリと全体を把握しづらい」というのが、電子書籍の「なんとなく面倒」を醸し出す要因になっているのではないでしょうか。もう少し、インターフェイスに改善が加えられれば、ある程度の問題は解決してきそうな気もするんですけどね。。。

【笠居 トシヒロ/WEBディレクター、デジハリ大学院客員教授、京都嵯峨芸術大学講師】
< http://www.mad-c.com/ > < kasai@mad-c.com >

最近なんか妙に疲れがたまります&抜けません。忙しいとか遊び過ぎとか、まぁ理由はあるんだと思いますが、本格的に老化進んでるんだろうなあ。。orz