3Dプリンタ奮闘記[09]3Dプリンタ「発動篇」その2/織田隆治

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出力途中で止まってしまった所から、PCで別のオブジェクトデータを作って出力。なんとか最後まで出力できた訳だが、気になって30分ごとにチラチラっとプリンターを覗きに行くはめになった。

今回は自分のセッティングミス。ちゃんとセッティングしたら、機械はちゃんと答えてくれるはずなのだ。

さて、なんとか出力が終ったので、今度は分割したそれらを接着しなければいけない。今回はPLAを使ったので、どんな接着剤が使えるんだろうか?

接着剤ってのは、木工用ボンドや瞬間接着剤、エポキシ系接着剤のように、自分が硬化してくっつけるもの。あと、プラモデル(スチロール系)用接着剤、ABS用、アクリル用等は、素材を溶かして接着する。

自己硬化タイプの接着剤なら接着できるとは思うのだが、素材を溶かして接着するタイプの方が強固な接着をする事ができる。できればその方が良い。

まずは手元にあった、基本的なプラモデル用接着剤を試してみる......。溶けん...。
ガ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン。




僕は建築模型や展示模型の制作でアクリル板を使う事が多いので、「アクリル用の接着剤」も常備している。

一般的にはホームセンター等で手に入る、マニキュアの瓶みたいなのに入っている奴だ。接着には面相筆などで流し込むか、注射器を使用して隙間に流し込む接着剤。ABSも塩ビも溶かすすぐれものだ。しかし、ABSも塩ビも溶けすぎるので注意が必要。

「次はこいつで勝負だ!」
「チュルチュル............」

「溶ける! 溶けるぞ!!!!」

ABSや塩ビのように、ちょっと溶けすぎる感じもするが、これならガッチリ接着できた! お試しあれ!

まずはでき上がったものを眺めてみて、手に取ってやっぱりちょっと感動。PCの中にあったデータが、実際に目の前に存在する訳だ。まるでドラえもんの道具だね。これは。

興奮が冷めて来て、じっくりと出力した物を観察。積層するので当然横に段が出来る。

サッとサーフェイサー(グレーの下地塗料)を塗ってみると、その段がハッキリしてくる。試作や検討モデルなら、このままでOK! な訳だが、これを製品として見るにはやはりかなり苦しいものがある。

PLAは思っていたよりかなり固く、塗装してしまえばそのまま模型製品として使用できる。説明によると、粉々に砕いて土に埋めると、50年ほどで分解されるらしい。これなら模型の材料にするには問題ない。

僕の主な使用目的はココだったので、そのままという訳には行かず、どうしても表面処理が必要になる。

そこで、サーフェイサーを吹きつけたものにヤスリを当ててみた。
「かって〜〜〜〜〜〜〜!」

そう、硬いのである。FRPみたいな感じだろうか。これをゴシゴシやってたら、腱鞘炎間違いない。

うう......。

「3Dプリンタだったら、データを入れてスイッチを押したら簡単に出来ちゃう!」「こりゃ凄いぜ! 立体なんて楽勝よ!」な〜んて僕も思っていた。

しかし、それはかなり甘い考えだった。まあ、どのような工作機械でも、機械を入れたら「何時でも何処でも誰とでも!」という訳には行かない。

そこはやはり職人さんがおられる訳で、その機械をいかにうまく使いこなすか? って事なんですよね。

全部の面において表面処理にやらないとダメ。当然出力に時間もかかる。

しかし、3Dデータで設計した物を、同じ時間でこのクオリティで、しかも手作りでこの時間内で制作するのは難しい。それに、それを勝手にやってくれるのだ。その時間に他の作業をすることができる。

模型作りのノウハウを持ち、なお3Dモデリングに精通していれば、こんな便利な機械はないのである。

【織田隆治】
FULL DIMENSIONS STUDIO(フル ディメンションズ スタジオ)
< http://www.f-d-studio.jp >

最新の機械も、使う側によって便利な機械になったり、困難を生む機械にもなりますね。使いこなしてこそ生きてくるんです。次回も実際の制作を元に色々書きますよ。