ネタを訪ねて三万歩[100]あまり心地よくない区切りもある/海津ヨシノリ

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月に一回のペースでのらりくらりと続けてきたこの連載が、今回で100回目となりました。

私にとって「100回」はちょっとした鬼門で、かつて連載していた「プロフェッショナルDTP」誌の連載が100回目を迎えた翌月に雑誌自体が休刊となってしまいました。さすがにデジクリはそんな雰囲気がないので、ちょっと安堵しています。

次に100回目を控えているのは、アップルストアでのセッションです。これはまだ今月で77回なので、100回目までには時間が掛かりそうですが、やはりひとつの区切りを目指すというのはいい気分ですね。

もちろん、世の中にはあまり心地よくない区切りというモノがあります。2005年から関わっていた多摩美術大学造形表現学部が、今年度で学生募集を停止してしまいました。つまり、今年度の新入生が卒業する2017年3月をもって、学部はなくなってしまうという告知が出たのです。

結果的に某大学の准教授職をことわって、デザイン学科に関わったのが2010年でしたが、わずか4年で幕切れとは脱力感しかありません。しかし、この4年間に関わったデザイン学科の熱い学生達との交流は私にとって大切な宝物です。

もちろん、他の学科の学生も同様ですが、デザイン学科の4年間の学生は全員の名前を覚えているので、よけいに熱くなってしまいます。ちなみに准教授を辞退したのは、その大学に問題があったわけではないことだけは補足しておきます。

とにかく、上野毛のデザイン学科では1年生中心なので、次年度の1年生が入学しない以上、デザイン学科とはお別れです。昨年までは卒業制作にも関わっていましたが、コマ数超過ということで今年からはなくなってしまいました。

しかし、それであれば前の3年間は超過を無視していたことになりますね。なんだかよくわからない世界ですが、今年が最後の一年となったことは変わりがありません。

ただし、本来の私は共通教育(全カリ)の非常勤講師ですので、2017年の3月までは残れるというわけです。週一で、しかも夜間部ですから、辛うじて関わっているようなものですね。




なお、公式な卒業制作は外れてしまいましたが、非公式に管轄外コースの学生から逆指名を受けていますので、ボランティアではありますが、その学生のフォローは行うつもりです。

もちろん、その担当コースの専任教授へは話を通してあります。やはり大学、特に美術大学では、上級生を担当するカリキュラムにも関わりたいものです。

とにかく、この突然の悲しい決定事項は覆せません。今までまったくPRもせずに、少子化が要因でという大学の説明は的を外しています。何故なら、新学科で少ない高校新卒の学生を取り合うよりも、社会人に絞った大学という切り口もありではなかったのかと思います。

でも、決めるのは私ではありませんからね。非常勤講師という立場は基本的に一年間契約の更新ですから、口惜しい限りです。

とにかく決まってしまいましたので、残りの時間は今まで以上に学生達と関わりたいと考えています。こんなに楽しくワクワクする大学はもうないかもしれません。

その一環というわけではないのですが、昨年の映像演劇学科の卒業制作作品「おテントSUN」に引き続き、今年も同学科の卒業制作作品の「おかえりNASA!」に出演することが決まり、5月の連休中に撮影に臨みました。

一部プロの女優さんも加わっていたので、少し緊張しましたが、気持ちの良い学生達ばかりで、逆に私はリラックスして大役をこなすことが出来ました。聞けば、今回のスタッフは卒業生や武蔵野美術大学の学生も加わった混成精鋭部隊だそうです。

ところで、出演した作品の詳しい内容はネタバレになってしまいますので省きますが、この作品はドッペルゲンガーを扱っています。そして、撮影当日に主役の学生と会って仰天したのです。

主役の学生は多摩美術大学の美術学部デザイン学科の学生だったのですが、造形表現学部デザイン学科にいるそっくりな学生を知っていたからです。後日、その学生に主役の学生の写真を見せたところ仰天するほどでした。しかも、両人には共通の友人がいたのです。世の中には本当に不思議なことがありますね。

例によって撮影現場では、色々とアイデアを出し合いながら演技するという、本当に楽しいひとときでした。こういった場って、もしかしたら私に向いているのかも知れないと思うほどです。俳優としてではなく、スタッフトしての関わりです。

例えば、私のシーンとは別に、レストランのシーンをどこで撮影するかでスタッフが困惑していたので、何気なく知り合いのレストラのオーナーにfacebookからメッセージを送ったら、数分で快諾のお返事を頂くといったサプライズまで出てしまいました。人の繋がりは本当に大切ですね。

そんなこんなで、私はこの多摩美術大学上野毛キャンパスが大好きです。この上野毛で、美術学部管轄の新学科が次年度から始まりますが、上野毛キャンパスではなくて世田谷キャンバスという名称に変更されるようです。

なんだかすべてが消滅してしまうようで悲しいです。私はこのコンパクトなキャンパスの、校庭の真ん中にある芝生でボーッとしているのが好きです。夏場は木陰で涼しく、とても気持ちがいいのです。この気分もあと少しで味わえなくなると思うと、本当に残念です。


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■今月のお気に入りミュージックと映画

[I Could've Been Your Girl]by She & Him in 2013(U.S.A)

シー&ヒム(She & Him)は「500 Days of Summer」などに主演しているアメリカ人女優のズーイー・デシャネルと、アメリカ人シンガーソングライターのM・ウォードによるインディー・ロックデュオである。この曲は、今月リリースされたばかりのサードアルバムに納められている一曲。フレンチポップスのようでもあり、60年代のロックポップのようなノリのイイご機嫌なアップテンポの曲。ズーイーでなければ歌いきれない曲そのもの。数年ぶりに「ながら族」してしまいました。PVもキュートで最高です。

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[Pulp Fiction]by Quentin Jerome Tarantino in 1994(U.S.A)

邦題「パルプフィクション」。時系列シャッフルを取り入れ、時間的な順序とは異なった流れで構成された短編ストーリーでまとめられた作品。何が面白いかって、ジョン・トラボルタ、サミュエル・L・ジャクソン、ユマ・サーマン、ブルース・ウィリスといった面々を始め、登場人物のキレ方が半端でないのがいいです。

もう誰一人まともな奴はいないわけで、我々の生活している実社会そのものですね。実は今回出演した映像演劇学科の卒業制作の監督である女子学生と、この作品で盛り上がってしまいました。

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■アップルストア銀座 6月17日(月)19時00分からのセッション

Hands on a Macとして画像処理セッション『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol. 78』として、Photoshopによる人物レタッチ技法としてのデジタルメイクアップを解説します。

基本は平行と垂直、誇張とコントラストを意識したバランス力。そしてモノを自然に見せるための誇張と演出を心掛けるデッサン力。この2つの関係を、モノを見るということは何かという基本的な観点からわかりやすく解説します。

今回紹介する基本的処理をマスターすれば、人物以外の画像に対してもテクニックを応用できます。そこで今回は、様々な人物画像を用意してレタッチ処理の可能性を検証してみたいと思います。

なお、現時点でAppleからの連絡がないために公式には未定となっています。詳しくはブログでご確認下さい。


【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/怪しいお菓子研究家

yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com >
< http://kaizu-blog.blogspot.com >

だましだまし使っていたレーザープリンタが、ついに危なくなってしまいました。一応動くのですが、ズレやかすれ、汚れが発生して使い物になりません。廃トナーの処理が出来ていないことが原因だとは思うのですが、レーザープリンタは素人が扱える範囲を超えていますから。

そこで問題なのはこのプリンタの処分です。メーカーに頼めば、機種交換でもない限りかなりの金額が消えてしまいます。そこで駄目もとでネット検索してみると、埼玉県にかなり大手のリサイクル業者があることが判明。車で来てもらうと15,000円。自分で運べば無料ですが、一日仕事になってしまいます。

途方に暮れていたところ、友人から行政の肥大ゴミ受付の話を聞き、こちらも駄目もとで大田区を調べて見たら、レーザープリンタは900円で引き取ってくれることが判明。これで決定ですね。

その後、両面機能が付いた恐ろしく安いプリンタを発見、速攻クリックです。ちなみに今回破棄しようとしているプリンタで両面印刷をするためには、買い換えたプリンタ4台分の出費が必要なのです。世の中の価値観が完全に狂い始めていますね。

ところが世の中はそんなに甘くなかったわけです。買い換えたプリンタは、メーカーに純正トナーしか使わないと宣言しないと、保証書が送られてこない踏み絵方式。

もちろん、ソレは当然の流れなのですが、気分が悪いのは購入時に付いていたトナーで200枚しか印刷出来なかったこと。交換用トナーも公称1500枚なので、デザイン用途に使うとなると半分以下かも知れません。悪夢です。交換用トナーの消耗状況を見てこいつも近々に廃棄になりそうです。