武&山根の展覧会レビュー 近くて遠いJR──【JR展「世界はアートで変わっていく」】を観て/武 盾一郎&山根康弘

投稿:  著者:  読了時間:12分(本文:約5,800文字)



武:こんばんは! あ、ちょっとまって。つまみとってくる。

山:こんばんはー。はい、どうぞ。

武:おまたせ。


山:はいよ。

武:実はな、、、俺、すんげえ酔っぱらってる!

山:なんですでにそんな呑んでんねん!


武:「そこに酒があるから」

山:...どないすんねんw

武:考えるのがめんどくさいんよ。


山:困ったな。けっこう考えんとまとまらなさそうな展示やぞ。

武:ひるがえって考えない! 山根が考えればいいんだよ。

山:なんでやねん! 考えるのは武さん担当やん。僕は、ほれ、つっこみしてりゃいいからw


武:そんな感じでね、、しょうがないから行ってきましたよ。JR展「世界はアートで変わっていく」

山:しょうがないってなんやねん!


武:あ、そういえば、俺が「観たい!」って言ったんだw

山:そうやないか。JRと言っても、鉄道を見に行った訳じゃないですよ!




●気になる展示タイトル&ヘタな日本語訳


武:でだ、結論から言うと、「やったこと」の紹介だからしょうがないにしても、展示自体は思ったほど良くなかったな。ワタリウム正面の壁面で力尽きた感じあるよ。


山:うん。展示では感動しなかった。しょうがないんやろね、現場に行かないと意味ないんやろし。


武:「インサイドアウト」っていう自分の顔写真撮るプロジェクトに参加するプロモーション展って感じなのかな。列が並び過ぎてて参加しなかったけど。なんだかんだこんだけ混んでいた理由は「インサイドアウト」が面白いからでしょう。何しろでかいプリクラだからね。


山:それがあんまり好きじゃないんよなー

武:「プリクラが世界を変える」とw

山:もうすでに変えてるかも知らんけどな。


武:あとね、ふと気になったのが展示のタイトル。「世界はアートで変わっていく」じゃん。英語の題は「Could art change the world?」なんだよな。「Art can change the world.」とか「World changed by the art.」とかじゃないんだよな。英語タイトルが先にあったとしたならば、「世界はアートで変わっていく」っていう和訳に引っかかる。疑問系なのに。。アートに万能感を与えるのって、ひるがえってアートを「幻想」にさせちゃうよなー、って思ったよ。


山:なるほど。確かにおかしい。

武:あと、会場テキストの日本語訳も下手じゃなかったか?

山:そう! あの日本語訳はなんとかならんのか。読みにくくてしゃーない! わざと読みにくくしてるんかな?


武:「直前仕事でバタバタ」OR「ギャラ問題」だろうな。

山:理由はわかりませんが、とにかく読みにくかったw


●ステキなアーティビスト


武:JRめんどくさいなー。

山:そうなんかw


武:テキトーに「はいはいステキです」って言っておくか、じゃないと思い余って悪口になりそうだw 人気もあるし、カッコいいし、ストリート出身だし、変革指向だし、ファッショナブルだし、イケメンだし、成功者だし、「はいはいステキです」、よかったよかった。

山:なんかもうちょっとあるやろ!


武:まずね、被ってるんすよ。俺たちと。昔の。ストリートから出発してるでしょ。JRは貧民街の若者のポートレートを壁に貼って行く。「壁画」なんだよな。俺たちは、ホームレス・コミュニティでその人たちの家であるダンボールの壁面に絵を描いて行く。「壁画」。俺たちが先だけど(←ここ、こだわるw)。しかも「目」をモチーフにしてるのも被ってる。< http://cardboard-house-painting.jp/mt/ >


山:JRは最初はグラフィティの写真を撮り、それをプリントアウトして、屋外の壁に貼ることで「展示」を始めたんやな。

武:自分で描いてないってのがな。


山:写真やしね。あくまでも。

武:近くて遠い画家と写真家。写真や映像の方が社会政治問題解決にアプローチできるんだよな。


山:JRが、他のグラフィティアーティストの作品の写真を外壁に貼ることによって、何が産まれるんやろ。

武:タグ書くより写真貼った方が速いと思った、とかね。


山:スピードの問題なんかな。

武:タグをカッコ良く書くのってちょっと難しいから、写真撮って貼った方が楽ってのもあったろうな。


山:絵はあまりうまくなかったんか。

武:そういうの、あるんじゃね?

山:あるかも。


武:グラフィティ的解釈で写真を貼ることにしたんだと思うよ。

山:写真を撮ってそれを貼って、「ギャラリー」にするってことは、キュレーションしてる、ってことでもあるわな。


武:写真や映像の本質はそれだし。絵とは違うよ。俺はJR好きなんだよ。「アーティビスト」というジャンルを広めたし。「アーティスト」+「アクティビスト」。俺もまさしく「アーティビスト」だったんだけど、アート界隈から全く受けなかった。


山:「絵」やから、とか関係あるんかな。

武:そもそもグラフィティって「字」だからね。

山:じゃあやで、がっつり「絵」で、「アーティビスト」やってる人っているんかな? 確かに映像、写真、インスタレーションって人が多いと思うが。


武:あの人かな。狐みたいな油絵。名前なんだっけ?

山:ああ、あの人か。名前忘れた。なんとか村物語の人、、あ、山下菊二。
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E4%B8%8B%E8%8F%8A%E4%BA%8C >

武:そうそう!


山:あけぼの村物語ね。「ルポタージュ絵画運動」か。

武:ただなあ、山下菊二って共産党がパトロンについてるっぽいからなー。いわさきちひろとかもそうでしょ、バックに共産党、日教組に受けたから教科書に載った、的な。


山:まあそれは今はええやんw ってかね、昔の人じゃなくて、今の人でいるのかな、って。

武:俺しか居なかったんだよ!w けど処世術が下手だった!


山:そういう物言いはおいといてw もしいないとすれば、やっぱり「絵」じゃ難しい、ってことやろな。えーっと、じゃあバンクシーはどうやろ? あー、バンクシーがいるじゃないかw ステンシルかって絵やし。版画やし。ん? やっぱり印刷なんか。。
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%BC >


武:バンクシーは「アーティビスト」だよね。複製絵画だけどね。複製的なところがないとストリートは無理なんだよ。スピードがないと。スピード感がカッコ良さなんだよな。

山:広告的、ってことなんかな。


武:俺たちは、ストリートですんげえ時間かけて姿丸出しで描いたのでグラフィティじゃないし、バンクシーやJRみたいにカッコ良くないし、ストリートっぽくならないんだよね。時間もお金もかかる、要するに続けられなかった。結局の所、処世術なんじゃないのかな? と思ったりもする。


山:処世術、それがダメとも思わんが。むしろ必要やろw ってかそうか、「アーティビスト」はスピード感がないとダメなんか。


武:なんで俺がストリートで命をかけた「アーティビスト」だったのにダメだったのか。ってのは「処世術」だと思うのだ。あまりにも「立身出世スキル」がなかった!

山:いや、、まあ武さんの話はいいんですよ! あくまでもJRの話やしw


武:JRは好きですよ。カッコいいし、イケメンだし、アーティビストだし、ストリートだし、ファッショナブルだし、成功してるし。うまくやってるよ。俺もうまくやりたい! カッコイイ帽子被ってヒゲとか生やしてサングラスとかかけてにファッショナブルに「世界はアートで変わっていくんだよ」とか綺麗事を言って、「キャー、ステキー」って言われたい!


山:知らんがな! で結局、JRって何をしたかったんかな。


武:JRはタグを書くスプレーより強い武器を持ちたかったんだろうね。グラフィティのカッコ良さ基準は、高い所に書いてるとか身体でそれをする難しさだよね。だから、JRはひとりの身体では困難な感じのカッコ良さを追求した感じはする。やたらデカイ写真を貼る。それは身体的に困難そうに見えるからね。書けないような所にグラフィティを書くように、写真がないようなところに写真がある。


●インサイドアウトの「仕掛人は僕ですよー」


山:それはわかるねんけど、それってハードコアやと思う。今回展示を観に行って、100人かそれ以上の人が、JRのプロジェクトに参加しようと、美術館で行なわれている写真撮影のために並んでいる。それって、ハードコアとちゃうやん、って思てまうねんけど。


武:「インサイドアウト」ね。参加型アート。プロジェクトだよね。


山:そうやね。僕がつい今しがたチャットをしながら思ったのは、その、本人JRの変化やな。始めは、街の不良連中とつるんでるのが好きで、あるいは憧れて、おもしろおかしくやってたんやろうけど、そのうちもっと「大きな問題」を取扱いたくなり、写真が変化していく。被写体が、ってことか。やってることそのもの、行為性は変わらなかったんやろうけど、メッセージ性が強く出てき始める。メッセージ性=政治性と言ってもいいんかな。


武:ストリート的発想には、自分の姿を消して自分の記号だけが拡散して行くことを望むところがあると思う。最初は自分の身体を用いて身体を超越したような場所に書くとか、身体を超越したような大きな写真が貼られるとか。で、そのうち、自分が作業する必要性もなくなり、自分の「記号」だけが拡散すればよくなる。そういう欲望の方向性。


山:JR本人が、ってこと?

武:そうそう。「インサイドアウト」ではJRはもう写真撮らないし写真貼らないし。コンセプトだけ。身体性はすべて外部化されてJRは「意味」だけになる。


山:まあ結果としてはそういうことにはなるわな。さっきも言ったけど、広告的な。

武:JR本人は消えて行く。

山:でも消えてないやんw


武:JRの身体性としての本人だよ。記号になるんだよね。

山:思いっきり出てるやんw さっきイケメンっていってたやんw 展示でもいっぱい喋ってたやん。映像で。


武:それは「作品」じゃないじゃん。「仕掛人は僕ですよー」って出てるんだよね。

山:そうやで。ポスターにも出てる。でもさ、バンクシーってでてこないやん。

武:バンクシーはきっと、もっと「イリーガル」に「意味」を置いてるんだろうね。


山:だから、ですよ。その変化ってあるな、と思った。つまり、扱う物事を大きくしていった場合、結局一人の身体性では賄いきれない。で、そうなっていくと、スピード感すらなくなっていく。だから、変化したんやな、って思った。もしアーティビストに必要なものはストリート的スピード感ならば、もうそうではないよな、と。


武:きっと善人になりたいんだよ。「ジョン・レノンの法則」。リバプールのような片田舎の労働階級の不良がつっぱって出てきて人気を得ていく。そうすると結局、最後は愛だとか平和だとか言う。ひとつのセオリーなんだよ。人間の成長形成のひとつのパターンだよ。

  若い頃やんちゃやってた奴ががおっさんになると「道徳」言い出すんだよ。ま、俺もそうだけど。おっさんになっても「死ねー!」とか「殺せー!」とか言い続けることの方がエネルギー要るからなw


山:そんなことはどうでもいいんだがw 人を巻き込んでいく力があるんやな、と思たんですね。それって性格なんかな?

武:処世術だろうな。才能だよね。


山:でさ、今回のJRのって、震災関係してるんやな。知らんかったけど。それがもう、なんかなーって、どうしても思ってしまう、僕は。別に悪いことじゃないんやろうけど。JRのやってること自体は。


武:デモクラシーのひとつの方法ってのが、「インサイドアウト」だ、と。ひとりひとり顔があるんだ。それが民主主義。そういうメッセージでもあるのよ。


山:うさんくせーと思ってしまう。いや〜、なんやろな、もっと突っ放してほしかったんよね。勝手に生きて、勝手に死ね、的なね。もちろんそんなこと言ってたら、あんな展示できませんがw 

  グラフィティ、ストリートであるならば、メッセージ性をそこに持って欲しかった、ってのは、あるんかなあ。みんなで写真とって幸せになりましょー! って、いややな、僕は。それはそれでわかるけどやね。実は、久しぶりにほんま、嫌な気分になる展示でした。


武:なるほどな。その気持ちはよく分かるよ。

JR:TED
< http://www.ted.com/talks/lang/ja/jr_s_ted_prize_wish_use_art_to_turn_the_world_inside_out.html >


【JR展「世界はアートで変わっていく」/ワタリウム美術館】
< http://www.watarium.co.jp/museumcontents.html >
会期:2013年2月10日(日)〜6月2日(日)→延長30日(日)まで
休館日:月曜日
開館時間:11時より19時まで[毎週水曜日は21時まで延長]
入場料:大人1,000円、学生800円(25歳以下)
ペア券:大人2人 1,600円/学生2人 1,200円
(期間中、何度も使えるパスポート制)

【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/もうアーティビストではない】

☆白いシャツの店「レタル」から『Real FantASIA 00』シャツ出ました!
「流れる線の調べと、空白のシャツ」買ってください!
< http://retar-amip.jp/R1301/shirt1301.html >

☆Team Uttoco主催「アートって楽しい! パステルと線画を楽しむワークショップ vol.3」
日時:2013年7月9日(火)午前10時〜12時
会場:浦和コミュニティセンター第5集会室(JR浦和駅東口・浦和パルコ10F)
残り3名様です!ぜひご参加ください!
< http://ameblo.jp/uttocoichi/entry-11537971942.html >

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【山根康弘(やまね やすひろ)/健康診断はオールA】
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