/「ものアプリハッカソン」が拓く未来──大阪市主催「第2回ものアプリハッカソン」開催にあたり 渡辺直樹

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『ハードウェア(もの)×ソフトウェア(アプリ)×Hackathon(ハッカソン)=??』

2013年1月26日。上記のコンセプトのもと開催された「ものアプリハッカソン」において、私はワークショップのファシリテーターとして、10チームのうち3チームをサポートしていました。

2日間という短時間で、アプリと連携して動く"モノ"を作る。私自身もまさに「??」という状態で臨んだ当日。

初対面同士の参加者がアイスブレイクするところから始まり、ある一人のユーザーの"願い"を引き出すべく議論し、その"願い"を実現するアイデアを夢中になってブレインストーミングする。

そうして生まれたアイデアを具現化すべく、紙やレゴブロックを使いカタチにする準備を進める者もいれば、ネットワークの設計や、CAD上でプロダクトデザインを始める者もいる...。

ファシリテーターという立場とはいえ、半日以上かけ、苦労して共に導きだしたストーリーが込められたアイデアが、怒濤の勢いでカタチになっていく光景を目の当たりにして、私はただならぬ興奮を覚えざるを得ませんでした。

この熱気、この輝き...。ここに私は言語化し難いとてつもない可能性を見出しました。そして初回開催から5か月が経とうとする今、私は、「第2回ものアプリハッカソン」の企画メンバーとして、制作に取り組んでいます。




※生み出されたプロダクトに関しては、下記URLより第1回ものアプリハッカソ
ンのレポートをご参照ください。

▼第1回ものアプリハッカソン レポート
< http://www.innovation-osaka.jp/ja/reports/649
>

初回開催当時の私は、まだ企業勤めの傍らでのお手伝いであったため、当日ファシリテーター要員という位置づけで、企画内容に関する打ち合わせ等にはほとんど顔を出していませんでした。

クリス・アンダーソンが発表した著書「Makers」が話題となり間もない頃。私自身も今ひとつピンときておらず、「ものづくりとITを掛け合わせて"ものアプリ"だ!」と言い始めた企画側の興奮に、ついていくことができていませんでした。

というのも、当時の私はITメーカーに勤めていて、まさにM2M(Machine to Machine...機械と機械がネットワークを介して連携させ、アプリケーションで管理する仕組み)に関連する商品を販売する立場にいたことからも、さほど目新しいことではないだろうと考えていたためです。

しかし、この「Makers」ムーブメントの要点は、そもそも、ものづくりとITの掛け合わせではありませんでした。要点はまさに「ものアプリハッカソン」の現場で起きた出来事、つまり、少人数かつ短時間かつ最低限のリソースで、アプリと連動したハードウェアのプロトタイプを作成する事ができた、という点であると私は考えています。これにより、大きな可能性が拓かれました。

私の前職は大手ITメーカーですが、大手ではありえないスピードによるハードウェアのプロトタイプ作成と、粗いものでも良いからユーザーにまず触ってもらい、フィードバックをもらって細かい修正を施していく、というループを何度も回すということ。これはいわゆるリーン・スタートアップの概念に当てはまりますが、それはアプリケーションの世界のみ通用する概念であろうと考えていた私のバイアスは、「ものアプリハッカソン」により破壊されました。

アプリケーションの戦場であろうと考えられてきた、スタートアップの世界。しかし、PC不要で映像配信を行えるハードウェアを武器に起業したCerevo社のような"ハードウェアベンチャー"が既に存在するように、今後はハードウェアによるスタートアップが続々と立ち上がるでしょう。

これにより大企業がリードする製造業にも異変が起きれば、いよいよ、日本のビジネス環境に変革が起きるかもしれません。そして、起業に対する日本人の意識が変われば、どのような未来が創られていくのでしょう?

少し飛躍するかもしれませんが、国家の未来は政治や大企業によりリードされ形作られるのではなく、国民の手で創り上げられていく、そんな未来が間近に来ているのかもしれません。

そんな未来にワクワクしながら、私は、7月に開催される「第2回ものアプリハッカソン」の準備を進めています。一緒に新しい未来を、創りませんか? 皆様のご応募をお待ちしています。

▼第2回ものアプリハッカソン
< http://www.innovation-osaka.jp/ja/events/1759
>
日時:2013年7月6日(土)、7月13日(土)
※7月7日〜12日は開発期間。
会場:Osaka Innovation Hub
参加費:3,000円
募集締切:6月26日(水)24:00

【渡辺直樹 わたなべなおき】

GOB-Laboratory所属。主に大阪にて、大阪市主催「ものアプリハッカソン」をはじめとした、ハッカソン系ワークショップの企画・運営・ファシリテーションを行っている。また、学生主体による企画「日本を創り継ぐプロジェクト」(< http://tsukutsugu.net/
>)など、学生による活動の支援にも取組んでいる。
Facebook :< https://www.facebook.com/wtnbnok
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Twitter : @WataNao86