ネタを訪ねて三万歩[101]相変わらず愚直に生きていく私/海津ヨシノリ

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デジタルという表現が正しいのかは別として、既に様々な分野や道具類はデジタル化という飛躍的な進化、変貌を遂げてしまいました。

そして不思議なもので、グラフィックデザインの世界で言えば、デジタル化の波が出始めたときに激高してこれに反旗を翻した人達が、いつの間にか狂信的な伝道師になっていたかと思うと、熱心な伝道師であった人達が原点回帰なのか、アナログの世界に戻ってしまうといった結末を色々と見てきました。

もちろん私も、目まぐるしく登場する新しい道具と格闘しながら便利な生活を楽しんでいますが、便利になればなるほど何かを過去に忘れてきたような気がしています。

一度忘れてしまった感覚やスキルを戻すのは至難の業です。このままテクノロジーが進めば、本当にB級SF映画のような世界になってしまうのかもしれませんね。

もちろん、昔が良かった、だから原点回帰しようと言っているわけではありません。そんなの無理な話ですから。しかし、マナーや道徳的な部分で凄く気になることも出て来ています。

例えば、駅や歩道などではスマートフォンを見続けながら歩いている人ばかりな事。事故が起きない方が不思議なくらいの異常さではないでしょうか。

車中や歩行中に何もせずにいるよりは、ゲームをしたりfacebookをする方が楽しいのでしょう。しかし、私はそんな不気味ささえ感じる人達を観察している方が遙かに面白いです。

恐らく数年内に、各市町村で歩行スマホ禁止のような条例が出るかもしれませんね。まっ、施行されても歩行タバコが減らないのと同じで、まったく意味のない結末になるのは明白です。この染みついた習慣を一掃するには、並大抵のことでは無理なようですね。

このように、新しい道具を使い始めて、慣れてきた頃には自分でも気が付かない謎の習慣が染み込んでしまいます。例えば、たまに知り合いと街中で遭遇した時に互いに時間があったりすると、喫茶店か時間帯によっては「取り敢えずビール」で居酒屋というパターンはお決まりではないでしょうか。

暑かったり寒かったりが、極端であればあるほどそうなりますね。ただし、天候が温和な時だと別の選択肢があるのではないでしょうか。

ここで、この染みついた習慣を遊び心で変えてみると面白い結果に繋がったりします。自分が置かれている社会的な立ち位置や、大人だからと言う馬鹿げた羞恥心的な縛りを捨ててしまうわけです。




先日、ショッピングモールに隣接した遊歩道のような場所にあるベンチに座り、缶コーヒーだけで3時間も友人と語り合ってしまいました。ところが、それが「あっ」という間の出来事のように思えます。当人達にとっては数分のコトにしか感じなかったのです。

ここでお互いに意気投合して、盛り上がったことは「時間は一直線ではない」という感覚。球体のような周りを回っているかと思えば、内部を一気に突き抜けてしまう時間もあるのではないかというわけです。もちろん物理的にはあり得ないのですが、感覚的にそうとしか思えないのです。

数年前に体験したことが数日前の感覚でしかなかったかと思えば、数日前の体験なのに数年前のような感覚しか残っていない、といった思いはないでしょうか。まさにソレを示しています。

この感覚のズレが悪い方向に行くと、人間関係がギクシャクしてくるのではないかと最近強く思うようになりました。恋人同士に限らず、友人同士でも周波数が合わなければ面倒な関係に進んでしまったりします。そして、お互いが不幸な関係に陥ってしまうわけです。

10年以上前に、あまり付き合いのないイラストレーターが私の靴を見て「随分若作りですね」と失礼なコトを言ってきたことを思い出しました。一回りほど若い彼から見たら、もちろん私はオッサンでしかないのですが、こんなコトを吐き捨てられる関係ではないわけです。

もっと過激なジョークを交わせる友人は私にも沢山います。しかし、さして付き合いもない人にいきなりこんな失礼な言い方をされる筋合いはありません。もちろん怒ったりはしません。そもそも注意をしたり出来る関係ですらないわけですから。

まっ、そうは言っても私もキレる時はあります。数年前に多摩美術大学造形表現学部デザイン学科で発生した嘘つき事件。某ハードメーカーの担当者が口から出任せの営業攻勢を行っていたのですが、私はメーカーを信じて、その悪質なトラップに見事にはまってしまったのです。

結果として、大学や他のメーカーにも飛び火するなど多大の迷惑が掛かったのですが、騒動が終わってみれば私だけが損をする結果となっていました。もちろん、私自身がエバンジェリスト宣言を反故にしたわけですが、それはそのメーカーとの関係を絶つことであり、結果として仕事は消滅しました。

真面目に対応することで貧乏くじを引いてしまうなど、本当に笑うしかないですね。しかし、悲しいかな世の中はそっちのベクトルに左右されています。いい加減で適当な人の方が、世渡りが上手いという称号をいただいて活躍しちゃうわけです。

しかし、私はそんな連中にはまったく興味はなく、相変わらず愚直に生きていくしかないわけです。そんなお馬鹿さんの私達に少しだけ生きる場所を残しておいてくれるとイイのですが、そんなに世の中は甘くないですからね。

もちろん嫌なことばかりではありません。素直で向上心が強い学生達との出会いは究極の癒しです。学生達は愚直な私にしっかりと対応してくれます。

関わっている学生がもっとも多い、多摩美術大学造形表現学部が募集を停止してしまいましたので、これもあと数年になってしまいましたが、今まで関わってきた多くの学生達とは卒業後も繋がっていますので、これからも、私には究極の癒しが与えられているというわけです。これは凄い至福だと感じています。

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■今月のお気に入りミュージックと映画

[Tripping Trippen]by EnterQ in 2013(Japan)

アルバム「A Wonder Bit」に含まれている12曲中の1曲。ノリの良いテクノポップ系です。EnterQさんは既に1000曲のオリジナル楽曲を作成していますが、その中からえり抜きの12曲を集めたのが初アルバムが「A Wonder Bit」です。現在diskunionのネット販売、あるいは自費出版レーベルmessで入手可能です。なお、EnterQさんはほぼ毎日、facebookで新曲を発表しています。

EnterQ
< http://enter-q.com/ >

diskunion
< http://diskunion.net/portal/ct/detail/IND12434 >

自費出版レーベル mess
< http://mess-pressed.com/index.html >

[CELLULAR]by David Richard Ellis in 2004(U.S.A)

邦題『セルラー』は携帯電話のみならず、固定電話の留守番録音機能や内線機能なども、ストーリーの進行に一役かっているノンストップサスペンス。電話がキーポイントとなっている映画としては、硬派の『フォーンブース』もありますが、こちらの方が個人的には好きです。

特にジェイソン・ステイサムが悪役で、普段は軽薄でチープな役ばかりのウィリアム・H・メイシーが正義感の強い警官を演じているのがいいですね。20代前半のクリス・エヴァンスの演技も、シリアスな設定を熱演したキム・ベイシンガーに一歩も劣っていない熱演ですね。

エンドロールも最後まで見ると、粋な配慮を確認することが出来ます。とにかく電話の使い方のアイデアが、ストーリー展開にベストマッチ。惚れ惚れしちゃいます。

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■アップルストア銀座 7月15日(月)19:00からのセッション

Hands on a Macとして画像処理セッション『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座 Vol.79(第15回ハンズオンセミナー)』として、PhotoshopあるいはIllustratorにて、デジタルカメラで撮影した写真を簡単にイラスト化する方法の可能性をハンズオンします。

一番のキーポイントは、きれいな写真をベースにするということです。基本的に、撮影に失敗してしまった画像はソース画像としては使えません。逆に、失敗してしまった写真や、解像度が足りない写真を印刷原稿とする場合のテクニックもあります。

今回は、それら緊急時に活用できるテクニックを整理いたします。なお、ハンズオンセミナーは予約制で、申し込みに関してはAppleに一任しております。ちなみに2013年度に入ってからの傾向としては、偶数月に行っている公開セミナー終了後に受付する事が定番化しています。


【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/怪しいお菓子研究家

yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com >
< http://kaizu-blog.blogspot.com >

先月半ばあたりから、突然facebookで怪しい友達申請が増えてきました。既に20名以上を保留または削除しましたが、どう考えても怪しいその方達に共通するのは次の点です。

【申請直前または数日前にfacebookを始めた】
【アドレス名は明らかに男性なのに名前と写真は女性】
【個人情報が皆無】
【タイムラインは何もない】
【「サッカー日本代表」にいいね】。

普通はここでアウトなのですが、困ったことに共通の友達がいたりする場合です。しかし、そんな場合も確認してみると、ほぼ確実に誰もその人を知らないのです。

どうしてこんな事が発生するのかというと、調べた範囲では、申請が来たら誰でも承諾してしまう人がいて、その人を仮りにBさんとすると、Bさんと友達だからという理由だけで承認してしまうCさんがいるわけです。結果として、お気軽な人達が安易に申請を承認するので、変な安心感が産まれてしまうというワケです。怖いですね。

そして遂に新手の登場です。メッセージが届くのです。「タマビに友人がいて、その人に聞いて海津さんに申請させていただきました」。一応真面目に、その方はどなたですか? と質問したら「女性の方ですが、以前イベントでお会いした時に海津様のことをお話して、Aさんと言う方です。下の名前は忘れてしまいました」というリアクションがありました。

しかし、父親となっている人の名前も出身地もまったく違っていますし、そもそも該当するFBでの友達でAさんというのはひとりしかおらず、確認する以前に怪しさ満点。疑っては失礼とも思っていたのですが、突然すべての情報を削除するなど怪しい行動に出たので申請削除しました。

続いてやってき別のメッセージは、「海津さんこれ読めますか? 私は昨年度でB大やめました」。B大は私が関わっている大学名なのですが、該当する名前の学生は存在しません。プロフィール写真もメチャクチャ修正している怪しい粗悪画像。

それでも承認してしまう人が多いのも事実。つくづく平和ぼけの日本人を痛感しています。とにかく共通しているのは、どこにでもありそうな名前か、怪しすぎる名前のどちらか。

しつこいようですが、安易な承認は避けましょう。仮にこの方達が怪しくなく真面目に申請してきていたのだとしても、誤解を招いている時点でアウトと割り切りましょう。