グラフィック薄氷大魔王[355]発泡スチロール、再び!
── 吉井 宏 ──

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3DCGのTDW作品を元に大きな立体を作りたい。数年前、発泡スチロールを芯に表面を樹脂で固める方式で40cmと70cmの作品を作ったとき、だいたいの感じはつかめてる。先日、実家制作で本格的なFRP作品も作ったので、もうテスト制作の段階ではなく、大型作品制作をスタートしたい。

< http://www.flickr.com/photos/hiroshi_yoshii/sets/72157633524615890/
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大きいっても1mくらいが限度ですが。作っただけ生活空間が狭くなるし。でも、立体制作というかフィギュアというか彫刻は、大きいほうが明らかに作るのがラクなのです! 少なくとも僕にとっては。小さいのを、チマチマ作るのは疲れる!




●立体を拡大加工?

大きな立体を作るとき、CGの形をどう発泡スチロールに写すか考えた。以前の大型作品2個の場合は、A3プリンタで三面図を用意して、発泡スチロールの塊に貼り付けて切り出した。ほとんどアナログです。

デジタルといえば、発泡スチロールをCGやCADデータを元に切削してくれる出力サービスもあるけど、以前見積もりを取ってみたら、1m級作品のスチロールを切削してもらうと20万円くらいするらしい。1個だけなら依頼するかもしれないけど、これから来年までに5個や10個は作りたいと思ってるので、それはなし!!

図面を拡大するパンタグラフみたいな道具のような感じで、アナログの原型や彫刻や製品模型を拡大加工する道具がぜったいあるはずだ! と思ったら「彫刻機」というのがそれだそうですね。小さいサイズで3Dプリントして拡大コピーできるかもと思ったんですけど、まあ、極端に大きなサイズに拡大は無理だろうけど。

もうちょっと何か方法はないかな?

●Autodesk 123D Make

3Dデータから輪切りを作成、段ボールやスチロール板を組み合わせたり積んで立体を作るためのソフト。Mac版もあります。Autodesk 123Dのシリーズには、3DプリントやMAKERS的に役立つソフトがいろいろあります。

< http://www.123dapp.com/make
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OBJデータを読み込んでみた。めちゃくちゃおもしろい!! これは80センチの立体を2cmの発泡スチロールを切り抜いて作ってる設定。

< https://pic.twitter.com/8kRwYIBW8j
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< https://pic.twitter.com/D0orRiUo7b
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太らせて、スチロールの角を落とせば形を掘り出せる状態にできるし、支柱で串刺しにして正確に積み上げる設定もできる。

< https://pic.twitter.com/d6HZjLadtF
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1cm厚のスチロールにするとこんな感じ。ディテールまで見えてくる。ほとんど手動3Dプリンタ。設定次第で、たとえば3mmの厚紙や板を積層すれば、かなり精密な大型モデルとか出来ちゃうわけだ。

たとえば胴体のつるんとした部分は5cm厚、顔の詳細な部分は5mm厚とか、分ける方法もある。特に精度がほしい部分は積層の角度を変えることもできるわけだし。あまり薄すぎる素材だと、接着剤の厚みも考えに入れなきゃいけないのかな。

< https://pic.twitter.com/mjorVwR0NR
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積み上げる方向も変えられる。

< https://pic.twitter.com/aV5nui1U4m
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123D Makeはけっこう前に知ってたんだけど、実際に作ってみる設定してみるまで「ふーん」だった。こりゃFRP人形作るには最適!! でっかいブロック買ってきて彫刻するのも楽しいんだけど、CGでギリギリまで調整できるのはいいな!

段ボールを組み合わせて、大まかな立体の骨組みを作ることもできる。骨組みの表面に新聞紙でもペタペタ貼れば、張りぼて的にイケるでしょう。で、カッティングマシンがあれば、切り抜き作業もいらないわけだ。厚い材料はプリントを貼り付けてカットということになるんだろうけど。

< https://pic.twitter.com/c3ZrXFtlxz
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< https://pic.twitter.com/qgbpntwTaP
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●123D Make、現実的には?

あれ? スライスの書き出しってOBJとSTLしかない。2Dのプリント用がないー。個別にスクリーンショット撮ってプリントするしかしょうがない? と思ったら、教えてもらいました。ちゃんとEPS書き出しがありました。

< https://pic.twitter.com/xZ6w5uV5zX
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これはイケそうだぞ! ってことで、作業のシミュレーションをしてみる......。大きな断面スライスを切り抜くには大きなプリンタが必要だ。試しにA3プリンタで出力する設定にしてみると、122枚に小分けされたww 122枚をプリントして137個のパーツを切り抜いて......ムリw

< https://pic.twitter.com/qpVIFAKxnj
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A3を4枚貼り合わせてA1を1枚の単位にするほうが現実的かな。それでも貼り合わせたA1サイズの紙が29枚......大変すぎるww

< https://pic.twitter.com/R9CfvfMVM6
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百何十枚のプリントをパーツごとにまとめて、数十枚の発泡スチロール板に貼り付け、それぞれ切り抜いて、組み立てて......何日かかるんだ? 塊から彫り出せば、半日あればおおよその形は彫れるぞ。

●3D方眼で正確に彫る!!

以前はでっかいスチロールブロックを取り寄せて削ってましたが、ブロックを必要なサイズに切るだけでも大変だった。実家近くのホームセンターで簡単に手に入る素材だけでやりたいというテーマもあるので、やはり建築資材の4〜5cm厚の発泡スチロール板。接着して使うと、サンドペーパーかけると接着剤の部分が削りにくいという不都合はあるんだけど。

塊でなくスチロール板を重ねて作る利点は一応あって、平行の方眼が埋め込んであるのと同じなので、左右対称とか作りやすいはず。......あ!!! いいこと思いついた!

「デジタル3Dを元にアナログで彫刻を作る画期的アイディア!」

たとえば、5cmの立方体ブロックをくっつけて大きな塊を用意、CGにも5cm相当のブロックか板を重ねて別レイヤーにし、3D方眼として使う。立方体ブロックの接着面を方眼とすれば、正確に立体が写し取れるぞ! 要するに、下絵に方眼を描き、100号キャンバスにも方眼を描いて、形を写し取るアレです。

最初に全部くっつけてしまわず、立方体ブロックのまま、近似形に削って番号順に組み立てる、ってのもアリだし。立方体に着色した上で組み立てれば、まさに3D方眼!

CGの立体方眼で、角が三分の一欠けてる形があるとしたら、似た感じにスチロールの立方体を目分量で削る。5cmくらいの方眼としたら、1メートルくらいなら相当正確な立体を写し取れるけど、数が多くて複雑になりそう。現実的には10cmの立方体を最大でも縦10個・横7個・奥行き5個とかの感じかなと思います。

●他、思いついた方法

123D Make的に、発泡スチロール板にプロジェクターでスライスを投影して、次々切り抜くって方法がある! 歪みの問題はあるけど、プリントして切ったり貼ったりの手間が丸ごと省略できる。安いプロジェクターはいろいろあるはず。探してみよう......。

あっ! スライスにこだわらなくても、スチロールの大きなブロックにできるだけ遠くからシルエットをプロジェクターで投影、スチロールを正面・横・上方向から削ればいいじゃん!!

とかなんとか、ブロックに5cm方眼描いてアタリつけるか、シルエットをボール紙を切り抜いてガイドにし、前横上から平行に切り出すのが一番カンタンで正確ってところに戻っちゃう。方眼を使うより作業は楽しいと思う。前横上に加え、斜め45度と135度からのシルエットを用意し、中心軸を決めて5方向から削ったら、そこそこ正確にできるだろうな。

もうひとつ思いついた。香港とかのソフビ原型師がやってる方法の応用でイケる! 正面と横のシルエットを発泡スチロール板に写して切り抜き、上から見て十字に組み合わせてガイドにし、仕切られた空間にブロックを接着。あとは普通に削っていけばいい。外部の図面をガイドにするよりはラクなんじゃないかな?

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com
>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
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材料についてはほとんどテスト済みなので、一気に本格スタート! とはいえ、実は「ウレタン塗装」に初挑戦ってことで、そこはかなり緊張するところ......。立体制作のこと考え始めると、延々検索したり調べたりしてどんどん時間が過ぎちゃう。早く作りたい〜!


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編集後記(07/31)

●日刊デジクリ編集部は8月1日(木)から夏季メンテナンス休暇に入ります。まるまる3週間休んで、8月22日(木)に再開します。読者のみなさまもよいお年を、じゃなくって〜、熱中症に気をつけて盛夏を乗切ってください。

●7月26日の読売夕刊コラムに「『子供』の表記 好ましくないのでは」という編集委員の意見が載っていた。前回のこの欄で、この人は「子供・子どもの両表記は柔軟に使いわければいいのでは」と書いていた。でもこの回では「『子供』をことさら避ける必要はないと思います」と、目立たぬように意見を変えた。及び腰もいいとこで、本来なら「『子ども』という表記はやはり望ましくありません」としなければいけなかったはずだ。

7月15日の日経に「『子ども』表記を『子供』に 下村文科相 公用文の統一指示」という記事があった。この表記をめぐっては思想・政治的立場から意見が分かれ、国、自治体でも表記が統一されていなかった。子供の「供」が「供え物」「お供する」などがイメージされるとして、一部で「人権を損なう差別的表記」というトンデモ難癖をつけるバカがいたからだ。

しかも単なるバカではなく、プロ市民団体や日教組だった。このバカが蔓延してマスコミでも「子供」狩りが行われ、民主党の「子ども手当」のように「子ども」が主流になってしまったのだ。「人権」とやらをふりかざす者ほど怪しい奴はいない。

「子ども」なんていう気味悪い表記はなくなって当然だし、いま小学校の漢字教育の「交ぜ書き」だって実に変な表記で、これも改善が必要だ。「教えた漢字は必ず使わせ、教えていない漢字は使わせない」というのが教育ルールらしい。その学年で教える漢字が出現するまで教えない。使わせない。だから「近じょ」「じゅん番」「せつ明」なんて交ぜ書きが使われる。孫の漢字書き取り宿題を見ると、こういう不快な例が時々出現する。習わぬ漢字は使ってはならぬと、姓名まで交ぜ書きを強要されるようだ。

教育と言えば。「週刊新潮」の「文科省が反日中国人留学生に使う血税180億円」の記事はショックであった。国費留学生は、入学金ゼロ、授業料ゼロ、生活費支給という超絶好条件である。一人あたり年間2500万円を投じて反日中国人・韓国人留学生などを養成していることになる。国費留学生のため、12年度に306億円、今年度は294億円もの予算が組まれたというから驚き。中には頭のいいやつもいるから最先端の成果も盗まれるのは確実だ。一方で、日本人学生を海外に派遣するために使われる金はわずか36億円。人権を損なう差別だ〜と文科省に押しかけろよ、プロ市民団体と日教組。(柴田)


●中が発泡スチロールだとは。つるっつるで、公園にあるオブジェみたい(ボキャブラリーが貧弱ですみません......)。すごい〜〜!

続き。管理会社は予測していなかったらしく、少し迂回した返答をした。が、この人は食い下がる。億を越えているんだから分散して一部を定期にとか(ペイオフのリスクは考慮の上で)、来年度の予算の余剰はここまで必要なのかとか、植栽費はわかるが子供らが植え込みでも遊んでいるとか、水を出しっ放しだとか、食い下がる。

回答、彼の質問、回答、彼の質問が続く。彼の言うことはもっともで、たとえば植栽費の件は、植え込みで遊ばないように親が注意すべきであろう。遊ぶところは別に用意されているし、3分も歩けば公園だってある。自由とはまた別の話だ。親がもしこの総会に出席していたら、手間や出費が増えて迷惑かけるんだからと気をつけるようになるかもしれない。自分たちにも返ってくる話だ。

彼の主張を聞きつつ、部下は育つんだろうなぁと思いながら見ていた。うるさい客には管理会社も本気になってくれそう。管理会社さんは「私もたくさんのマンションを管理していて総会にも出ていますが、こんな質問は初めてで......もっと提案してください。」(肯定的)と言っていた。

管理会社側からも、公開空地なので、よその住人が犬の散歩をしてフンを片付けないので〜とかの本音が出てくる。そのための注意プレートやらも必要になる。他の人も話しだす。予算の余剰を彼は問うたけれど、私はむしろ予算はもっと計上すべきだと。電気料金は上がり、増税だ、と。

総会面白い! ワクワク。予定調和だと思っていたのに。ここで発言できるぐらいに問題意識を持ちたいたいなぁと思ったわ。

メールでのリスト管理は大変だけど、情報が届くのは便利。提案しようとしたけど、緊急メール情報はいまの警報システムに組み込まれているし、余計なことを管理会社に頼んだら予算膨らむじゃないかとやめることにした。管理会社は電気会社を変更した際の金額シミュレーションまでやってらしたわ。

銀行はなぜマンションの管理組合に営業に行かないのか不思議だわ。管理会社関連で縄張りがあるんだろうけど、少しだけ利子を他行より上乗せしますよ、で、億単位のお金を引っ張って来れるのにね。そしておそらく十年は移動や解約はなし。 (hammer.mule)

< http://tsuraiyo.com/topic6101SOUKAI.html
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定期総会 管理人はつらいよ
< http://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000178072.html
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とうとう来た、ゴミの分別強化。大阪はまだ楽な方らしいのだが。ゴミ箱を買い替えるか、出たらすぐにゴミ捨て場に持っていくか......。

< http://m2college.net/fes2/
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8/10は「まにフェス」。学生さん無料。サイトは毎日更新されてる。8/10は大阪産業創造館でお会いしましょう! お知り合いにもぜひお知らせください〜!