歌う田舎者[48]わたしの初体験2/もみのこゆきと

投稿:  著者:  読了時間:9分(本文:約4,300文字)


♪口笛はなぜ〜遠くまで聞こえるの♪
♪あの雲はなぜ〜わた〜しを待ってるの♪

今日は白パンと黒パンのお話です。夏休みらしく、小学生が読んでも大丈夫な清々しいコラムになる予感がいたしますわね、皆さま。

あら、でもタイトルが「わたしの初体験2」ってことは、どこかに「わたしの初体験1」があるのかしら。えぇ、ありますとも。昔日の初体験は浅草ロック座でのストリップ体験についてでしたわ。

デジクリ「わたしの初体験」2010年11月12日
< http://bn.dgcr.com/archives/20101112140100.html >

前回がストリップだからって、何も身構える必要はなくってよ。今回は心洗われる真夏の清涼剤になるべく、爽やかなお話にしようと思っておりますの。

ハイジがアルムの山で食べていたのは固い黒パン。クララの家にきて、はじめてふわふわの白パンを食べました。優しいハイジは、歯の悪いペーターのおばあさんに食べてもらおうと、白パンをこっそりタンスに隠していたのですが、ある日、ロッテンマイヤーさんに見つかってしまいます。

「ア、アーデルハイド! これは何なのっ? えっ!? 山ではいつも黒パンだった? なんてことざましょ。良家の子女は白パンに決まっております。それなのに黒・・・黒パンだなんて・・・あぁ、恥ずかしくて気が遠くなりそう。アーデルハイド、恐ろしい子!」

そう、良家の子女は白パンなのでございます。黒パンなんてどこかのふしだらな女が身に着けるもの。もちろんわたくしのタンスの中にも、黒パンなんてありませんことよ。それにしてもハイジが黒パンだなんて、ちょっとイメージと違いますわね。いったいどういうことでしょう。

♪おし〜えて〜おじい〜さん〜 おし〜えて〜おじい〜さん〜♪

あら、おじいさんは赤い顔をして姿を隠してしまいましたわ。仕方がありません。自分で確かめてみるしかないわねぇ・・・。




そんなわけで、今、わたしの目の前にはレースの黒いパンティーがある。ターコイズのリボンがあしらわれ、なかなかに可愛らしくセクシーである。しかもTバック! 加えてガーターベルトとガーター用ストッキングもあるのだ。どうだ、参ったか。

なぜこのようなふしだらなものが目の前にあるのか説明して進ぜよう。それは去年の暮れのTwitterが事の発端である。わたしが友人J子にプレゼントした手作りパウンドケーキについての、まことにもって良家の子女らしいつぶやきから始まった。

J子がパウンドケーキのおともに紅茶のティーバックを・・・などとツイっていたので、「紅茶色のTバック、コレですね( ̄∇+ ̄)vキラーン」というつまらないツッコミを入れようと画像を探していたところ、Tバックには男性用もあるということを発見。どひゃー、マジですかい!

♪なんですかこれはなんですかこれは わからないなわからないな♪ 

未知との遭遇に、昔懐かしい米米クラブの歌が脳内でエンドレスリピートする。良家の子女としては、パソコンのモニタに釘付けになり、男性用Tバック画像を次々と検索しガン見していたのは言うまでもない。

しかしよく考えたら男性用Tバックの前に、女性用Tバックだってホンモノを触ったことがないのである。うーん、あんなに布切れの面積が少ないパンティー着けたら、尻が心許なくてそわそわするんじゃないのか。そんなことを呟いているうちに、Twitter上では関西人・横浜人・広島人が参戦し、くんずほぐれつの高尚なTバック談義となったのであった。

男子のTバックと褌の類似性についての比較文化論や、局部収納におけるTバックとトランクスの機能性、逞しい男子力プロデュースのために映画「ドッジボール」でベン・スティラーが見せたテクニックなど、誠に以てインテリジェンス溢れる会話がやりとりされているので、興味のある向きはこちらをご覧くだされ。
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このTバック談義に参戦していた広島人が、昨年11月のデジクリ「仁義なき戦いYKZ48」のあとがきを覚えておられたのである。

  ♪そうよ私は さそり座の女〜♪ あ、これこれ、遠慮するでない。
  誕生日のプレゼントは前後半年絶賛受付中であるぞ

いやはや、書いてみるものである。奇特な広島人は、前後半年絶賛受付中の誕生日プレゼントとして、黒パンセットをお届けくださったのだ。あぁ、夏枯れの脳みそにネタをありがとう。吾輩、もう広島に足を向けては寝られんわい。

省みれば、わが人生は良家の子女として道を外さずに生きてきた白パン人生である。黒パンなど購入したら、一族郎党に「なんとふしだらな! 男を誘っているも同然ではないか。家名に泥を塗りおって、この面汚しめ!」と糾弾され、反省文のひとつも書いて命乞いをしなければならなくなる。その上、形状がTバックなどであったら、スベタ、売女、ビッチ決定の上獄門晒し首である。

しかしながら、どうも世間の人々のガールズトークを聞いていると、黒パンだのTバックだのというものは、そのようなふしだらなアイテムではないようなのだ。

友人の中で一番真面目そうな瓶底眼鏡女子が「え、わたし、Tバック好きですよ。パンティーラインを気にすることもないからラクなんですよ。それに夏場は涼しいし」と、こともなげに言い放ったのを聞いたときは、「ものども、聞いたか! 黒パンやTバックは、男を誘うものじゃないみたいだぞ!」と一族郎党に教えを垂れてやろうかと思ったくらいである。

しかし、黒パンTバックを初体験するのに、四十路過ぎというのはいかがなものか。

♪And it's too late, Baby,Now it's too late
♪Though we really did try to make it

やはり遅きに失した感は否めない。これも良家の子女に生まれてしまった運命。めくるめく淫靡で背徳的な世界を覗くこともなく、人生は終わってしまうものなのだ。仕方あるまい。・・・そう思っていたのに、運命のいたずら・・・いや、デジクリのいたずらで、今、こうして目の前に黒パンセットがある。これも神の思し召しであろう。体験しなければ仏罰神罰キリスト罰が当たる。

だが、装着しようとして初っ端から躓いた。まずはガーターベルトなるものを腰に巻いてみたのだが、方向がわからない。ホックを止める箇所は腹側なのか背中側なのか? 留めるときは腹側なので、そのままでいいのか?

ちなみにガーターベルトとパンティーでは、ガーターベルトを先に装着してからパンティーを穿くらしい。パンティーがあとでないとトイレが面倒であろうというお説ごもっともである。

うーん、方向はどっちなんだよう! ガーターベルト装着がもっともわかりやすく解説されたサイトを見つけるのに30分もかかってしまった。

【ニッセン よくわかるインナー教科書】
< http://www.nissen.co.jp/cate005/event/PL07FA026_001_inner/index_02.htm#q5 >

カタログ通販の勇者ニッセンによると、ガーターベルトから下りる吊り紐の間隔が狭い方が前なのだそうである。さよか。逆ではないか。早速ホック位置を背中側に回す。

次はストッキングである。ガーターベルト用なので太もものあたりまでの長さで、上部は6cmほど総レースになっている。これをガーターベルトから下がる吊り紐の先のシリコンクリップで挟むらしい。

慣れないとなかなか骨が折れる。へんなところが筋肉痛になりそうだ。そしてTバックの黒パン穿いて完成である。うーん。やはり想像通り、初めてのTバックというものは、なんだかお尻を拭き誤って、ティッシュを挟んだままのような妙な気分である。

さて、それでは四十路の黒パンTバック+ガーターベルトという勇姿を鏡で観察してみようではないか。想像するだにイタそうで見るのが怖いが。

・・・おや? 意外とイケてるんじゃないか? 太ももまでくる長い黒ストッキングが、あたかもニーハイブーツのような雰囲気を醸し出し、ちょっと足長に見えるのである。オスカル様の軍服みたいなのだ。

しかし尻はマズい。なんといってもTバックというものは尻肉が丸見えなのである。意味もなく尻の筋肉に力を入れて、ぎゅぎゅっと偽装ヒップアップしなければ人様にお見せできない。え? 見せなくていいですか迷惑ですかそうですかすみません。

そのようなわけで、アルムのおじいさんが教えてくれなかったので、自ら黒パンの世界を初体験してみた次第であるが、やはりこれは着るものではなくて脱いで見せるものなのであろう。妖しいスポットライトを浴びて、巨大なオーストリッチの羽扇をひらひらさせながら、一枚ずつ脱いで行くというのが正しい使い方であるような気がする。

着れば誰でもバーレスクショーのダンサーになれる黒パンセット。日本中にあまたおられる良家の子女の皆々様も一度お試しになってはいかが。頼まれてもいないのに、意味もなくポーズを取ってみたくなる魔力に満ち満ちている商品である。

やはり四十路的テーマソングは ♪時には娼婦のよ〜うに〜♪ しかあるまい。わが尻を省み、ダイエットとセルライト撲滅の決意にもつながること請け合いである。ありがたくも得難い初体験であった。

※「アルプスの少女ハイジ 〜おしえて〜」
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※「なんですかこれは」米米クラブ
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※「It's too late」Carole King
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※「時には娼婦のように」黒沢年男
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【もみのこ ゆきと】qkjgq410(a)yahoo.co.jp

先週、久々に薩摩藩が全国ニュースのトップに躍り出た。8月18日の桜島噴火のニュースである。しかし、地元民としては「またかー。風向きこっちかよー」程度で、なんてこたぁない平常運転なのだ。久々に降灰量多いなってくらいで。掃除と洗車がめんどいとか、窓開けられないとかあるけど。

ということで、灰のひどい日にラジオから流れてきた歌。
「火山灰」柏木由紀
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