[3539] ショート・ストーリー「愛妻家」

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《周りからは「オッサンホイホイ」とのありがたいお言葉を》

■ショート・ストーリーのKUNI[143]
 愛妻家
 ヤマシタクニコ

■ところのほんとのところ[101]
 新幹線に乗るたび1000枚......
 所 幸則 Tokoro Yukinori

■3Dプリンタ奮闘記[18]
 3Dプリンタの活用・番外編その3 ワンダーフェスティバル
 織田隆治

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  怒りのブドウ球菌 電子版 〜或るクリエイターの不条理エッセイ〜
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◎デジクリから2005年に刊行された、永吉克之さんの『怒りのブドウ球菌』が
電子書籍になりました。前編/後編の二冊に分け、各26編を収録。もちろんイ
ラストも完全収録、独特の文章と合わせて不条理な世界観をお楽しみ下さい。
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■ショート・ストーリーのKUNI[143]
愛妻家

ヤマシタクニコ
< https://bn.dgcr.com/archives/20130905140300.html
>
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公園のベンチで二人の男がすわっていた。おたがいよく見る顔だが名前は知らない。一人は七色に輝く帽子をかぶっており、一人は1メートルくらいはあろうかと思えるあごひげをはやしている。

あごひげ男が帽子男に言った。

「あなたは私が昼間からこんなところですわっているのでさぞかしひまと思っておられるかもしれませんが、そうではありませんぞ」

帽子男が答えた。

「そんなことは思っておりません。そんなことを思う人こそよほどひまな人間でしょうな。幸い私はひまどころか、とても忙しいのです」

「ほう、そうなんですか」

「はい。実はこうしている今も気が気ではありません」

「そうはみえませんが」あごひげ男があごひげを指ですきながら言った。

「みえなくてもそうなのです」帽子男は帽子のつばに軽く手をかけて言った。

「何が忙しいのです」

「実は私は世界一の愛妻家と自負しておりまして。妻を守ることで日夜忙しいのです。あなたにはわからないでしょうが」

言われてむっとしたあごひげ男は、思わずあごひげをぎゅっと握った。

「これはこれはお言葉ですな。私も愛妻家であることには自信がありますが」

「ふっふっふ。そのように言う人は多いのですがね。私の妻はなんといってもなみはずれてチャーミングなのです。世の男達がほうっておきません。私は気の休まるときがないのです。いまこの瞬間にも、私のいないのをいいことに、
どこかのいやらしい男が妻に接近しているかもと思うといてもたってもいられないくらいです」

あごひげ男は負けずに言った。

「私と同じですな。心配なので、妻はわが家の中でもっとも奥の部屋に閉じこめ、誰が訪ねてきても絶対家に入れるなときつく言っております」

「当然です。鍵も二重にかけてあります」

「本当は金庫に入れておきたいくらいなのですがそうもいきません。困ったものです」

「まったくですまったくです」

帽子男はそれがくせなのか、時々帽子を軽く上げたり下げたりしながら

「いやあ私も最初は真剣に悩んだものです。妻に恋する男があまりにも多いので、私のようなものが独占するのはそもそも罰当たりなのではと。そこでごく控えめに対策をとることにしました。家に来る男達には番号札を取らせることにしました」

「なんですかそれは」あごひげ男がひげをいじる手を止めて言った。

「番号札とは、郵便局や銀行に行ったら『恐れ入りますが番号札をお取りください』という、あれですか」

「さようです。あのシステムはとりあえずやる気をなくさせる効果があります。番号札を取るのがめんどくさい。しかもそこに印字された数字を見てだいぶかかりそうだと思うとさらにやる気が失せる」

「確かにそうですな」

「いくら私の妻が美しくてちょっかいかけたいと思っても『758人待ち』となればめげるというもの」

「そんなに大勢の男達が!」

「当然でしょう。何か疑問でも」

「いや、そ、そんなことはありません。でも、熱心な男はそれでもしんぼう強く待つと思いますが、いよいよ順番がめぐってきたら」

「もちろん私が出ます。そして門前払い」

「さんざんじゃないですか」

「これも私の妻に対する愛情表現のひとつですが、ご理解していただけないかもしれませんな」

帽子男がやはり帽子を上げたり下げたり、くるくると回転させながら言うと、あごひげ男もあごひげを複雑にいじりまわす手を止めず、挑戦的に言った。

「ご理解どころか実は私もその方法はすでに導入しました」

「なんと」

「さっきはあえて驚いたふりをしましたが、演技です」

「演技!」

「愛妻家なら番号札は当然です。それに加えて、電話への対策も講じないといけません。当然ながら妻には携帯を持たせていません。あんな危険なもの」

「も、もちろんです。私も妻には携帯もスマホも持たせていません。そもそも私以外のだれと話す必要がありましょう」

「そうなのです。それでも家に電話はかかってきますので用心せねばなりません。愛妻家なら当然のことです」

「うむ。まさしく」

「わが家に電話をかけると『ガス料金のお問い合わせについては1を』『チケットの予約については2を』『名義人の変更については3を』『コース変更については4を』『番組へのご意見については5を』『フレッツ光については6を』......と」

「ちょっと待ってください。あなたのおうちは大阪ガスですかNTTですかそれともシネコンですか。関係ないものばかりではありませんか」

「やる気をなくさせ、うんざりさせるのが目的だからこれでいいのです。ちなみにこのあと『今なら半額! 一泊二日かに料理満喫コースのお申し込みは7を』『おとなのためのスペシャルクラブにご用の方は8を』と、つい所期の目的を忘れてボタンを押したくなる選択肢も用意しています。もちろんうそですからボタンを押してもむだですが」

「なんと巧妙な! そして、やはり最後には直接本人と話すためのボタンが」

「ありませんよそんなもの」

「た、単なるいやがらせですか」

「愛妻家としては当然ではありませんか。あなたには理解できないかもしれませんがね」

あごひげ男が誇らしげに言うと帽子男は敵意をあらわにして言った。

「そういう言い方はやめていただきたいものですな。実はわが家の電話もとっくに音声ガイダンスを導入しております。さっきは驚いたふりをしましたがね。ふふ。私の演技も堂に入ったものでしょう」

「なななんですと」

「私は世界一の愛妻家だと言ってるではありませんか。番号札も音声ガイダンスも標準装備です。そんなものでは生ぬるい」

「なな、生ぬるいとおっしゃる」

「そうです。だから私はついに、わが家に区役所を設置しました」

「意味がわかりません。区役所とは、あの、区役所ですか」

「あの区役所に決まってるではありませんか。どの区役所があるというのです。とにかく区役所の窓口を設け、私の妻に会いたいという男が来たら思い切りたらいまわしにしたあげく、まず申請書を書かせます。それから印鑑証明書と戸籍謄本(写しで可)と住民票を取らせます。手数料は戸籍謄本で10万円くらい。ついでに口座振替申込書も提出させます」

「10万円とはぼったくりだ。それに何の口座振替申込書なんですか。だいたい、それはふつう金融機関に出すものでは」

「わが家の区役所ではそうなってるのですから仕方ない。これでたいていの男はやる気をなくしますが、万が一全部そろえた男がやってきた場合はぶん殴ります」

「最初からぶん殴ればいいじゃないですか」

「それではおもしろくない」

あごひげ男はあきれかえった。

「私もかなりの愛妻家のつもりでいましたがあなたにはまったくあきれました。でも、これでどうです。私の妻への愛を表現したものです」

そういってあごひげ男があごひげを両手で広げてみせると、いつの間にかその長いあごひげがレース編みのように編み込まれ「☆☆アイ・ラブ・よしこ☆☆」の文字と記号が浮かび上がっているではないか。ところどころに交じった白髪がきらきら光ってそれはまるでアートのおもむき。

あごひげ男が勝利を確信して微笑みを浮かべかけたとき、帽子男がおもむろに七色の帽子をとった。すると帽子男の頭の上には4羽の色とりどりのインコが並んでいて、男が合図すると歌い出したのだ。

♪私の私のまゆみちゃん♪大好き大好きまゆみちゃん♪よい子のよい子のまゆみちゃん♪かわいいかわいいまゆみちゃん

「すいません、わかりました、もういいです」あごひげ男が悲鳴をあげた。

【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net
< http://midtan.net/
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< http://koo-yamashita.main.jp/wp/
>

8月なかばに夫が急逝した。予想もしていなかったことでいまだに現実感がなく、足に力が入らないような心細い状況にあるが日常は待ってくれない。とりあえずこれからも書き続ける。創作することだけが、私に与えられた武器だ。


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■ところのほんとのところ[101]
新幹線に乗るたび1000枚......

所 幸則 Tokoro Yukinori
< https://bn.dgcr.com/archives/20130905140200.html
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ここしばらく、異常に忙しい。「ところ」が始めたプロジェクトの展示が複数、ほぼ同時期にあったり、東京での森の撮影、渋谷での撮影......。そして月に何度も新幹線での移動、疲労の蓄積が半端なかったのでした。

前号から始まった学研キャパでの「ところ」の連載は、「所幸則のコンテンポラリー フォト ファクトリー」。次回は「ところ」のアインシュタインロマンシリーズが始まるきっかけになった写真を掲載しています。

この連載タイトルがミョーに気に入ってしまったので、「ところ」の私塾の名前も「所塾」から「TOKORO Contemporary Photo Factory」に変えることにしました。

実際、新幹線で東京・岡山間、もしくは岡山・広島間を頻繁に乗っている「ところ」なのですが、たまたまFacebookに写真を載せようと、最初は走る新幹線の中からiphoneで撮っていました。これがなかなか気に入った出来だったので、急遽カメラをDP1Mに持ち替えたのが、新大阪駅を出発したあたりでした。

まだ時速100キロ程度しかスピードは出ていなかったと思いますが、とっさに1/160くらいで撮っていたようです。ビルや線路は止まっているのに、目の前を通り抜けた架線柱とトロリーウェイトがブレて、向こうのビルの上に空間移送されて来た高次元の物体のように見えます。

目の前の名も知らないビルの正面を狙ってシャッターを切ったけれど、その真横に大阪では知らない人はいない梅田のスカイスカイビルがきれいに入っていて、新大阪から梅田方面を見ていることまでわかる、奇跡のようなタイミング。

この一枚で、写真の持ついろいろな面白さが伝わってきているように感じます。今は距離とスピードの関係を強調するように、シャッタースピ--ドは「ところ」らしい速度に落としています。

過労で数日間倒れていた原因のひとつには、この新幹線の中でずっと撮っていたことにもあるんでしょう。普段なら新幹線の中では休憩していたのに、それが乗るたびに1000枚ぐらい撮って、いまではもう5万枚近くなります。セレクトだけでも大変な作業、倒れるのも無理はないか。

【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/
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所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/
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■3Dプリンタ奮闘記[18]
3Dプリンタの活用・番外編その3 ワンダーフェスティバル

織田隆治
< https://bn.dgcr.com/archives/20130905140100.html
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前回に引き続き、と言いたいところだが、今回の番外編は講義ではなく、造形イベントと3Dプリンタについて書いてみる。

「ワンダーフェスティバル」というイベントをご存知だろうか。現在は幕張メッセにて、年に2回開催されるガレージキットのイベントである。

そもそも、ガレージキットとは何なのか。それは、大手玩具メーカーやプラモデルメーカー等から発売される模型やプラモデル等とは違い、個人で製作した原型をシリコンとレジンキャストと呼ばれる樹脂で複製した、少量生産の組み立てモデルを一般にはそう呼ぶ。

まあ、一般的ってのが、まだまだ狭い業界なんですけどね。

ガレージで生産するからその言い方をされる、と聞いたことがあるが、詳細をここで説明していると、それだけでかなりの長さになってしまうので、詳しくははWikipedia等で調べていただききたい。

僕くらいの年代の模型好きな人なら、もしかしたら知っているかもしれないが、ガレージキットとの出会いは高校時代〜大学時代、1980年代だった。

大阪では門真の海洋堂、ゼネラルプロダクツ(現ガイナックス、大阪環状線の桃谷駅にあった)、ボークス(僕が行ってたのは京都の小倉店)等で、怪しい感じ(ごめんなさい)で色々な海外のキットや自作のキットを置いていたのを見に行ったものだ。

ガレージキットは高価だったので、当時の僕のお小遣いではかなり厳しかった。バイト代を貯め、欲しいものを厳選して清水の舞台から飛び降りる勢いで購入、といった具合だ。

しかし、それでもこれまでのプラモデルや玩具にないクオリティ、そのマニアックな商品群にワクワクした。そんなことをしてまでも欲しかったものだ。

当時はかなりアンダーグラウンドな部分もあったガレージキットが、最近のフィギュアブームを受けて、かなりのメジャーなものになってきている。

かつては怪しい趣味だったフィギュア収集だが、最近ではコンビニ等でもフィギュアが当たるくじがあったり、景品でも色々とフィギュアが出て来ている。市民権が認められて来た、ということだろうか。

以前、ディーラーとしてではなく、一般参加者として行ったことがあったが、まだまだアングラの怪しい感じがしたし、参加者自体も男性が多かったものだが、最近では参加するディーラーも一般参加者もあか抜けた人が多く、一番驚くのが女性の参加者がすごく増えたことだ。

「ワンダーフェスティバル」は、いま現在は海洋堂が主催し、年に2回、冬と夏に幕張メッセにて開催されている、そういったガレージキットの即売イベントのことである。

この種のイベントは、現在のところ「トレジャーフェスタ」「キャラホビ」等がある。それぞれ特徴のあるイベントになっているので、こちらも興味のある方はググって頂きたい。

僕はここ7年ほどディーラーとして参加していて、これまで色々なニッチなモデルを出展している。古き良き時代のキャラクターや、怪しい生き物なんかをリリースしているため、周りからは「オッサンホイホイ」とのありがたいお言葉を頂くようになってきている。

この1〜2年で感じたのは、3Dプリンタを使用した出展物が増えているということだ。昨年からは、3Dプリンタ自体を展示するゾーンも現れて来て、かなりの注目度を上げている。そういう僕のブースでも、昨年の冬にBFB 3D TOUCH自体を展示した。

これは、ブースの一部に出展してはどうか? と、僕が購入している代理店さんに提案して実現したのである。その時期では、まだあまりプリンタ自体を展示している所も少なく、かなりの注目度だった。担当者はちょっと気の毒かと思うくらい、ずっと質問攻めになっていた。

で、ここ一年くらいの「ワンダーフェスティバル」等の模型イベントでは、3Dプリンタがかなりの注目度が上がってきたことから、ホビーユースでの3Dプリンタの需要度が上がってきたのだろう。

安価な3DCGソフトもあり、3DCG自体も一般化しつつあることも、この需要に結びついているのだと思われる。

そして、3Dプリンタの出力サービス等も徐々に一般化してきており、それまで手作業でしか作れなかったフィギュアの原型が、3DCGをやっているユーザーも、自らモデリングしたデータを出力をして、ディーラーとして参加出来るようになってきたのだ。

これは、この業界においてかなりセンセーショナルな出来事だと思う。

これまで、こういったイベントで製作する原型等、左右対称な物を手作業で製作するということは、単純ではあるがかなりの造形スペックのいる作業だったのだ。飛行機、車、ロボット等の製作では、これがかなりハードルが上がっていた。

しかし、3DCGではミラーモデリングといった機能で、左を作ると右も同じ形状に製作できる機能がある。これを立体で出力できるということは、もう何というか「凄い!」の一言なのである。

3DCGをやっている人からみると普通のことなのだが、この左右対称モデレングの難易度と言ったら、手作業で造形を行っている人から見ると「神の領域」なのである。ちょっと大袈裟な気もするが、いや、本当、そうなのだ。

僕は、なんとなくのポリシーとして、趣味での造形イベントは手作りで......と思ってはいるが、そのポリシーも崩れてしまいそうになってきた。だって、面白いんだから。

まあ、そういった趣味での製作についても、楽しければエエやん。ということで、これから僕自身も3Dプリンタを使った造形物を出展する日も近い気がしている。

こういったニッチなユーズが広まることで、色々な文化が発展していくのだ! と僕は信じてやまない。

【織田隆治】
FULL DIMENSIONS STUDIO(フル ディメンションズ スタジオ)
< http://www.f-d-studio.jp
>

ホビーユース。まずはこれでしょうね。やっぱりニッチな層からの普及というのが、今のハヤリなのでは? と。次回も模型イベントについての続きとなります。


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編集後記(09/05)

●鳥居民「それでも戦争できない中国」を読む。サブタイトルは「中国共産党が恐れているもの」(草思社、2013)。筆者については「膨大な資料を渉猟し、徹底した調査、考察をもとに日本及び中国近現代史を鋭く洞察した独自の史観を展開」と本のカバーにある。今年1月に急逝、この本が"遺言"ともいうべき最後の「中国論」である。淡々として格調高い論理から導かれた結論は、本のタイトル通り、いまの中国が毛沢東的な軍事冒険主義に打って出るシナリオは考えにくい、故に中国は戦争できない、とのことである。

全体になんだか翻訳みたいな文体で、それ自体は非常に味わい深くてきらいではないが、中国近現代史を多少でも知っていないとついていけない。正直に言うとわたしにゃ手に負えぬ。どうやら理解できたのは、中国共産党はどの国よりも安定(「穏定」という)を必要としており、「名のごとく平和の海」を必要としているのはどこの国よりも中国だということだ。現状では外に向かって挑戦的で、とくにアジアの海ではやりたい放題の無法者ではないか、とわたしには見えるので、「中国は戦争できない」の根拠はなんなのか興味津々だ。

中国を動かしているのは中国共産党指導部と、100人ほどの「太子党」と呼ばれるスーパーリッチである。幅広く利権と繋がって巨大なビジネスを展開し、富と力を寡占する連中である。習近平も太子党だ。彼らは腐敗と貪欲を以て団結しているが、その共通点は恐怖心で、民衆から中国の本当の敵は太子党だとバレてしまうことと、共産党の党内に大衆の味方をする勢力が力を占めることだ。少数派の太子党は、投機的な場当たり策は絶対にとれない。「穏定がすべてを圧倒する」のが原則である、とのことだ。

「中国共産党指導部と100人の太子党の人びとは、台湾海峡、あるいは東シナ海で軍事冒険することはありえない。かつて毛沢東は国民が望んでいないことを無理やりやらせようとし、国民を集団的ヒステリーの状態にしようと目論んで、台湾とアメリカに対して軍事恫喝をおこなった。その結果となる10年の文化大革命の悲劇がどのようなもであったかを痛切に記憶しているのは、太子党の人びとなのである。」

いまや世界経済に組み込まれ、貧富の格差と少子高齢化が世界でもっとも深刻化している中国に戦争などできるはずがない。国内問題が山積で民衆の不満が爆発寸前、求心力が失われている共産党指導部に残された唯一の問題解消(解決ではない。現実から目を逸らすよう仕向ける)カードが「反日」である。わが日本は「反日」から生じる「挑発」に絶対にのってはいけないのだ。淡々と毅然と対処していくうちに、中国共産党の恐怖する「亡党亡国」が現実のものとなる。その見立て通りになればいいな。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794219709/dgcrcom-22/
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鳥居民「それでも戦争できない中国」


●デジクリ電子文庫第二弾 着々と進行中 乞うご期待! です。/ヤマシタさん......言葉もありません。私はヤマシタさんのショート・ストーリーとイラストが好きです。ティム・バートンがストーリー募集していた時に、応募して欲しいと本気で思いました。

続き。スランプとか言ってる状況じゃないよね? ベストを尽くせば許してもらえると思っているんじゃないの? 結果がすべてじゃないの? 遊んじゃいけないの? 忙しい人ほど遊んだり、身体を鍛えているって聞くけど、あれは見栄をはっているだけ? いうほど忙しくないってこと? 自分に罰を与えて、誰が喜ぶっていうの? 誰が幸せになるの? 何度同じことを繰り返すの?

だいたい考える時間が多すぎるんだよ。もし考えずに手を動かせば、多少クオリティは落ちても、たくさんのことはできるはずだ。自分の「楽しい」「嬉しい」時間だって持てるし、人との約束はでき、連絡だってできる。続く。(hammer.mule)