[3550] 私的電子書籍元年

投稿:  著者:  読了時間:20分(本文:約9,800文字)


《アップデートしましたか? iOS7》

■装飾山イバラ道[126]
 UVケアと生体認証システム
 武田瑛夢

■おかだの光画部トーク[106]
 新しくなったiPhoneのカメラを見てみる
 岡田陽一

■シックスセンスを求めて[04]
 私的電子書籍元年
 若林健一 / kwaka1208

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■装飾山イバラ道[126]
UVケアと生体認証システム

武田瑛夢
< http://bn.dgcr.com/archives/20130924140300.html >
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新しいiPhone 5sが出た。うちではだんなさんが携帯電話を新しくする番なので、喜んでいると思ったらそうでもないみたいだ。5sにしかついていない指紋認証は私はやってみたいけれど、だんなさんはパソコンで既に体験しているのでさほど嬉しくもないのかな。契約時期の都合でしばらくは買い替えられないそうだ。

だんなさんが初めて指紋認証のついているパソコンを買った時は、私もその精度を試してみた。指をスライドさせるタイプのだ。だんなさん本人はすぐに認証され、私は×印で拒否される。

だんなさんは自分の認証の時よりも、私がはじかれることの方を喜んでいたように見えたのは何だったんだろう(笑)。

以前セキュリティについて書いたけれど、電話を持った時点で誰が持っているか判別できるくらいの機能だと、動きの流れも妨げずにすごいと思う。人間の手って眠りに落ちると自然に開いてしまうそうだから、電話を意識的に持っている時だけ本人のアクセスだと認められるようになると不正も防げそうだ。

だって今のように指一本で認証されるなら、寝ている誰かの指を当てて携帯を見ちゃうなんてこともできそうだし。親密な相手には暗証番号よりもセキュリティが甘くなる可能性もある。握っている手の圧力から生体反応を微妙に判定して、確実に起きている人間が持っているとわかる大げさな携帯電話ができればいい。

たかが携帯電話ひとつに、起きている人間かどうかまでわかるような高度な認証システムを乗っけるのはナンセンスだと思われそうだけれど「最初の入り口の鍵」が一番大切なのだ。個人のツールだけではなく、関わりのある人々や企業にも道や履歴が繋がっている時代なのだから。

●生体認証システム

クレジットカードなどは、こっそり情報をカードリーダーに読み込まれてしまうスキミングが怖い。カードをするっと一回、スキマーという機械に通すだけの動作で情報が盗まれてしまう。

現在の指紋認証は、表面の指紋組織の凹凸だけを見ているのではないらしいので、ハンコのように粘土で型を取るようなことでは複製はできないという。しかし、指紋認証のためにスキャンさせるのと同じ品質のスキャナーがあれば、指の情報は読み込めるはずだ。

自分が触れるどこの何かで指がスキャンされているかわからないとしたら......。カードのように表に出すタイミングが限られているものと違って、指は常に隠すわけにはいかないのだ。

目の網膜や手の血管など、人体の一部を使った認証システムは進化しつづけるだろうけれど、鍵と鍵破りの関係もどちらか一方だけが進化することはない。認証を破る技術も同じように進んでしまうだろう。

鍵は一つではなく複数を組み合わせた方がより強固なものとなる。指紋に網膜に暗証番号に声など。

●セキュリティとUV過剰防衛

情報を読み込まれないように、手袋やサングラスなどで自分の身体を覆うことがセキュリティになる時代がくるのかも? それではいよいよ携帯電話を使うときに、手袋や小物を外す必要があって面倒くさそうだ。身体を覆うあまりに一見誰だかわからないという不都合も発生する。

帽子にサングラスにアームバンドと、UVケアが過剰な真夏のおばさんたちのように、見えてるところがほとんどない未来の人々(笑)。

まぁ、私も今年の夏はこのUV過剰防衛スタイルで出かけたけれどね。結局何のための技術の進歩だかわからない感じの未来が見える。

先日映画の「スター・トレック」を見たので思うのだが、物理的に隠すのではなく「電磁バリア」みたいなもので、一切のスキャンから身を守る未来の方がSF的にクールでかっこいいかもしれない。

そうなると、人体情報のスキャンの機会に使われて一番怖いのは「人間ドック」ではないだろうか。どんな未来でも健康チェックは生身の身体でするだろう。丸裸の状態で訳もわからない機械にかかるのだから心配だ。信頼の病院と医師を選ぶしかない(笑)。

心配の妄想を広げるのはこのへんにして我に返るとすると、簡単にスキャンされない情報を鍵にすればこんな心配はいらないのだ。それは一体何だろうか。本人しか持っていないけれど、外からは簡単に見えず、自分も忘れることがなく、歳を取っても変わることがない何か。

簡単に答えを出せるわけがないので、結局このテキストも前回のと同じような結論になりそうだ。技術は進歩して煮詰まると、それ自体がなくても良い状態に行き着くのかもしれない。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/ >

首を寝違えたようで、2日ほど首の可動域がだいぶ制限されている感じだ。首が回らないというのは、なってみるととてもやっかいなもの。ある角度になると首が痛むために、首がブレーキをかけて曲げるのを拒否している感じだ。

ネットで対処法を探したら、首というよりも腕や脇の筋肉をほぐすと良いらしく、実践してみたらみるみると良くなった。他の人の経験や知恵にアクセスする方法があるというのは本当にありがたい。横向きで寝るクセがあるので、下になった腕の負担が原因だったのかもしれないな。


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■おかだの光画部トーク[106]
新しくなったiPhoneのカメラを見てみる

岡田陽一
< http://bn.dgcr.com/archives/20130924140200.html >
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2013年9月19日の早朝、アップルからiOS7のダウンロードができるようになりました。iPhoneを既に使っているみなさんは、もうアップデートしましたか?

そして、20日には新機種のiPhone5sとカラフルなエントリー機種iPhone5cが発売になり、朝から店頭に並んでゲットした人もいました。わたしはiPhone5にしてまだ一年経っていないため今回は買い替えのタイミングではないので、ひとまずOSだけアップデートしてみました。

< http://bit.ly/18O4zE0 >

こちらのデータを見てみると、iOS7配布開始3日ですでにiOS6を上回っていて、凄いスピードで多くのiPhoneユーザーが新しいOSにアップデートしていることがわかります。

今までの凝ったアイコンから、フラットデザインと呼ばれるアイコンやOSのユーザーインターフェイスデザインには賛否聞こえてきますが、わたし自身は結構好きです。

デザインする側になって考えると、とても難しいと思いますが、その話はまた別の機会にするとして、使う側で見てみるとフラットデザインの方がそれ自身主張しないので、本来の主役であるべきアプリそのものの機能を邪魔しない感じがします。

デザインに関しては好き嫌い、慣れの問題もあるので、今回は新しくなった純正カメラアプリと、iPhone5sのカメラを確認してみます。

さて、相変わらずiPhoneのカメラは全世界で日々一番使われているカメラと言っても過言ではない状況が続いています。
< http://www.flickr.com/cameras >

Flickrにアップされている写真では、iPhoneで撮影されたものが上位を占めており、iPhone5、iPhone4s、iPhone4と1位〜3位独占しています。そこからもわかるように、iPhoneのカメラは簡単にきれいな写真が撮れて、気軽にネットでシェアできるいいカメラなんだと思います。

そのカメラが更に性能アップして、アプリも使いやすく進化しているので、このグラフにiPhone 5sが現れるのもそんなに時間はかからないかもしれません。

iPhone 5sはハード的にさまざまなスペックアップされていますが、カメラの部分も更に良くなっているようです。
< http://flic.kr/p/g57iaj >

外観からわかる部分としてはLEDフラッシュ。今までは白いLEDが一灯でしたが、もうひとつアンバーのLEDが備わりました。この色温度が違うふたつのライトを使って、自動的に最適なトーンで発光する「TrueToneフラッシュ」という機能で、人物撮影の時にいかにもフラッシュ焚きましたという青白い写真ではなく、より自然な肌色を再現できるようになったそうです。

他にも、5のセンサーと比べて15%大きくなってレンズもf/2.2と明るくなったので、より暗い場所でも多く光を集めることができるようになり、ノイズの少ない写真が撮れるようになりました。

それに加えて、CPUがより高速なものになったので、処理スピードが速くなり1秒間に10枚の連写できるようになりました。
< http://www.apple.com/jp/iphone-5s/camera/ >

これらはiPhone 5sの話なので、今のところ検証できていませんが、iPhone5でも体験できる、iOS7で新しくなったカメラアプリの部分を見てみます。

まずカメラアプリの起動方法。普通にカメラアプリアイコンをタップして起動する他に、ロックしている状態から素早く写真を撮りたい時に、ロック画面のカメラアイコンを上にスワイプすると起動します。これは今までと同じ。
< http://flic.kr/p/g57iTU >

今回これに加えて、下からスワイプすることでコントロールセンターが出てきます。この中にカメラアイコンがあるので、どのアプリの中にいても素早くカメラを起動して写真を撮ることができます。
http://flic.kr/p/g57bs2

カメラアプリの使い方も、今までよりも手数が少なく設定を変更して撮影可能になっています。
< http://flic.kr/p/g57biK >

まず左右にスワイプすることで、ムービー、写真、スクエア、パノラマと切替わります(iPhone 5sはこれに加えてスローモーションのビデオ撮影がある)。

左上がフラッシュオン/オフ、上中央がHDRオン/オフ、右上が自分撮りカメラとの切替。グリッド(ガイドライン)の表示・非表示の設定は、「設定」→「写真とカメラ」の中に移りました。
< http://flic.kr/p/g57gVh >

右下の◯が3つ重なったアイコンはフィルター効果で、タップすると8種類のフィルターが選べます。
< http://flic.kr/p/g57iRu >

iPhone 5sであれば1秒間に10枚連写というバーストモードですが、iPhone5ではだいたい3枚程度の連写でした。シャッターボタンを押したままの状態で指を離すまで連写します。

AE/AFロックは今までと同じ。
< http://flic.kr/p/g57i5u >

画面の露出を測りたい部分を指でタップした状態を保つと、黄色い枠が2回ぴょんぴょんと反応します。これでロック完了。
< http://flic.kr/p/g57fFU >

画面上部に黄色く「AE/AFロック」と表示されます。これでカメラを動かしても露出は固定されているので、明るくなったり暗くなったりしません。普通にカメラを向けると暗くなるシーンなど
< http://flic.kr/p/g5bmSd >

少し明るく写したい場合は、画面の黒い部分を押したままAE/AFロックすると、黒い部分を測ってそこが明るくなるように露出を合わせるので、全体が少し明るくなります。
< http://flic.kr/p/g5bmih >

逆に暗くしたい場合は画面の明るい部分を測ってロックすればOK。

ますます中途半端なコンデジは要らなくなってきて、カメラ選びの選択肢が変わってきそうですね。iPhone 5sを手に入れた人に、実際の写真を見せてもらったらまたレポートします。


【岡田陽一/株式会社ふわっと 代表取締役 ディレクター+フォトグラファー】
< mailto:okada@fuwhat.com > < Twitter:http://twitter.com/okada41 >

前回お知らせした[CSS Nite in KOBE, Vol.3]は好評のうちに無事終了し、
ホッとしているところです。参加者の感想ブログはこちら。
< http://cssnite-kobe.jp/info/vol3-impressions.html >

当日のTweetのまとめはこちら。
< http://togetter.com/li/560360 >

そして10月8日(火)[CSS Nite in OSAKA, Vol.37〜撮影スペシャル]にて、素材写真を撮影する時に気を付けておくことについて1セッション担当します。予算が少ない案件などで自分で撮影する場合の参考にしていただければと思います。よかったらご参加ください。
< http://osaka.cssnite.jp/vol37/ >


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■シックスセンスを求めて[04]
私的電子書籍元年

若林健一 / kwaka1208
< http://bn.dgcr.com/archives/20130924140100.html >
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新しいものに飛びつく早さでは、他にひけを取らないと自負する私ですが、電子書籍については出遅れておりました。

というのも、紙の本なら一度買ってしまえばいつまででも読めますが、電子書籍ではサポートが終了すると読めなくなってしまう。しかも、日本では過去にいくつかの電子書籍サービスが消えて行ったことを考えれば、そこにお金を出す勇気を持てなかった、というわけです。

「今年は電子書籍元年」と言われた年が数年続き、いまだに元年がいつのか、それともまだ来てないのかがよくわからない電子書籍。既存のサービスに加えて、昨年の後半にAmazonのKindle発売とKindleストアのオープン、今年の3月にAppleのiBook Storeの国内サービス開始と選択肢が出揃ってきて「今年こそは電子書籍元年」と思えるようになってきました。

私もAmazonのKindle paperwhiteを購入し電子書籍を利用していますが、読みたいと思った本がすぐに手に入る、本の置き場所に困らない、文字の大きさが変えられる(そろそろ小さい字がしんどい)、読んでいる途中で寝落ちしても大丈夫、等々のメリットを実感しています。低反射高コントラストな「E Ink」は環境によっては紙よりも読みやすいと感じるほどです。

しかし、まだまだコンテンツの少なさや価格設定には不満が残ります。価格については、紙の方がハードカバーであればハードカバー価格、文庫化されているものであれば文庫本価格と、電子書籍で読んでいる方にとっては中身は全く同じなのに価格が違うという、やや納得しがたい価格設定のものもあります。

紙の本であれば、家族や友人で貸し借り出来る、読み終わったら古本屋で売れる、といった二次利用が出来ることを考えれば、価格的にはもうちょっと優遇して欲しいなというのが正直なところですね。

◆オライリーの「プログラミングPHP」を買う

そんなある日、オライリー社の「プログラミングPHP 第2版」を買おうとネットを探していたところ、印刷版と電子版の二種類があることがわかりました。しかも電子版はDRMフリー!

「プログラミングPHP 第2版」
印刷版:3,990円
電子版:3,192円(PDF)
< http://www.oreilly.co.jp/books/9784873113425/ >

念のため英語版を見てみると

"Programming PHP 3rd Edition"
印刷版:$39.99
電子版:$27.99 (DAISY,ePub,Mobi,PDF)
< http://shop.oreilly.com/product/0636920012443.do >

おぉ! 英語版の電子版が一番安い! しかもフォーマットが4種類も利用できる、Kindle使いな自分にはMobiで買えるのはありがたい、英語版なら日本語版よりひとつ新しい3rd Editionだし! ということで自分の中で悪魔と天使が戦い始めました。

天使:英語版なら新しいし安いよ
悪魔:途中で挫折したらどうするよ
天使:いやKindleなら辞書機能内蔵だから大丈夫だよ
悪魔:結局日本語版買うことになったら高くつくよ
天使:技術用語なら言葉はほとんど変わらないから大丈夫だよ

心の中ですったもんだの末、値段とフォーマットの豊富さで英語版の電子版を購入、何とか日本語版の追加購入には至らずに済んでいます。

やはりMobi形式が選べる英語版を購入して正解でした。PDFだと文字を大きくするとページ全体が拡大され画面の外へはみ出してしまうため、画面スクロール操作が必要になりますが、Mobi形式だと文字だけが大きくなるのでその心配はありません。

その他にも、表のように頻繁に参照したいページはPDF版から印刷して利用出来る、原書を読むことで正しい綴りを覚えた、英語の方が理解しやすいところもある、等々。

今回のケースはやや特殊ですが、海外のサイトで英語版の電子書籍を買うという選択肢もあるということで、何かの参考にしていただければと思います。ただし、Amazonの場合は日本とアメリカでは別アカウントとなり、購入したコンテンツの管理も別になりますのでご注意を。

まだまだこれからの電子書籍ですが、電子書籍でコンテンツのレンタルとか、電子書籍で借りられる図書館とか、友人とか家族とかごく近しい者同士で貸し借りできる仕組み、みたいな新しい発展を期待しつつ電子書籍ライフを楽しみたいと思います。

【若林健一 / kwaka1208】 kwaka1208@pote2.net
< http://kwaka1208.net/ >
< http://pote2.net/kenichi/ >

iOS7をさっそくインストールしていじり倒しています。発表当時はどうだかなぁと思っていたアイコンも、慣れてくるとかなり気に入ってきましたし、操作性は慣れればほぼ問題なし、というかかなり気に入っています。ただ、設定のアイコンだけはなんとかならないものかと...


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編集後記(09/24)

●究極の散歩本を読んだ。300ページを超える、久住昌之の「野武士、西へ」だ(2013、集英社)。この本は、「小説すばる」の連載を大幅に加筆・修正したものだ。東京から大阪まで、じつに2年間で25回を要した「大人の散歩」の記録。歩いた道で見えたもの、食べたもの、出会った人たち、そのとき考えたことなどが、飾り気なく淡々と語られるだけの、たわいないともいえる文章だが読んでいてあきることがない。この作家の芸なのだろう。

散歩の達人・久住は「近年、散歩はブームのようでガイド本や専門誌も出ているが、テレビで見て、ガイド読んで、ネットで検索して下調べして、わざわざでかけるのが散歩か? それは観光じゃないか、旅行じゃないか。散歩なんて、頭を使わずにその辺をぶらっとする、無意味なそぞろ歩きだろう」とオカンムリ。仲間内で「俺はどうにも気に食わない。大阪ぐらいまでぶらぶら散歩しないと腹の虫がおさまらない」と発言したら、たちまち賛同を得て、東京から大阪まで大人の散歩という話で盛り上がった。

ちょっとずつ行く。行ける所まで行って、電車で帰って来る。新幹線で帰って来る。次はまた新幹線でそこまで行って、続きを散歩する。毎回、夜になったら最寄りの駅探して帰って来る。電車に遅れそうになったらタクシーもよし。宿泊してもよし。大人だからズルくてもよし。とにかく線がつながればよし。

なんという理想的な行き当たりばったりの贅沢な大型散歩だ。しかし、これは突飛なアイデアではない。旅好きなら誰でも考えることだ。でも、かなりの日数とお金がかかるから躊躇する。予算もとりづらい世知辛いご時世、こんな無謀な企画を出したら「小説すばる」がOKしてくれた。うらやまし過ぎるぞ。

持ち物は財布とケータイ。ケータイは仕事を持つ大人だからやむなし。ただしGPSや地図などナビゲーション機能は絶対使わない。小型デジカメとメモ帳とボールペン、ティッシュ。横浜から海沿いに歩いて行けば、名古屋くらいまではなにも見ないでも行ける。藤沢から東海道を逆走して大船へという2時間ロスの大失敗も「散歩に無駄足無し!」だからいいのだ。

名古屋から先は下調べしないと無理で、亀山バイパスで翻弄されたり、伊賀に向かって甲賀に着いたり。ついに柘植、月ヶ瀬あたりではiPhoneに頼りまくりで、「気の小さい散歩者。どこが野武士だ」と自分を恥じる。泣き言も入る。そのへんの格好悪さも好感が持てる。わたしより一回りくらい歳下のこのおじさんのこと、気になるな。本が出たらまた読むんだろうなあ。 (柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087714845/dgcrcom-22/ >
久住昌之「野武士、西へ 二年間の散歩」


●続き。やっと繋がったと思えば、携帯は遠くに置いてあり、耳も遠くなりつつあるので速報のことは知らないと。決壊するとしても曲がった場所からだ、遠出して川を見てくるわとの返事。危機感のなさにがっくり。

いや私もきっと勧告では動かないだろう。市は責任回避のため、余裕を持って連絡してくるはずだし、指示になってからやっと腰を上げる感じかな。避難場所まで徒歩3〜5分だし。でも川を見に行っちゃいけないでしょう!

うちにはソフトバンクiPhone二台とドコモ携帯が一台あったが、速報には時間差があった。私のiPhoneが一番最初、次にもう一つのiPhone、ドコモが最後に通知された。10秒差もなかったようだったが、同時に鳴らないんだなぁと、ふと思ったり。

伯母の言った通り、昼には雨は上がり、とても涼しい日になった。川を見に行った父は、近年まれに見る水位だったと言っていた......。緊急速報についてアレコレ言われているけれど、少なくとも「私には」緊張感あって意味のあるものでしたよ〜。(hammer.mule)