装飾山イバラ道[126]UVケアと生体認証システム
── 武田瑛夢 ──

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新しいiPhone 5sが出た。うちではだんなさんが携帯電話を新しくする番なので、喜んでいると思ったらそうでもないみたいだ。5sにしかついていない指紋認証は私はやってみたいけれど、だんなさんはパソコンで既に体験しているのでさほど嬉しくもないのかな。契約時期の都合でしばらくは買い替えられないそうだ。

だんなさんが初めて指紋認証のついているパソコンを買った時は、私もその精度を試してみた。指をスライドさせるタイプのだ。だんなさん本人はすぐに認証され、私は×印で拒否される。

だんなさんは自分の認証の時よりも、私がはじかれることの方を喜んでいたように見えたのは何だったんだろう(笑)。

以前セキュリティについて書いたけれど、電話を持った時点で誰が持っているか判別できるくらいの機能だと、動きの流れも妨げずにすごいと思う。人間の手って眠りに落ちると自然に開いてしまうそうだから、電話を意識的に持っている時だけ本人のアクセスだと認められるようになると不正も防げそうだ。

だって今のように指一本で認証されるなら、寝ている誰かの指を当てて携帯を見ちゃうなんてこともできそうだし。親密な相手には暗証番号よりもセキュリティが甘くなる可能性もある。握っている手の圧力から生体反応を微妙に判定して、確実に起きている人間が持っているとわかる大げさな携帯電話ができればいい。

たかが携帯電話ひとつに、起きている人間かどうかまでわかるような高度な認証システムを乗っけるのはナンセンスだと思われそうだけれど「最初の入り口の鍵」が一番大切なのだ。個人のツールだけではなく、関わりのある人々や企業にも道や履歴が繋がっている時代なのだから。




●生体認証システム

クレジットカードなどは、こっそり情報をカードリーダーに読み込まれてしまうスキミングが怖い。カードをするっと一回、スキマーという機械に通すだけの動作で情報が盗まれてしまう。

現在の指紋認証は、表面の指紋組織の凹凸だけを見ているのではないらしいので、ハンコのように粘土で型を取るようなことでは複製はできないという。しかし、指紋認証のためにスキャンさせるのと同じ品質のスキャナーがあれば、指の情報は読み込めるはずだ。

自分が触れるどこの何かで指がスキャンされているかわからないとしたら......。カードのように表に出すタイミングが限られているものと違って、指は常に隠すわけにはいかないのだ。

目の網膜や手の血管など、人体の一部を使った認証システムは進化しつづけるだろうけれど、鍵と鍵破りの関係もどちらか一方だけが進化することはない。認証を破る技術も同じように進んでしまうだろう。

鍵は一つではなく複数を組み合わせた方がより強固なものとなる。指紋に網膜に暗証番号に声など。

●セキュリティとUV過剰防衛

情報を読み込まれないように、手袋やサングラスなどで自分の身体を覆うことがセキュリティになる時代がくるのかも? それではいよいよ携帯電話を使うときに、手袋や小物を外す必要があって面倒くさそうだ。身体を覆うあまりに一見誰だかわからないという不都合も発生する。

帽子にサングラスにアームバンドと、UVケアが過剰な真夏のおばさんたちのように、見えてるところがほとんどない未来の人々(笑)。

まぁ、私も今年の夏はこのUV過剰防衛スタイルで出かけたけれどね。結局何のための技術の進歩だかわからない感じの未来が見える。

先日映画の「スター・トレック」を見たので思うのだが、物理的に隠すのではなく「電磁バリア」みたいなもので、一切のスキャンから身を守る未来の方がSF的にクールでかっこいいかもしれない。

そうなると、人体情報のスキャンの機会に使われて一番怖いのは「人間ドック」ではないだろうか。どんな未来でも健康チェックは生身の身体でするだろう。丸裸の状態で訳もわからない機械にかかるのだから心配だ。信頼の病院と医師を選ぶしかない(笑)。

心配の妄想を広げるのはこのへんにして我に返るとすると、簡単にスキャンされない情報を鍵にすればこんな心配はいらないのだ。それは一体何だろうか。本人しか持っていないけれど、外からは簡単に見えず、自分も忘れることがなく、歳を取っても変わることがない何か。

簡単に答えを出せるわけがないので、結局このテキストも前回のと同じような結論になりそうだ。技術は進歩して煮詰まると、それ自体がなくても良い状態に行き着くのかもしれない。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/
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首を寝違えたようで、2日ほど首の可動域がだいぶ制限されている感じだ。首が回らないというのは、なってみるととてもやっかいなもの。ある角度になると首が痛むために、首がブレーキをかけて曲げるのを拒否している感じだ。

ネットで対処法を探したら、首というよりも腕や脇の筋肉をほぐすと良いらしく、実践してみたらみるみると良くなった。他の人の経験や知恵にアクセスする方法があるというのは本当にありがたい。横向きで寝るクセがあるので、下になった腕の負担が原因だったのかもしれないな。