[3551] 便利なタブレットPCの最悪Windows8

投稿:  著者:


《ASIMOのホンダならできるぞ「バッテリーマン」》

■ネタを訪ねて三万歩[104]
 便利なタブレットPCの最悪Windows8
 海津ヨシノリ

■グラフィック薄氷大魔王[360]
 足としてのクルマ
 吉井 宏




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ネタを訪ねて三万歩[104]
便利なタブレットPCの最悪Windows8

海津ヨシノリ
< https://bn.dgcr.com/archives/20130925140200.html
>
───────────────────────────────────
最近の定番として、打合せにVAIOを持って行くことが多くなりました。薄くてバッテリーの保ちがいいSDDは本当に便利。もちろん、それ以外は突っ込みどころが満載です。

そもそもWindows8は正直最悪以下です。でも、それを差し引いてもタブレットPCは便利ですね。ただし、細かい処理をしたい場合などで、位置を正確に指定するのが面倒ですし、なによりペンと指の両方に反応してしまう利便性が逆効果となってしまいます。このあたりは、Windows8のアップデートで何とかしてもらいたいところです。

もう少し整理すると、モニターの解像度が高いと映画などを見る場合は美しいのですが、ソフトの場合はメニューの文字がどんどん小さくなってしまいます。その小さい位置をクリックして、更に入れ子になっている下の階層のメニューを正確にポイントし続けることは、かなりのストレスが発生してしまいます。

問題はWindows8が専用のペンだけでなく、指にも反応してしまうことです。小さな位置を慎重に突く作業中に、指を画面にのせることが出来ないわけですから、これはもう傍から見ていると安手のコントのような世界でしかありません。

さて、タブレット部分に気をよくした私は、常用している3Dソフトのmodoをインストールしたのですが、ペンの些細な動きに必要以上に反応してしまい、使い物にならないことが判明。かなりのショックでした。しばらく放心状態といっても過言ではありません。

そこで、ダメ元でfacebook上で参加しているコミュニティーに質問を投げかけてみたものの、直ぐにはWindows8環境で使っている方が現れませんでした。せっかちな私はあきらめめかけたのですが、なんと、実際に使っている方が現れ、Windows8から今までとは違う設定が必要だと説明を受けてビックリ。あっさりと問題は解決してしまいました。

WindowsPCで使う場合は、環境設定で入力デバイスをマウスからタブレットに変更する必要があるそうです。良い勉強になりました。ところが答えがわかった後で、またひと騒ぎになりました。

10年近く使っているmodoの環境設定が、どこにあるのか分からないのです。一度も調整したことがなかったわけです。また英語のマニュアル(日本語マニュアルは新機能解説だけ)も言葉だけで、どこにあるかがイマイチ曖昧。そうして悪戦苦闘すること一時間で、ようやく発見して問題が解決できました。

さて、こうなるとあとはAbobe Creative Cloud(以降はAbodeCC)のインストールです。AbodeCCは今までと違い、登録ユーザーがインストール出来る台数2台の中にOSの限定はありません。つまり、MacとWindowsにインストールするこが可能となっています。

サインアウトでアクチベーションがオフとなり、サインインでアクチベーションがオンになります。この簡単な設定で処理はあっさり行われました。ところが、いざ起動という段階で、どうしてもInDesignだけが起動できません。

起動直後に「Adobe InDesign CCは動作を停止しました。問題の発生を認めプログラムが正しく動作しなくなりました。プログラムは閉じられ、解決策がある場合はWindowsから通知されます。」というメッセージのダイアログが出て「プログラムの終了」以外の選択肢ができなくなってしまいます。

何度も試しましたが結果はいつも同じ。そしてWindowsからは未だに難の通知もありません。何かと当たっているのかも知れませんが、Windows環境でこのような問題が出たら、今までは絶望という言葉しか出て来ませんでした。多分これからも出ないでしょう。少しずつ情報を収集していくしかないですね。

話を戻すと、とにかくSDDは今更ながらとっても便利です。もちろんバックアップを怠らないことが大切ですね。ところでSDDといえば、前回のテキスト以降に大きな問題が発生し、別途SDDのMacBookProを買うことになってしまいました。

事の起こりはリビングのiMacが昇天してしまったからです。たぶん熱暴走が原因だと思います。前夜に妙な音がしていましたので。結果完全にHDDが昇天し、DVDのシステムから起動してもHDDの存在すら確認出来ない状況。初めての経験、そして最悪の結末といった次第です。

ただし、データに関してはTimeMachineで万全でした。初めてTimeMachineの恩恵にあずかりました。もっとも、あまり預かりたくない恩恵ですね。実は前後してiPhoneも壊れてしまうなど、このところApple関連は災難続きです。VAIOに手を出したからかも知れませんね。

とにかく買い換えで迷いはまったくなく、当然VAIOで利便性を認識したSDDが欲しいと言うことで、一番高いMacBookProになってしまいました。そんなわけでiPhone5は当分お預けになりそうです。私はまだiPhone4のままです。

ところで、Apple難の発端となったのは前回少しお話したApple Store Ginzaでのセッションの終了でした。毎月ではありませんでしたが、ここのところセッション終了後に、常連さん達と飲み会をしていました。その流れで9月の第3月曜日にも飲み会をすることになっていました。

本来なら第3月曜日はセッションのある日だったからです。幸い銀座という場所でも安くて美味しいお店を見つけていましたので、とにかく憂さ晴らしの飲み会と楽しみにしていました。しかし、当日は台風直撃の日。facebookのクローズ会議室で情報交換をしながら決行する事に決めました。暴挙ですね。

しかし、蓋を開けてみれば大きな問題はなく(小さい問題はあったかも?)楽しい時間を過ごすことができました。ところが3時間ほどしたところで、お店も賑やかになってきたと思っていたら、突然の停電......。

台風の影響だと思っていたら、いきなりバースデーケーキが出て来てビックリ。参加者からのサブライズでした。見知らぬお客さんにも祝福されるという大ハプニングと、前日が私のバースデーであったことも手伝って、顔は緩みっぱなしになってしまいました。素敵な友達に大感謝の瞬間でした。本当に、本当にありがとうございました。かくして、翌日は人生3度目の二日酔いとなてしまいました。

----------------------------------------------------------------------
■今月のお気に入りミュージックと映画

[Annie Get Your Gun]by Busby Berkeley in 1950(U.S.A)

邦題「アニーよ銃をとれ」。実在の女射撃手アニー・オークレイと、射撃ショーの花形スターのフランク・バトラーとラブロマンス......でもちょっとコメディーのミュージカルです。

主演のベティー・ハットンがとってもキュート。劇中、バッファロー・ビルやフランク・バトラーらに「ワイルド・ウェスト・ショー(Wild West show)」に参加しないかと説得されるミュージカルシーンで4人で歌う「ショーほど素敵な商売はない(There's No Business Like Show Business)」は、歌、演技、それぞれのタミングも含めて本当に芸術の域だと思います。
<
>

[Girl On the Calendar]by Clive Richardson in 1959(U.S.A)

2013年公開のフランス映画「タイピスト」の冒頭でいきなり流れる名曲。なお、曲の制作年や、Clive Richardsonについての情報が乏しく間違っているかもしれません。

とにかく映画のオープニングは、モーショングラフィックスの美しさとこの曲の旋律がベストマッチ。実は私、この映画を知るまでこの曲を知らなかったのです。いや、正確にはうろ覚えだったので、良い雰囲気の曲を使っているぐらいの感覚でした。ちょっと恥ずかしかったかも。

そういえばルイス・アンダーソンの "Forgotten Dreams" が随所で使われているのに、彼の代表作のひとつである "The Typewriter" が使われていないのも不思議ですね。
< http://special.movies.yahoo.co.jp/detail/20130814225698/
>

【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/怪しいお菓子研究家

yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com
>
< http://kaizu-blog.blogspot.com
>

ひょんな事から学生に声を掛けられ、今年の多摩美術大学造形表現学部の芸祭で、学生達とポストカード販売ブースに関わることになってしまいました。さすがに新作を用意できないので、過去の作品やfacebookにアップしたモノの中から数点を印刷することにしました。

多摩美術大学造形表現学部は今年限りで募集を停止てしまいましたので、芸祭はもしかすると今年だけかも知れませんので、よい記念になりそうです。

なお、噂では今年の芸祭から学内のアルコールが全面禁止となるそうです。これも噂ですが、原因は昨年八王子校で事件があったことによるそうです。最近は色々と学生のオバカな行為で炎上騒ぎが連発していますが、正直困ったものですね。

まっ、学内での飲酒はやはり変だと思いますので、これは事件とは別に時代の流れかも知れません。でも、それであればどうして禁煙に出来ないのかと考えてしまいます。学生ではない吸いたい方の場所確保なのでしょうね。色々と。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■グラフィック薄氷大魔王[360]
足としてのクルマ

吉井 宏
< https://bn.dgcr.com/archives/20130925140100.html
>
───────────────────────────────────

●実家での足としてのクルマ

僕の場合、東京でクルマが必要とはまったく思わないから持ってないけど、実家に滞在時にクルマは必需品。公共交通機関どーこーとはあまり関係なく、最も近いコンビニへ徒歩で往復するのに30分以上かかっちゃうんじゃ、否応なしに自前の乗り物が必要。

数年前から親父の軽ライトバンを使わせてもらってる。今風の洒落たワンボックスじゃなく、モロに商用車みたいなヤツ。そりゃあまりかっこよくないけど、座る姿勢が高いから乗り降りがラクだし視界は広いし、なにより軽くて取り回しがいいのが気に入ってたりする。

それでも、ちょっと買い物に行くのでもクルマに乗り込んで駐車場から出すのがウザくて面倒。国道を走ってても、クルマをわざわざ使ってるのがなんか大げさな感じ。こんなでかい機械に乗らなきゃ移動できないのかよ、と?

中古の原付スクーターでも買えばラクなんだろうけど、奥さんはじめ複数人に「人間がむき出しのバイクは危険だからやめなさい」と。はいそうですね。原付乗ってたのはもう20数年前。確かに危険(スクーターがダメなら四輪バギーで決まりだな! と思ったけど、四輪でも体がむき出しなのでダメ〜)。バイクでなく電動アシスト自転車って手もあるけど、せいぜい町内まで。

●超小型モビリティ

以前書いたように、一人を運ぶ自動車といえば僕的にチョロQカーが理想なんだけど、ずいぶん前に生産中止。ほんとに売れなかったらしい。月に1〜2台ってw やっぱ高すぎたんでしょう。あんなサイズの一人乗りEVコミューターで50万円切ってたらバカ売れだろうになあ。

< https://bn.dgcr.com/archives/20120118140200.html
>
< http://www.narinari.com/Nd/2004113597.html
>

ちっとも盛り上がらない「超小型モビリティ」。現在普通に買えるミニEVといえば、トヨタ系の「コムス」しかない模様。ドアがついてればな〜とか、なんで鉛蓄電池なの? とかあるけど、補助金込みで中古の軽並みの価格は魅力的。実家制作が完全に習慣化したのなら、買ってもいいかなと思う。本気で考える頃にはもっといいミニEVがいろいろ出ててほしいな。

< http://coms.toyotabody.jp
>
< http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120702_544318.html
>

●電気自動車のバッテリー

電気自動車は普及しないのか/苦戦の要因と未来への展望
< http://thepage.jp/detail/20130829-00010003-wordleaf
>

なんかちっとも進展しないのね。未だに課題は「航続距離」と「充電」だそう。

以前考えてた「バッテリーを乾電池みたいに規格化してガッチャンコと全部取り替える方式」は非現実だそう。アメリカでのアンケートによれば、バッテリーも自分が買った所有物って感覚なので、見ず知らずの他人のバッテリーと取り替えるのに抵抗あるらしい。バッテリーは高価な上に劣化するの知らないのか? なんちゅう非合理。

ならば、数10キロ程度走れる分の小型バッテリーを標準規格化して、ガソリンスタンドに置いたらどうなの? どこのスタンドに返却していいようにして。そうすりゃバッテリーが切れたり充電時間のこと関係なく、電気自動車でどこでも行ける。スマホの緊急バッテリーみたいなやつでもいいし。

外部バッテリーっても、数10kg以上あるだろうから、床に転がしておくわけにもいかないし、どうやって固定する? って考えたらいい方法があったw 人間型にしておけば、シートベルトで固定できるぞ! バッテリーマン。自分で二足歩行して席に座ってシートベルトを締めるw ASIMOのホンダならできる。

●おまけ。ホンダの初期の軽自動車の展示会

ホンダFIT3のコマーシャル、すごい好き。なんちゅう気持ちよさ。いつも見入ってしまう。
<
>

このCMの情報を見ようとホンダのウェブサイトを見たら、なんと! ホンダの初期の軽自動車の展示会が。『Honda四輪発売50周年 特別企画展 第1回「1960年代〜1970年代 四輪進出を果たした型破りなクルマたち」(Hondaウエルカムプラザ青山で9月28日まで)』! 近くまで行く用事があったので見てきた。
< http://www.honda.co.jp/welcome-plaza/event/2013/20130918/
>

ホンダが四輪車に進出しはじめた頃の40〜50年前のクルマたち。僕的には小学校低学年の頃。近所はだいたいマツダキャロルやスバル360やスズキフロンテなどの初期の軽自動車だった。

父が初めて買ったクルマがN360の白。細かいディテールが懐かしい。小学3〜4年までうちにあったけど、子供の目で見てたからもっと大きいと思ってた。すごい小さい。
< https://pic.twitter.com/ANB3SMLDH4
>

免許取った32年前、乗るならコレって思ってたホンダZ。当時は普通に激安中古で売ってたんだよな〜。今じゃもう貴重なクラシックカー。水中メガネと呼ばれたリヤウインドウも含め、まだ普通にカッコイイ! N ONEみたいにこっちも復活させてくれ〜。
< https://pic.twitter.com/07GZx2znwq
>

カブの四輪版みたいな軽トラックのT360。新車みたいにキレイだった。昔よく見かけたなあ。顔がカエルみたいでカワイイ。しかし、このサイズ感はたまらん。今乗りたい。
< https://pic.twitter.com/XFSDbJGVvp
>

ワーゲンビートルやミニのリニューアルみたいにN360を復活させたN-ONE。かっこ良すぎて自分でほしいとかの現実感がないw 白がいいと思ってたけどこの色はいいな。
< https://pic.twitter.com/unmZarc9Bv
>

s800とかのスポーツカーには目もくれず。あ、ステップバンの写真撮るのを忘れた。

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com
>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
>

Web上の某所に僕の3Dプリント作品のストアがオープンしてるんだけど、いくつか不具合があって、修正されるまでちゃんと告知できないのが残念〜。早くお知らせしたい〜!!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記(09/25)

●かつて映画「インセプション」DVDを少し見ただけで、こりゃアカンさっぱりわからないと投げ出してしまった。こんなことは滅多にない。よほどイライラしてたのか。さて、「ものすごい才能が出現した。めくるめく迷宮感覚と独創性は『インセプション』を凌ぐ。2010年代を背負って立つ、最強の新人だ!」と絶賛するのは大森望。この人がこういうんだから読まなくては。乾緑郎のSF「完全なる首長竜の日」(宝島社)である。2011年第9回「このミステリーがすごい!」大賞作品だ。この小説が書かれたのは「インセプション」公開以前である。

たまたま宝島社の新聞広告で、歴代の大賞作品が紹介されていたので読んでみた。少女漫画家の和敦美は、自殺未遂で植物状態になった弟の浩一と、SCインターフェースという機器を介する最新医療技術センシングにより、対話を続けている。SCインターフェースの仮想世界で実体化した浩一は、「なぜ自殺を図ったのか」という敦美の問いかけに答えることはない。やがて謎の女性が浩一と接触したことにより、敦美の周囲で不可解なことが起こり始める。

ヒロインの漫画家、アシスタント、担当編集者による日常は極めてリアルでとても興味深い。一方、センシングで敦美が見る世界はどんな現実味があっても現実ではない。だが、次第に仮想と現実の境界線は崩れ始める。どちらが夢でどちらが現実かも判然としない。度々出てくるキーワードが「胡蝶の夢」である。荘周という人が夢の中で蝶になったが、それはもしかしたら蝶が見ている荘周の夢かもしれないという、中国の故事だ。ヒロインがそんな状態だから、読んでいる者にとって、現在のシーンは虚構か現実かの区別がつかなくなる。ちょっと戸惑うが、その現実崩壊感覚は気持ちよくもある。

そして意外な結末。こういうことだったのか〜(じつは予測してたけど)。幼い弟が海で溺れるシーンは何度も繰り返される。その弟が自殺未遂で植物状態になったという設定は妙だなと途中で気がついたが、いちおう納得できる。しかし、何度も語られるいくつかの印象的なビジュアルは収束されていないような気がする。この作品は黒沢清監督で映画化された。姉と弟という設定を恋人にしたほか、大幅な変更を加えているようだ。DVDがレンタル開始したら見なければ。また「インセプション」も再挑戦しなければなるまい。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4796687874/dgcrcom-22/
>
乾緑郎「完全なる首長竜の日」


●大阪マラソンの参加案内が来た。チャレンジランなので、走るとは言いづらいが、走ることは走る。が、もう一か月切ってるぞ。仕事でてんてこ舞いで、もう一か月ぐらい走っていないのではあるまいか。せっかく毎日6km走れるようになったのに、また2kmぐらいからスタートか。来月はじめからリスタートしたい。したい。したい。このままではヤバし。完走のタオルとメダルが欲しいなぁ。 (hammer.mule)