[3562] ヤッホーと山へゆく の巻

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《え? 癒しと模型とどう関係すんのよ?》

■わが逃走[131]
 ヤッホーと山へゆく の巻
 齋藤 浩

■3Dプリンタ奮闘記[20]
 3Dプリンタの活用・番外編その5 日本のモノ作りの精神
 織田隆治




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■わが逃走[131]ヤッホーと山へゆく の巻

齋藤 浩
< http://bn.dgcr.com/archives/20131010140200.html >
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極親しい間柄で地殻変動好きの年上の女性Aさんが、「氷河にえぐり取られた地形を見に行くわよ」と言うので、千畳敷カールまで行ってきました。断っておくが登るのではなく、あくまでも見に行くのである。木曽駒ヶ岳。

朝早く家を出て中央高速の駒ヶ根インターで降り、すぐ近くの駐車場に車を停めると、そこがバスの発着場になっている。

このルートは自然保護の観点などから一般車両の乗り入れが規制され、観光客はここからバスとロープウエイを乗り継いで、目的のえぐられた地形までゆくのである。

ラクして3000メートル級の迫力ある山を目の当たりにできる幸せ。

この日の午前中のお天気はぎりぎり晴れ。標高に従って色が変わる木々を眺めつつ、駒ヶ岳ロープウエイの頂上駅、『千畳敷駅』に到着したのは10時半すぎだった。

標高2612m。駅の建物はそのままホテルになっており、まるで『女王陛下の007』に登場するスペクターの基地のようだ。

ツアー客は慌ただしく土産物を買い込み、周辺を歩いらすぐに次の目的地へ行かなければならないが、我々はここに泊まるのでゆっくりと大自然を鑑賞する。

おお、まさにえぐりとられた地形。でかい。高い。美しい。

真正面にそびえ立つ屏風の真ん中のへっこんだところが『乗越浄土』で、ヤマノボラーの人たちはそこから尾根づたいに中岳 、木曽駒ヶ岳をめざすのだそうな。

見渡すと下界はまだ夏だったのに、ここではすでに紅葉もはじまっている。空が近い! 雲が近い!
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/10/10/images/001.jpg >

ホテルで荷物を預かってもらい、ちょっとそのへんを散歩してみる。

周囲には一周40分程度の遊歩道があり、高山植物等を保護しつつ、安全に散策できるよう整備されていた。

てくてく歩きながら屏風を見上げるもよし、ノリによっては乗越浄土まで登る! というのもアリか。

しかしこの旅はあくまでも山を間近から鑑賞することが目的なので、調子こいて無理をしてはいけない。我々は素人なのだ。

一応トレッキングシューズをはいてるし、リュックの中にはウインドブレーカーも水も食糧もあるので、なんとなく登りつつ、疲れたところで引き返すと決めた。右に見える建物が『ホテル千畳敷』。
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半分くらい登ったところで、極親しい間柄の年上の女性Aさんがリタイヤ。どうやら急激に高いところまで来たので、軽い高山病にかかったらしい。

モテる男なら一緒に戻るが、オレは「んじゃまた後でねー」と言いつつそのまま乗越浄土まで登ってゆく。

到着したのはスタートのだいたい50分後くらい。ほどよい運動量といえよう。ポテトチップスの袋がパンパンにふくれるだけのことはある。屁が良く出る。それに呼応するがごとく、突然ガスが出てきた。

最近の天気予報はよく当たる。今日の午後からは曇りの予報だ。あっという間に辺りは真っ白になり急に気温が下がってきた。山の天気は変わりやすいのだ。
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その日はそのまま下山し、ホテルで夕方5時まで泥のように眠る。極親しい間柄の年上の女性Aさんも元気に寝ている。ひとっぷろ浴びて食事、そしてまたぐっすりと眠った。

翌日。あまりによく寝たので朝5時頃目が覚める。窓の外を見ると、雲海が広がっていた。昨日はこの雲の下からロープウエイで登ってきたことになる。

徐々に外が明るくなってくる。よく見ると甲斐駒や北岳の頂が雲から顔を出し
ている。
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残念ながら御来光は見えなかったが、雲の合間から富士山頂が!(*注 この写真ではほとんど見えませんが)

そして千畳敷を見ると、昨日と比べて明らかに紅葉が進んでいる。おそるべし大自然。

さて、気合いの入ったヤマノボラー達はすでに山頂をめざしている訳だが、山鑑賞にきた我々は部屋に戻って二度寝し、朝食の後ゆっくり9時にチェックアウト。

今日もいい天気だ。青空に月。
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極親しい間柄の年上の女性Aさんは昨日とはうってかわって元気になったことだし、ノリと勢いで乗越浄土をめざすことにした。

真正面のへこんだところが乗越浄土。
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振り向けば富士山
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で、乗越浄土到着。標高2860m。天気がいいってイイもんだなあ!
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非日常的風景を写真で見ることはすでに日常であるが、非日常的風景を目の当たりにすることはまさに非日常。もう、何言ってんだかわかんないくらいな体験である。

これから尾根伝いに山頂を目指すと、それは『山鑑賞』でなく『登山』になってしまうので今回はここで引き返したが、そういうのも悪くないかもな、なんて思わなくもない齋藤浩であった。

そういえばヤッホーと言ってる奴は誰もいなかった。もう流行らないのか。

【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
< http://tongpoographics.jp/ >

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。


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■3Dプリンタ奮闘記[20]
3Dプリンタの活用・番外編その5 日本のモノ作りの精神

織田隆治
< http://bn.dgcr.com/archives/20131010140100.html >
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これはホビーユースにも求められることだが、3DCGや3DCADが出来るからといって、3Dプリンタがすぐにスラスラ使える、というわけにはいかない......これまでさんざん書いて来たことだ。

そこで、これからは3Dプリンタの出力を理解していて、その特徴を生かして出力も出来る人の需要が必須になってくるのは間違いない。

出力センターのような所も今後色々と出て来るだろうし、家電量販店にも3Dプリンタが並び始めていて、出力の失敗を身を持って知り、そういった知識を身に付けていくことが重要だ。

ホビーユースでの3Dプリンタについては、ワンフェス等の造形イベントでも、かなりの頻度で3Dプリンタが出展され、3Dプリンタで出力した造形物が並び出している。

そういったホビーユースでの出力にも、Zプリンターのようなフルカラープリンタや、光造形等の繊細な造形物を出力できるプリンタでのサービスをしてくれる所も増えて来た。

何を隠そう、この僕も、今月新しい高精度の光造形のプリンタを導入し、そういった出力サービスにも対応して行くつもりでいる。当然、僕自身の造形物も、今後プリンタを使っていくものも増えていくと思う。

このまま、3Dプリンタを一時のブームで終らせないためにも、色々とアイデアや計画を立てていくつもりだ。

今のところ、家電量販店での販売は、やはり3Dデータの扱いが難しいことから、爆発的に売れる! という訳にもいくはずもなく、客寄せパンダ的要素が強い。

日本製の3Dプリンタもチラホラ聞かれるようになり、今後の展開には、色々と知恵を絞っていかなければならない。

要はアイデアなんですよね。これ必須。

どんなに凄い機械でも、生かすも殺すも、使う人、使うアイデアだ。そういったアイデアを形にしていく場所も、まだまだ足らないと思っている。

確かに、色々と3Dプリンタを触ったり、見たりできる所が増えては来ている。しかし、そこを中心としたコミュニティ、もしくはビジネスにつなげる、という点では、まだまだ発展途上の観は否めない。

何をするにも、そういった大きな動きが必要なのだ。関東ではそういう動きがチラホラと見られようだが、関西はどうだ? 全国的にはどうだ?

物作りをする町工場、デザイナー、メーカー、すべてをうまく繋げ、日本のモノ作りを発展させていく動きを起こさないといけない。そういった動きに、微力ながらも参加、牽引していこうと思い、僕は今色々とチョコマカ動いている。

日本のモノ作りの精神、大事にしたいですよね。まだまだやりたいこともあるし、やらないといけないと思ってます、はい。言うだけでなく、まずは自分から動く必要があるんだな、これが。

最近、模型製作の仕事が異常に増えてきている。これまでは、3DCGでの業務がメインで、模型はオマケ的要素が強かった。今、逆に模型製作の業務が半分以上を占めるようになってきた。

この世知辛い世の中。みな癒しを求めているのね、と感じるのである。

え? 癒しと模型とどう関係すんのよ? と言われるかもしれない。しかし、それがどうしてそうなのである。

これまでは、高度な3DCGを使ってモニターの中でARやプロジェクションマップ、といった表現がもてはやされて来た。しかし、それは基本的に仮想現実なのである。

模型の「実在する存在感」というものに、ホッとする真理が働いている気がする。昨年だったか、映画や映像に使用されるプロップやジオラマ、着ぐるみの展示が行われた。僕も同然、東京まで見に行った訳だが、やはりその存在感は凄いものがある。

CGバリバリという物より、目の前に実在し、見て触って(展示には触れないですけどね)ということが出来る模型の力を感じた。

今年だけでも、僕が製作したジオラマは5件。模型に至っては10点を超える。そういった面でも、3Dプリンタの底力を感じるのである。

模型っていいよ! 何より見てワクワクするし、集客力もハンパないです。

【織田隆治】FULL DIMENSIONS STUDIO(フル ディメンションズ スタジオ)
< http://www.f-d-studio.jp >

本当、最近模型製作ばっかりです。すごく楽しい!たまには3DCGもやらないといけないな......と思う今日このごろです。


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編集後記(10/10)

●樋口裕一「バカに見える日本語」(青春新書、2012)を読む。頭の悪い日本語をたくさん集めている。ごまかしの日本語、自己チューな日本語、距離感がわかっていない日本語、ワンパターンな日本語、理性のない日本語が約70。どこがだめなのかを解説して、処方箋を添える。「バカに見える日本語」を封印し「頭のよく見える日本語」を使えるようになれば、必ず評価が上がるという。特に新しい視点ではないが、就活学生や新社会人は一応読んでおきたい本だ。「バカに見える日本語」は若者が多く使うものだと思っていたら、半分くらいは今のわたしにも思い当たる。「そんなこと、わかりきった話だ」とか。

筆者は「日本人の心のふるさと」という表現を、日本人を一律化したあまりにも陳腐な日本語、と断じている。何10年も前から使い古された表現であり、幼稚な言葉とさえ言える。「日本人の」と一律化するのはおしつけがましい。厚かましい。そういった指摘に異論はない。また「心のふるさと」の「ふるさと」という言葉を振り回すのは個人的に嫌悪感を覚える、という。その感覚はわかる。だが、そのルーツを唱歌「故郷」にあるというのには違和感を覚える。

「唱歌『故郷』で歌われる情景はありもしないものであり、幻想でしかない。そこに憧れを持つことは、ないものねだりをしているようなものだ」と、悲しいことを言う。「故郷」の歌詞のすべては、わたしにとって完全なリアルである。中二現役ならいざしらず、筆者だって大分生まれの63歳なら、ありもしない情景とは言えまい。「故郷」のメロディと詞は、ジメジメベタベタしている印象が強い、ある種の押し付けがつきまとう、だから好まないと言う。まあ、個人的な感覚には反論しないけれど。

3.11以後、コンサートの終りにみんなで「故郷」を合唱する光景が増えたという。嗚呼、これは押しつけがましい。いや、押しつけそのものだ。そういう陳腐な何も考えていない構成はもう勘弁して欲しい。わたしの妻と娘による「故郷」は絶品だという(当事者談)。さもありなん。片方は専門家だし。一度聴きに来いと執拗に誘われるのだが、カラオケは嫌いだと拒否し続けている。ところで、初音ミクの「故郷」を聴いて涙ぐんでしまった。「仰げば尊し」もよかったな。あ、古くて懐かしい歌もいろいろ。ハマりそうだ。   (柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4413043545/dgcrcom-22/ >
樋口裕一「バカに見える日本語」


●続き。採点ボタンを押すと、その場で合否がわかり、不合格の場合3回まで受験OK。点数が出て、どの問題を間違ったかは見られるが、正答が出るわけではない。

80点以上で合格で、76点であった。1回で通ると思っていたから悲しい。時間がないからと、計算問題は計算せずに適当に選んでいた。他の問題も全文は読まず斜め読みし、たとえば文章が正しいかどうか問われる場合、間違っている部分を見つけたら後は読まないで回答。もっと真剣に取り組みましょう。

2回目の受験では、問題の順番や回答の並びはシャッフルされてしまう。問題のタイトルと番号はあるので、それと回答した内容をメモしておくのをおススメ。1回落ちて学んだ。自分の間違った答えがあれば、選択肢が減るから合格しやすい。メモっとけば良かったなと。計算問題は2回目も適当に選んじゃったけどね。94点と93点だったよ。(hammer.mule)