[3576] 趣味の構造美の巻 その2

投稿:  著者:  読了時間:13分(本文:約6,400文字)


《この写真を絶賛してくれる人がいる、そうでない人も多数》

■わが逃走[132]
 趣味の構造美の巻 その2
 齋藤 浩

■3Dプリンタ奮闘記[22]
 新しい3Dプリンタがやってきた。ヤア!ヤア!ヤア! その2
 織田隆治




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■わが逃走[132]
趣味の構造美の巻 その2

齋藤 浩
< http://bn.dgcr.com/archives/20131031140200.html >
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8月に書いた(というか写真を見せびらかした)『趣味の構造美』の続きです。前回は10年ほど前に撮った写真中心でしたが、今回はここ1〜2年に撮った「装飾を持たず、必然から生まれた構造物のコレクション」を紹介したいと思います。

うすださん
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/10/31/images/001.jpg >

あの小惑星探査機『はやぶさ』や宇宙帆船『イカロス』等の通信施設としても有名な、臼田宇宙空間観測所のパラボラアンテナ。直径64メートル。はやぶさが行方不明になっていた際、発見の手がかりとなる微弱な電波を受信したのもこの『うすださん』。後姿もたのもしい。

先週水曜の瓦屋根
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/10/31/images/002.jpg >

友人の事務所を訪ねて某ビルの9階に出向いた際、外階段から見下ろした風景がこれ。何世代も前から生きながらえていた木造家屋の瓦屋根が、絶妙なグラフィックパターンを見せてくれた。

昔はあたり一面がこんな感じだったのだろう。こういった日本独自の美が失われているのは寂しいかぎり。

デススター的
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/10/31/images/003.jpg >

U字溝ブロックを並べて車止めにしている。

この物件には以前からミニマルな美を感じていたのだが、先日しゃがみ込んで覗いてみたところ、「スターウォーズ」のデススター攻略線的パースペクティブ! な世界だった。

「おお!」とか感嘆の声をあげながらシャッターを切るオレの姿は、さぞ怪しかったことだろう。通報されなくてよかった。

とろける階段
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/10/31/images/004.jpg >

神楽坂にて発見。

人が上り下りするうちに、石がすり減って独自の曲面が生まれるような例は知っていたが、これは左官屋さんがノリで作った印象がある。

そして踏み面すれすれに窓が。窓に合わせて階段ができたのか、階段に合わせて窓ができたのかは不明。

扇形階段
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/10/31/images/005.jpg >

尾道にある美しい階段。こんど行くときは、超広角レンズで全体像を記録したいところ。

尾道の駐車場の壁
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/10/31/images/006.jpg >

究極のミニマルな美だと思う。この写真を絶賛してくれる人がいる反面、そうでない人も多数。

世代交代による土地の切り売りの影響か、地方都市においてスライスされた木造建築をよく見かける。

四半世紀前の東京がそうだったように、この駐車場もほんの少し前までは昭和な佇まいの家屋と庭だったのだろう。

経済主導で風景がなくなるのは嘆かわしいことであるが、この瞬間に限って言うなら、真新しい駐車場のペイントとスライスされた家屋の断面に時代の境界を感じなくもない。

まあただの壁と地面と言われちゃあそれまでなのだが。

軽井沢の駐車場脇の壁
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/10/31/images/007.jpg >

同じ駐車場脇の壁ではあるものの、おそらく尾道とは異なるシチュエーションで出現したと思われる。

店舗拡張かなにかで後から駐車場を作ったところ、本来人目にさらす予定のなかった隣家の壁面が公の場に、というパターンだろう。

化粧気もなく素朴だが、油絵のタッチのような力強さを感じる美壁。

恐竜×3
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/10/31/images/008.jpg >

某公園にて。仲のよい恐竜がみんなで同じ方向を向いてる。

面白い彫刻だなあ! と思ったけど、よく見たらそういう訳でもないみたい。ネタをばらせば、ベンチの骨組みだけ残ったものだが、このような、"作為"とは無縁の立体造形こそ、かえって印象に残ったりする。

公園といえば唐突に裸の銅像が立ってたりするけど、オレはこの恐竜の方が好き。

今回の写真は50年前のフィルムカメラで撮ったものもあれば、最近のデジタル一眼レフで撮影したものもあります。

しかし、いずれもあまり考えすぎず、素直にシャッターを切ったものはわりと思いどおりに撮れてるものだなあ、などと思う今日この頃です。

とくにデジタルカメラの場合は撮ってすぐに画像を確認できるので、一枚目を参考に二枚目以降は冷静に構図や露出を微調整してゆくものですが、イイ! と思った感動は後になるほど薄れるらしく、ほとんどの場合一枚目が"当たり"でした。

この『趣味の構造美』、気がつけばけっこうな量になっていたので、日の目を見せるべく某写真コンペに出品してみようかと思います。

無事写真展までこぎつけたあかつきには、皆様のご来場を心よりお待ちしております。オリジナルプリントの販売もできたらいいなあ。夢はおおきく。

【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
< http://tongpoographics.jp/ >

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。


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■3Dプリンタ奮闘記[22]
新しい3Dプリンタがやってきた。ヤア!ヤア!ヤア! その2

織田隆治
< http://bn.dgcr.com/archives/20131031140100.html >
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さて、前回はobjet24が搬入された時の事を述べた訳だが、今回はちょっと使ってみた感想について書いてみよう。

前回も述べたが、objetシリーズの特徴は、高精度の3Dプリントが出来る事だ。UV硬化タイプの3Dプリンタは、主に二種類がある。

液体を薄く敷いた所に、プロジェクターでその断面を照らし、紫外線が当たった所のみが硬化するタイプ。

このタイプはプリントして固まったものをつり下げる。何故かと言うと、当然液体(だけじゃないけど)は重力により下に溜まる性質があり、次に敷いた液体から、個体になった樹脂を離すには、上につり上げる必要があるからだ。

そして、edenやobjetのようなインクジェット方式のUV硬化式の3Dプリンタは、その名の通り上から断面を固まった樹脂の上に散布して、一気に紫外線を当てて硬化させる。このため、上から重ねて行く方法になる。

オーバーハングになっている所は、サポート材が必須となるが、このobjetのサポート材は柔らかく、羊羹のような触感だ。これは、手で容易に剥がす事が出来る。

前回も触れたが、基本、ウォータージェットで取り去る事になっており、水洗いと固めの歯ブラシでも大丈夫だ。少し面倒なのではあるが...。

まあ、強アルカリ溶液とか、ヤバそうな溶液を使わないで済むのはとてもありがたい。

完全に取るのは結構難しく、溶剤や洗剤等を試してみる事が必要で、それは今後の課題だろう。

まあ、紙ヤスリ等で削ってしまえばいいのだが、出来ればサポート材を完全に溶液だけで取り去りたい。塗装や仕上げをする際にハガレの原因になるからだ。

それから、UV硬化樹脂だが、硬化した後のヤスリ加減が凄く気持ちいい。軽くこすればかなりきれいな表面になる。

PLA等は結構固く、しかも融点が低いので、表面処理に時間と気合いがとても必要だが、このUV硬化樹脂の切削性は個人的に凄く気に入ってしまった。

アクリルライク、みたいな感じで、しかもアクリルのように固すぎず、適度な弾力があって使いやすい。

但し、ABSやPLAといった樹脂よりは弾力性に欠ける性質があるので、面やエッジはカッチリ出が、薄い所は折れやすいので気をつけたい。

メーカー基準では、0.6mmの壁が立ち上がる、との事だが、0.5mmでも高さがあまりなければ行けそうな感じがする。

まあ、実際に0.5mmの壁面が、そんなに高く立ち上がるような構造の物ってあんまりないので、わざわざ検証する必要もそれほど感じない所だ。

紫外線硬化樹脂の弱点は、やはり気温等の変化による変形、と言われているので、こちらの方も検証していきたい。

それによって、このプリンタで出力した物が、どういう用途に使用出来るか、が変わって来るからだ。

塗装はどうか。同じもので、塗装したものと、しないものでの変化はどうか。

溶剤にたいする耐性はどうか。これが分かると、どんな塗料を使えば密着するか、等が分かるので、製作がしやすくなる。

接着は何を使えば良いか。接着に関しては、ジクロロメタンや二塩化メチレン等のアクリル用接着剤では溶解しないようで、今の所は瞬間接着剤の使用が一番適しているように思う。

本来なら、ちゃんと溶解して接着したいところだが、こればかりは性質なので仕方ない。また、色々と溶剤を試してみようと思う。

上記以外にも、まだまだ特性を知るには沢山試してみなくてはならない。

3Dプリンタから出力して、ハイ! って渡すだけならいいのだが、僕の場合はもっと使いこなしたいと考えるので、そういった探求も必要になってくる。

今の所、実は先週事務所を引っ越ししたばかりで、塗装ブースの方がまだ出来ておらず、まずはそのハコモノから製作をしないといけない現実があるのだ...。

塗装ブースについてもちょこっと書いてみるのも良いかも。プラモデル作る人にも参考になるかもしれません。

まだ段ボールが積まれているオフィス...。早くなんとかせんといかんです。模型製作には必須だし、これからはもうちょっと幅を広げて、3Dプリンタ以外の事も触れて行きたい。

実は今、来週は筑波大学での講義があるので、原稿執筆がバッティングしてちょっと大変です...はい。

でも、もしかしたら、こんな僕の記事でも楽しみにしてくれている方が、この中に1〜2人くらいはおられるかもしれないので、なんとか頑張らないと。って、思う今日このごろです。

【織田隆治】FULL DIMENSIONS STUDIO(フル ディメンションズ スタジオ)
< http://www.f-d-studio.jp >

面白いなぁ。3Dプリンタ。色々でてくるし。原稿書いてる時間にも触りたい! でも、ちゃんと伝えるための文章も書かないとね。


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編集後記(10/31)

●またまたしょうもない映画DVDを見てしまった。無駄に時間をつぶしてしまったと後悔しているわけではない。あまりの出来の悪さを怒っているわけでもない。そういうのを好んで見るのだから自己責任だ。もっとも、レンタルショップの全品100円サービスデーでは、朝一番で殆どの新作DVDはパッケージしか残らない。わたしが行く頃は、マイナーな作品しかない(たまに新作も補充されるが)。まあ、それが狙いという変な客だ。今回はジャッキー・チェンの「ライジング・ドラゴン」も見たが、それはさておき、蜘蛛パニックと洞窟ホラーのふたつを。

「スパイダー・シティ」は地震でできた穴から出て来た、地底に棲むクモが大暴れという話だが、クモのサイズも最後には巨大になるがとりあえず小型で、シェールガスを体内に貯え火を吹き(笑)、人間の身体に潜り込むといった程度で、形状もロボット風(へたなCG)の全然不気味ではないヤツ。せいぜい10数人ほどの主な出演者のいる、ロケ隊の周辺だけ少数のクモが出るだけだから、緊張感がまるでない。モンスターでもパニックでもなんでもない映画だった。

洞窟ホラーは「ディセント ザ・ダークサイド」。ホラーとして評価が高い「ディセント」シリーズ2作とは無関係、邦題でタイトルだけ便乗している。もちろん、内容は惨憺たるもので、「絶望より深い底へ」なるキャッチフレーズが、結果としてピッタリ。兄弟が偶然見つけた洞窟の奥に、中を覗けるほどの穴があいている。この穴から奥へもぐり込み、怖い目に遭う話だなと容易に予想がつく。その後は小穴を拡げる作業と、何度も洞窟に出入りするシーン、兄弟喧嘩のシーンが続き、いったいいつになったらホラーになるの。

穴を拡げて人ひとりがようやくもぐりこめるようになる。途中で腹がつかえて身動き出来なくなる。息苦しい。なんとか中に入るが、暗闇の先に何が待ち構えているかわからない。何物かに襲われて必死で逃げ帰り、ようやく穴から這い出す。中にいるのは地底人らしいが、暗いからわからない。正体がわからないまま、意味ありげに見せた洞窟に人が住んでいたらしい痕跡の意味もわからぬまま、弟一人が脱出して終わる。2/3まで退屈、のこり1/3が暗くてよくわからない。予告編では「スティーブン・キング絶賛」なんて煽りも入ったが、どこに絶賛したんだ。

借りていたDVDを返す日がたまたま雨だった。自転車で行くのいやだなあと思っていたら、ちょうどその方面のスーパーに車で買い物に行くから、ついでに返して来てあげると娘が言う。渡りに舟でDVDを出したら、「あんたがレンタルするDVDは、クモだの蛇だの宇宙人だの変なタイトルばかりで、返すとき恥ずかしいよ」と苦情を言われた。前にもあったな、こんなこと。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00CIPA5BE/dgcrcom-22/ >
スパイダー・シティ
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00DM2X7XK/dgcrcom-22/ >
ディセント ザ・ダークサイド


●日曜日は大阪マラソンのチャレンジラン(8.8km)に参加してきた。仕事が詰まっていて練習や準備ができず。最後の練習は月曜日で、帰宅してすぐに倒れてしまう。無理したつもりはないんだけれど。雨が続き、金曜日の朝は一時的に雨が止んでいたのだが、身体動かず断念。本番への不安を持ちつつ、土曜日は前日ということで練習は避け、ゼッケンをもらいにインテックス大阪へ。

地下鉄の中、それらしき人が増えていき、気持ちが高ぶる。受付はスムーズ。受付の老齢の女性に「初めて走られるの?」と聞かれ、「はい。マラソン大会に出るのも初めてです」と答えたら「まぁ。楽しんでらしてね」。他の受付の人たちからも「頑張ってね」と笑顔で応援され、暖かい気持ちになった。

参加Tシャツはスポンサーのミズノのクールもの。普通の綿Tシャツじゃなくて良かった。これなら普段のジョギングでも着用できる。大会当日に着用している人たちをたくさん見かけた。チャリティマラソンで、何に対して寄付したかわかる色つきバンドをつけて走るはずが、海外からの納品が遅れているとのことで後日送付になっていた。続く。(hammer.mule)