3Dプリンタ奮闘記[22]新しい3Dプリンタがやってきた。ヤア!ヤア!ヤア! その2
── 織田隆治 ──

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さて、前回はobjet24が搬入された時の事を述べた訳だが、今回はちょっと使ってみた感想について書いてみよう。

前回も述べたが、objetシリーズの特徴は、高精度の3Dプリントが出来る事だ。UV硬化タイプの3Dプリンタは、主に二種類がある。

液体を薄く敷いた所に、プロジェクターでその断面を照らし、紫外線が当たった所のみが硬化するタイプ。

このタイプはプリントして固まったものをつり下げる。何故かと言うと、当然液体(だけじゃないけど)は重力により下に溜まる性質があり、次に敷いた液体から、個体になった樹脂を離すには、上につり上げる必要があるからだ。

そして、edenやobjetのようなインクジェット方式のUV硬化式の3Dプリンタは、その名の通り上から断面を固まった樹脂の上に散布して、一気に紫外線を当てて硬化させる。このため、上から重ねて行く方法になる。

オーバーハングになっている所は、サポート材が必須となるが、このobjetのサポート材は柔らかく、羊羹のような触感だ。これは、手で容易に剥がす事が出来る。




前回も触れたが、基本、ウォータージェットで取り去る事になっており、水洗いと固めの歯ブラシでも大丈夫だ。少し面倒なのではあるが...。

まあ、強アルカリ溶液とか、ヤバそうな溶液を使わないで済むのはとてもありがたい。

完全に取るのは結構難しく、溶剤や洗剤等を試してみる事が必要で、それは今後の課題だろう。

まあ、紙ヤスリ等で削ってしまえばいいのだが、出来ればサポート材を完全に溶液だけで取り去りたい。塗装や仕上げをする際にハガレの原因になるからだ。

それから、UV硬化樹脂だが、硬化した後のヤスリ加減が凄く気持ちいい。軽くこすればかなりきれいな表面になる。

PLA等は結構固く、しかも融点が低いので、表面処理に時間と気合いがとても必要だが、このUV硬化樹脂の切削性は個人的に凄く気に入ってしまった。

アクリルライク、みたいな感じで、しかもアクリルのように固すぎず、適度な弾力があって使いやすい。

但し、ABSやPLAといった樹脂よりは弾力性に欠ける性質があるので、面やエッジはカッチリ出が、薄い所は折れやすいので気をつけたい。

メーカー基準では、0.6mmの壁が立ち上がる、との事だが、0.5mmでも高さがあまりなければ行けそうな感じがする。

まあ、実際に0.5mmの壁面が、そんなに高く立ち上がるような構造の物ってあんまりないので、わざわざ検証する必要もそれほど感じない所だ。

紫外線硬化樹脂の弱点は、やはり気温等の変化による変形、と言われているので、こちらの方も検証していきたい。

それによって、このプリンタで出力した物が、どういう用途に使用出来るか、が変わって来るからだ。

塗装はどうか。同じもので、塗装したものと、しないものでの変化はどうか。

溶剤にたいする耐性はどうか。これが分かると、どんな塗料を使えば密着するか、等が分かるので、製作がしやすくなる。

接着は何を使えば良いか。接着に関しては、ジクロロメタンや二塩化メチレン等のアクリル用接着剤では溶解しないようで、今の所は瞬間接着剤の使用が一番適しているように思う。

本来なら、ちゃんと溶解して接着したいところだが、こればかりは性質なので仕方ない。また、色々と溶剤を試してみようと思う。

上記以外にも、まだまだ特性を知るには沢山試してみなくてはならない。

3Dプリンタから出力して、ハイ! って渡すだけならいいのだが、僕の場合はもっと使いこなしたいと考えるので、そういった探求も必要になってくる。

今の所、実は先週事務所を引っ越ししたばかりで、塗装ブースの方がまだ出来ておらず、まずはそのハコモノから製作をしないといけない現実があるのだ...。

塗装ブースについてもちょこっと書いてみるのも良いかも。プラモデル作る人にも参考になるかもしれません。

まだ段ボールが積まれているオフィス...。早くなんとかせんといかんです。模型製作には必須だし、これからはもうちょっと幅を広げて、3Dプリンタ以外の事も触れて行きたい。

実は今、来週は筑波大学での講義があるので、原稿執筆がバッティングしてちょっと大変です...はい。

でも、もしかしたら、こんな僕の記事でも楽しみにしてくれている方が、この中に1〜2人くらいはおられるかもしれないので、なんとか頑張らないと。って、思う今日このごろです。

【織田隆治】FULL DIMENSIONS STUDIO(フル ディメンションズ スタジオ)
< http://www.f-d-studio.jp
>

面白いなぁ。3Dプリンタ。色々でてくるし。原稿書いてる時間にも触りたい! でも、ちゃんと伝えるための文章も書かないとね。