3Dプリンタ奮闘記[23]3Dプリンタと3DCGとフィギュアと私と
── 織田隆治 ──

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私事ではありますが、ワンフェスなんかのフィギュアイベントに出る際の原型制作は、もっぱら手作りで! ってな感じでやってきました。前にも書いてきた通り、最近では3Dでモデリングしたものを、3Dプリンタで出力して仕上げたものが増えてきています。

メカとかロボットが主流でしたが、最近ではZbrushというソフトなんかを使ったクリーチャーや美少女なんかも結構増えてきて、かなりのデイーラーさんが3Dプリントしてます。

僕は、基本手作りを主流していましたが、やっぱりメカ物は3Dプリンタで出力すると楽なんですよね。どう楽かって言うと、やっぱり「左右対称な物が、キッチリ出来る!」これですね〜。

これまでは、展開図を書いて、図面をプラ板なんかに写して、それをカットして、貼って、削って...... と結構、というかかなり大変な作業でした。それでも、やはりうまく左右対称にならない事なんかがあったりして、ウッキ〜〜〜〜!っとなってた訳です。

しかし、それを3Dプリンタで出力するとなると、CGソフトで「左右反転複製!」という魔法の道具で、一発で左右反転のパーツが出来ちゃう訳ですよ。奥さん。すっばらしいですねぇ。




そのデータを出力に出して、しばらく待っていると、きれいに左右反転された立体が出来上がるんです。どうしても積層痕が出るので、それをヤスらないとダメなんですが、手作業で左右反転物を作るよりは「断然楽!」「すごい楽!」なんですね。

僕もその誘惑に負けてしまいました。人間、楽な方に流れていってしまうのです、はい。

まだ、生物的なものは手作りでやる事が多いんですが、これからはもっとこういう方向に流されて行きそうです。そりゃ、仕事で使うにしろ、そういうプリンタが目の前にあると仕方がないんですよ。。。

3Dプリンタで出力したものなんて、邪道だ! って風潮も、まだ3Dプリンタでの出力が少なかった1〜2年前までは言われていましたが、最近ではかなり市民権を得てきたようです。

そりゃ、買う人は製作方法なんてあまり気にしてないですし、精度の高い物が受け入れられるのは当然の流れです。

それでも、やっぱり手作りの良さってのもありまして、ケースバイケースで使い分けて行く、という流れになるんじゃないかな、とも思います。手作りの造形に、その作者の息づかいなんかが感じられるんですよね。指紋なんか着いてる事もありますしね。そこが、造形の面白い所だと思います。

最近は、一般に市販されるフィギュア造形でも、3DCGで設計したものを3Dプリンタで出力して、モックアップや試作を作る事も増えています。

これまでは、NCで削ったり、モック製作の外注さんに試作を出していたものを、自社で3Dプリンタを導入する事によって、かなりの効率化を進める事が出来るんでしょうね。

トライアンドエラーも随時行う事が出来ますし。これが一番利点だと思います。

最近では、模型雑誌や3DCG雑誌が、そういう事をアピールする記事が増えてきました。3Dプリンタの登場は、両方の業界で、これからのユーザーを増やしたり、裾野を広げて行く手段としては有力なのだと思います。

これまで、3DCGと模型というのは、なんとなく近そうな感じでしたが、そこはやはり最終の吐き出しが違うという事で相見えなかったんですが、この3Dプリンタの登場で、最終着地点が同じになったとも言えます。そこで、お互いのユーザーを巻き込みながら、双方の成長に期待しているんでしょう。

サブカルチャーとも言いますが、そういう日本の文化の新しい分野の登場かもしれませんね。最近では、フィギュアとかアニメは、サブカルチャーから脱皮して、日本の一大産業となりつつあります。

世界的に見ても、そういう文化は認知されるようになり、ヨーロッパなんかでも、日本のアニメやフィギュアが受け入れられています。これからはそういう分野を伸ばしていく、みたいな事も言われていますが、もっと本腰をいれていって欲しいなぁ......と個人的には思います。

この分野ではまだ日本が最高峰ですから、このまま世界でトップを突っ走って行って欲しいです。なにかを生み出す力、って凄く大切ですよね。

【織田隆治】FULL DIMENSIONS STUDIO(フル ディメンションズ スタジオ)
< http://www.f-d-studio.jp
>

新しい3Dプリンター。かなり癖もつかんできて、楽しくなってきたところ。本業以外にもいろいろ使い道を模索中です。