[3640] コラボレーション・ユニット「佐村河内守」について感想を述べる

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《大嫌いなんだよ! 感動したらシェア》

■武&山根の展覧会レビュー 特別編
 コラボレーション・ユニット「佐村河内守」について感想を述べる
 武 盾一郎&山根康弘

■グラフィック薄氷大魔王[378]
 「安易な表現」他、小ネタ集
 吉井 宏


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■武&山根の展覧会レビュー 特別編
コラボレーション・ユニット「佐村河内守」について感想を述べる

武 盾一郎&山根康弘
< https://bn.dgcr.com/archives/20140219140200.html
>
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武:こんばんは!
山:こんばんは〜

武:いやあ、しかしすんごい雪だよ。向かいの家の駐車場の屋根が倒壊してた。都内は雪どうなってるん?
山:そうやな、今日は新宿で仕事でしたが普通にバス乗っていきましたよ。足びっしょびしょになった。でも電車は軒並み止まってたみたいやな。地下鉄は動いてたんやろうけど。

武:へー、案外タフなんだな、都内。バスより鉄道の方が雪に弱いってちょっと意外。それにしても二週連続で週末に豪雪だもんね。
山:大きな通りは溶けるの早いんちゃうかな。帰りはもうすでに雪かきされてたんで、普通に帰って来れた。

武:そうでしたか。俺は昨日今日と雪かきしましたわ。でね、今回はね、巷で話題騒然の「アレ」についてチャットしてみようかな、と。
山:ほう、「アレ」ですか。

武:これです!
< https://pbs.twimg.com/media/BgBITCfCUAAgOyj >
山:おお、なんかすごい写真やなw これなんすか?

武:今、旬の話題。
山:この人たちは何やねんな。

武:正解は右上の人ですよね。
山:あ〜、みうらじゅんか。て、何を話すねん!

武:最近なにしてるのかなあ、とw いやいや。真ん中左の人ですね。
山:ウィキペディアが大変な事になってますね。
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E6%9D%91%E6%B2%B3%E5%86%85%E5%AE%88
>

武:こんなパターンもあるのかw
< https://o.twimg.com/2/proxy.jpg?t=HBgpaHR0cHM6Ly90d2l0cGljLmNvbS9zaG93L2xhcmdlL2R2Y2FhYy5qcGcUwAcUwAcAFgASAA&s=aN9K4dfAnAh2Mv4KYUAXdPsHN2PdAIir65HSA8nKTw8
>
山:だからこれはなんやねん! サングラスか、と思いきやそうでもない。

武:本物は誰でしょう!
山:わかりにくい進め方やめてくれw

●このニュースを見た時にまず何を思ったか?

武:はい。えっと、アレですね、いわゆる「ゴーストライター騒動」ですね。佐村河内守と新垣隆のコラボレーション・ユニット「佐村河内守」について、今回は感想を述べて行こうかと思うんです!(敬称略)
山:「感想」ですか。

武:そうそうあくまでも「感想」。もう既にいろいろブログとかコラムとか出ちゃってるから「あと出しジャンケン」的な理屈書いて「俺たち頭良くて分かってるアピール」してもつまらんじゃん。まず、このニュースを知った時に何を思ったか?

山:そうやなあ、、まずは何を思ったんやろか、大変そうやな〜、て思たかな。これから。

武:どっちが?
山:どっちも。関係者がいっぱいいるやろうから。

武:ああね。後処理問題か。
山:訴訟問題にもなったりするみたいやし、ねえ。めちゃめちゃめんどくさいやんか。下手したら、それに一生かかるかもしれへんやろ。

武:誰が一番めんどくさいんだろう?
山:誰って決めれないけど。二人はもちろんのこと、その関係者も含め、大変そうやな〜、と。

武:CDショップの現場スタッフかな? 商品撤収とか。
山:なんで。そんなんその時だけやんか。

武:そっかw したっけ「偽ベートーベン」と今は呼ばれている佐村河内守の方が大変ってことだよね。
山:本人はしょうがないんやろね。あからさまに「騙した」ことになってしまってるわけやから。

武:本人以外では誰がメンドクサイことになるんかな?
山:こういった事を逆にお金に換える、仕事に出来る人はいいんでしょうけど、そういった事もできない、まともに信じてた関係者とかは、やりきれないんでしょうね。

武:ああ。山根はまず「関係者」のことを思った、と。
山:僕はそうかなあ。

武:なるほどなあ。被害を被りそうな「関係者」ってどこらへんになるんだろ。
山:それは僕にはわからんが、レーベルの人とかは大変なんかな。逆に売れたりすんのか?w

武:てことはさ、レーベルは「音源」を売ってた、というより「物語」を売っていた、っていうことになるよな。
山:おお、「物語」。なんか最近この問題を見てたら、「物語」って言ってる人が結構いるね。まあ僕もさんざん「物語」って言ってきましたがw

武:俺も「物語とは何か」を考えざるを得なかったよ。レーベルの関係者が大変なのは分かったけど、ゴーストライター新垣隆の大学関係者は大変そうだと思ったの?

山:いや、ほんまにレーベルの人がどれだけ大変なんかは知らんで。どうなんやろなあ。まあ新垣隆は、実際に曲を作っている人間やから、ちょっと違うんかな。大変さが。「騙した」ということには違いないにしても。よくわからん

武:「騙した」かあ。。。
山:「嘘ついた」、ってことか。

武:「嘘ついた」かあ。。。
山:誰しも騙しもすれば嘘もつくw

武:そうなんだよね。俺は「関係者」より「共犯者」に興味がいったかなあ。

  「知らなかったことにして!」佐村河内守氏“仕掛け人”テレビマンとの
  共犯関係が暴露される?(日刊サイゾー)
  < http://www.cyzo.com/2014/02/post_16172.html
>

山:盗作問題あったやん。デジクリでもやった。『盗作について語ろう』
  < https://bn.dgcr.com/archives/20060712140000.html
>

武:なつかしいのう!
山:読み直してるとけっこうおもしろいw 勢いがあるw
武:ほんとだw
山:「ゴーストペインター」、とか言ってるし。すごいやん。

武:この「盗作について」のデジクリチャットはまるで今回のチャットの伏線みたいだw 俺の感想を言ってもいいかな?
山:どうぞどうぞ。

●名前も「物語」である

武:この事件を知るまでほとんど何も知らなかった。まずね、名前が読めない!「佐村河内守」!
山:どこで切ればいいかわからんな。

武:「さむら・こうちもり」
山:「さむらかわちのかみ」とか。「守」って「かみ」って読まんか?

武:読むよなw
山:そうやんなw
武:「さむらこうちのかみ」www
山:大名かよ!

武:あはは! まずね、名前が読めない。そこに何か「特殊性」を感じた。これ本名なんかな?
山:wikipediaには書いてないね。本名なんかな。

武:名前のインパクトってポイント高いよ。ていうのはね、ちょっと話は逸れるけどいいかな。都知事選候補者の「田母神としお」は名字がなにしろインパクトある!
山:ああ。凄い名前よな。

武:「田母神」も「宇都宮」も名字のインパクトがある。「細川」と「小泉」の名字のインパクトに勝っていたよ。田んぼの母の神だよ。宇宙の都の宮だよ。名字の最後の字を並べると、「神」「宮」、対して「川」「泉」。
山:はは、すごいなw

武:これさ、案外重要な要素じゃね?
山:確かにインパクトは大事かもな。名前、それも「物語」やな。

武:そうなんよ! でね「ゴーストライター騒動」に戻りますですよ。ゴーストライターが曲を書いていたって事実にも驚いたけど、それよっか「物語」の肥大化が凄いなあと思ったんですよ。コラボユニット「佐村河内守」は「壮大なスケールに見える嘘と壮大なスケールに聴こえるシンフォニー」で構成されている。このバランスの良さ!

  俺が知ったのはゴーストライターってカミングアウトした時なので、その時点でもうコンビが解消されてる。すでに終わって失ってるからなのか、そのコンビの物語の壮大さを感じたんですよ。なんか興奮した。

山:ってかね、そもそも僕は曲も聴いた事ないし、二人とも知らないし「どうでもいい」とも思た。
武:あははw

山:自分に「直接」、というか「間接」にも関係がない。だからよく分からんかった、ってのもあるな。政治のほうが関係あるよ。
武:あははw 確かにww けど俺は「めっさ関係あるな!」って思ったんです。これね、ひと言で言ってしまえば、「アートって作品では自立しない」ってことなんですよ。

  武盾一郎ブログ:作品と物語り
  < http://take-junichiro.blogspot.jp/2014/02/blog-post.html
>

山:だからさんざん、「枠」だの「物語り」だの話しをしてきたやん。

●作品そのものについて

武:そうなんよね。結局、アートって「枠」の設定の仕方なんですよ。あ、そうするとさ、「作品そのものとは何か?」ってのも気になるな。「佐村河内守の曲」と「新垣隆の曲」は違うのか? と。
山:曲は一緒やとしても、そこに付随するものが違う、ってことなんかな。

武:クラシック、アカデミックな人たちは「佐村河内守の曲」と「新垣隆の曲」をキッパリ別けてる感じする。新垣隆も「佐村河内守」の曲は自分の曲ではない的なことを言ってる。

  「佐村河内守氏の耳は聴こえていた」新垣隆氏が会見(BLOGOS)
   < http://blogos.com/article/79742/
>

山:それはあれでしょ、新垣隆が作る曲は、もっとわかりにくい難しいペダンチックな音楽だからでしょ。むしろ万人にはわかってたまるか的な。

武:「新垣隆」の本当の曲は「藝術」で、コラボユニット「佐村河内守」の曲は詰め将棋のような曲で作曲に値しない、的な。純粋藝術の曲と、手垢のついた商売の曲で、これらは同一線上に置けないくらい違う、的な。
山:プライド問題なんかな。

武:こんなコラムもある。

  「創作」と「課題の実施」との間にある天地ほどの差この「私の仕事の本流ではありません」という短い一言に、多くの本質が集約しているのです。

  つまり、自分自身が一から創意を持って創作する真剣なチャレンジとしての「仕事」(ライフワーク)ではなく、初歩的な、既存の、別の表現を取れば、さんざん手垢のついた既成のスタイルでの楽曲書き、これは言ってみれば、「作曲課題の<実施>」に近いものと言えるでしょう。

  偽ベートーベン事件の論評は間違いだらけ(伊東乾)
  < http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39905?page=3
>
山:ふむ。

●実際に曲を聴きいてみよう!

武:じゃあさ、実際に曲を聴いてみよう! 難しいけどさ。俺ね、両方聴いてなんか直感したんよ。同じ構築なんじゃね? と。つまり同じ画風を見て取れた、と。
山:ほう。

武:論より証拠。聴いてみよう!

  『Takashi Niigaki: Invention or Inversion III』
  <
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  『金スマ 両耳の聴力を失った作曲家の壮絶人生・佐村河内守!』
  < http://himado.in/197389
>

  交響曲第1番《HIROSHIMA》
  <
>

山:いま聴いてみてる。最初のはなんか懐かしい感じするなあ。

武:どっちにしても「文脈」を配置・構成してるワケで。で、どっちもブツっと切ってギュッと詰め込んでる感じの配置。
山:うーん、僕にはさっぱりわからん!

武:もちろん、俺にも分からんよ! けどなんとなく自分と似た配置感じるw 俺がピカチュウやブラックジャック描くのと、線譜描くのと同じ特徴が出るようなw

  つかね、俺が言いたいのは実はそこじゃなくて、「著作権放棄」なんて言っている佐村河内守の曲の方に「新垣隆」が居ないだろうか? ということなんですよ。藝術とやらを追求してる「新垣隆」の曲よりも、コラボユニット「佐村河内守」に新垣隆を感じるんですよ!

山:佐村河内守の方は、まあ、クラシック音楽だなあ、としか分からん。というか、映画音楽か。サントラみたいですね。

武:会田誠のドキュメント映画のタイトルが『駄作の中にだけ俺がいる』なんだけどさ。これって分かる気がするんですよ。

  つまりね、「これが俺だ!」という作品には自分は居なくて、「こんなの俺じゃない」っていう仕事にこそ自分が居る、っていう、ね。

  「藝術」とか呼ばれてるところに辿り着いた場合、もはや自分は消失している。または、文脈を引いて配置構成した借り物だからもとから自分など居ないか、なんですよ。

  で、佐村河内守の『HIROSHIMA』には新垣隆が居るような気がしたんです。こんな曲は自分の本流ではない、とやってる仕事の方に新垣隆が宿ってる。
  <
>

  で、むしろ『Takashi Niigaki: Invention or Inversion III』に新垣隆は居ないんです。本気の藝術の曲だろうけど文脈構成物っぽい。
  <
>

  これを、商業藝術と純粋藝術とで別けて、商業藝術を卑しいものとして価値付けている藝術観がありそうだ。まあ、俺、言ってること間違ってるかも知れないけどさ。

山:あってるか間違ってるか、そんなことは僕にも分からんが、どっちにも新垣隆はいるんとちゃうかな。僕は「すくなくとも二人とも才能がある」という感想。才能を如何に使うか、ですかw

武:なるほど! どっちにも新垣隆は居るんだw うん、それでいい! 武盾一郎の線譜は楽譜なので、この機会にぜひ新垣隆に楽曲にして欲しい!!
山:なんやねんそれw

●嘘について

武:あとね、佐村河内守本人ですよ。彼はいったい何をしたかったんだ? このモチベーションの高さは何だ? って思うんです。
山:「さむらこうちのかみ」さんですか。才能ある人なんじゃないかな。使い方の問題で。

武:指示書書くだけでなく、音聴いてダメ出しって、無能じゃできないよな。
山:サンプリングの達人やったわけでしょ。DJやん。

武:そうだ!! DJ的才能、キュレーション能力。そしてプロデュース能力もあった。それから演技力。演技力が最も低かったのかなあー。
山:プロデューサーになれてたら、また違ったんやろか。

武:自分が出たかったんかね。どうしてそこまで自分が出たかったのか。どうして自分にそんな物語をあてがって、超能力者みたいなストーリー作って、それを自ら演じたんだろう。人に演じさせれば良かったのにw なんでそれ自分がやるw
山:好きやったんかなあ。そういうお話が。

武:自分で作った物語りに、自分で酔ってみたかったんかな?
山:そうねえ、なんか寂しくなってまうけど。

武:屈折したナルシシズムだよね。
山:屈折してないんちゃうか?

武:そか、直線的なナルシシズムかw けどちょっと陳腐w
山:限界やった、ってことやろね。

武:陳腐な方がリアリティが出るのかな。
山:うーん、だってね、もっと嘘つきまくってる人、おそらく沢山いるやん?

武:あはは、いるだろうなあ!www
山:そうやんなあ。だから、なんでもっときっちりやらへんのやろう? とか思てまう。

武:自分自身に関する嘘なんだよね。
山:んん? どういう意味?

武:佐村河内守は「嘘ついた」って非難浴びてるけどね、作品に対する「物語」についていた嘘なんですよ。つまり、佐村河内守の嘘は自身の身体からははみ出してないんですよ。

  例えばね「福島は絶対安全です」とか、「この壷を買わないとあなたは不幸になる」とか、そういう類いの嘘ではないんですよ。「自分が全聾である」、「自分が曲を作った」、自分に関して嘘をついてるんです。

●救済と藝術

山:結局そこでまた、嘘を重ねてしまう訳でしょ。なんかなあ、強弁に行って欲しかったってのはあるかな。今さらやけど。弱者を盾に取ってやる藝術なんて意味ない、気がするが。
武:障害者を語ったのはタチが悪いよな。

山:そう思う。

武:けどね、それを言うとね、「自分がちょっと悲惨」っていう切り口って誰でもやるんだよね。「私、こんなに寝ないで働いて、ボロボロで頑張ってます」的な悲劇アプローチ。または小学生の頃、怪我で包帯してたり眼帯してくるとちょっとカッコイイ的なアレ。佐村河内守はそんなやり口の肥大化なんだよね。

山:なるほど。いやね、僕もダンボールハウスに描いてたやないですか。だからね、というか、やっぱり思うんです。藝術にはならないよな、、、とか。

武:ふむ、なぜ?
山:つまり、弱者救済は悪いことでもないやろうし、それはちゃんと考えていかなくてはならない問題だ、だけど、そこと藝術とはあまり関係がない。と思う。

武:確かにね。だがしかし、そこに藝術があったっていい。
山:あったっていいけど、藝術ってやっぱ、ちょっと違うんちゃうかなあ。結果として誰かを助けることになった、ということはあり得るのかもしれないけれど、そこを目指すものでもなくて、、、自然で不自然、ホントで嘘、ってなに言ってるかわからんがw でもそういうとこってないか??

武:藝術はどこにでもあるとは思う。藝術家として生きてくのとは別として。新垣隆は大学があるから続けていけるだろうけど、佐村河内守はキビシい感じするなあ。
山:うん。たいへんやろうなー。

武:けど、どちらかというと「アーティスト」だったのは佐村河内守なんだよ。
山:そうやな、新垣隆は職人な感じ。

武:セルフパロディが出来ればいいんだけどね。自己相対化できればイリヤ・カバコフの作品みたいに、なるんじゃないの?

『シャルル・ローゼンタールの人生と創造』
< http://members.jcom.home.ne.jp/miurat/kabacov.htm
>

山:そーはならんやろw

【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/藝術で食う】
展示中です!!観に来てにゃ〜
アートラッシュ『ねこ展』
2014年2月11日(火)〜2月24日(月)
< http://d.hatena.ne.jp/Take_J/20140128/1390900307
>
イノチコア『ねこと原発展』
2014年2月8日(土)〜3月2日(日)
< http://d.hatena.ne.jp/Take_J/20140110/1389339291
>

facebookページ < http://www.facebook.com/junichiro.take
>
Twitter < http://twitter.com/Take_J
>
take.junichiro@gmail.com

【山根康弘(やまね やすひろ)/最近何屋かわからん】
yamane.yasuhiro@gmail.com


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■グラフィック薄氷大魔王[378]
「安易な表現」他、小ネタ集

吉井 宏
< https://bn.dgcr.com/archives/20140219140100.html
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●安易な表現

TDW作品を作ってるとき、何か物足りなくてひと味加えたいとき、トゲトゲを付けてみることがある。ところが、トゲトゲって何にくっつけてもかっこよくなっちゃうんだよね。キケン。そういう『安易な手』は、なるべく使わないようにしたい。Furで毛を生やすのも見た目がリッチになるので「安易な手」の仲間。

見た目が様になってるようにお茶を濁す。キャラクター的によく見かける代表的なのは天使みたいな翼をつけるやつ。武器を持たせたりタバコをくわえさせるのも同等。目を閉じて瞳を見せないのもそう。本体に関係なく様になって見えてしまう。

そのような、絵を描くときの「定番モチーフ」は無数にあって、ひどい場合にはそういうものだけでできてる絵とかあるもんね。慢性化すると悲惨。そういう「制約」の中で新味を出していくのが面白いのかもしれんけど。

○余談。天使の羽根をつけるところまではなんとか許せても、頭の上に輪まで描くのはいかがなものか? 何も考えてないとバレてるぞみたいな。「天使の輪」ってもともと聖者の後光の表現が輪として定着したんだろうけど、転じて「死者」の記号でもあるわけで。つまり、額に三角つけるのと同じ表現。あんまりかっこよくないよねえ。

「天使の翼」って、手が下方向に伸びているときに、肩の空間が空きすぎるのを埋める効果があるんだよね。同様に、ロボットや戦士の肩パットみたいなものも同じ効果があるから定番になってる。と推測。

●記号的表現とマンガ絵

何かを表現するための「記号的表現」って、見る人みんなに通じる前提で使うし、「ある意味を表現するための既製の素材ユニット」だから、表現の省力化ができるわけだけど。少なくとも、幼児向けアニメなどでマンガの記号的表現を使うのは間違ってると思う。

目がバッテンになったり点目になったり、焦ったときなど汗の水滴を使ったり等。それは登場人物の感情を読み取らせるのではなく、こういう時にはこういう表現をするのでよろしくという強制。「仲間内にしか通じない記号で表現」になってるおそれがある。

あと、効率よく描くこと最優先で進化・特化したマンガ・アニメ絵が、唯一の表現方法みたいに思っちゃってる世代の年齢が、どんどん上がってきてるのを感じる。3DCGの立体的なアニメさえ一般的には抵抗があるそうで、「セル画調でないと日本ではダメ」という常識が出来ちゃうほど。イラストレーションだって、マンガ絵以外の表現があるってことを知ってるのは相当の物好き、みたいな。

●日本自画自賛すぎ

和風総本家などのテレビ番組で「日本ってすごい! 日本文化、日本の製品ってすごい!」って件。僕らなんかみたいな中年以上の人なら「ああ、今までやってきたことは間違ってなかった」って感動していいと思うけどさ。子供たちには「日本はダメ、外国すごい」って最大限に吹き込んでおかないといけないんじゃないかと思う。

クールジャパン戦略が話題になってから特に、「日本すごい!」って言いすぎだと思う。どこの国もギリギリの努力をしてその水準にあるわけで。ちょっとでも油断するとビリまで落っこちるぞ。

あと、どうしても気になってしまうのが、「日本人の道徳や民度すごい!」って件。ゴミが落ちていないとか、災害でも暴動が起きなかったり、行儀よく行列したりなど。平和で良い結果になってるのは間違いないけど、基本的に「個人の判断で他と違う行動をする人はその社会からつまはじきにされる」があるからだよね。そんな窮屈な社会が本当の意味で幸せかどうかは疑問。

●感動したらシェア

おとといしたリツイート、今気がついて削除した。「○○○○と思い込んでた人は全員、正直にコメントしてシェア」ってこれ、「感動したらシェア」の類じゃないかこれ! ムカ〜〜!!「感動したらシェア」「おもしろかったらリツイート」とか大嫌いなんだよ! 面白いと思ってもそう書いてあったら絶対シェアしない!

ネットリテラシーの大ベテランと思ってた有名人たちが、Twitterアカウントを乗っ取られた件。僕もそのニュースを見ようかと思ったけど、認証が必要だったからやめたのだ。認証が必要なリンクは基本的に全部怪しい! 危険レベルは最上級。

「感動したらシェア」は、感動話や面白写真を(著作権とかの配慮なしに)集めてきて大勢にシェアさせ、十分広がったら本文を広告に差し替える手口で知られている。実際に広告に差し替えられた例はあまり見てない気もするので、実害があるかどうかは知らない。

でも、個人的に純粋におもしろいと思った話を広めるのと違って、何らかの意図のもとにやってるわけで。リツイート数か「いいね」数がほしくて、ネットで感動話おもしろ写真とか探しまくって投稿してるのも気味が悪い。

昔からの友人とか考え方が近いと思ってた人が「感動したらシェア」とかいっぱい流してたりすると、あー、やはり価値観は人それぞれなんだ〜〜とあらためて気づかされたりするw

●自分のページへの『いいね』をリクエストしています

あと、「○○さんが自分のページへの『いいね』をリクエストしています」が初めて来たとき、そんな恥ずかしいことするヤツいるのかと仰天した。外国人ならしかたないよねと思ってたけど、最近は日本人でも普通にやるんだなあ。はっきり広告目的なら理解のしようもあるけど。僕が古いのか?

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com
>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
>

個人と団体で別競技ってのが意味わからない。個人の成績を集計したものが団体の成績になるんじゃダメなのか? それこそテレビ用の競技構成じゃん。って、オリンピックはアメリカのテレビ番組のひとつだから当然なんだけどさw 関係ないけど、葛西選手が同級生に送った個人宛メールを、その同級生が何のためらいもなくテレビに見せてるって何? 仰天したわ。もうめちゃくちゃだな。日本の常識。

・INTER-CULTUREの3Dプリント作品販売
< http://inter-culture.jp/Buy/products/list.php?category_id=63
>


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編集後記(02/19)

●今年になってからは、まだ一度も自転車に乗っていない。正確には、主にスポーツ用途に導入したドッペルギャンガー小径車のほうを言う。日常用途のあんぱんまん号に乗らない日はない。ドッペル君はテラスの隅にカバーをかけて置いてあるから、乗る時には部屋の中を玄関まで運ばなければならない。それがめんどうなことと、荷台がないから実用的には使えないからだ。円筒型の純正フロントバッグも買ったが、二本のフックをハンドルに架け、ヘッドにベルトで固定する方法ではいまひとつ安定しないのが気に入らず、お蔵入りになりそうだ。やはりデイパックを背負う方法が一番いい。

デイパックは帆布製のお気に入りを長いこと使って来たが、補修は無理なほどに壊れてしまったので、最近はホームセンターなどで買った安物を使っていた。でも一年もてばいい方で、いま使っているやつは破れた数個所を安全ピンで留めていたから、はなはだみっともない。みかねた娘が、わたしの誕生日にシンプルなデイパックを買ってくれた。キャンバスと合皮でなかなかかっこいい。女高生にも大人気という製品だという。ちょっと照れるな。さあ、これを背負ってポタリングに。いまは快適だが、これから暑くなったらこのデイパックが大問題なのだ。

夏の日のデイパックは背中が汗でびしょびしょになる。これはものすごく苦痛である。これがいやで、暑い日はあんぱんまん号ばかり乗っていた。たまたまネットで「汗とおる君 デイパックに取り付けて背中の蒸れを防ぐ」というアイデア商品を発見、即1-Clicしたのであった。「汗とおる君」は汗取りセパレーターである。プラスチック製のこれをデイパック背中部に装着すると、背中とデイパックの間にすき間が生まれ、通気性が良くなる。汗をかいても通気性が良く乾きやすいそうである。

先日届いたので新品デイパックにさっそく装着。4か所をひもでとめるだけだから着脱も楽々だ。ポリプロピレン製で95gと軽い。背中に痛いこともなくなかなか快適。アマゾンのレビューを見ると評価も高い。これで1650円+送料、いい買い物をした。各地の山岳会や歩こう会、また探検隊などでも採用されているそうだ。使用説明書に「かみつきパッ君もよろしく」とある。600円。これは帽子が飛ばないようひもの両端にクリップをつけたもので、わたしも100円ショップで買ったやつを愛用している。「汗とおる君」も100円ショップでまねっこが出ているかもしれないな。(柴田)

< https://bn.dgcr.com/archives/2014/02/19/images/01 >
デイパックに重ねただけでまだ固定はしていない状態


●寝ていないのは本当のことで、悲劇アプローチではないが、そう思われても仕方がないのだろう。小学生の頃から、試験前に勉強せず、勉強していないと素直に言っているのに、成績が良かったから、人を出し抜く性格の悪い人にされ、友達をなくしたりしたわ。働き始めてから勉強をするが、人前でするから、いい子ぶってるとか、なんだか必死な人と思われていたりしたわ。出し抜く頭脳があれば、今頃私は大物になってるわ! とほほ。

続き。匿名なので、自ら表明しない限り、年齢なんてわからない。小学生もやっていて、彼らは四択の漢字が読めず、辞書引いて覚えてますって言ってたよ。小学生と社会人が同じ土俵でランキング争いしたりするよ。私に子供がいたらやらせるわ。こんなのが学生時代にあるなんて羨ましいなぁ。英文や音声にも不自由しなくて、それも羨ましい。

『えいぽんたん』の参加者には、英語を使う職業の人や、海外で過ごす人もいる。みんな頑張っているんだなぁと。適度な距離感で人目のあるカフェみたい。

で、単語がわかるようになってきたら、ニュースを読むのも楽になってくるね。あ、これ出題された、何だっけと思える。iPhone Safariだと、わからない単語は長押しして内蔵辞書を表示させられるから、イライラがない。気になる単語は、いくつかの辞書アプリで調べることも。(hammer.mule)