[3660] かつてあった東京大学駒場寮という異空間

投稿:  著者:  読了時間:21分(本文:約10,400文字)


《ようやくこういう時代がキタ〜〜!》

■武&山根の展覧会レビュー 特別編
 かつてあった東京大学駒場寮という異空間
 武 盾一郎

■グラフィック薄氷大魔王[382]
 「古いファイルの整理」「Googleドライブ」
 吉井 宏

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■武&山根の展覧会レビュー 特別編
かつてあった東京大学駒場寮という異空間

武 盾一郎
< http://bn.dgcr.com/archives/20140319140200.html >
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こんにちは。今回は山根氏が多忙のためピン原稿となります。よろしくお願いします。さて、何を書こうかと考えてみたのですが、今は昔東京大学駒場寮についてにします。

1995から98年にかけて、僕は新宿西口地下道に暮らす人たちの家、段ボールハウスにペンキで絵を描き続けるのですが、その間に東京大学駒場寮にも出入りすることになります。

駒場寮を何で知ったかはよく覚えてないのですが、当時新宿の地下道でちょくちょく顔を合わせていたホームレス支援活動家の稲葉剛さん(現:もやい < http://www.moyai.net/ >)は東大の院生だったので、駒場寮って面白いよ的なことをちょろっと聞いたりはしていた。

大学の寮というと、木造で広めの玄関があってそこに寮生たちの靴が乱雑に置いてあり、家に上がると木の床の廊下がのびていて各々の部屋が分かれている。洗面所とトイレが共同で風呂はない、という貧乏臭いイメージしかなかったのでどこが面白いのかいまひとつピンと来なかった。

そして何の集まりだったかも場所も全く覚えてないのだが、いろんな人がごっちゃにいた飲み会の席で、実際に東大の駒場寮に部屋を借りている「エリセ」という女性と出会い、「駒場寮ってバーがあったりパフォーマンスする人がいたりして盛り上がってるんだよ、誰でも入れるんだよ」なんていう話を聞いたので、じゃあ今度行くよという話をしたのだった。

なんでも廃寮問題で揺れているらしかった。寮を潰そうとする大学当局、それに抗う寮生と、そこに学外者たちが流入して面白いことになっている、と。

●東大生でもないしOBでもない人たちが

1997年5月2日。僕は不登校のフリースクール「東京シューレ」に寄ったあと、初めて東京大学駒場寮に行きます。

なぜ日にちが分かるのかというと、ノートに日記を付けていたのだ。日記以上に具体的なことはあまり思い出せないのだが。あるとすれば、今の自分に都合の良いように編纂されたであろう記憶だけだ。なので、以下は日記に基づいた「物語」と言ったほうがいいだろう。

渋谷駅から京王井の頭線で駒場東大前駅に降りると、すぐに東京大学はあった。広い。新宿西口地下道は広いと思っていたが大学の方が広い。放課後のけだるい感じがだだっ広く横たわっていて、なんとなく心細くなる。

キャンバス内をしばらく歩いて、これは誰かに聞いたほうがいいな、と思った。古びた建物に覆いかぶさるように木や植物が生い茂る、暇を持て余してるような空間でふと見やると、ベンチに座ってひとりでギターを弾いている男子がいたので声を掛けてみることにした。

「すみません、駒場寮にいるエリセって人、知ってますか?」と、いきなりピンポイントな質問をしたのだった。

そしたら彼は「ひょっとして武さんですか?」と訊き返して来たのでビックリした。

なんでもちょっと前に呼ばれて出てたシンポジウム(確か野宿者支援とかがテーマの)を見に来ていたとのこと。

「え、あ、武です、武です。彼女が駒場寮にはバーもあって面白いって言うんで来てみたんです」
「ゼロバー? 俺、そこの仲間ですよ」
「あ、ほんと? 今やってるの?」
「いや、えっとじゃあ、いま店あけるよ」

みたいな感じで、いきなりハードコアにタッチできたのだ。ギター弾きの彼は「モリオ」と名乗った。

駒場寮には二つの大きな建物が残っていた。中寮と北寮だ。古くて頑丈そうな建物で、鬱蒼とした木々や蔦の這う外側から一歩中に入ると、とたんに真っ暗だった。さながらヨーロピアンな廃墟って感じで「かっこいい」と思った。というか、「すげえ」といった感じだ。

固くてボロくて天井がやたら高くて暗い。これは日本の屋内には全くない要素だ。どこに行っても日本は、「ソフトで新しくて天井が低くて白々しく明るい」のだ。僕はそういう風景にうんざりしていたので興奮した。

まるで日本じゃないみたいだった。空間も時間もコンパクトにうまくまとまってるわけでなく、何もかもとりとめのもなく漂っている感じだった。

ゼロバーは北寮の一番手前左側の小さな部屋で、カウンターといくつかテーブル席があるだけだった。そして汚い。瓦礫の中みたいだった。それがまたちょっとかっこよかった。

駒場寮のゼロバーで呑み始めて、夜になると徐々に人が集まってくるのだった。ゼロバーの店主は「エキン」と名乗る男だった。インドを放浪していた時にお坊さんにそう名付けられた、と関西弁で話してくれた。僕と同い年の28歳だ。

そして下北沢でエキンに「面白いところがあるからおいで」と言われて付いて来たら、ここ東大駒場寮だったという男「コーキ」24歳。年齢も素性も謎な「リカちゃん」という超かわいい女性。そしてギター弾きの「モリオ」。彼らがゼロバーを経営しているようだった。4人とも東大生でもないし、OBでもないようだ。

キャッシュ・オン・デリバリーで一杯200円とかだったと思う。「思う」というのはゼロバーでお金を払った覚えがほとんどないのだ。キャッシュオンでその都度払ってるから記憶に残ってないのかも知れない。

「新宿西口地下道の段ボールハウスに絵を描いてる画家だ」と言うと、大体誰もが、「えー、あれってホームレスの人が描いてるんじゃなかったんだ! すごいねえ!」とすぐに仲良くなれた。やっぱり人目に触れる「ストリート」で絵を描いていてよかったなと思った。

初めての東大駒場寮体験はなんだかんだで酔っ払いすぎて、そのままそこに泊まることになった。バーカウンターの椅子を並べて、横になってちょっとだけ寝た。

5月3日の次の日、駒場寮から新宿西口地下道に通い、段ボールハウスに絵を描く。たまたま山根康弘も来たので、制作が終わると一緒に東大駒場寮に向かい、ゼロバーで呑んだ。結局二日連続で駒場寮に泊まることになったのだ。帰宅して体重を計ると2kg痩せていた。

●入り浸った駒場寮での活動

あとから聞いて驚いたのだが、96年の夏、僕がホームレス排除突起物に絵を描き、逮捕されて新宿警察署に22日留置されてる前後のしばらく、段ボールハウスに絵を描いていた鷹野依登久も、駒場寮に部屋を借りていたのだ。

これで新宿西口地下道段ボールハウス絵画と、東京大学駒場寮が完全に繋がったのだった。僕は駒場寮に入り浸るようになった。

最初の何回かは井の頭線駒場東大前駅を使ったが、いかんせんお金もないし、距離もそう遠くないので、渋谷駅から歩いて行くことにした。

駒場寮で最初に入った部屋「ゼロバー」は、窓口としての役割を果たしていた。社会から幽閉されがちな大学空間にある「出島」だったのだ。いろんな有名人たちがゼロバーに来たという話をきいた。ゼロバーの店主「エキン」は天才的に話しがうまかった。

僕はしばしばカウンター側に入って店の手伝いもした。そうすると呑めるからだ。当時、大川興業の芸人だった「ヒデ」とう知り合いがいた。ヒデと僕は「サークル」として東大生と部屋を借り、「蟻天国」と名づけて、誰でも出入りできて、煮炊き寝泊りできる場所にしようとした。

駒場寮はひと部屋24畳で、天井も高い。とても都内とは思えない贅沢な空間だ。部屋を借りて場を作るにあたり、「蟻天国」では規律を二つだけ設けた。「そうじ」と「あいさつ」。

最初は知ってる人たちで飲み会とかやってる程度だったけど、そのうちかなりカオスな場所になっていく。
< http://www.geocities.co.jp/Outdoors-River/5846/photos/ariten.html >

駒場寮は寮委員会の手続きを経て、一泊200円で泊まることができた。「借り宿」と呼ばれていた。ところが「蟻天国」は部屋を開放して無料で泊まれたので、どんどん溜まり場になっていってしまったのだ。

ゼロバーのスタッフ「コーキ」は「OBSCURE GALLERY」というギャラリーを中寮に開設した。そこでの最初の企画展として僕は「世紀末とのコラボレーション」という展覧会を開いたのだ。

< http://blog.goo.ne.jp/sekinema/e/9f218b1b73a5c4c9ffc6c84d2dd7a989 >
< http://blog.goo.ne.jp/sekinema/e/3326e868b4dba5b1447cf032a8b84c05 >
< http://blog.goo.ne.jp/sekinema/e/384fd332de6a428225bfb2a8a185a11a >

その後、オブスキュアは今で言うZineの「OBSCURE」をいくつか発行する。そこには新宿西口地下道段ボールハウスに絵を描いた鷹野依登久、山根康弘、そして僕も参加していた。

日本でもアーティストたちがスクワッティングで活動し、Zineの元にもなっていたのが、東大駒場寮と新宿西口地下道段ボールハウス絵画のラインなのだと思うのだ。

●20代中心のスクワット・アナーキー・コミュニティ

僕が体験した東大駒場寮とは、ひとことで言うと、廃寮に反対した東大生たちが寮に留まり学外者に寮を開放したところから生まれた「20代中心によるスクワット・アナーキー・コミュニティ」だった。

アーティストたちも駒場寮に流れ込んでいて、伊東篤弘や石川雷太も当時は駒場寮で活動をしていたのだ。

駒場寮に入ってくる人たちは、アート系だけではなく、国籍も学歴も職業も様々だった。イデオロギー的にも必ずしも左翼ということもなかった。

大学側が廃寮にしたい理由は、ここが共産党の産まれた場所「アカのメッカ」だったからなのかなあとうっすらと感じる。新宿の西口地下道も、かつてはフォークゲリラのステージであり、左翼文化の拠点でだったと聞く。

しかし、90年代後半にはそういった「古き良き学生運動文化」はもうない。残骸として建築物だけが残っているだけだ。

当時は反体制側にいた学生運動の若者たちは、みな転向し体制側に出世したのだろう。そして、若気の至りの黒歴史として遺っている忌々しい「場」は消えてもらいたいのだろう。

新宿西口地下広場も東大駒場寮も消える。僕はそういう「場」が消失する直前に、華やかに輝く奇跡の数年に居合わせたのだ。

ざっと駒場寮についてイントロを書いてみましたが、さらに突っ込んだ話はのちほど何らかの形で発表できたらなあと思っております。

【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/さようならは新たな人生の始まり】
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3.28.地元上尾でワークショップやります!
「さわってあーとせらぴー”感覚力をアゲよう!」
< http://ameblo.jp/uttocoichi/entry-11777993307.html >


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■グラフィック薄氷大魔王[382]
「古いファイルの整理」「Googleドライブ」

吉井 宏
< http://bn.dgcr.com/archives/20140319140100.html >
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●古いファイルの整理

Macを使い始めてからの22年分の仕事ファイルや各種ファイル。粗く整理したまま何年も放ってあったのを、1TBのクラウドストレージや1TBのポータブルSSDに入るようにと整理を再開。先日、1992年〜1993年のファイル整理に着手。

とりあえず明らかに不要なファイルを捨てて、拡張子をつける作業。保存し直した画像の日付も元通りにしようと思ったけど、めんどくさすぎ。自動解凍の.seaファイルはダブルクリックでは開かず、右クリックでThe Unarchiver.appを選ぶと開ける。

いきなり困った。開けないファイルがある。昔のファイルを開くのに、やはりPainterもインストールしなきゃいかんのかー。と、入れてみたのだが、RIFファイルと思ったものが開かない。昔のファイルは拡張子がついてないから、何のファイルかわからないよ〜。

リストの「種類」や「情報を見る」である程度見当がつくものの「Photoshopが認識しない種類のファイルです」とか出て、結局開けない。PICTファイルで開かないものが多い。困っちゃうねえ。PICTって最近ほとんど見かけない。かつてはMacの画像のネイティブ形式だったのに(PICTって、TIFFのLZW圧縮よりファイルサイズ小さくなるよ)。

とかツイートしてたら、イラストレーターの筒井美砂さんが「うちの環境なら開けるかも」ってんで試してもらったら「全部開きますよ〜」って! 最新のPhotoshopでは開けなくても、古いバージョンでなら開けるなんて!

で、GraphicConverterってものがあることを思い出し、さっそくインストールしてみた。618MBってどんだけ巨大アプリなんだ? 使ってみると、開けないファイルがいくつかあるものの、PhotoshopでもPainterでも開けないファイルがたいてい開く。便利。っていうかGraphicConverter、Ver.9で今も普通に現役でMacApp Storeで売ってることに驚いたけど。

92年は数個のフォルダ、93年は44個のフォルダから整理。一日一年分やれば一か月くらいで片付くかなと思ったら、94年のフォルダは110フォルダ、95年144フォルダ。どんどん増えていくw 少しずつやれば半年くらいで片付くかなあ……。

ざっと見たところ、全部に拡張子をつけるようになるのは2002年の後半。Shupapanを使えば、拡張子がないファイルも、自動で追加してくれる。ただ、Adobe Streamlineなど現在は使われてないアプリのファイルなど、単にUNIXファイルにってしまう。開く利用する可能性がないファイルは気にしないのがいちばん。

もう一つめんどくさい問題があった。カラーマネジメントのプロファイルを埋め込み保存するようになったのが2003年後半。それ以前の画像を開くときは注意しなくてはならん。

●ファイルリネームアプリ「Shupapan」

以前はFileBuddyでファイル名の一括変更をしてたけど、数年前に使用環境のせいか使えなくなってしまった。以降はフリーウェアの多機能型リネームアプリ「Shupapan」を使ってる。FileBuddyでやってたようなリネーム作業は難なくこなせます。拡張子も自動でつけてくれます。

< http://sunsky3s.s41.xrea.com/shupapan/index.html >

調べたらFileBuddy、最新版も普通に売ってるみたいね。

FileBuddy < http://www.skytag.com/filebuddy/en/10/history.html >

●Googleドライブ

「Googleドライブが月額利用料を大幅に値下げ、1TBでなんと月1000円に」
< http://gigazine.net/news/20140314-google-drive-lower/ >

スゲ〜これ! 整理中の全ファイルHDDの核心部分のフォルダはもうすぐ1TB以下にできそうだから、Googleドライブに同期したらバックアップは完璧! 外付けHDDを持ち出さなくても、いつでもどこでも自分の全ファイルにアクセスできる! ようやくそういう時代がキタ〜〜!

Dropboxや他のクラウドストレージサービスも大幅値下げするだろうな。容量が中途半端ってこともあって、使ってるサービスがいくつもあるのです。

Yahoo!ボックスが激安価格で容量1TBになるっていうから、プレミアム会員の50GBのまま待ってたけど、もう待たなくていいかも。Yahoo!ボックスは主にファイルの受け渡しに使ってます。完成ファイルを残らず上げることになるので、月日がたてば立派な仕事アーカイブになるという目論見。たまにセキュリティの関係でYahoo!ボックスを開けない会社もあるけど。

OneDriveも置いてけぼり。つい2か月前にSkyDrive(旧名)の200GBコースを申し込んだんだけど、Macのクライアントアプリが最低のダメダメ。すぐ「同期できません」って終了してしまい、再開しようとするとアカウントやパスワードやフォルダの位置など最初の設定から始めなくちゃならなかった。同期しないでファイルを手作業でアップするのなら使えないこともないだろうけど。

Adobe CCのクラウドも、20GBっていかにも少なすぎる。せめて10倍あればいいのになあ。

Googleドライブは同期がイマイチって話もあるので、無料の15GBのままでファイルを同期させて様子を見てるところ。今のところ不具合があるようには見えないので、近日中に1TBにするつもり。

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com >
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/ >

花粉症。以前は「GDPを1割押し下げてるかもしれない日本中の杉の木を切り倒せ!」とか言ってたくらいキツかった。ここ10数年、アレルギーの薬のおかげで症状が軽かった。今年は薬をまだもらいにいってないままで、午前中に数回クシャミする程度。体質変わったかも。

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編集後記(03/19)

●「LOST」のジャックが主役のフェラーズ准将を、宇宙人ジョーンズがマッカーサー元帥を演ずる映画「終戦のエンペラー」DVDを見た。ハリウッドが壮大なスケールで描く、歴史サスペンス超大作だという。興収12億円突破の大ヒット作だという。見終わって思うのは、歴史サスペンス超大作でもなく、なんでヒットしたのかわからない、ちょっと、いや大いに違和感のある映画だったということだ。

この作品は、昭和21年8月30日、マッカーサーが厚木基地に下り立った日から、9月27日の天皇のマッカーサーご訪問までを描いている。戦勝国側では天皇の戦犯訴追の圧力が高まっていた中で、天皇を訴追から除外しようとするマッカーサーの命をうけて、知日派のフェラーズが日本の指導者たちを尋問して証拠を求めるが決め手がない。マッカーサーは天皇との会見をフェラーズに命じ、この会見を通じて天皇の無実を確信するに至るという「いい話」だ。

お約束のラブストーリーが映画の彩りを添える。フェラーズと恋におちる女性は、荒川静香をチョット可愛くしたかんじの初音映莉子。日本人の恋人を持つ日本通のフェラーズは人格高潔、天皇の戦犯訴追免除に尽力する好感度満点の男前である。マッカーサーは威風堂々のカリスマ。対する日本側は、昭和天皇にオーラどころか存在感もなく、大半の指導者はおどおどしていて情けない。

あまりにひどいのは東条英機の扱いで、ほとんど廃人だ。東京裁判の供述書と映像による東条の堂々たる弁明を見れば、この見せ方は大嘘で、悪意しか感じられない。また、焼け野原に無気力にたむろする日本人の姿の情けなさといったら。廃墟のセットはみごとなものだが(東北の被災地を撮ったシーンもあるという説も)、当時の日本はこんなうちひしがれた敗戦風景だけではなかったはずだ。アメリカ映画としての「いい絵」が撮れている。

この映画でフェラーズは、天皇の戦犯追訴を退ける工作活動に携わる人物として描かれているが、これは彼の仕事の一部に過ぎない。GHQにおけるフェラーズの役割は、屈辱的な日本洗脳計画のもととなった、日本人の心理分析の担当者である。映画では一切触れていないが、これがフェラーズの正体だ。フェラーズの「日本は神国による世界支配という民族の運命と夢に酔っている」といったムチャクチャな日本理解からは、こんな奴に日本人の心理を分析されてたまるかと思う。されてしまった結果が、今日の情けない日本なんだけど。

映画のクライマックスは、昭和天皇とマッカーサーとの歴史的会見である。マッカーサーはフェラーズに天皇との会見の設定を指示する。これは史実ではない。天皇が望んで、自らマッカーサーをご訪問されたのである。マッカーサーによる召喚ではなく、天皇自らの決断だ。この違いは作為である。企画の奈良橋陽子はなぜこうしたのか。さらに、天皇がマッカーサーに英語で話しかけられる! 違和感爆発のシーンである。元首が相手国の言葉で、最も重要な決意や提案を話すことなど通常ありえない。奈良橋は、なぜこうしたのか?

「英語で語りかける子供じみた健気な昭和天皇という、緊張感を欠いたフィクションを物語のクライマックスに置く事で、日本のみならず、米軍側に漲っていたはずの緊張感をも侮辱している。(略)この会見の場面は、こうした日米双方の死闘と戦後処理の意味そのものの風化の象徴であろう。制作者に日本侮辱の意図がなかったことはわかっている。だからこそ、この歴史への不感症は深刻なのである」と小川榮太郎が「『永遠の0』と日本人」で書いている。フェラーズの正体もこの本で知った。「永遠の0」「風立ちぬ」「終戦のエンペラー」を見て感動した人におすすめ。もう一度映画を見直したくなること必定である。わたしはDVDになったら見る。(柴田)

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終戦のエンペラー
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永遠の0
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『永遠の0』と日本人(幻冬舎新書)


●「Shupapan」私も使ってますっ! Dropboxも同価格でサービスしてくれたらいいのになぁ。100Gがパンパン。履歴無制限保存(有償)があるのと、同期の手軽さでDropboxはなかなか手放せない。OneNoteの無償化でEvernoteがどうなるのかも気になるところ。

消費税が上がる前にすることは多い。そして年度末なので仕事も家事まわりも忙しい。消防点検や雑配水管点検なども今月だ。

消費税が上がる前に買うぞリストがあったのだが、ほとんど消化されないまま。まぁ普段から買わなきゃと思いつつ、先送りしていたものが、急に対応できるわけはない。ほんと買い物ってエネルギーと時間を使うよねぇ。

本当に必要なのかどうかを見極める。他で代用できないか考える。今までなくても過ごせているわけだし。本当は予算を用意しなきゃいけないんだろうけど、必要なものの値段がわからないから、先に検索する。

検索の時代、候補が多すぎて本当に困る。ネットがなければ店舗に行って、店員さんのアドバイスを聞いて、そこに並んでいるものから選ぶだけなのに。だからといって昔には戻れない。(hammer.mule)

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