[3670] B9creator、来たる!

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《ノートを開く、世界を開く、KIMINOTEで。》

■ショート・ストーリーのKUNI[152]
 春風
 ヤマシタクニコ

■3Dプリンター奮闘記[33]
 B9creator、来たる!
 織田隆治

■デジクリトーク
 ロービジョンの子供たちにも使いやすくて魅力的なノート
 「KIMINOTE(きみのて)」を届けたい
 伊敷政英

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  怒りのブドウ球菌 電子版 〜或るクリエイターの不条理エッセイ〜
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00CIOU68M/dgcrcom-22/
>

◎デジクリから2005年に刊行された、永吉克之さんの『怒りのブドウ球菌』が
電子書籍になりました。前編/後編の二冊に分け、各26編を収録。もちろんイ
ラストも完全収録、独特の文章と合わせて不条理な世界観をお楽しみ下さい。
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■ショート・ストーリーのKUNI[152]
春風

ヤマシタクニコ
< https://bn.dgcr.com/archives/20140403140300.html
>
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ああ、春だ。さすがに鈍感なおれにも感じられた。外が明るい。空気が軽い。それでベランダ側のドアを開け放ったら思いのほか風が強かった。ひゅー、ばたん! と音を立ててドアが勝手に閉まった。あーあ。おれは座りかけた椅子から立ち上がり、ドアのほうに行くと、男が立っていた。

「だだだだれだ!」

口にした途端にばかなことを言ったと思った。なぜならそいつはおれそっくり、顔から体格、着てるものから寝癖だらけの髪まで、まさにどこから見てもおれそのものだったから。

「なんだよこれ、どういうことだ!」

もうひとりのおれはだるそうに椅子に腰掛けた。ああ、そのだれた感じ、やる気のなさ、びしっとしない感じ、人生めんどくさそうな様子、どれも同じようなものだが、それがもう、まったくおれなのだ。

「なんで来たんだよ、ここに」

「ドアを開けるからだろ。いまの季節、いろんなものが飛び込んでくるから陽気に誘われて安易にドアを開け放つもんじゃないんだよ」

「おまえは花粉か黄砂かPM2.5か!」

「るせえなあ。何かないの。食いもの」

「い、いまからパンを食べようと思ってたところだけど」

「じゃあそれでいいよ」

いいよと勝手に言われても、とおれは思いながら閉まったドアをもう一度開けた。閉め切るとなんだか暑苦しいのだ。それからメロンパンを半分、そいつに分けてやるために手でちぎっているとまた風が吹いてひゅー、バタン! とドアが閉まった。んーもー、と思いながらそちらに目を向けるとなんと、またおれがいた。

「いやいや、それはない!」

目をつぶってもう一度ゆっくり開けてみたが、やっぱりそいつはいた。やっぱりおれそっくりで、一人目のやつと同じようにだらっと椅子に座る。何これ。狭い部屋におれが3人。だらんとした冴えない男が3人。ええええっとおれは叫んだ。

「何のつもりなんだ…」

メロンパンを持ったままおれが言うと一人目のおれがめんどくさそうに言った。

「おれはさあ。未来からきたおまえなんだ」

「はあ?」おれが言うと

「で」ニ人目のおれが「おれは過去からきたおまえ」

なんだそれは。未来からきたとか過去からきたとか、子供でもはずかしくなるような昭和なSF風設定をよくも言ってくれるもんだ。

「でも、未来とか過去といっても見た目全然同じじゃないか。おれと」

「そこなんだよ」

「なあ」ふたりのおれが顔を見合わせて言う。

「この作者、つまりこれを書いてる書き手って、思い切った大胆な設定ができないんだ」

「そうそう。だから未来といっても1分先の未来」

「過去といっても1分前の過去」

ふたり声をそろえて「なっ」

「い、いっぷんまえの過去と、いっぷんまえの未来?! 細かすぎるってか、みみっちすぎ! 想像力ちっさすぎ!」

「だから」

「そういうやつなんだよ、われわれのことを書いてるこの作者は。今までもそんなものだったろ? はっと驚くような大胆かつ奇妙きてれつな仕掛け、胸躍る冒険とは無縁」

「結局なにも起こらないようなちまちました日常しか書けないんだよ」

「なぜならそれが楽だから」

「そうそう! 要はおれたちと同じ、だらだらしたやつなんだよ」

「作中人物は作者自身の反映」

「なっ」

なるほど。そういわれれば確かにそうだ。思い当たるふしありまくり。だが、そうはっきり言われるとにわかに、書き手であるヤマなんとかいうおばはんがかわいそうに思えてきて、あえて言うことないじゃん大人なんだしと思ったり。

だけど、そういうおれの心理もそのおばはんが設定してるわけだからどうなんだって話だが、いやいや、それより何よりこのシチュエーションをどうにかしてほしいものだとか、メロンパンをあらためて三等分しながらおれはあれこれ思った。

「とりあえず、おれたち3人で何すればいいんだろ。ていうか、わずか1分でも過去とか未来から来たおれたちが同じ室内にいるのは…どういうことを示しているわけ」

「おれに聞くなよ」

「単なる作者の思いつきだし」

「深く考えるほどのことじゃないと思うな」

「たぶんあれだよ、たとえばハワイマウイ島出身、みたいに1分前の世界出身のおれ、とかいうだけのこと」

「そ、そうなのか?」

「うん、たぶんそう」

おれはたまりかねて言った。

「た、たとえば未来の自分がきわどいところで過去に戻って、窮地に陥った自分をかっこよく救うなんてことは起こらないわけ、か?」

「あるかそんなもん」

「何甘いこと言ってんだよ」

「戻ろうかどうか迷ってるうちに1分たつさ」

「つまり、ほんとにまったく意味ないわけか…」

おれはがっかりしてメロンパンをほおばった。非ドラマティックにもほどがあるこの状況、いやドラマティックを極力拒否するかのようなこの状況の中で。そしてあっという間にメロンパンを食べ終わると言った。

「とりあえずだけど麻雀でもしようか」

「そうだな」

「おれもそう思った」

さすがみんなおれだから意見がすぐ一致する。

「でも4人のほうがいいよな」

「まあね」

「2分後の世界からもう一人やってきたりして」

「ないない、それ」

そのとき外でまた強い風がひゅ〜〜〜っと吹いて、ああそうだ、さっきまたドアを開けたんだっけと思っていると、それがばたん! と閉まる音がした。見るといつの間にか一人の中年女性がドアの前に立っている。どことなく謎めいて、どことなく影があって、どことなく暗い過去を背負っていそうだ。

「あのう、失礼ですがどちらさまで」

「蒲田美知子と言いますが、名前を言ってもご存知ないと思います。私、売れっ子作家・宮部かなえの作中人物なのですが、なぜか強い風が吹いて、気がついたらここにいたのですわ」

「え、そうなんですか」

女は迷いもせず麻雀テーブルのほうに歩いていく。

「ちょうど私の席があいていたようですね」

女はそう言って、パイを並べ始めた。おれたちもなんとなくそれに従う。

「あれはひと月ほど前のことでした。夜のうちにゴミ出しをしておこうと思って夜の10時頃に外に出ると、悲鳴が聞こえたのです。あ、と叫んでいったん止み、それからまた、あーっと長く聞こえました。まさかそれが事件の発端だとは思いませんでした。

聞こえてきたのは角の小西さんのお宅のほうでした。でも私は自分でもなぜかわかりませんが、その悲鳴は村田さんのお宅に関係あると思ったのです。実は私は結婚前は銀行に勤めていました。それというのも実家の両親が、銀行に勤めている人は信用できると固く信じていて私にもすすめたからでした。それで私は高校を出るとすぐ某銀行に勤め始めました。

ああ、私のことより村田さんのことでしたね。村田さんはこのあたりでは少々変わり者で通っていました。別に頭からこいのぼりをまとっていたとか青い口紅を塗っているとかそんなことではなく、どう言えばいいのでしょう、身のこなし、ものの言い方、歩き方などすべてにおいてどことなく周囲の人間の神経を逆撫でするものがありました。

その村田さんと私が初めて口をきいたのが、事件の2週間ほど前の金曜日のことです。村田さんの買い物袋からたこの足がはみ出ていたのでよく覚えています。私は」

おれたちはパイを並べながら突然独白を始めた女をあぜんとして見守っていた。なんなのだこれは。この女は何をしゃべっている。そしてこの違和感。おれたち3人との途方もない距離感。おれたちにはない何やらオーラめいたもの。

ああああっ、そうだ。おれたちは同時に気づいた。

「そうなんだよ」

「おれたちって、どういう経歴で何をしている人間なのか全然わかんないんだ
よな」

「名前もない!」

「ただだらっとしてるだけという」

「ひでえ」

「人数だけは3人もいるのに」

「作者、めんどくさがりにもほどがあるだろ!」

春の風に吹かれてどこかに飛んでいきたいと、切に願うおれたちであった。

【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net
< http://midtan.net/
>
< http://koo-yamashita.main.jp/wp/
>

同じものを食べ続けて、ある日突然いやになるということを繰り返している私だが、少し前に突然「だしの素」がいやになり、天然系のだしパックに転向した。昆布も使ったりして、今んとこはこれをけっこう楽しんでいるが、そのうち突然またいやになるんだろうか? とりあえず最近、私としてはまじめに料理しているのが感心である。


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■3Dプリンター奮闘記[33]
B9creator、来たる!

織田隆治
< https://bn.dgcr.com/archives/20140403140200.html
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こんにちは。
とうとう、うちにも「B9creator」が届きました。

「B9creator」は、プロジェクターで断面を照射し、紫外線硬化タイプの樹脂を一層ごとに固めてゆくタイプの3Dプリンターです。

樹脂の色は、今のところレッドがメインで、他にも少し色の違うチェリーという二種類。チェリーは、かなり精度の高いものに使用するようです。グレーなんかも出たら嬉しいですね。

まあ、僕の場合は原型制作に使用するので、色はどうでもいいんですが、グレーという色は、形状やディテールをチェックするにはもってこいの色なんです。表面の凹凸がはっきり出て、少しの歪みやキズも見つけ易くなります。

プラモデルを本格的に作る人なら、サーフェィサーというグレーの下地材を吹き付けたりするので、そういったことをご存知だと思います。

さて、それでは、早速梱包をほどいてセッティング。こういった新しい機器や家電、パソコンなんかが来ると、この行程が楽しいんですよね。「開封の議」って感じです。(笑)

とりあえず、設置場所に鎮座してもらって、しばらく取り説を……。って、今ほとんどこういうのはPDFなんですよね。仕方ないので、すべてプリント(笑)こういう時に、iPad欲しくなりますね。

一通り読んでから、プリンターに向き合います。まずはこのために用意した「中古」のノートPCにドライバーやらをインストール。「B9creator」にはUSB。「B9creator」に付属するプロジェクターにも繋いで起動してみます。

「おお。動くぞ、これ!」

まあ、当たり前なんですが、ワクワクします。

付属のモデルがあるんですが、そこはモデリングを本業としている僕。適当に作った簡単なモデルをモデリングして、STLデータに変換して読み込み。

まずは、レイアウト画面でモデルデータを設定してから、スライスデータを制作します。このスライスデータというのは、モデルを積層する場合に必須。地形なんかの等高線を頭に思い浮かべて頂ければいいと思います。

その断面の形状で一層を固めて、その上にまた一層重ねていく感じです。これは、どのプリンターも同じと言えます。

「B9creator」のソフトウェアでは、この断面データをチェック出来るようになっていて、変なところがないかどうかを事前にチェックします。変なところがあれば、その断面データに手を加えられるようになっていました。

今回は、そんなに難しい形状ではなかったので、そのままプリントします。プリント用のソフトを立ち上げ、「B9creator」にデータを転送します。正確には、プロジェクターに転送するんですが。

しばらくすると、プロジェクターから断面が照射され、一層目ができます。で、次は二層目…

「ガチャ!!! ガッシ〜ン!」

うわぁ! けっこう激しい動き!!!!

ビビりましたけど、このタイプの3Dプリンターは、剥がれやすいようにシリコンが塗布してある液体を入れた箱の上から、テーブルとなる板が上がって、つり下げるような仕組みです。

テーブルに付着したモデルを、そのシリコンが塗布してある箱から引きはがし、そのモデルの下に数ミクロンの隙間を作って、そこに流れ込んだ紫外線硬化樹脂に、次の断面データを照射する形式になっています。

そうやって、テーブルが上に動いて行き、造形物が積層される仕組みになっています。この、「引き剥がす」目的で、ある程度早い速度でテーブルを動かす必要があるわけですね。

分かってはいましたけど、少しビビりました(笑)

先まで使っていた「objet」も、紫外線硬化タイプなのですが、ここが一番違うところです。待つこと2時間程でモデリングが完成!

「う〜ん。小さい割に時間がかかるなぁ……」

と、そこで気がつく訳です。
素材を溶かし、ニュルニュルと積層していくタイプのプリンターは、輪郭線をヘッドがなぞるように動いて素材を充填していきます。ヘッドが動くことで、断面が積層される訳ですね。ですから、断面の面積が広いと、それだけ時間がかかるというわけです。

しかし、「objet」「B9creator」等の紫外線硬化タイプの3Dプリンターは、光やレーザーによって硬化させます。

そう、その断面を実働でなぞる必要がない訳です。断面に光を当てて硬化させるので、そういった面でニュルニュル式のプリンターより、一層にかかる時間が少ない訳ですね。

ということは、断面の面積の大小で、プリント時間を大きく左右するようなことはあまりないのです。「要は高さ」ですね。高さを出来るだけ押さえることで、プリントの時間短縮が行えるというわけです。

形状によって、その出力方向もノウハウがありそうですので、これから色々と実験して、またノウハウを蓄積していく必要があります。

で、その出力された物はどうなのよ?

これが結構きれいに出ていました! 樹脂自体も、研磨性も悪くなさそうです。「こりゃエエ感じです」ということで、この続きは次回に!

【織田隆治】FULL DIMENSIONS STUDIO(フル ディメンションズ スタジオ)
< http://www.f-d-studio.jp
>

レーザー彫刻機も入ってきました。またそれはこの後で。先日、広島に旅行に行って来たんですが、桜が満開! で、帰ってきたら京都も満開でした〜。花見行きたいなぁ……。


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■デジクリトーク
ロービジョンの子供たちにも使いやすくて魅力的なノート
「KIMINOTE(きみのて)」を届けたい

伊敷政英
< https://bn.dgcr.com/archives/20140403140100.html
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はじめまして。伊敷政英(いしきまさひで)と申します。

このたび、ロービジョンの子供たちにも使いやすくて、学校へ持っていきたくなるようなノートKIMINOTE(きみのて)を作るプロジェクトを始めました。今回はこのプロジェクトについてご紹介いたします。

●ことの発端

ある日、小学校一年生のロービジョンの女の子のお母さんから、「ねえ、ロービジョン向けのノートでかわいいやつってないの?」と聞かれました。市販されているノートの罫線はよく見えなくて、ロービジョン者向けのノートを薦めてみたけれど、「かわいくない。学校に持っていきたくない」とのこと。

みんなと違うノートを持っていくだけでも、彼女にとってはイヤなことなんだろうな。同じロービジョンとして気持ちはよくわかる。そして、それがかわいくないとしたら……。

既存のロービジョン者向けノートがかわいいかどうかはともかく、バリエーションが圧倒的に少ない。選択肢がとても限られている。

これが本質的な課題と感じて、それなら学校へ持っていきたくなるような、かわいい・かっこいいノートを作って、ノートの選択肢を増やそうと決めました。

●ロービジョンとは

メガネやコンタクトレンズで矯正しても十分な視力を得られず、日常生活や学校・職場などで不便を感じる状態を「ロービジョン」と呼んでいます。

「視覚障害」というと、まったく目が見えない全盲を想像する方が多いのですが、実は日本の視覚障害者の6割以上は、少し視力があるロービジョンといわれています。

私自身もロービジョンです。現在の視力は、右目はコンタクトレンズで矯正して0.02、左目は光がわかる程度なので、ほとんど使っていません。普段、外を歩くときは白杖(はくじょう)を持っています。

またパソコンやタブレットなどは、画面を拡大したり、色を反転する機能を利用して操作しています。このテキストも、Windowsの「拡大鏡」というソフトを使って書いています。

・ロービジョンの人の見え方

ロービジョンの人の見え方には個人差がとても大きく、また一人のロービジョン者でも、天気や時間、室内の照明などによって見え方が変化します。代表的な見え方としては、以下の4つがあります。

  像がぼやける
  まぶしい、暗い
  視野が狭い
  視野の一部が欠けている(中心が見えない、など)

・ロービジョンの子供たちは、こんな道具を使ってノートをとっている

ロービジョンの子供たちは、視力や見え方に応じて、様々な工夫をして学校や自宅でノートを取っています。代表的なものをご紹介します。

ルーペ:視力や見え方に応じて、倍率やLEDライトの有無、グリップの種類を選んでつかっています。

拡大読書器:ルーペではよく見えないときや、細かい作業を行いたいときなどには拡大読書器を使っています。書見台の上に本や書類を置くと、その上にあるモニター(写真は14インチの家庭用テレビです)に文字が拡大表示されます。写真のように色を反転したり、まっすぐ一行読めるように、余分なところを隠す機能などもあります。僕自身、現在この拡大読書器を使っています。

書見台つきの机:ロービジョンの場合、目を近づけて本やノートを見ます。すると姿勢が悪くなるので、このような天板が傾く机を使います。僕も小学生のころはこの机を使っていました。

●ロービジョンの子供のノートについて

このような工夫をしても、次のような不便があります。

不便1 :ノートの罫線が見えずにはみ出したり、曲がってしまう
不便2 :ロービジョン者向けに罫線の太いノートはありますが、シンプルな大学ノートのようなデザインのものしかなく、小学生の子供たちにも使ってもらえるような、かわいい・かっこいいデザインのノートはありません。

そこで、罫線が見やすくてデザインもかわいい・かっこいい、学校へ持っていきたくなるようなノート「KIMINOTE(きみのて)」を作りたいと考えました。

●「KIMINOTE(きみのて)」制作プロジェクト

KIMINOTE制作プロジェクトでは、ロービジョンの子供たちにも見やすいような、太い罫線と十分な大きさのマス目のノートをデザインします。また表紙にも、かわいいイラストやきれいな写真を載せます。

そして完成したKIMINOTEを、全国の盲学校や弱視学級へ届けます。子供たちや保護者の皆さん、先生方からいただいたフィードバックをもとに、さらに改善を続けていきます。

●選択肢を増やしたい

東急ハンズやロフトに行けば、文房具だけを扱うフロアがあって、どのノートを使うか迷うくらいの選択肢があります。その「どれにしようかな」がとても楽しかったりする。

でも一方で、ロービジョンの子供たちが使えるノートはほんの1、2種類。この「選択肢の幅の差」を何とかしたい。

選べることは豊かなこと。ロービジョンの子供たちに、ノートの選択肢を増やしたい。そして将来、自らの手で世界を広げ、選択肢を増やしていけるようになってほしい。

ノートを開く、世界を開く、KIMINOTEで。

KIMINOTE制作プロジェクトの詳細や最新情報は、以下のページでご覧いただけます。
< https://readyfor.jp/projects/kiminote
>

趣旨にご賛同いただき、 KIMINOTE制作プロジェクトへのご協力をお願いいたします。

【伊敷政英(いしきまさひで)】
1977年東京生まれ。大学卒業後、ITコンサル会社勤務を経て、2010年8月よりフリーのウェブアクセシビリティコンサルタントとして活動中。自らもロービジョン。

Cocktailz(カクテルズ)
http://cocktailz.jp/

Twitter : @cocktailzjp
Facebook : Masahide Ishiki


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編集後記(04/03)

●朝日新聞は本当に便利だ。購読していないけど。ある案件について意見が分かれたときに、朝日が賛成したら反対すべきで、朝日が反対したら賛成すべきだという、じつに簡単なお約束が良識ある日本国民のあいだに浸透しているから、朝日の動向を読めば、日本の正しい進路が分かるのである。

最近の報道によれば、毎年20万人の移民受け入れについて、政府が本格検討を開始したという。現在、外国人労働者は高度人材などに制限されているが、大量受け入れには3K単純労働者を認めることが不可欠になる。日本国籍を付与する移民を、50年かけて1000万人受け入れるという、おそるべきことを政府は画策している。では、移民について朝日はどう考えているのか?

最近の朝日の動向はチェックしきれなかったが、2007年に「希望社会への提言」というシリーズが24回にわたって掲載された中で、20回目の「『単一民族神話』を乗り越える」が移民問題を扱っていた。「外国人の子どもに日本語などの教育支援を」「多民族が『隣人』として共生する社会を築く」というのがお題目だから、朝日の立場は明確だ。「政府は『単純労働者や移民は受け入れない』という方針を、早晩、手直ししなければなるまい。それならば、心を開いて外国人を受け入れ、個性や多様性に富んだ共生社会をめざした方がいい。外国人も働いて税金や社会保険料を払い、産業や福祉の担い手に加わってくれるのだから、日本の活力がそれだけ保たれる」と書く。朝日は以前から3K移民の導入に大賛成だった。国柄の破壊のためならなんでもする。

「こんな未来図を描いて、いざ足元に目を移すと、外国人の受け入れ態勢が未整備なことにぞっとさせられる。(略)ニューカマーだけが固まって孤立するのを防ぎ、地域社会に溶け込めるようにしていかなければいけない。政府は地方自治体やNPOと連携して、総合的な対策を打ち出すべきだ。なによりも急がねばならないのは、子どもたちへの教育支援である。(略)医療・年金・雇用保険への加入を進め、正社員への門戸も広げて、働く環境を安定させる。(略)定住から永住、国籍取得への手続きを容易にするのは自然なことだ。同時に、永住外国人は納税して社会を支えていることを考えると、地方参政権を全く認めないのは公平を欠く。難民への門戸も、人道主義の立場から広げるべきだ」……嗚呼、ぞっとさせられる。

朝日は、多民族社会になる覚悟をせよ、という。外国人を単なる「安い労働力」ではなく、人格を持った「隣人」として受け入れよ、という。そんなきれいごとが通用しないのは、ヨーロッパで歴史的に実証済みではないか。すべての国で移民政策は大失敗しており、いまはすべての国で移民排斥の方向に激しく動いている。なぜ日本が同じ道を行かねばならないのか、しかも日本解体に至る道を。たしかに日本は少子化で人口が減少するのは確実だが、移民による人口のつじつま合わせは最悪の選択だ。朝日が「賛成」しているんだから、3K移民の導入は「絶対反対」だ。安倍政権、もっとまともなこと考えろ。(柴田)

< http://www.asahi.com/shimbun/teigen/teigen20.html
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朝日新聞【社説】希望社会への提言 (絶望社会へまっしぐらだよ)


●回線トラブル続き。モデムのランプは全部ついている、再起動はした、ルータの再起動もした、ケーブルの抜き差しはした、直接接続もした、電話は繋がる、などと言い、マンションの他の部屋も繋がっていないらしいとも伝えた。

向こうはさすが。こっちのテンションに動じず、落ち着いて返答してくれる。いつからか問われたので、一時間ほど前だと伝えると、障害情報を見てくると。が、こちらにもあがっていませんね、もう少し調べて折り返しますとのことで切った。

頼めてほっとしたら、AirMacユーティリティーのエラーランプが消えている。まさか? ネットが繋がる。AirMacのランプは常時点灯に変わっている。ええええーーー! マーフィーの法則は現代にも生きてるわ。悩んで調べて手がなくなった後、誰かに質問している時に動くイロイロなモノ。ネットも同じでございました。(hammer.mule)