Otaku ワールドへようこそ![191]"水手服爺爺"出現在杭州/GrowHair

投稿:  著者:  読了時間:22分(本文:約10,900文字)


もう、パンダのお返しは水手服爺爺(セーラー服おじさん)でいいんじゃないかと。一昨年フランスに行ったとき Japan Expo の会場ではまるでマスコットキャラのような人気を博し、ひっきりなしに写真を撮られていた私だが、今年杭州で開催された中国国際動漫節(China International Cartoon and Animation Festival; cica)では、それ以上だった。

群がる人々を現地人スタッフ2人がつきっきりでさばいてくれてなかったら、私は騒ぎを起こしたかどで公安にしょっ引かれていたかもしれない。

放っておくと際限なく膨れ上がっていく人だかり、つかつかつかと注意しにくる公安、何言ってるのかさっぱり分からなくて戸惑う私、うまく言い訳して私を救出してくれるスタッフ、移動したらしたで、そこでまた同じことが始まる。それの繰り返し。人いぱーい。




●中国には中国のネットがあった

日本でも以前から、「中国でも有名だよ」と教えてくれる人はよくいた。けど、有名ったってレベルはいろいろだし、都市部には多少いるかもしれないネットユーザーたちの間で、せいせい画像が出回っている程度であろうと高をくくっていた。ちょっと甘かった。

4月30日(水)、ホテルに到着し、チェックインしている最中に、声をかけてくる人がいて、ロビーで撮影会になだれ込んでいた。夕食後には、みんなが思い思いの適当な紙切れを差し出してきて、エレベーターホールでサイン会になっていた。20枚ほど書いたか。みんなの名前、漢字が難しくて、書き写すのが大変だった。思ってたよりも知られてる私。

この様子を見ていたイベントスタッフは、会場を私が自由に歩き回っては大変なことになると察知し、5月1日(木)、2日(金)は関係者エリアに隔離されていた。イベント最終日の5月3日(土)、さすがに何も見ないで帰るのはどうか、と情けをかけてくれて、二人の護衛つきで回らせてくれた結果が前述のとおりである。

こんな。3日(土)の水手服爺爺祭り。
< http://picasaweb.google.com/107971446412217280378/Cicaf2014May3 >

中国からはツイッターにもフェイスブックにもアクセスできない。代わりにあるのが「微博(weibo.com)」というサイト。書き込み一回あたりの字数制限が140字というあたり、他人のアイデアをパクることに遠慮というものがまったく感じられない。

そこに「@水手服爺爺」という名前でアカウントを作ってみたら、わずか一日でフォロワー数が10,000を超え、一週間経った現時点では25,000を超えている。ツイッターのほうは何年もかかってやっと8000そこそこだというのに。さすが中国。人いぱーい。

●つくばに行ったら中国に行くことになった

3月23日(日)につくばでコスプレのイベントがあるので来ませんか、とひよ子さんからお誘いメールが来たのが1月24日(金) のことだった。

ひよ子さんは日本でもトップクラスのコスプレイヤーで、毎年8月に名古屋で開催されている「世界コスプレサミット」では、2006年に日本代表として出場し、準優勝を獲得している。当時は蝶子さんというコスネームで、万鯉子さんと「チーム婆薔薇」を組んでいた。

鳥取県にある中国庭園「燕趙園」で春と秋に開催される「中華コスプレプロジェクト」に私は'07年5月から何回か続けてカメコとして参加していて、スタッフを務めているひよ子さんから大いにお世話になっていた。このイベントでは、本場中国からコスプレイヤーさんたちを招いており、ひよ子さんはその人選役として、中国に渡ったりもしている。

今年はゴールデンウィークに杭州でコスプレのコンテストがあり、ひよ子さんはそれに行くことになっている。そのイベントでは、鳥取とは逆に、日本人のコスプレイヤーが招待されることになっており、日本国内からの人選もひよ子さんが任されている。

日本代表として中国行きを決めるコスプレコンテストの決勝大会が3月23日(日)に開かれることになっており、それへのお誘いであった。審査員を務めてくれませんか、と。いやいや、ちょと待てちょと待て。

私は確かにカメコとして大勢のコスプレイヤーを撮ってきてはいるけれど、そんなに漫画を読んだりアニメを見たりするほうではなく、オタクとしては、うっすい存在である。審査員なんて大役、荷が重すぎますって。ただのカメコとしてなら参加しますけど。

審査員は断ったつもりだったが、それからやりとりがないまま時が経過して、3月になっていた。まさかあの話、生きてないよな、と3月7日(金)にひよ子さんに確認のメールを送ってみると「はい、あてにしてます」との返事。あらら。

気が重い私とは対照的に、アイドルの豊田冴香(サエ)はノリノリでイベトを心待ちにしている。初音ミクのコスを披露できるイベントに参加したくてしょうがなかったのである。

当日、つくばエキスプレスのみどりの駅から一時間に一本しか出ていないバスに乗り、茎崎運動公園停留所で降りたのがサエと私だけだったことに若干不安を覚えながら「つくばふれあいプラザ」まで歩くと、ひよ子さんが明るく迎えてくれた。

実は、コスプレコンテストの参加者に欠員が出たんで、サエが代役を務めてくれないか、と。ちょと待てちょと待て。日本代表として中国行きを決めるコンテストの決勝戦でしょ? 当日急に言われたって無理ですってばー。と、ビビりまくりの私とは対照的に、こういうときノリノリのサエ。本人が出たいと言うなら、まあ止めはしませんけど。

それを私が審査するというのも変な話だが、審査員は何人かいて、結果的には私が厳しくつけようが甘くつけようが、何ら変わりはなかった。堂々の優勝。あれ?

「中国、行く?」とひよ子さん。「行きたーい!」とサエ。長野の母親にその場で電話する。タイミングよく取得してあって、まだ一回も使っていないパスポートがなぜかあるんだよなぁ。これはもう天の思し召しってやつですかい? ノリノリで、行ってきなさいと言うサエ母であった。ビビらない母娘だ。

サエにとって初めての海外となる。もの心ついて以降は飛行機も初めてとのこと。めっちゃ楽しみにしている。飛行機代も宿泊代も食事代もイベント主催側持ちとなる。

私は、保護者代理ぐらいの立場で。飛行機代は自分持ちだが、それ以外は出してもらえるという。ちょうどよく、本業のほうが勤続25年で、旅行券を20万円分頂戴していたので、それの一部をあてよう。

去年、会社が祝賀イベントを催してくれていたのだが、アイドルのイベントと重なって欠席し、後で総務に受け取りに行った。表彰状の文言が突き刺さって痛い。「あなたは勤続25年の間よく勤務に励み常に他の模範となって社業の発展につくされました。よってその功績をたたえ表彰します」。アイタタタタタ。

●何につけてもアグレッシブな中国

ひよ子さんとサエは4月29日(火・祝)の飛行機で杭州入りしたが、私はその日、中野の街コンに参加することになっていたため、一日遅れで杭州へ。

杭州は、上海の南西約100kmに位置し、銭塘江の川幅が急に広がったのか、海に注いだのかよく分からない地点にある。市街地は川の北側にあるが、宿泊した四つ星ホテル「杭州蕭山宝盛酒店(Hangzhou Xiaoshan Blossom Hotel)」は南側にある。空港から西へ10km余りをタクシーで。

手帳にあらかじめ書き留めてあったホテル名と住所を運転手に示すが、よく分かってない様子だった。通りの名称と、その通り上の地番を示しているので、迷いようがなさそうに思うのだが。途中で、「もう一回見せて」と言ってきた。

中国の運転は、ほんとうに恐い。高速道路はどの車も車線変更の嵐。カーレースじゃないって。相当なスピードを出しているのに車間距離をあまり空けず、隣りのレーンにちょっとでも隙間ができると躊躇なく車線を変える。

車一台分前に出たところで到着時間は一秒も早まらないと思うが、急いでいるからというより、人よりもちょっとでも前に出たくてしょうがないといったふうである。日本でも、高度成長時代には、そういうムードがあったなぁ。

一般道では、急ブレーキを踏むので驚いて前を見ると、ふたつ前を走っている車が、急に思いついて左折するもんだから、後続の車が危うく追突しそうになっているのであった。

交差点で目の前を大きなバスが左から右へ突っ切ろうとしているところへ私の乗ったタクシーが躍り出て、平然と鼻先を交差する。もう生きた心地がしない。

歩行者が邪魔ならクラクションをビービー鳴らす。ちょっとでも渋滞すると、運転手はお釣り用の小銭ボックスに手を突っ込んで、じゃらじゃらと音をたててかき回す。言葉が通じなくても非常に分かりやすいイライラジェスチャー。

途中で左折してしばらく進んだところで、大きな声で言い訳をしながらUターンして、元の道へ復帰。信号待ちでは車を降りて、後ろにたまたまいたタクシーに道を聞きに行く。別の信号待ちでは、隣りの車に窓越しに道を聞く。

ひょっとしてお芝居なんじゃなかろうかと、私の中で疑念が湧く。わざと遠回りしておいて、高く請求しようって魂胆じゃあるまいな。到着すると、遠回り分を差っ引いてくれるわけでもなく、メーターの料金と高速代を加算した額を請求された。200元(1元=約15円)でお釣りが来た。

日本だったらタクシーで10km以上も走ったら4,000円以上かかるところなので、まあ、いいかと。後でひよ子さんに聞いてみると、いつもそのくらいの値段だそうで。本当に迷っていたらしい。

この日、みんなは西湖へ観光に行っていた。夜まで一人でどう過ごそうかと思案しながら部屋に入ったらすぐ寝てしまい、気がついたら夜だった。周辺の散歩すらしなかった。まあ、費用は向こう持ちだし、こっちは自分の都合で一日短縮してるんだし、観光できないのは仕方あんめぇ。結局、川を北側へ渡ることはなかった。

チェックインの途中でも、食事している最中でも、人と話をしている最中でも、写真を撮らせてくださいと人が声をかけてくる。何につけても自分の思い立ったことが最優先で、相手が忙しそうだから遠慮するという心がけがまったくないようだ。

しかし、どうしても手が空かないときは断ればあっさり引き下がってくれる。そういう社会らしい。悪く言えばみんな欲望丸出し、良く言えば活気がある。日本は国際社会から新興衰退国と揶揄されている。社会が秩序立って回っているのはいいんだけど、活気という点においては、少しばかり見習うべき点もあるんじゃないかという気がしてくる。

中国は産業的にも社会秩序的にもまだまだ進んでいないとダメな側面ばかりをあげつらう日本人の声はよく聞こえてくるが、なんだかよぼよぼじじいの空威張りっぽくて、未来志向のパワフルな行動に結びついていきそうな感じがしない。追いつかれまい、追い越されまい、抜かれたら抜き返す、といった気概ある前向き発言があまり聞こえてこない。なんかくたびれてるんじゃなかろうか、いじけてるんじゃなかろうか、丸ごと沈没途上にあるんじゃなかろうか、と心配になってくることが多々ある。

5月3日(土)、イベント会場内で別行動していたグループとの合流待ちで芝生で休んでいる間にも、声をかけてくる人がいて、あっという間に写真を撮る人たちの人垣が形成された。公安が移動せよと声をかけてくる。このときは、スタッフの二人が抵抗してくれた。

移動したら待合せできないでしょ、と。互いの口調がだんだん激しくなってきて、どなり合いになる。うわぁ、やばいぞやばいぞ。しまいにゃ全員しょっ引かれるんじゃあるまいか。

通訳のテイさんが逐一解説してくれたのだが、これが中国式の交渉であって、決して喧嘩しているわけではないのだそうだ。声がでかいほうが勝つ、と。気の弱い草食系の俺、そういう交渉には向いてないわぁ。

●総合芸術に昇華しているコスプレ

「中国国際動漫節(cicaf)」は中国で一番大きな漫画とアニメのイベントである。ホテルからさらに5kmほど西に行った、白鳥湖のほとりの休博園で開催されている。

今年は第10回で、4月28日(月)〜5月3日(土)の6日間開催された。杭州市が主催し、スポンサーが何社か協賛している。フランスのJapan Expoが5日間で来場者数約20万人、日本のコミケが夏冬3日間ずつの合計で約100万人なのに対して、cicafは6日間で約200万人である。人いぱーい。< http://www.cicaf.com/ >

その祭典の中の1イベントとして、コスプレコンテスト「Cosplay超級盛典」が開催されている。4月29日(火)と30日(水)が杭州の地区予選で、5月1日(木)が全国大会の準決勝、2日(金)が決勝戦である。客席は約2,000人の観客で埋まる。人いぱーい。

奥行きの広いステージが設けられ、その裏側はホール3つ分ぐらいの広さの楽屋になっている。舞台前にはメディア関係者による撮影用のスペースがあり、審査員用のテーブルと椅子が横一列に並べられ、その後ろが仕切りを隔てて客席となっている。

1日(木)と2日(金)の初っ端、すでに1,000人ほど入っている観客を前に私もステージに上がり、審査員としてあいさつした。通訳してくれたのはテイさんという女性。杭州出身で、神戸在住の学生さんである。非常に頭の切れる人で、私が長くしゃべってもしっかりと通訳してくれた。

順番無視で、準備が整ったチームから出てくるもんだから、私なんぞはどのチームが出てきたのかすらまったく分からず、テイさんの解説なしにはまるで審査にならないところだった。

午前の部は2人一組のチームが10数組出場し、各チームそれぞれ3分ほど、寸劇や舞踊を披露する。午後の部もやはり10数組出るのだが、30人〜 40人ほどのチームもあり、それぞれ30分ほどの劇を演じる。夜までかかるのである。

中国には京劇などの古典演劇があり、水袖や扇子や傘を使った古典舞踊があり、カンフーなどのアクションがある。コスプレがそれらと融合して総合芸術に昇華している。

まずは二人ほどの人物が舞台に登場して、衣装の豪華絢爛さと、優雅な舞踊や軽快なアクションなどで観客の軽い驚きを誘い、注意をぐぐっと引き込む。それから劇を演じ始める。日本ではよく漫画やライトノベルを原作として実写版のテレビドラマや映画が制作されるが、これの舞台演劇版といったところ。

中国国産の小説や漫画を舞台化したエントリーもあり、私にはさっぱり分からない。もっとも小説が原作の場合、登場人物の姿はすべて創作されており、原作に似ているかどうかという基準はない模様である。

途中でどんどん役者が加わっていく。シーンの切り替えでは暗転せず、キャスターつきのついたてがさーっと移動して、それの影に隠れて手品のように役者が入れ替わる。テンポがいい。チームの結束力がいい。ついたて移動係の人は、観客に姿を見せることはない。

途中にも大人数による舞踊や、派手な大立ち回りが入り、お涙頂戴的な感動のクライマックスを迎え、最後に役者が全員舞台に勢ぞろいして、華やかに決めポーズをとる。これがひとつの典型的な流れのようである。

衣装の豪華絢爛さ、舞踊の美しさ、大立ち回りの動きの俊敏さなど、どれもこれも非常にレベルが高く、ほんとうにいいものを見せてもらった。日本にも、平安時代や江戸時代を設定とする漫画・アニメ作品はあるけれど、伝統芸能とここまで融合するに至ってはいない。

そんな芸術ムードの中、2日(金)午前中の後半は外国勢のパフォーマンスで、souさんとサエによる日本代表チームは臆することなく、ポップなダンスで日本らしさをアピールし、暖かい拍手と声援を浴びた。アメリカ、韓国、タイ、シンガポールなどのチームも出場し、それぞれのお国柄が出ていた。

今年3月の第9回オタク川柳大賞の大賞受賞句は「アニメ観て 泣く俺を見て 母が泣く」であった。大きく育ち上がった子供がアニメにうつつを抜かしてちゃ、そりゃあ親は喜ばんでしょう。

おそらく中国ではそういう社会規範はいっそう強い。男たるもの、一定の年齢に達したら、社会的役割を担って立身出世を志し、財を築いて家庭を支え、子孫を育て上げて社会的責任を果たすべし。漫画やアニメなどの子供じみた趣味は背後に捨て去って前進すべし。そんなプレッシャーが強そうだ。

その一方、伝統芸能への献身は、立派な文化活動として賞賛されるであろう。オタク趣味を続けたければ、それと融合することで、誰へともなしに言い訳が必要だったのかもしれない。私の勝手な穿った見方だが。

中国よりも先に経済成長しちゃった日本は、ある程度気持ちにゆとりがあり、いい年をした大人がオタクオタクしてたり子供子供してたりしても、社会が多様性を認めて、割と寛容な気がする。

その一方、政策を決めるような重要な領域には、デンと構えた頑固な年寄り層が厚く、オタク文化の振興に官が一枚かもうとしても、そんな無駄なことに一銭でも税金を使うことは許すまじ、とばかりに猛反対の声が上がって、なかなか進まないようである。

コミケはオタクの側が主催する、民が主体のイベントだし、世界コスプレサミットはテレビ愛知が主催して外務省が協賛するものの、国庫のお金はぜんぜん出ていない。「東京国際アニメフェア」は東京都の発案で官主体だったが、2010年には東京都青少年の健全な育成に関する条例に反対する参加者が相次いでボイコットする騒ぎとなり、「アニメ コンテンツ エキスポ」とに分裂した。

その後、「AnimeJapan」として統合され、2014年3月に開催されたが、来場者数は2日間合計で11万人と、中国のイベントには遥か遠く及ばないショボさである。

官の側が唱える「クールジャパン」に対してオタクの側はどうも冷ややかで関心が薄く、ムードの盛り上がりが感じられない。中国国際動漫節は、全体としてそうとうな黒字を出している模様ですぞ。

5月1日(木)、準決勝。審査に忙しくてあんまり撮れなかった。
< http://picasaweb.google.com/107971446412217280378/Cicaf2014May1 >

2日(金)、決勝。
< http://picasaweb.google.com/107971446412217280378/Cicaf2014May2 >

●反日どこ行った?

移動日を含めてもたったの5日間だけ、しかも銭塘江の南側だけで過ごしてきた私がまるで中国全体を見てきたかのように言ったりしたら笑止なことだが、しかし、少なくとも私が見た限りにおいては、反日のムードは微塵も感じることがなかった。みんなたいへん仲良くしてくれたぞ。

政治的には、日中の間には、尖閣諸島の領土問題はあるし、首相の靖国参拝で中国の神経を逆撫でしてる件もあるし、長らく解決しない火種が横たわっている。また、どこかの広場で反日デモが繰り広げられたのも事実であろう。

しかし、そういうのが日本で報道されるとき、ちょっとばかり空気で膨らましたりしてないだろうか。杭州に身を置いてみると、そんな疑念が湧き起こる。

中国政府としては、反日の火種を強調して日本を責めることで、日本側から譲歩を引き出すための外交カードとして使おうという狙いがあるのかもしれない。

また、アメリカとしては、ヨーロッパがEUという形でまとまったのと同様に、アジア圏がAUみたいな形で結束を固めて強大なパワーを築いたりしては、あまり都合がよろしくない。アジアの近隣諸国の火種の解消を先送りにしてこじらせ、不仲が続くように差し向けていたいところなのではあるまいか。

ひょっとすると、中国の反日ムードって、中国政府側あるいは西側のデッチ上げなんじゃなかろうかとさえ思えてくる。国際政治の力学については、私はよく分からない。しかし、少なくとも、一般の人々からは日本人と仲良くしたがっている空気しか感じられなかった。

5月3日(土)の夕方、近隣にある白鳥湖建国飯店の宴会場で閉幕式が開かれた。立ち見も含めて約500人が参加し、杭州市長などのお歴々が列席する中、オープニングでドラゴンボールのテーマソングが流れ、コスプレした現地の子供たちが舞台に出て踊った。そんなオフィシャルな場で、日本語のアニソンが流れることに、何の空気の乱れも起きなかった。

われわれ草の根レベルでは、仲良くしておけばいいんじゃなかろうか。うまくすれば、外交の表舞台とは別の次元で、大衆レベルでは海底トンネルのように太いコミュニケーションのパイプができ、相互理解の深さをもって、国際政治の懸案事項を骨抜きにできるかもしれない。私はパンダみたいなもんであっていい。

●国民性の違いには相互理解が必要

ただし、中国人に対して、手放しで用心を解いてはいけない。何かにつけズルしたがる国民性が身にしみこんでしまっているフシがある。中国を相手にはビジネスをやりづらいとの声もよく聞く。

往きの成田空港の本屋で、金文学『中国人が明かす中国人の本性 中国国民性新解読』(祥伝社黄金文庫)を見つけて購入した。中国人というのはどうにも一筋縄では理解のおぼつかないところがあって前々から疑問を抱いており、誰か解説してくれないかと思っていたところである。

この本は、そういった疑問に答えてくれて、読み終わった後もだいぶもやもやは残るものの、ずいぶん霧が晴れてすっきりした気分になった。中国人の根底をなす国民性の理解に大いに参考になる。

基本的には中国人が書いた中国の悪口だった。けど、思想を欠いた即物的・世俗的な風潮が続いたら未来は暗いと中国の先行きを憂える愛国心が感じられる。「混」、「江湖」といった独特の概念の解説が面白かった。

中国でも日本でもどこでも、たいていの人は自分が得するように振舞う。日本では、誠実・正直なのが一番得である。信用第一。みんなまじめで、ズルしようとする人があんまりいないので、一人でそういうことをしてると目立ってしょうがない。

ちょっとでもアヤシイ動きをすると、あの人には気をつけろ、関わらないほうがいい、と排斥される。それは損なことだ。

中国は逆。ズルしたほうが得である。だってみんなやってるんだから。一人で正直にやったのでは、損するだけで終わってしまう。ズルがバレたところで、社会的にやっていけなくなるもんでもなく、ごまかしきれる。あんたもどっかでは悪いことしてるんだから、人のこととやかく言えないでしょ、と言い返されると黙るしかない。

真面目を馬鹿にする風潮。ズルはするのがあたりまえ。「みんなで渡れば恐くない」。そこのところはよく理解しておかないと、お人よしな日本人として、都合よく利用された上に陰で笑われて終わるかもしれない。

5月1日(木)のコスプレコンテスト終了直後、私はまだ集計用紙に記入している最中に、テレビの収録班が声をかけてきて、インタビューしたいという。作業を中断して応じた。

屋内は暗くて動画が撮りづらいというので、屋外に出た。インタビューはけっこうかかり、終わったとき、屋内はすべてかたづいていた。私の荷物はすべてスタッフが持って出てきてくれていた。

それを受け取り、ホテルに戻ってから気がついた。コンパクトフラッシュがない! イベントの途中で容量がフルになり、新しいのに差し替えたのだった。取り出したほうはテーブルの上に置きっぱなしにしていたはず。それを受け取っていない。

翌日、テイさんが他のスタッフたちに聞いてくれたが、その場にあったものはすべて私のスクールバッグに入れ、テーブル上には何も残っていなかったとのこと。

あらためて探してみたけど、入っていない。こういうとき、日本だと、出てくることのほうが普通だが、中国ではなくしたものが出てくることはまずないと聞く。あきらめよう。

帰国して、自分ちのドアを開けようと鍵を探して、スクールバッグの中を手探りしていると、手に当たる平べったい四角。あれ? これじゃん。あるじゃん。置きっぱは思い違いで、自分でしまっていたような気もしてきた。

ああああああ面目ない。なんかすごい借りを作ってしまった気分。一筋縄ではいかない中国。裏のさらに裏は表だった。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
セーラー服仙人カメコ。アイデンティティ拡散。
< http://www.growhair-jk.com/ >

4月29日(火・祝)、オタクのオタクによるオタクのための街コン「あにらぶ」が中野にて開催された。東京では秋葉原、池袋に次いでヲタ色の強い街中野は、ブロードウェイセンター3階の「まんだらけ」を中心に斜め上方向への発展を遂げ、メイド喫茶、アニソンカラオケバー、コスチュームの店などが点在する。

中野区在住でヲタ方面に属するゲストとして、よしもとのお笑いコンビBANBANBANが呼ばれていた。ドラゴンボールはフリーザのモノマネで活躍している山本正剛氏とアニソンDJとしても活躍している鮫島ヒロミ氏。

参加者は、指定店を渡り歩き、真っ昼間っから飲み放題、食べ放題。天気がちょっとぐずつき気味だったが、場は大いに盛り上がり、非常に楽しかった。

次回は6月開催予定。
< http://www.ani-love.jp/ >

ついにNHKの電波を汚してしまった。NHK教育(!)テレビの『Rの法則』。5月1日(木)、中国に行っている間に放送された。

4月6日(日)、お台場の東京カルチャーカルチャーでトークイベントをやった後、新宿で収録されていた。テレビの場合、収録してもそのままお蔵入りして使われずに終わるケースは多々ある。今回の場合、そうなる可能性、7割方とみていた。

だって、NHKでしょ? 教育テレビでしょ? 子供たちも見ている明るい時間でしょ? 局内でモメた末に、視聴者からの苦情殺到騒ぎみたいな事態を恐れる慎重派に押し切られるんじゃないかと。

ホントに放送されてびっくり。放送中、ツイッターのトレンドに「セーラー服おじさん」が上がったらしい。

巷の噂を検証するNHKのアンケート調査によれば、10代の対象者300人中、「セーラー服おじさんに会うと幸せになれる」という噂を知っていたのは56人。意外と広まってる感じ? BGMはなぜかエビ中の『こあくまるんです』。私もアイドルの端くれだから?

その回の番組のページ。
< http://www.nhk.or.jp/rhousoku/koremade/140501.html >

ネットで拾い集めた写真。
< http://picasaweb.google.com/107971446412217280378/NHKR201451 >