デジクリトーク/デザイナーがハマった格闘技「システマ」 福間晴耕

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なぜかデジクリから、日頃の運動やトレーニングについて書いてほしいというリクエストをもらったので、デジクリのテーマからは外れそうな気がするのだが、自分の運動まわりのことを書いてみたい。

椅子に座った作業が多く、運動不足になりがちなデザイナーの読者が多い(かもしれない)デジクリだからこそ、たまにはこんな話題もいいだろう。




●安いランニングコスト:自転車

日頃は殆どパソコンの前で椅子に座った仕事をしていることもあって、一時はけっこう太っていて、これではまずいと運動し始めたというお決まりのパターンなのだが、まず手をつけたのが学生時代にやっていた自転車(ロードバイク)だった。

最初は高額なロードバイクを買う踏ん切りがつかなかったので、当時流行っていたピストバイクを買って、主にローラー台でトレーニングすることにした。後から考えれば、これは正解だったかも知れない。

ロードバイクを買った多くの人が、それに乗らなくなる最大の理由は、乗るヒマがなくなるのと、スピードが出過ぎるので公道を走るのが怖いという二点であろう。

その点、ピストバイクは5万円前後でかなり良いものが買えたし、ローラー台があれば室内で好きな時に乗ることができるからだ。ただし、トラックレーサーはノーブレーキ問題でトラブルも多いし、そもそもブームも去ってあまり売られてないので、今なら代わりにシングルスピードレーサーが良いと思う。

ローラー台は簡潔に言えば、ランニングマシーンみたいな感じでその場で自転車をこぐことができる器具で、具体的なイメージはLink先を見て頂きたいが、これを買ったおかげで、なんとか今まで自転車に乗り続けられたと言ってもいいだろう。
< http://fukuma.way-nifty.com/fukumas_daily_record/2007/10/post_cef7.html >

とはいえ、ローラー台の上では風景も変わらないし、走っている感覚も乏しいので、これだけでは飽きてくる。そんな訳で、結局はちゃんとしたロードバイクを購入し、週末にはそれに乗るようになっていた。

自転車好きに言わせると、一日に50km近く走ったり、時速30km/h以上でスクーターとおなじ感覚で走行するのは普通だそうだ。始めた時には正直無理だと思っていたが、一年ちょっとで自分にもできるようになっていたのには驚いた。気になっていた体重も、いつの間にか昔の適正体重に戻っていたのだった。

そうした意味では、自転車は初期投資はかかるものの、比較的早く効果が出てくる点ではお勧めなスポーツと言えるだろう。自転車以外にもウェアや置き場所の確保など意外な物入りがあるものの、新しい自転車に目移りしたり交換パーツにはまらない限り、ランニングコストが安いのも魅力的だ。

●効果あるエクササイズ:システマ

そして、最近ハマっているシステマという格闘技の方は、まだ成果が出ているとは言いがたいが、物珍しいこともあり、新しい発見が多くやっているだけで面白い。
< http://ja.wikipedia.org/wiki/システマ_(格闘技) >

システマを初めて知ったのは、たぶん漫画の「アクメツ」か「ディアスポリス 異邦警察」の中だったと思う。ソ連の特殊部隊スペツナズが用いる不思議な体術で、とにかく強力な格闘技という描かれ方だった。

その時は格好いいし強そうとは思ったものの、まさか自分がやってみるとは夢にも思っていなかった。やろうと思ったきっかけは、たまたまTwitterでシステマのインストラクターをやっている人のツイートを見てるうちに、強面のイメージに反して、初心者でもできるのではないかと思ったからだ。

ところで、ちょっと語弊があるので補足すると、システマの面白さは強くなるとか、試合で勝てるとかというものではない。意外に思えるかも知れないが、特殊部隊発祥の格闘技といわれながら、システマでは試合はもちろん昇段試験すらないのである。

それどころか、教えるインストラクターによって多少違いはあるものの、格闘技にありがちな体育会的な雰囲気や、厳しい上下関係という雰囲気すらない。

では何が面白いかというと、そうした一見カルチャーセンター風の穏やかな練習風景に反して、ネットに上がっている動画にあるように、相手が勝手に倒れてしまう一見やらせのような技が、やらせではなく本当に行われていたからだ。

強いていうなら合気道に見た目は似てるかも知れないが、そこはスペツナズ発祥ゆえに妙に実践的なところがあって、しかも説明が合理的なのも面白い。

そんな訳で、きっと冷やかしで終わるだろうという予想に反して、半年以上も通い続けている。システマの良いところは、教室によっては違うかもあるかもしれないが、よくあるスポーツジムのように最初に半年とか一年分の利用料を払って通うのではなく、毎回精算できる点だろう。ビジネスとしては上手くないのかも知れないが、自分のような初心者には敷居が低くてありがたい。

ところで、まだ成果が出ていないと書いたが、それでも半年ちょっとやってみて気づいたことや変化したことを最後に書いておこう。

半年ほどでは技や動きを習得したという実感はもてない。アニメや漫画では、数日間の超人的なトレーニングによって、新しい技を身につけるという描写がしばしば出てくるが、週一くらいで普通に教室に通うレベルでは、半年程度ではまったく習得するというには程遠い感じだ。周りを見回してみて、ある程度できると思う人は最低3年以上はやっているようだ。

それでも、基礎となる技術を習得している人は、やはりうまくなるスピードが早い気がする。他の武術のスキルとは系統が違うので、一から覚えることには変わりないといっているが、やはり他の武術をやっている人の方が習得が早いようだ。とはいえ、劇的に早いか、または元の技の流用ではなく本当にマスターしているのかというと、確かに微妙な感じは残る。

とはいえ、エクササイズ効果はけっこう早く出てくる。スポーツ毎に使う筋肉が違うせいか、これまで自転車で鍛えていたつもりでも、行くたびに筋肉痛に悩まされる(まれに打撲)。

逆に、これまで使わなかった筋肉が鍛えられるのか、腕や胸なども筋肉がついてきたし、体重もより増えにくくなった。

そして、技以前の気付きや慣れが実感できる。どのスポーツもそうだが、特に格闘技の場合、互いに攻撃しあう(もちろんコントロール下でセーブした状態だが)という非日常的体験の度合いが大きいせいもあって、頭で思っているようにはなかなか動けない。

特に格闘技の経験のない人は、無意識のうちに相手に対する攻撃を躊躇してしまうらしく一瞬間が空いたり、逆に攻撃を受けた時に固まってしまったり、反射的な反応しかできなくなるのだが、慣れてくると体はまだ動かないものの、冷静に状況を観察できるようになってくるのが面白い。

「受け身」という最も日常で役に立つスキルがだいぶ身についてきた。インストラクターの人も言っていたが、格闘技を日常使う機会は殆どないし、仮にあったとしても後々面倒なことになりがちで出来れば願い下げだが、こと受け身に関しては覚えておいて損はない。階段を踏み外したり雪道で滑ったりと、意外に使う機会が多いものである。

ネットで見られる格闘技話のうち、明らかに実際にはやってない人が書いているものが見分けられるようになる(笑)。多分、システマに限らずあらゆるテーマでも、本当は何も知らないのにさも知っているように語っている人は多いのだろう。

おまけ:「火薬と鋼」のサイトより
「システマを知らない人にシステマを紹介するための動画」
< http://d.hatena.ne.jp/machida77/20130605/p1 >

【福間晴耕/デザイナー】
フリーランスのCG及びテクニカルライター/フォトグラファー/Webデザイナー
< http://fukuma.way-nifty.com/ >

HOBBY:Computerによるアニメーションと絵描き、写真(主にモノクローム)を撮ることと見ること(あと暗室作業も好きです)、おいしい酒(主に日本酒)を飲みおいしい食事をすること。もう仕事ではなくなったのでインテリアを見たりするのも好きかもしれない。