3Dプリンター奮闘記[41]ワンフェス2014夏に思う
── 織田隆治 ──

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先週の日曜に、ワンダーフェスティバル(ワンフェス)に行ってきました。ワンフェスって何よ? って人は下記のリンクを参照して頂くか、ワンフェスでググってくださいね。
< http://wf.kaiyodo.net/
>

まあ、要するに「ガレージキット」と呼ばれる、個人が作った模型キットの販売イベントなんですが、最近では企業が乗り出して来たり、本業で模型をやっている人が出て来たりして、プラモデル、フィギュアのイベントになってきています。

ここ6年くらい前から僕も「ディーラー」として出典しているんですが、この数年でかなり内容が変わって来た気がしてきています。

何が一番変わったかというと、「組み立てキット」を求めて来る人より、「完成品」を求めて来る人がかなり増えて来たこと。




一昔前までの「ガレージキット」ってのは、企業でも工場の人でもない、そういう意味では「素人」が作った組み立てキットなので、かなり作りづらかったりしたもんです。

それでも、金型では抜けないような驚異的なモールドが掘り込まれていたり、市販品では絶対に売れないニッチなモデルがあったりして、買う側にも根性やスキルが求められる物がほとんどでした。

そういう、「モノを作る」といった基本的なことをする人が少なくなってきているのかなぁ......と少し寂しい感じ。

イベントでも、企業ブースの完成品等を買い求め、その後に一般のガレージキットのブースを見て回るだけの人も増えています。

ここ数年、そういうニーズが求められるようになり、ディーラーの中でも、完成品に近い状態のキットや、バリやランナーをきれいに切り取って、組み立てを楽にしたものや、完成品を用意するなど、需要に対応したところも増えてきました。

でも、僕の場合は、色々自分で作って欲しいなぁ......と思っているので、複製したそのままの状態を袋詰めしています。

展示している完成見本を見て「これは完成品ですか?」と聞いて来られる一般参加者さんもかなり多く、「いえ、自分で組み立てて塗装するキットですよ」と答えると「そうですかぁ......。難しそうだから無理だなぁ」と、残念な顔をして去って行くんですよね。

僕が「ガレージキット」を知ったのは、高校の時でした。もう、30年程前になりますが......。

今をときめく「海洋堂」やガイナックスの前身の「ゼネラルプロダクツ」なんかが大阪にあり、当時からプラモデルやB級のホラーやSFなんかが好きだった僕は、その当時それらのショップに行っては心ときめかせていたもんです。

始めて買ったキット、まだ覚えているんですが、確か「メタルーナミュータント」。そんなん知らんわい! って人がほとんどだと思います。

「宇宙水爆戦」というマイナーB級映画に、ちょろっとだけ出たモンスターなんですが、そのデザインが異様にイカシていました。

もちろん、そんなプラモやおもちゃが出るハズもなく、模型雑誌を見ていてそれを発見した時のトキメキは今でも覚えている次第です。

当時の僕に、そんなものをイチから作る技量なんてものはなく、諦めていたところにその広告。貯めていたお年玉を握りしめて買いにいった、今となっては良い思い出......。

と言いたいところなんですが、いざキットを買って帰ってみると、パーツの合いが凄く悪いし、無数の小さい気泡が入っていたりして、「果たして自分にこれを組み立てることが出来るのか!?」

その当時、けっこう高いお買い物だっただけに、完成させないとトラウマになりかねない感じでした。

そこで、色々な模型雑誌を見ながら、パテを盛ったり、削ったりを繰り返し、なんとか完成させる事が出来ました。すっげ〜嬉しかった思い出です。

そういった「作る楽しみ」「完成させる充実感」「自分で考えて工夫する」というのは、凄く大事なことだと思うんですよね。

それぞれ人の意見は違うでしょうけど、組み立て図に忠実に作って完成、といった基本も大事ですけど、自分で調べて、工夫して、といった行程ってのは、仕事をする上でも何をする上でも必要なことだと思います。

マニュアル通りに行動するのは、とても大事なことではあるんですが、創意工夫ってことも、凄く大事だと思っています。

最近のプラモデルもそうなんですが、かなり精巧になってきていて、組み立て説明書通りにしないと完成しないような物も多いです。

それが悪いわけじゃないんですけど、もっと作り手の創意工夫で色々と発展するような物も欲しいな〜とも思います。そういったところを刺激するようなプラモデルやおもちゃなんかもあるんですけどね。

模型を作るってことは、まず、組み立て説明書をよく読み、パーツを把握して組み立てる。

その際、このパーツは何故こういった形になっているのか? なぜ、この順番で組み立てる必要があるのか? を考えると、この順番で組むために、こういった形状になっているんだと理解できるでしょう。モノ作りに必要なことがかなり詰まっているのです。

授業なんかでプラモデルを作らせるってのもいいのかもしれないなぁ......なんて思ってます。根気や立体把握能力もつくと思うんですよね。嫌いな子供もいるでしょうけどね(笑)でも、何か目覚めるかもしれませんよね。

何より、完成させることで、自分に自信がついたり、人の完成品を見て、自分のとどう違うのか? 自分のものより優れた物を見て、どこをどう工夫しているのか? を考えれば、観察力や洞察力が身につきます。

良い作品を見るのは凄く大事なことだし、自分の作品の工夫を人に説明するようなコミュニケーションを取ることも大事ですよね。僕の授業でも、そういったことを入れて行こうかな〜なんて思ってます。

モノ作り、楽しいですよね!

【織田隆治】FULL DIMENSIONS STUDIO(フル ディメンションズ スタジオ)
< http://www.f-d-studio.jp
>

最近お仕事が凄く忙しくて忙しくて......これじゃイカンなぁ......。
もっと心に余裕持たなきゃ......。