もじもじトーク[05]我が家にタイプライターがやってきた!/関口浩之

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もじもじトークの関口浩之です。今回はタイプライターのお話です。


●オークションでゲットしたタイプライター

高校生の時だから1970年代半ばのお話になりますが、親に英文タイプライターを買ってもらいました。当時、コカコーラのコースターやRoute 66の看板とかアメリカンなグッズが大好きだったので、そりゃーもう大喜びでした! 40年前の僕にとってタイプライターはすごくアメリカンでした…。

型番は忘れましたが、オリベッティのパーソナル向けの機械式のやつだったと思います。 えっ、何に使うかって? まずはカセットテープのインデックス作成ですよね〜。手書きで丁寧にレタリングするのもいいけど、結構、手間と時間が掛かります。

彼女にオリジナルカセットテープをプレゼントする時は、手書きレタリングとタイプライター印字の組み合わせで気合いを入れて作成しましたが…(笑) でも、たくさんのカセットテープを整理する時には、手軽にきれいに仕上がるタイプライターは最強でした。

最近、新品同様のタイプライターがオークションで安く出てたのでゲットしてみました。送料込みで2900円なり〜。うれしい…☆

じゃーん、これです!
< http://goo.gl/z6g7UQ >

本当に新品同様でした。当時の取扱説明書もきれいなままです。

久しぶりに操作してみて、タイプライターのナイスな点を書き出してみました。

1)電源が不要です。機械式なので当然と言えば当然ですけど…。電源も電池もなしで、文章作成ができるなんて。それってすごく革命的じゃありませんかー!

2)タイピングの音が素敵です! カシャン、カシャンって活字がプラテンに打鍵される音がたまりません…。

3)文字入力が右端まで達するとチーンとベルが鳴ります! だから何っ? って言われるとそれまでなんですが…。チーンという音で1行終わったよ〜んという達成感ですかね…。

4)次の行頭へ印字位置を戻すには、プラテン部のレバーを右方向へギューンと手で移動させます。その動作が素敵です! 原始的だけど何とも洗練された一連の動作です。CR(キャリッジリターン)とLF(ラインフィード)が目で物理的に理解できるのもすばらしい。

5)活版印刷の風合いに仕上がります! レーザープリンタやインクジェットプリンタにはない味わいがあります。

6)赤黒リボンを使用すれば2色刷りも可能です!

タイプライターというとレトロな感じなので、オブジェとして飾るという方もいらっしゃいますが、僕は実用品としてときどき使おうかなぁと思いました。

ちなみに、タイプライターを学業や趣味で使用していた時の1980年前後は、8ビットパソコンがやっと出始めた頃だったし、そもそも当時、出力装置としてのプリンタってパーソナル用はなかったですよね。

もちろん、パーソナルワープロも普及してなかったので「タイプライター最強!」という時代でした。

でも、物足りない部分もありますよね〜。

1)英文タイプライターなので、アルファベットだけです。カタカナもひらがなもありません。

2)タイプミスしたら修正液を使うか、バックスペースで戻って二重線(イコール)で消すとかしてました。修正用インクリボンもあったような気がします。

3)機械式なので深くキーを押さないと打鍵されません。

機械式タイプライターってシンプルだけど、非常によく感がえられた構造のマシンだと思います。キーを押すと活字がインクリボン越しに用紙をたたいて丸いローラーのプラテンが受け止めて、その後、文字送りします。この原始的かつ分かりやすい構造がすごく好きです。

・タイプライターが我が家にやってきた!
< http://goo.gl/z6g7UQ >

●パソコンキーボードの原型?

今では、普通に使っているQWERTY配列のキーボード。20世紀初頭に普及した英文タイプライターの歴史に関係ありそうですね。タイプライターが爆発的に普及した時代に、このQWERTY配列が定着してしまって、今のパソコンのキーボード配列にそのまま受け継がれちゃったようです。

もちろん、QWERTY配列よりも効率的なキー配列が考案されたり、開発されたりしました。実際、QWERTY配列より効率的なキー配列もありますもんね。

当時、商用タイプライター大手がQWERTY配列を採用し、市場にそれが普及すると「タイピスト」という職業が生まれました。手書き文章や録音した音声を清書する職業ですね。その人たちにとってキー配列が変わることは、もう一度、学習し直しになるので、なかなか受け入れられませんね。市場を押さえた方式が生き残るという法則ですね。

タイプライターの時代から、その後、パソコンとワープロソフトへと時代が急速に進みましたが、そのキーボード配列がそのまま現在に引き継がれました。

日本でも日本語タイプライター(日本語の活字を拾って打鍵する機械)が普及した頃にはタイピストというプロフェッショナルな職業が存在しました。また、1980年代、一般企業に日本語ワードプロセッサが普及し始めるとワープロ課という部署ができ、清書待ちでワープロ課の部屋の入口に行列ができている光景を思い出しました。

さて、どうして「QWERTY」の配列になったのでしょうか? 諸説あるようです。キーボードの一番上の段は左から「QWERTYUIOP」の並びになってますよね。タイプライター(TYPEWRITTER)のメーカーがデモをしやすいように、この配列にしたという説があります。たしかに「TYPEWRITER」の文字は一番上の行の「QWERTYUIOP」のキーで完結できます。その説の真相は本当かどうかはわかりませんが…。

それと、どうしてキーボードの各段のキーは斜めに配列されているのでしょうか? 僕は人間工学的にブラインドタッチしやすいように斜めに設計されたのだと思ってました。

タイプライターはハンマー式なので、斜めにずらしてキートップを配列しないと活字が打鍵できないらしいのです。確かにグランドピアノの打鍵の仕組みもそうですね…。キートップを垂直平行に配置するとハンマーの腕がぶつかってしまいますね。

●プリンタの原型?

1980年代に普及した「ドットプリンタ」や「熱転写(サーマル)プリンタ」はタイプライターの構造を踏襲していますよね。

印刷装置のヘッド部分は鋳造活字からプリンタヘッドに置き換わりましたが、インクリボンが転写パーツで、プラテンに巻き付いた用紙に印刷される点は、昔も今も変わりませんね。(レーザープリンタのようなページプリンタは方式が異なりますが…)

1980年代、メーカーでドットマトリックス方式カラープリンターの仕事に携わっていたので、タイプライターは僕にとっては懐かしくもあり、文章作成の基本となる素敵なプロダクトなのです。

●先人の英知ってすごいな!

MACでDTPしたり、パソコンで文書作成するのが当たり前の時代の中で生活していると、ササッと印刷物が手軽にできてしまいますね。それはそれですばらしいことです。

現在のテクノロジーに至る前には、先人が英知を積み重ね、活版印刷を発明したり、タイプライターを発明したりしていたんだなぁとしみじみと感じました。

言葉(音声)や言語(文字や活字)はコミュニケーションする上で重要なエレメントですが、それらに関連するテクノロジーの進化は、間違いなく、先人の英知が脈々と現代までバトンタッチされてますね!

先人の英知をじっくり観察してみると、新しい発見があって面白いなぁ〜!

【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com

Webフォント エバンジェリスト
< http://fontplus.jp/ >

1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。

その後、ECサイトのシォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。

小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。