アナログステージ[121]書き手の心、読み手の心
── べちおサマンサ ──

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コンニチハ、デジクリきっての和の心担当(自己申告)のべちおです。今回、困ったことに、これといってネタがないんです。なので、オイラが毎月楽しみにしている『和樂(わらく)』をサラっとご紹介して終わりです。


かなり以前から存在していた雑誌のようですが、オイラが定期購読をするきっかけとなったのが、2014年の3月号で特集されていた、『千利休、何者ぞ?!』という見出しに釣られてからなので、まだ日は浅い。

いや、千利休に釣られたのではなく、書店でパラ読み(立ち読みの簡易行動)をしたときに、ちょうどハマっていた『横山大観』の特集も掲載されていたので、衝動買いしたのが始まり。

しっかりとした装丁に、「これでもか!」というくらいの素敵な写真とともに綴られる文章。大げさだけど、家に居ながら、美術館を愉しんでいるかのような時間を作ってくれる。写真がとにかく綺麗なので、読書をしているというより、その場に一緒に居て、お話を伺っているかのような錯覚も受ける。

大人の女性向けアイテムの広告が多いので、ジャンルとしては、婦人向けの雑誌なのかもしれない。普段は目障りになることが多い広告も、和樂(雑誌)の一部として、溶け込んでいるようなレイアウトになっているのもが多いので、男性には用がない化粧品の広告も、サラっと目を通してしまう。

しかし、特集の内容は常に濃く、毎号についてくるオマケ(別冊)が、オマケのレベルを脱していて、書店で普通に700円くらいで並んでいそうなオマケの仕上がりになっている。

とくに今月号(10月号)のオマケでついてくる『国宝仏像』の別冊は、仏像マニアさんは飛び跳ねて喜ぶほどの充実っぷり。そうだ、子どものころ、親に買ってもらっていた雑誌も、いろいろな付録がついてきて、喜んで工作したりしていたっけ。作ったのを学校に持っていって、先生に怒られたり。

話を少し戻して、オマケもそうだが、やはり和樂のいちばんの読みどころは、その大特集にある。読み進めていくうちに知りたくなることが、きちんと補足として記載されていたり、文中に書かれていなければ、絶対に知らなかったような細かいところまで、丁寧に綴られている。

世の雑誌で扱われている「特集」は、本質的な内容もなく、上辺だけさらった薄っぺらい、宣伝特集なものが殆どだけど、和樂で扱っている特集は、本当に「特集」だ。思うに、もっと細部まで拘って伝えたいが、紙面の都合で省略しているところもあるのでは? と、ついつい書き手の心を深読みしてしまう。

相手(読み手)から要求されるまえに、読む人の心(心境)を掴んでいるかのような心遣いも、『和』ならではの心配りと、好意的に解釈してしまう。

・和樂 小学館 | 美と知と心のハイライフマガジン:
< http://www.waraku-an.com/
>

小学館の宣伝をするつもりはありませんが、AppStoreやGoogle Playからでも購読ができるようになっているみたいです。でも、和樂は紙で読むのがイチバン! 傍に、抹茶ときんつば(阿闍梨餅でも可)を用意して、ゆっくりと『和』の世界を愉しんでみるもの、いかがでしょうか。あ。オイラは抹茶が苦手なので、ビールとおでん(焼き鳥でも可)にします。

【べちおサマンサ】pipelinehot@yokohama.email.ne.jp

NDA拘束員であり、本当の横浜を探しているヒト。ぶら撮り散歩師。全国寺社巡りで、過去の懺悔道中をしております。
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■□ 懺悔道中膝栗毛 ─ 二編 □■

連休に、福島県の会津方面へフラフラしてきました。7月にも、コッソリと隠密で遊びに行ってきたのですが、寺社巡りだけの目的で会津へ行くのは初。

母方の親戚が営んでいる、リゾートハウスが裏磐梯にあり、いつも拠点はここにしている。ビールでも食べ物でも、勝手に冷蔵庫を開けて我が家のよう飲み食いできるし、気疲れもしないし、広い部屋を気ままに使えるのはとにかく楽。

ということで、到着の2日目からスタートした寺社巡り、無計画の行き当たりばったりでしたが、かなり幸運に恵まれた寺社巡りで、会津をどっぷりと満喫。我が強運、ここにあれ(笑) 今回は福島県の会津からです。

・瑠璃光山 勝常寺(福島 河沼郡湯川村) ご本尊:薬師如来

国宝の薬師如来さまを拝観するには、事前予約が必要とのことで、予約もなにも、どこのお寺を廻るかすら決めておりませんでした。が! 勝常寺に到着したとき、二組のご夫婦(?)が参拝されていたのだが、どちらかのご夫婦が事前予約されていたようで、住職さまに「ご一緒にいかがですか?」と声を掛けられ、まさかの棚から牡丹餅。

恐ろしいほどのタイミングの良さに、「病気を患っているオイラに、薬師如来さまが声をかけてくれたんだ!」と、めちゃくちゃポジティブ。真っ暗な薬師堂の中に案内していただき、隙間から差し込む太陽の光で、辛うじて堂内を見渡せる明るさだ。なんでも、安全のため、薬師堂には電気を引いていないのだとか。

暗いお堂の中、住職さまが懐中電灯の灯りで、薬師如来さまの細部を説明してくださり、いままでの薬師如来さまとは違った面相でした。元々は、薬師如来さまの両脇侍として、日光菩薩さまと月光菩薩さま(いずれも国宝)の三体で安置されていたそうですが、日光菩薩さまと月光菩薩さまは、収蔵庫のほうへ安置されており、明るい室内にて、お顔を拝むことができます。

・金塔山 恵隆寺(福島 河沼郡会津坂下町) ご本尊:十一面千手観音菩薩

日本最大の千手観音さまで有名な立木観音。その名の通り、一本の木から彫った観音像の下は、まだ地の中に根を這っているそうです。さっそく観音堂の中へ入ってみると…… 二十八部衆の木像がずらりと並ぶのが目に入り、その横で、なにやら大きな足がチラりと見える。

そこで初めて顔を上へあげてみると、「ぐぇぇぇ! すげー! でけー! なにこれ?! うわ、これは立派とか、そんな次元の観音さまじゃないわ!」と心の中で大叫び。その圧倒的な存在感に、「言葉を失うって、このことだわ」と本当に涙目に。感動した。文章にできないので、機会があれば、ぜひとも実際に拝観してみてください。
つづく