3Dプリンター奮闘記[45]造形と3Dプリンターと優しさと切なさと心強さと/織田隆治

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腕が痛い……
      手首が痛い……
             指先が痛い……
                    腰と背中が痛い……

腱鞘炎、やすりがけによる指先の皮膚の摩耗、肩こり、腰痛である。

3Dプリンター、熱溶解型のプリンターを使ったことのある、もしくはプリンターで造形されたものを見たことのある方は、その表面の凹凸に気がつかれたと思う。


以前もここに記載したが、熱溶解型のプリンターは、ホットボンドのように素材を熱によって溶解し、それを0.3mmもしくは0.5mmのノズルの先から絞り出して、誕生日ケーキなどのデコレーションのチョコ文字のように、造形テーブルに造形物の断面を描いて行く。

それを積層することで造形物が出来るわけだが、その積層痕が出てしまう。

積層する高さ(積層ピッチ)によって、その積層痕の幅が変わって来るのだが、僕の場合はだいたい0.125mmで造形をする。当然、0.125mmごとに、その積み上げた段々ができる。

表面をきれいに仕上げるためには、その積層痕をサンドペーパーやヤスリなどで削って行き、場合によってはポリパテなどを盛って、再度仕上げのためにまたサンドペーパーなどで削って仕上げるのである。

メインで使っている素材はPLA(ポリ乳酸)。この素材が異様に固くて粘りがあり、溶解温度が低いために、機械などで高速に削ると、すぐにサンドペーパーやヤスリの目に、摩擦熱によって溶け出した素材が詰まってしまい、使い物にならなくなる。

そこで、仕方なく手作業になってしまうのだが、これがまたしんどい。大きな物になると、慣れているとはいえ、かなりの気合いと、忍耐力と、体力と、優しさと、切なさと、心強さが必要になってくる。

3Dプリンターで造形して仕上げをするということは、この工程を避けられない。

出来上がって来たものを見て、心が折れる人も多いだろう。
「これ、使えないじゃあ〜りませんか」と。

だが、僕みたいな仕事をしていると、そんなの慣れっこなので、「おお! ここまでやってくれたら、後は俺にまかせろ!」と、レオマワールド「レジャーはオレにマカセロ」のような感じで、後はひたすら磨き作業に徹する訳わけだ。

分かりやすく言うと(余計分かりにくいか)3Dプリンターが親方で、僕は弟子。

3Dプリンター「おい、形は出来たぞ。後は磨いとけや!」
僕「分っかりました! 親方!」
3Dプリンター「エッジには気をつけて、ヤスリしな!」
僕「分っかりました! 親方!」

という具合である(余談だが、この「分っかりました! 親方!」の元ネタが分かる人は「オッサン」である)。

次から次へと(現実はそんなに早くないけど)、親方(3Dプリンター)からの造形が出来上がり、それの表面処理に、弟子である僕が磨きをかけて仕上げて行く。そんな具合だ。

そういった経験のない方にとっては、この3Dプリンターから放出された造形物を見たら、萎えてしまうことも分かる。

だが、しかし、ちょっと待ってほしい。

この造形を、いちから自分で作り上げるには、どれほどの気合いと技術と時間が必要だろうか? その前に、その造形を自分で一から作ることができるのだろうか?

父「とうさん、3Dプリンター買っちゃったよ! これで明日からは造形マンだ!」
息子「凄いね! とうさん! 明日はホームランだ!」

といった感じで、ボーナス小遣いで買った父は、ブログを立ち上げるのである。「明日から造形師! オレの3Dプリンター」といった題名で開始されたブログは、大体は2〜3個出力したところで力つき、更新が止まってしまっているのである。

それが現実だ。

そこから先に進むには、それ相応の気合いと、忍耐力と、体力と、優しさと、切なさと、心強さが必要になってくる。

そこを乗り越えることができた者だけに与えられる称号。それが「3Dプリンター造形師」なのである。

そういったブログを、僕はこれまでにかなりの数を見て来た。
更新の止まってしまったブログを……。

とうさんは忙しい。だがしかし、そこから先に進む努力と時間を作ることで、子供からの尊敬のまなざしをゲットできるのである。

昔、親父が「肥後守(ひごのかみ)」を使って竹トンボを作ったり、鉛筆を削ったりする姿を見て、「おお、親父すげえ!」と幼な心なりに尊敬したもので
ある。

時が変わり、その使用するグッズ(?)も変わったが、そういう行為により、息子は親を尊敬し、目指す目的を与えることに繋がるのである。

さあ! その眠った3Dプリンターに向き合おう!

どうしてもダメだったら、僕にください(笑)

と言うかね。手首が痛くてキーボードを打つのが辛いんです。すみません。

最後にまた宣伝ちょっと。

「メイカーズバザール大阪」
日時:10月11日(土)〜12日(日)10:00〜17:00
主催:メイカーズバザール大阪2014実行委員会
共催:大阪市 大阪デザイン振興プラザ ソフト産業プラザ
< http://makersbazaar.jp/ >
詳細は上記のリンク先を参照してください。
大阪3Dプリンタービジネス研究会も、協力しております。

【___FULL_DIMENSIONS_STUDIO_____ 織田隆治】
oda@f-d-studio.jp
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