グラフィック薄氷大魔王[411]「とっても滑らか、スラスラ」他、小ネタ集/吉井 宏

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●とっても滑らか、スラスラ

(すいません、数年前に書いたのに載せ忘れてたネタです)鉛筆やボールペン。日本の製品ってほとんどが「とっても滑らか、スラスラ」って方向ばかりに行ってるけど、僕には滑らかすぎて書きにくい。適度に摩擦がないと書きにくいと思うのだが。


特に鉛筆。uniとかスルッスルに滑らかだけど、あれで字や絵なんか書く気がしない。その点、ファーバーカステルは摩擦があって描きやすい。ステッドラーも同様。実は、メーカー品じゃない安い鉛筆がいい感じです。数年前にもらった宣伝ロゴ入り鉛筆が非常に描きやすくて、それで思いついて書いてる次第。

ファーバーカステルのGrip2001っていう、三角断面でラバーのポチポチ付き鉛筆の摩擦のある書き味が好きなんだけど、三角で持ちにくいのでペンシルホルダー必須なのと、ラバーが風化して周囲にくっついたり汚すのが欠点。

芯は芯ホルダーやシャープペンの芯と共通なのかな? 芯はいろいろ買いすぎて、今の調子で使ってると、おそらく今後500年は芯を買わなくていいかも。

日本語は漢字とかで画数が多いから、滑らかでないと疲れやすいなどの意見があるんだろうけど、滑らかスラスラって謳い文句が一人歩きして、書きやすいのと別の方向に無駄に進化してるような気がする。

ノートの紙も同様。やはり滑らかを売りにしてたりする。RHODIAやモレスキンやMDノートの紙は摩擦がちゃんとあるぞ。コクヨはそのへん気がついたらしく、ルーズリーフ用紙で「しっかり書ける」という製品を出してる。これは鉛筆やシャープペンが滑らなくていい感じ。この方向が拡大していくといいな。

要するに、滑らか具合が進んだ結果「ガラスに書くような滑らかさ!」になったら、さすがに誰も喜ばないでしょ? 液晶タブレットやiPadのペンのツルツルカチカチだって誰も喜んでない。ってことは、最適な摩擦がどこかにあるわけで。それは滑らかさ優先とは意味がちがう。

●スー線とシャカシャカ線

スラスラで思い出したけど、小学低学年のときの鉛筆で絵を描くときの線についての二通り。

< http://bit.ly/1vI0tqB >

左はスッと一本で描いた線。右はシャカシャカと行きつ戻りつしながら描く線。近所の友達は絵画教室で習ったというシャカシャカ描きで、ロボットの絵とか上手かった。うらやましかったので真似をしたくないへそ曲がり野郎でした。

学校の先生も絵描きの母親も「線は一発でスーッと描くもの。行きつ戻りつの描き方は間違ってる」と言ってたし、クロッキーとかの線が美しいのはやはり力強い一本線なわけだし。だからそれ以降、一本線を理想としてた……けど、今さら一本線にこだわってるの意味なくね? と。特に板タブでは。

一本の線を最初から最後まで一発で描くのはむずかしいから、満足できる線が描けるまでUNDOを繰り返すことになるわけだけど、行きつ戻りつの描き方で点の集合的に描くほうが板タブ的にはぜったい描きたい形が描きやすいよなあ。と思って、練習中。

●「にわか」カミングアウト

ちょっと前の話題。「伊集院光、ビギナーは歓迎すべきだが、にわかは『敵扱い』で問題なしと語る」

< http://news.livedoor.com/article/detail/8973485/ >

それで言うと、僕なんか3DCGや3Dプリントでは常に「にわか」かも。特に3Dプリント関連では、CADとかぜんぜん知らずにやってたりするし。Rhinocerosで形を作れるところまでは多少出来るとしても、そもそも工学的な知識ゼロ!

今思い出しても顔から火が出るのは、昔、ZBrushの記事とかで、3Dソフトやアニメーションについて大層なこと語ってたもんなあ。当時の「プロ」の人たちにどう思われたんだろ。はずかしい〜〜!

ZBrushで作った数十万ポリゴンの人物キャラクターに、格安3DソフトCarraraでボーンを入れてポーズ取らせたりしてた。動作は重いけどそのうちマシンが速くなるから平気とか書いてたし。

で、大勢のビジネス見込み客(?)を前にしたプレゼンテーションで、ZBrushのUnifiedメッシュ(単に細かいポリゴンなので他ソフトで利用できない)のキャラクターを何十個か並べて見せて「これらは全部CGなのですぐに動かせます」とか誇らしげに語ってた orz ……あれから10年、多少は成長したかなw

●プラモもグレーで!

「未来少年コナン」に出てきた飛行艇のプラモデル
< http://item.rakuten.co.jp/amiami/toy-scl2-32738/ >

よくできてるな〜、美しいな〜、と思って、ハッと気がついた。

いつも「フィギュアは着色した状態よりサーフェイサーのグレーを吹いた状態が最も美しい」なんて言ってるけど、プラモだってそうだ! 美しい形状の飛行機でもクルマでも艦船でも、グレーのサーフェイサーを吹いただけで十分美しい。資料に基づいてきっちり塗り分け塗装しなくても、一色で十分。

普通に色を塗っちゃうとそこで完結しちゃうし、立体感の妙が消えちゃう。立体物そのものの美しさを鑑賞するにはグレー一色が最も適してる。未塗装のプラスチックじゃダメなんですよね。プラスチックが光を通す感じやパーツが組み合わさった「生な感じ」が見えちゃダメ。

なんだったら、ムスタング戦闘機をピンク一色とか、F1レーサーをブルーとか一色で塗装して飾るのぜんぜんアリだなあ!

ちょっと関係ある話で、僕がTDW作品を迷彩っぽいパターンで塗る理由。視点が固定されたつるんと滑らかな形状のレンダリング画像は、一色で塗ってある部分に立体感を感じにくい。立体感の手がかりとなる大きなパターンを描いておくと、パターンの形の変化で立体感が強調されるんです。

あと、最近は弱めにしてるけどツヤツヤの鏡面反射も同じ理由。視点が動かせないレンダリング画像で、できるだけ立体感を見せる目的。

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com >
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/ >

東京デザイナーズウィーク2014だけでなく、某国で進行中の大がかりな展示の準備などで、作品を修正したりレンダリングし直したり、作品パンフレット作成や資料作成の作業を3か月くらいず〜〜〜っとやってる。

こういう作業って「数年前からの活動のまとめ」だから、自分の作品をイヤでも延々と振り返ることになる。……飽きた。もう新しいことやりたい、TDWの新作を作りたい。

作品パンフとか作ってると全体を俯瞰することになるから「この傾向に偏りがちだな」「ここが弱いな」とか「こういう作品がもっとあればいいのに」ってすごいわかる。これからの指針になるのは確か。でも、もういいから次へ進みたい。

ふと気を抜くと、TDW2014会場で流れてた3つの音楽「ドコモの展示」「着物展」「ビクターのオーディオ」が頭の中に流れ出すし、寝てるときに見る夢はどこか展示会場みたいのばっかだし……トラウマになってるw

・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
< https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii >
・ハイウェイ島の大冒険 < http://kids.e-nexco.co.jp >
・INTER-CULTUREさんの3Dプリント作品販売
< http://inter-culture.jp/Buy/products/list.php?category_id=63 >