[3814] 知らんかった! Adobe Bridge

投稿:  著者:  読了時間:17分(本文:約8,100文字)


《CDもダウンロードも売れないよ》

■ローマでMANGA[82]
 「アモーレ」で描いた「宿命」の深さ
 midori

■グラフィック薄氷大魔王[414]
 「知らんかった! Adobe Bridge」他、小ネタ集
 吉井 宏




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■ローマでMANGA[82]
「アモーレ」で描いた「宿命」の深さ

midori
< http://bn.dgcr.com/archives/20141203140200.html >
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90年代に講談社のモーニングが、海外の作家の書き下ろし作品をのせるという前代未聞の企画を遂行していたときにローマで「海外支局ローマ支部」を請け負って、そのときのことを当時のファックスをスキャンしつつ、それをもとに書いているシリーズです。

前々回で、イタリアのマンガ雑誌1995年6月号のlinus(リヌス)の我らがイゴルトとヨリの特集記事を紹介した。

その中で特に気になる発言を取り上げて分析(?)する第二弾はこの発言。

<「学ぶべきことはたくさんあった」とイゴルト。「例えば、ある時、代理人から丁重な電話があった。『栗原さんは、分析的な構成の前に、全体的な構成をしたほうが良いのではないかと言っています』 僕のマンガの作り方と日本のやり方の違いを目の前につきつけられて嬉しく拝聴した」>

この発言は、MANGA構成の分析にまで及んでいないものの、その性格を言い表している。イゴルトはおおよその粗筋で合意してから、すぐに第一話の構成に入ったわけだが、編集部は細部のこだわりに入る前に、この大河ドラマの性格付けをすべきと考えたわけだ。

それは、各話何ページで、各章で何を語るのか、どのようなトーンで進めるのかを、あらかじめ考慮して、その大台から外れないようにしながら細かい構成にしていく、ということなのだ。

ネーム(ストーリーボード)を作り始めると、つい細部に意識が行ってしまうのだ。こういうアングルを使いたいとか、武器はこうだとか、出だしはこう行こうとか。

もちろん、これらは考えてアイデアを出していくべきことだけれど、イゴルトの場合のように、1000ページの大河物語の場合、細部から入って行くと物語の方向が曲がっていく危険性がある。

特に初めて長編を一緒にやる作家さんだったら、編集者としては始めにどういう方向で進んでいくのかを把握しておきたい。方向というのは、粗筋ではなく前述した通り、物語のトーンのこと。それがないとネームを判断するのにも困る。作家の意図と自分が理解したものが、噛み合っているのかどうかの判断の材料になるのだ。

イゴルトは優れたストーリーテラーでもあるので、主題を明確にする、という作業はすでにやっている。

「アモーレ」では「南イタリア特有の運命には抗えないとする『宿命』という概念」がそのテーマだ。

心優しく女と料理を愛する若い主人公が、マフィアのボスファミリーの長男に生まれたという宿命で、ボスである父親が暗殺された後、マフィアファミリーを統率する立場につく。自分の性癖とはまったく逆の方向へ進まざるを得なく、崩壊していく...という暗い物語だ。

陽気なイタリア人という、日本人が持つイメージとは対照的に、イタリア産の物語には身動きできない中で悲惨な結末を迎える暗い話が多い。これはやっぱり宿命論のなせるわざなのだろうか。

今でも床屋談義的にベルルスコーニや政治家の批判をする人はたくさんいるけれど、実際に行動を起こすのは稀だ。全国的に組織された労働組合がストライキをやることはあるけれど、デモ行進しておしまいだ。

民主党政権だった時の日本で、様々な一般人がSNSで発信し自然発生的にグループが生まれて、国会中継を組織的に発信して多くの一般国民が見られるようにしたり、法制度とその意味を解説したりして『政治家なんて右も左も同じ』ではないことを発信する人がたくさん出た。無責任なお花畑に住む(しかも外国)ノンポリだった私にまでその情報が届いたくらいだ。

イタリアには、お上には勝てない、という空気が充満しているように感じる。しょうがないよ、で済ませてしまう。諦めてしまう。

歴史的に自治ではなく外国権力が行政について、しかもその行政者がコロコロ替わった土地がたくさんある。特に南イタリアはギリシャから始まって、サラセン人、スペイン王、フランス王に支配された。

そして権力に立ち向かって殺されてしまう道ではなく、殺されないように従順そうに振る舞いつつ、なるべく損にならないような抜け道を探すメンタリティを身につけて行った。

これはシチリアのマフィアが生まれた背景でもある。 近年、ナポリの近郊の貧しい地域で生まれた犯罪組織ンドランゲタの扱う金額がマフィアを超えたそうだ。まともに探すと見つからない仕事が、この組織の末端に入ると、すぐにスクーターを貰え、走り使いでお小遣いが貰える。

話が脱線してしまった。イゴルトと編集者は話し合いの結果、家庭生活の描写から始まり、少しずつ犯罪組織のボス家という異常性を表面に出して行き、同時に主人公の犯罪や暴力と無関係な性癖と、彼を取り囲む環境との葛藤を強くしていくと言う大筋を決めた。

何を語るのか、という大筋を効果的に読者に伝えるには、主人公はどのような感情を持っているのかを決め、それを強調するシチュエーションのアイデアを出して行けばいいのだ。

そして、まだ子供である次男の誕生日を冒頭に持って来た。大きな屋敷の描写と高価な贈り物で富豪な家庭である事を示し、贈り物にシチリア独特の品を持って来て物語の場所を示し、同時に伝統を重んじる土地である事も示す効果的な選択をした。

料理をしているのが料理人ではなく、ボスの妹でマフィアの家庭も一般家庭と同じ日常を生きていることを示した。同時に、若々しく美しい妹とふざける手下が持っていたピストルを、その妹が台所にこういうものはだめよ、ととりあげるシーンを入れた。一般家庭には相応しくないピストルが、この家では日常であることを示す秀逸なエピソードだ。

主人公のマリオが家業に家族に全く興味を持っていないことを示すのに、弟の誕生日に遅れて帰宅させ、父親に口ごたえをさせた。(つづく)

Midori 【midorigo@maccom】

「MANGAの構成とテクニック」マスターコースというのを考案して、マンガ学校に提案し、受け入れられたものの、生徒がまったく集まらずにスタートしないことになった。学校側の熱心さが見られないと不満に思っていたけど、私も預けっぱなしでまったく熱心ではなかった。

気持ちを取り直して、かけあったら「Facebookにバナー広告を載せよう、Google Adwarsにバナー広告を載せよう」と言う運びになった。

来年4月のローマでのコミックスフェアの機会に、mangaコンテストもする事になった。今までの人任せでイニシアチブを取らないでのほほんとしていた癖を、やっと乗り越えるチャンスと捉えている。なんとか収入に結びつけないと後がないし。

COMICO 無料マンガ 「私の小さな家」
http://www.comico.jp/manage/article/index.nhn?titleNo=1961

「イタリアで新しい漫画を作る大冒険」
http://p.booklog.jp/book/77255/read

主に料理の写真を載せたブログを書いてます。
< http://midoroma.blog87.fc2.co


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■グラフィック薄氷大魔王[414]
「知らんかった! Adobe Bridge」他、小ネタ集

吉井 宏
< http://bn.dgcr.com/archives/20141203140100.html >
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●rinkak 3Dプリントデザインコンテスト

僕も3Dプリント作品のショップを出してる「デジタルものづくりサービス rinkak」が、3Dプリント作品の国際コンテストをします。応募締切は来年1月19日まで。なぜか僕も審査員です。

< https://www.rinkak.com/contest/3d-printing-design-contest/2014/1 >

●知らんかった! Adobe Bridge

あれだけ注意深くTDW作品を作ってるつもりなのに、ときどき「レイヤーの統合を忘れてる」「カラープロファイルが違う」「アルファチャンネルのつけ忘れ」「解像度が72dpiのまま」などなど、ミスを発見する。

何百個の画像の解像度やサイズを確認するの、いちいち開くの面倒だなあと思ったら、Adobe Bridgeでリスト表示にするとそういった情報が全部出るのね! 知らんかったー。それぞれの項目でソートもできるから、発見もしやすい。

3Dに移行してからの千個以上のTDW完成画像をBridgeで確認してみると、あるあるいっぱいある。20〜30枚にひとつの割合で、上記の不備が見つかる。いっぺんに整理整頓できた〜!

●スタンディングデスクやめてます

先日のNHKのディズニースタジオのドキュメンタリーでも、スタンディングデスク率が多かった。もう普通になってますね。

僕もしばらくやってたけど、座るのがかったるくなるくらいには慣れた。作業は確かにはかどる。でも、考えたり頭を使う系の仕事は足に半分くらい意識を取られちゃう感じ。あまり良くないなと感じたので、今は普通に座ってることが多い。

そういえば、先日の東京デザイナーズウィークで10日間毎日10時間ほぼ休憩なしの立ち続けをやりました。最初は超しんどかったけど、やっぱ3日で慣れるね。お店で働くってあんな感じ?

●パソコンが壊れた、とは?

「パソコンが壊れた! 急いで新しいマシン買って来なきゃ!」とかよく見るでしょ? すごく気になってしまう。たいていシステムの調子が悪くて正常に起動しなくなった段階で「パソコン壊れた」ってあきらめちゃうようだけど、本当に買い換えが必要なのかと。

その人がパソコンにどれだけ詳しいとか、何が原因なのかによって、「どう対応すりゃ買い換えずに済むか?」とか、「ああ、それは絶望だわ」とか、対処のレベルがぜんぜん変わってくるもんだから。

「パソコンが動かなくなった」には、システムの不具合、HDDが調子悪い、マザーボードなどのハードウェアが本当に故障、とかいろいろあるわけだし。HDDが壊れたなら載せ替えてバックアップからコピーすりゃいいとか言っても、いつ壊れても支障ないようにバックアップしてる人は、相当な上級者しかいないんだよなあ。

SNSのそういう書き込みを見ちゃうと気になるけど、中途半端に首を突っ込むと面倒くさいことになるに決まってるから、放っておくしかない。アドバイスしても感謝されることはないのかもしれないしw

●CDもダウンロードも売れないよ

YouTubeやGroovesharkで、アーチスト名や曲名を打ち込んだら即聴けちゃうんだもん。iTunesを起動して曲を探して再生するより早い。発売されたばかりのアルバムを今すぐ聴きたいとかじゃなければ、ネットにたいていある。

オフラインで聴く時間が多けりゃ買うしかないけど、僕もさすがにiTunesストアで音楽を購入することが少なくなってきた。ファンとしての投げ銭以上の意味を見出せない。データファイルじゃ棚に誇らしげに飾れないしね。

あと、アルバムや曲単位で鑑賞するってよりも、Mixとかで長く繋いだものが延々流れるネットラジオとかのほうがある意味「実用的」だし。ミュージシャンは大変だなあ。

音楽ストリーミングサービスについて、こんな記事も↓

「想像以上に収入低かった...アヴィーチーのヒット曲『Wake Me Up』作詞家アロー・ブラックがロイヤリティを巡りPandoraを非難」

< http://www.musicman-net.com/business/42170.html >

この人の場合、作詞でこのロイヤリティ。作詞作曲なら倍くらいはあるかもしれない。で、おそろしいのが、歌ってるだけで作詞作曲などしてないアーティストの場合、ほぼゼロに近いんじゃないか?

●楽曲使用にお金を払うのは当然?

ちょっと前の話題。「著作権侵害で訴えられたYouTubeの大スター、請求額は「1曲あたり1,500万円」

< http://wired.jp/2014/08/01/michelle-phan/ >

無茶なこと書いてみる。

「音楽の使用料」が著作権者の主な収入なら、楽曲が使われた分の料金を徴収するのは当然。でも、「CDやダウンロード販売」が主な収入源としたら。YouTubeや映画やテレビなどいろんなところで「楽曲を使用」したら、著作権者が使用者にお金くれる場合があってもよくない?

彼女のような人気動画作者には、BGMに使ってもらおうと音楽関係者が列を作る感じでもおかしくないよね。こんないい曲があることを数百万人に宣伝してくれてるわけで。知らない曲は買えないんだから。

●香港クリスマスディスプレイに吉井作品

Popcornというショッピングモールに、僕のキャラクターが登場してます。野外展示と屋内展示、「30周年記念ギャラリー」w など5〜6箇所あります。20数個のキャラクターの立体は人間より大きいものもあり、かなり大規模です。

< https://www.facebook.com/PopCornTKO >

ココリア多摩センターでも、昨年に続いて僕のキャラクターによるクリスマスディスプレイが出てます。
< http://www.cocolia-tamacenter.com/ >

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com >
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/ >

「スターウォーズ エピソード7」の予告編が公開された。ミレニアムファルコンが飛んでるだけで鳥肌が立つ! 一年後か〜〜。その後、エピソード8、9も控えてるわけで、しばらくワクワクしながら生きていけるぞw

・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
< https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii >

・ハイウェイ島の大冒険
< http://kids.e-nexco.co.jp >

・INTER-CULTUREさんの3Dプリント作品販売
< http://inter-culture.jp/Buy/products/list.php?category_id=63 >


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編集後記(12/03)

●東京オリンピックの年の夏、自転車で三陸海岸の国道45号線を宮古から仙台まで走り、その後猪苗代湖まで行った。「酷道45号線を〜」というハガキを自宅に送った。そこには舗装道路がなかった。道路脇にテントも張らずに寝たこともあった。その次の年の春、別府から九州横断道路を経て、佐賀、長崎そして3号線で鹿児島へ、その後宮崎まで行った。3号線は未舗装で雨の後は泥沼だった。ここで停車中のライトバンに追突し前フォークを曲げた。その次の年の夏は四国をほぼ2/3周し、高知〜松山の雨の泥道国道33号線を一日で走り抜けた。それからも走った道は未舗装のほうが多かった。先日「国道=酷道」と書かれた、佐藤健太郎「ふしぎな国道」を読んだ(講談社新書、2014)。

「酷道」という表現はわたしのほうが先に使っていた、といっても意味がないが、いま国道マニアは鉄道マニアにはかなわないものの、相当メジャーになっている。mixi「酷道」コミュニティは1万人を超えているという。この本は国道マニアの入門書だ。宮脇俊三が鉄道趣味は「点の旅」を「線の旅」に変えるという名文句を残しているが、国道趣味は旅を「線」だけでなく「面」に広げてくれると筆者は言う。国道好きになった第一のきっかけはドライブそのものが好きなこと、第二に筆者が理系の研究者で「欠落を埋めたい」性質であったからだ。国道には謎が多い。なぜだ? と思ったら解明せずにはいられないため、すぐに深みにはまった。

国道マニアといってもさまざまである。各国道の標識を撮影して回ったり、一本の国道を起点から終点まで「一気走行」したり、「酷道」を探検したり、いろいろな楽しみ方が開発されている。ネットの普及で情報交換が進み、一挙にジャンルとして成立した。車の旅は空間的、時間的に自由だから、ルーズな人に向いているらしい。そして自分の目で日本という国を観察できる。国の広さを実感し、構造を理解する。国道にひそむ謎を解くのが、筆者にとって国道巡りの醍醐味だ。この本は実に奥が深い。めちゃくちゃマニアックである。文字通り、「道」を極めたい人におすすめだ。自転車乗りにも読ませたい。

わたしは自動車の運転をしない。高校のときスーパーカブに乗っていたが、更新し忘れて以来、人力以外のクルマを運転したことがない。免許をとろうと思ったこともない。運転しないから不便だと妻から度々言われてきたが、面倒だから拒否し続けてきた。市内の駐車場に真っ赤なダイハツ「コペン」(初代)がいた。かわいい。欲しい。これでのんきに一人旅したら楽しいだろうなと思う。だから、次の人生では運転免許をとることにした。ほとんど毎日、いいな〜と思って眺めていたコペンだったが、ある日真っ白なフォルクスワーゲン
(二代目ビートル)に変身していた。これがまた素敵な車だ。だから、次の人生では。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062882825/dgcrcom-22/ >
ふしぎな国道


●去年は大阪マラソンのチャレンジランに出るため、真夏に時々走っていたが、大会が終わったら、忙しさにかまけてまったく走らなくなってしまった。これではイカンと3月の大会にエントリーしてみた。

とはいえ、やはり忙しくて走れてはいないし、完走することより参加のために練習することに意義があるとか言い訳している。急にフルは無理だろうから、1月のハーフもエントリーしたが、あと一か月でどうなるものでもないような気はする。キロ7分で走るだけの心臓と膝はできていない。去年ならいけたのになぁ。

eoというプロバイダーを利用している。eoは大阪マラソンの公式スポンサーで、メルマガでたまにマラソン関係のイベント情報が流れてくる。そこで、MIZUNOと大阪のFM局とeoが組んだランニング教室「FUNKYランニングクリニック」を知った。

大阪城公園を走っていた時、スポーツ用品ショップ「スポーツタカハシ(通称スポタカ)」のお客さんらしき団体がレッスンしているのを何度も見ている。ウェアや靴が新しくて、多色でキラキラしてる団体なので目立つ。ああ、ああいう教室か。ちょっと恥ずかしいけど、弾みをつけないとと申し込んだ。 (hammer.mule)

< http://eonet.jp/marathon/clinic/ >
FUNKYランニングクリニック

< http://www.spotaka.com/ >
スポタカ

< http://www.spotaka.com/running/ >
第35回スポタカ×アシックスランニング講習会
これはサブ4向けだ〜

< http://osaka.joglis.jp/event/index.php >
大阪ならジョグリスも