もじもじトーク[10]明朝体のお話/関口浩之

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こんにちは! もじもじトークの関口浩之です。今回は明朝体のお話です。

みなさん、明朝体の書体、いくつ知ってますか? では、明朝体を観察してみましょう!!!
< http://goo.gl/xzKHes >

それぞれの書体名は、後ほど、書きますね......。

今、この記事を書いている最中に、となりにいる妻に質問してみました。「明朝体とゴシック体の違い、知ってる?」

すると、えんぴつとノートを取り出して実際に書いてみようとしているので、「じゃあ、花鳥風月って書いてみて〜」と突っこんでみました。

「ゴシック体は縦横の線の太さが同じで、明朝体は横の線の太さが細くて...」と言いながらデッサンはじめました。おっ、なんとなく、明朝体とゴシック体ぽい文字になってきました。

「じゃあ、明朝体の横線のとめの部分はどうなってる? 明朝体のはらいの部分の違いを描いてみて〜」

「たしか、明朝体のとめの部分は三角形になってるんだよね...。習字で書いているような感じかな...。明朝体のはらいの部分は先が尖がっているんだよね...」と言いながら、完成しました。

おっ、明朝体とゴシック体の違いが見事に再現されています。おおぉ、おぬし、なかなかやるじゃん!!

「じゃあ、明朝体の書体の名前をいくつか挙げてみて〜」

「えっ、明朝体って明朝体じゃないの? 何種類もあるの?」と返事が返ってきました...(笑)




●明朝体って何種類もあるんだ!

たしかに、「明朝体は明朝体じゃないの?」と回答する人が多いかもしれませんね......。

でも、Windowsマシンでパワーポイントやワードで資料を作成する人は「明朝体の書体、知ってますよ。MS明朝とMS P明朝ですよね」と答えるかもしれませんね。はい、正解です。

Macな人ならこう答えるでしょう。「ヒラギノ明朝、小塚明朝、游明朝体ですよね」と......。はい、正解です。

そして、デザインをやっている人なら、それ以外の書体名がたくさんが出てくると思います。

それでは「明朝体を観察してみましょう」の答えを書きますね。文字の太さ(ウェイト)は標準的なもので表現しました。

1. MS明朝
2. ヒラギノ明朝
3. 小塚明朝
4. 筑紫明朝
5. 筑紫Cオールド明朝
6. モード明朝
7. 丸明オールド

なぜこの書体を選択したかというと、自分のパソコンにインストールされている書体だからです。OSに搭載されているシステムフォントと、購入したフォントからいくつか選択しました。ただし、6と7は明朝系ですが普通の明朝体ではないかもしれません......。

ちなみに、モード明朝はテレビ東京のワールドビジネスサテライトのテロップで使用されているようです。以前から気になっている書体だったのですが、書体見本帳で調べてみたらモード明朝でした。

丸明オールドは2001年にブレークした書体ですね。明朝体だけど丸っこい書体です。「とめ」や「はらい」などの要素がすべて丸いエレメントで構成されています。広告やポスターでこの書体を見ない日はありませんね。

個人的には筑紫Cオールドが好きです。活版印刷の香りがして、かつ、はじけてますよね。それでいて品もある。漢字の「鳥」の文字が細身でスタイリッシュですよね。ひらがなの「な」「む」の文字も、なんかカッコいいじゃないですか!

どの書体が好きなのかは、見る人の感性でさまざまだと思います。正解、不正解みたいなことはありませんね......。

明朝体ってそれぞれの個性や表情をもつ数々の書体が存在する。いろんな表情をもつ蝉がいるのと同じように......。僕はそんなふうに思っています。

●祖父江慎さん お茶目で素敵な感性のお人柄

2014年11月23日開催の「大阪DTPの勉強部屋」で、ブックデザイナー祖父江慎さんの講演を聴きました。

・大阪DTPの勉強部屋 「書体の誕生」展のツイッターまとめ
< http://goo.gl/sBfJhU >

祖父江さんといえば、知っている人には説明するまでもありませんよね。僕、祖父江さん、超〜大好きです。何度か打ち合わせや会合でご一緒したことあるのですが、愛してしまいそうです...w 彼の作品がすごいというのもあるのですが、祖父江さん自身のキャラクターが好きなのです。

祖父江慎氏 コズフィッシュ代表

過去の仕事をまとめた「祖父江慎+コズフィッシュ」(ピエ・ブックス刊)
< http://goo.gl/njey1U >

祖父江慎氏 ウィキペディア
< http://goo.gl/Cm3Jwk >

祖父江さんのセッションで印象に残ったフレーズを紹介します。

「イラストレータで300ページの本、組みました。あっ、起動しちゃった。操作慣れてないのばれた......? あらっ、重すぎて動かない......w」

「発売前の本、『刊行百年記念 漱石 心 ほぼ原稿のまま版』を20冊持ってきました。フライングで売っちゃいますね。サインも書いちゃうよ。でも高いよw」

「筑紫明朝Lの最初の印象は......、清潔感のあるこの書体はなんだろう......。新しいけど古めかしい。ぷるんぷるんのお肌の元気なおじいさんのような書体です」

「筑紫オールド明朝はすごいよ〜。漢字がひらがなに寄りそって作られているじゃないかな......。はらいがバビューンと伸びているよね」

「バビューンとしていて違和感があると思っても、すぐに慣れてしまって、スーッと目に入ってくるようになる。人間の眼ってすごいよね」

これだけでも、お茶目で素敵な感性の人柄がお分かりいただけたかと思います。実際、書籍の販売は、もちろん定価でした。

●藤田重信さん「明朝体ってドラッドだよね」

祖父江さんのセッションの後は、筑紫明朝の生みの親、藤田重信さんと祖父江さんのトークセッションでした。藤田さんはフォントメーカーのフォントワークス社の書体デザイナーです。

藤田重信氏 書体デザイナー
< http://goo.gl/opB5EU >
(デジタルステージ社のフォントデザイナー・インタビューより)

筑紫明朝、筑紫オールド明朝、筑紫Bオールド明朝、筑紫Cオールド明朝を設計した人です。それ以外の書体も設計、監修しています。

藤田さんのセッションで印象に残ったフレーズも紹介します。

「明朝体ってドラッドだよね。ファッションと同じだ。トラディショナルだよね〜。そんな明朝体を作りたい......」

「僕は書道の縦画を書くのはすごく苦手。手書きの文字もきれいじゃないよ。明朝体は筆では書けない貴重な書体です」

「書体の重心を低くして軽くしてみた。和服美人のような明朝体が作りたい......」

「単に綺麗だねという明朝体は長生きはできない」

「なつかしさがあっても新鮮さがなければだめ。わくわく感がないと書体はつまらない」

「今度、発表する新書体の『筑紫アンティーク明朝』は、これだってぐらい文字を絞ってるよ。はらいもこれでもかって伸びてる。でも見慣れると普通になるかもね...。」

お二人とも本当に素敵な感性ですよね。そんな素敵なデザイナーが制作した作品はわくわく感があります!

本イベントでのツイッターまとめをご紹介します。文字好きな方もそうでない方もご一読していただけるとうれしいです。

・大阪DTPの勉強部屋 「書体の誕生」展のツイッターまとめ
< http://goo.gl/sBfJhU >

●明朝体は楽しい!?

2014年11月22日〜24日に大阪DTPの勉強部屋「書体の誕生展」があり、初日と二日目に僕も登壇しました。同時に受講者兼スタッフとして参加しました。

祖父江さんと藤田さんとご一緒させていただき、本当に楽しかったです。もじもじで充実した三日間でした。

本イベントの関連ページもご紹介します。

・大阪DTPの勉強部屋「書体の誕生」展の日本語Webフォントスライド
< http://goo.gl/KBO3NF >

・大阪DTPの勉強部屋「書体の誕生」展の写真まとめ
< http://goo.gl/rZ2FlA >

・大阪DTPの勉強部屋「書体の誕生」展
< http://goo.gl/Ok2lye >

【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
< http://fontplus.jp/ >

1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。

その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。

小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。