[3824] 不思議な繋がりが増えてきた

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《同じデータが6か所に存在w バカだ。》

■ネタを訪ねて三万歩[118]
 不思議な繋がりが増えてきた
 海津ヨシノリ

■グラフィック薄氷大魔王[416]
 2014年を振り返る小ネタ集+α
 吉井 宏




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■ネタを訪ねて三万歩[118]
不思議な繋がりが増えてきた

海津ヨシノリ
< https://bn.dgcr.com/archives/20141217140200.html
>
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噂には聞いていたのですが、店の大小や地域に関係なく特定の店にしか置いていなかったので忘れていて、たまたま気まぐれで入った100均でそれを発見しました。20mlの油絵の具です。

基本色しかありませんが、混色すれば問題ありません。テレピンやペトロールなどの溶き油の方が高いのです。この不条理を知ってしまった時の衝撃はかなりのものです。まさに価値観の崩壊ですね。

もちろん高価な絵の具と比べれば色々と違いが出てくるのでしょうが、少なくとも私の使用範囲ではほとんど問題はありませんでした。さらに、ナイロン筆5本で100円はかなり使えます。正直ビックリするクオリティーです。

当然一本1000円以上する筆と比べれば違いは出て来ますが、私の使用範囲ではやはり大きな問題ではないのです。衝撃を通り越しています。このように価値観は毎日激変していますね。価値観は固定ではありません。

従来からある価値観は、ある部分で大切な文化なのかもしれません。しかし、文化とは生き続けるからこそ文化であり、絶えず変化していくモノであると感じています。

世の中は既に10年一昔前には存在していなかったようなモノで溢れています。当然、10年後には現代の我々の感覚で言えばもっと多くの「なんですか?コレ」的なモノで溢れているでしょう。

そんな世界の中にいて、古典的な価値観や思考を引きずる事は正直ナンセンスとさえ感じてしまいます。ちなみにココで言う古典的とは、そこそこ20〜30年ほど前も含まれてしまいます。笑えないですね。そんなことでニヤニヤしていたら、以下の文面をネットで発見し、思わず納得してしまいました。

理由もなく会えるのが友達で、理由がないと会わないのが知り合いで、理由をつくって会いたくなるのが好きな人。

友達だと思っていたのは単なる知り合いだったわけです。最近は、面識もないのに唐突に会って盛り上がってしまう人も多く、とても不思議な体験を色々しています。

もちろん、不用意に誰とでも会って盛り上がってしまうという意味ではありません。基本的にどちらかと言えば人見知り族の私ですから。

また、諸般の事情で会うことがなくても、定期的に何らかの方法で連絡を取り合っている関係であれば、上記の説は少し変化するでしょう。どちらにしても色々なシーンで価値観が大きく変化し始めている時代なのは確かです。

例えば、私は高校時代の同級生数名とはいまだに年賀状交換をしています。しかし、本当にそれだけの関係なのです。都内に住んでいて会うことは簡単なはずなのに、卒業後に会ったことはただの一度もありません。本当に不思議です。

にもかかわらず、今年は会いましょうという儀礼的な文章が年賀状に記載されているのです。でも連絡方法は手紙しか方法がないのです。メールアドレスを教えてもらえれば連絡が取りやすいのに。

そこで、数年前にそれらの友人達にメールアドレス教えて欲しいと改めて手紙をしたためたのですが、リアクションはゼロでした。単なる社交辞令を本気にしてしまった私のポカということですね。

そもそも友達とは、何か共通の趣味や仕事などがあるから繋がっているコトがほとんどです。発端は同級生であったり、仕事仲間であったりし、その延長上で誰かを紹介されるといった流れが大部分ではないでしょうか。

同じ趣味であっても微妙に方向性が違っていたり、年齢と共にその微妙なズレが変化していたりするので、ある日突然打ち解けるといったコトもよくありますね。

最近は私にとって不思議な繋がりが増えてきたことで、この繋がりをどう説明したらいいのか? という観点で自分なりに整理していて、あることに気が付きました。ネットでの繋がりです。

ネットで繋がる関係は、相手が解らないところからスタートします。その利点は、余計な先入観を持たずにコミュニケーションを交わせることです。解りやすく説明すると「映画のリメイク版でオリジナルを越える作品がない(少々乱暴ですが)」と説明すると理解してもらえそうですね。

一度見てしまったイメージ(オリジナル作品)は、脳裏に焼き付いてしまいます。その後、映像技術がどれだけ発達しても、焼き付いたイメージを払拭できないために、オリジナルを越えられないわけです。

これは漫画にも当てはまりますね。最初に漫画で読んでしまった名作小説や児童文学の類は、漫画のイメージが焼き付いてしまうため、そのイメージを良くも悪くも生涯引きずることになります。

ところが、本の場合だとこれが少し違ってきます。文字としての情報は読んだ時点でのスキルや知識に大きく影響しますので、20代で読んだときのイメージ、30代で読んだときのイメージは大きく変化します。

まさにこの関係がネットではないかと感じるようになりました。外見や声からイメージを作り上げてしまう初対面とは異なり、すべてが文字を読み上げる中でイメージを練り込んでいくからです。

例えば、散々ネットでやりとりをしてから会うと、想像していた細かな仕草などがドンピシャであることが多いのも不思議です。

もちろん、写真や映像で相手をある程度知ることも可能です、それらを一切公開していない人もいるわけです。それなのにイメージがドンピシャというのは、やはり何か滲み出るモノがあるのでしょう。

ただし、知り合っても会うこともなく、いつの間にか近況アップが途絶えてしまったりすると忘れてしまうこともありますね。この問題は致し方ないでしょう。アクティブな人と、そうではない人の落差が大きいのがネットの世界ですから。

しかし、困った問題も当然あるわけで、外人さん達のフレンドリーさが逆に面倒なことも多々あります。例えば勝手にグループに参加させられていたりとか。

5〜6グループなのでまだ面倒なことにはなっていませんが、発言が暴発すると辛いですね。また、ちょっとした誤解やミスが重なってしまうと、いとも簡単に関係が消滅してしまうのもネットの怖いところですね。

まっ、それはそれで贅沢な悩みなのかも知れません。とにかく出会って交流があることは素敵なことですから。

交流といえば、先月、昔色々とお世話になったメーカーの担当者が集まる、OB会のような飲み会に参加しました。正確には、私とある方とで始めた飲み会の第二弾だったのですが、口コミで皆さんが集まってくれたという流れです。

皆さんは現在それぞれ別の会社で活躍されているので、完全にOB会です。色々な方の話を聞くのはとても楽しいひとときです。そしてそれが異業種の方達であれば、本当に目から鱗が落ちる連続です。

もちろん同業者がつまらないと言っているわけではありません。同業者だからこそ感覚が麻痺してしまう部分があるという意味合いです。常に新しい刺激が欲しいのです。同じ刺激の連続は感覚を麻痺させるだけでなく、アイデアも鈍ってきます。

常にフットワークを付けておきたいですから。まっ、フットワークだけで終わってしまうことも多々ありますけれど......。

とにかく直接的な影響ではなく、間接的な影響が心地よいのです。異業種の方達のセンスには大いにリスペクとすることばかりです。そして、案外自分の仕事のアイデアやヒントに繋がることがあり、驚いています。

もちろん、貪欲にそれらの情報を仕入れるというスタンスではありません。そもそも、大いなる遊びの範疇ということで行動していますので。

もっとも、遊びだからテキトウという意味ではありません。利害関係がない状況下で、お互いが情報を交換していることが、結果として実になっているかもしれないよね〜と言う意味です。

それでは業界関係の話はしないのか? と突っ込まれそうですが、そんなことはありません。業界情報を共有してくれる友人には恵まれています。

◎今月のお気に入りミュージックと映画

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[It's Not For Me To Say]by She & Him in 2014(U.S.A)

今月リリースされたばかりの新アルバム "Classic" に含まれている曲。邦題は「お目当て違い」。オリジナルは1957年にジョニー・マティス歌った名曲ですが日本で紹介されたかは不明。基本的にカバー曲は好きではないのですが、ズーイー・デシャネルがボーカルをすると別世界の曲のようで本当に酔いしれてしまいます。

[The Big Bang Theory]by Mark Cendrowski in 2007-(U.S.A)

邦題「ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則」。カリフォルニア工科大学のほとんど科学オタクとしか言えない頭脳明晰な物理学者コンピと、向かいに引っ越してきた美女とのコメディー。

オタクネタは、『スター・ウォーズ』、『スーパーマン』『スタートレック』『バトルスター・ギャラクティカ』『猿の惑星』『ドクター・フー』『ロード・オブ・ザ・リング』といったTV・映画ジャンル、『ヘイロー』といったTVゲームにいたるまで、まさに多種多彩。しかもそれらの映画の出演者や著名な学者が本人役で主役するといった重厚さもナイス。SF・科学オタク必見です。

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【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/
怪しいお菓子研究家
yoshinori@kaizu.com
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< https://www.facebook.com/yoshinori.kaizu
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2006年から銀座のアップルストアで続けてきた「画像処理テクニック講座」は2013年の8月の第80回をもって、アップルさんの都合により一旦終了してしまいましたが、色々な方から再開の希望が寄せられており、苦慮していたのですが、このたびボーンデジタルさんのご厚意で再開されることになりました。

題して「画像処理テクニック講座 in ボーンデジタル」。しかも通し番号は継承される形で。ということでボーンデジタルとしての第一回目は2015年の1月ですが、詳細はこのテキストが公開された後に決定する予定なので、興味のある方は私のブログかFBをチェックして下さい。宜しくお願い致します。


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■グラフィック薄氷大魔王[416]
2014年を振り返る小ネタ集+α

吉井 宏
< https://bn.dgcr.com/archives/20141217140100.html
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今年の「グラフィック薄氷大魔王」の見出しから今年を振り返ってみる。掲載時点から進展したことなども書いてみます。

●2014年は最悪のスタートw[375]

1月は風邪引いてダウン。さすがに体に多少はガタがきてるかな。夏には初めて上からも下からもカメラを入れて検査したけど異常なし。たまにちゃんと検査すると安心できるわ。

3DシステムズのCubifyのYoshii Storeが、オープンして2か月でアーティスト向け企画全体がクローズしたのは残念だったけど、代わりにrinkakで同様のストアを開いた。以前に用意してあった3Dデータは全部活かすことができた。これからも少しずつ新作を足していくつもり。

●Huluで「LOST」の続きを見る[373]

昨年末にHuluを登録。見たのは「LOST」3〜6シーズンと「メリーポピンズ」だけw 半年で解約しちゃった。最近TSUTAYAの話も書いたけど、定額ってのがどうもダメだ。安い金額を払って見放題って、「いつでも見れる」→「あれ? 最近使ってないな」→「ダメだもったいない、やめよう」というコースを辿る。

以前、スポーツクラブのプール平日会員の料金が「安い!」と思って入ったことがあった。しかし、4〜5年後に解約するまでにプールに行ったのは数回。計算すると、一回当たり5万円のプール入場料でしたw

●日本自画自賛すぎ[378]

マズいと思う。日本自画自賛は最近どんどんエスカレートしていってる模様。テレビつければ「すごい日本の職人」「すごい日本の気遣い」「すごい日本の文化」「すごい日本人がこんなところに」ばかりやってる。そんなに「オレら日本人ってすごいすごい」言わないと自信を持てなくなってるのかな。

しかし、紹介される本人はすごいんだろうけど、それをテレビで見てる人はたいていぜんぜんすごくない日本人だし、その功績に何の貢献もしてないから。早くこの気持ち悪い自画自賛ブームは収まってほしい。

●OSX Mavericksのリスト表示の問題[379]

ずいぶん長いこと悩まされた「Finderのリスト表示で右側から項目がはみ出す問題」。Yosemiteで修正されたー!「見にくいタグ小丸問題」はExtraFinderでなんとか凌いでる状態。しかし、このタグ。複数つけられるのは一瞬便利と思ったんだけど、ランダムに複数ついたタグを付け替えるのってめちゃくちゃ面倒!

●ファイル容量ダイエットの究極の目標[381]

内蔵SSDに入りきらないアーカイブファイルや、iTunesやiPhotoファイルを3TBのHDDに入れてて、あと数100GBを整理できれば1TBを切るぞ! ってことでがんばった。今は外付けの1TBのSSDに全部入れてます。

ただ、SSDには「通電してても、数年間書き換えがなかった箇所のファイルから消えていく問題」があると聞いて心配に。しかたなく、データ用には2系統を用意することにした。片方は自動バックアップではなく変更箇所を手動コピーするルールで。

その2系統のバックアップは、一つはSSD→HDD、もう一つはHDD→HDD。それぞれMac ProとMacBook ProのTime Machineでもバックアップ。つまり、同じデータが6か所に重複w バカだ。

それから、Dropbox容量がいきなり1TBになったので、アーカイブファイルもDropbox同期させたい! ってことで、現在も継続してファイル容量ダイエット中〜!

●近近メガネで新世界[383]

今年一番のヒットと言えそう。なにしろ、近近メガネを作る前はMacやiPadのディスプレイや雑誌を見るのが苦痛でしょうがなかった。普通の近視用メガネをはずせば20cm以内はちゃんと見えるのだが、メガネしたままでディスプレイなど、手の届くような距離はめちゃくちゃ苦手だったのだ。近近メガネ、快適です!

●MacBook Pro ラブ[387]

MacBook Proのレンダリングはそれほど遅くない。じゃあ、デカ重のMac Proを手放してMacBook Proだけで仕事しよう! とか思ってたんだけどなあ。

夏頃、Fur(毛)をレンダリングする仕事が多くなりそうだったのでMac Proのメモリーを40GBに増設。同時にSSDを1TBに換装。けっこうな額を注ぎ込んじゃったMac Proを手放すのが惜しくなっちゃった。あと一年かそこらはメインマシンMac Proのままだろうな。

ただ、MODOで使えるレンダーファームの存在を知ったので、マシン依存のレンダリング速度はそれほど重要じゃなくなってきてるのも確か。はやく身軽なMacBook Proだけにしたい。

●君はAdobe CCをやめられるか?[394]

PhotoshopやIllustratorを使わずに仕事できるか? の実験みたいなこと散々やってた。CLIP STUDIO PAINTはほとんどPhotoshopと同等に使えることがわかったのは収穫だった。その後、Affinity Designerも盛り上がってきたから、Adobeの2つを使わなくてもなんとかなるのは現実になりつつある。

で、Adobe CCのアプリ3つ以上を普段使いすれば割高感は消えるだろうと思っていたところに、iWebの廃止が判明! Adobe Museを使うことにした。というわけで、僕の中のAdobe CC問題はあっさり解消したのであったw

●「アオイホノオ」[399]

熱い志やわけのわからない衝動を持て余すあの年頃の思い上がり激しいバカの感じ! 大バカだったあの頃の熱く無限の可能性と不安な気分を30数年ぶりに燃え立たせてくれた。トキワ荘に代わる新しい神話! DVDボックスまで買い込んじゃったw

●有機溶剤の臭いをさせずに立体制作[402]

いいところまでイケた。有機溶剤なしで立体作品を作ること自体は成功。しかし、複製用にシリコーン型を取るのは断念した。塗装後の仕上げ水性トップコートが型取り用の油粘土に影響を受けてしまうことを思い至らなかったのだ。

代用に水粘土を試してみたが、表面に跡が残ってしまうのでダメ。う〜ん、惜しかった。塗装前のジェッソの状態で水粘土とシリコーンを使った型取りだったらうまく行ったかも。

最近作ってるものは、原型の仕上げに溶剤系のトップコートを使った他は、非溶剤系でなんとかなってる模様。

●東京デザイナーズウィーク2014関連の小ネタあれこれ[410]

もともとは、昨年末「大型作品の海外展示の辞退」により宙に浮いてしまった作品を、一度はちゃんと展示したいという目的で申し込んだのだった。10日間、立ちっぱなしで大変だったけど、立体の代表作品のほとんどを全部展示できたのはよかった。

●今年のまとめ的余談「立体制作=僕的音楽活動?」

田中圭一のゲームっぽい日常 マンガ家にとって「50歳」とはどういうことなのか
< http://www.webtech.co.jp/blog/k1/7228/
>

同い年なので、すごいリアル。そうなんだよね。冷静に数字で考えるとそういうことになるよね。僕的にはあまり作業が遅くなった実感はないし、集中のコツみたいなのをつかんだのは最近なこともあって、むしろ速くなってるような気もするけど。

田中圭一さんが速度低下を考えに入れた「10年相当の残り時間」で単行本15冊と書いているところ、僕は何が相当するのかな。

キャラクター仕事の大きなものはせいぜい一年に2個としたら20個かそこら。The Daily Workを今のペースで作ったらあと1300個。TDWは15年前に始めたとき27年で一万個って計算してたけど、半分も行かない。

アニメーションはちゃんと形になったものは「YANS! GANS![MEAT OR DIE]くらい。僕のキャラでパイロットまで作られてるものが数本あるけど、実現の可能性は不明。としたら、5年に一本がせいぜいじゃないか。ってことは、フルに動いても2〜3本かwww

立体作品だって、昨年の猛烈突貫作業で中〜大型作品を8個。今年は中型作品2個。かなり入れ込みペースでもせいぜい一年に3個くらい、、、ってことは30個 orz

......イヤでも考えなくちゃいかんな。どれに集中するかってこと。

たとえば、立体制作は作ってる実感があって楽しい。っていうか、文字通りの楽しさじゃなくて、やってる最中はめちゃくちゃキツいんだけど、作業自体は好きだし作る前も仕上がった後も充実してるからいいことには違いないと思う。

でも、ふと考えたら、僕的に音楽活動と同じかなって。楽器の演奏は楽しいに決まってるけど、腕を保つための練習時間と仕事とのバランスを考えると、僕は楽器をやっちゃダメだと結論したから20年前からやってない。

DTM音楽制作もめちゃくちゃ楽しいけど、曲ができたと言っても、それは自分が楽しいだけ。そりゃ楽しいことは大切には違いないけど、仕事以上に優先すべきことじゃない。だから最近はやってない。自分のアニメーションに自分の曲をつけるのも楽しいけど、作品として考えればプロにお願いするほうがいいに決まってる。

立体制作も僕的「娯楽」としては最高のものだけど、仕事の範疇に直接組み入れてしまっていいものかどうか。立体は、僕が作るより上手く早くプロに作ってもらうことができるんだよ。

織田さんにお願いした3個もそうだし、香港PopCornChristmasディスプレイもそう。発表を控えてるあるキャラクターもプロが大きな立体を作った。僕が自分でやらないほうがいいんじゃないか? 僕にしかできないことに集中するほうがいいんじゃないか?

僕の場合、キャラクター仕事に絞って集中すれば、その先には立体やフィギュアやグッズとかになったり、アニメーションになったりするし、それは自由を得ることにも繋がる。時間を費やして立体作品やアニメーションを自作自演wしなくても。今まで自分の創作欲を制御しなかったから戦線が広がりすぎて補給が追いつかない状態。それをなんとかする意味でも。

ジョブズも言ってる。「やらないことを決めろ」って。

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com
>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
>

「いろいろ衝動全解放!」と書いたのがこの連載の231回、2010年9月。

「これまで一応それなりの節度というか、過度にのめり込むのをギリギリ自制してきたけど、これからは何においてもそういったタガを全部はずしてしまおう。衝動を全解放したらどうなるかの実験。戦略なき突撃。ブレーキレス。行くとこまで行っちゃえ〜〜っ!」

行っちゃった結果、こうなるのか〜。よくわかったw 来年は「自制心を持って戦略アリ突撃」に変更しよう。

・香港クリスマスディスプレイに吉井作品。Popcornというショッピングモールに僕のキャラクターが登場してます。野外展示と屋内展示、「30周年記念ギャラリー」w など5〜6箇所あります。20数個のキャラクターの立体は人間より大きいものもあり、かなり大規模です。
< https://www.facebook.com/PopCornTKO
>

・ココリア多摩センターでも、昨年に続いて僕のキャラクターによるクリスマスディスプレイが出てます。
< http://www.cocolia-tamacenter.com/
>

・「rinkak 3Dプリントデザインコンテスト」 僕も3Dプリント作品のショップを出してる「デジタルものづくりサービス rinkak」が、3Dプリント作品の国際コンテストをします。応募締切は来年1月19日まで。なぜか僕も審査員です。
< https://www.rinkak.com/contest/3d-printing-design-contest/2014/1
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・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
< https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii
>

・ハイウェイ島の大冒険
< http://kids.e-nexco.co.jp
>

・INTER-CULTUREさんの3Dプリント作品販売
< http://inter-culture.jp/Buy/products/list.php?category_id=63
>


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編集後記(12/17)

●春日局にまつわる謎。家康は光秀の片腕だった斎藤利三の娘・福(後の春日局)を孫の竹千代(後の家光)の乳母(=教育係)に採用し重用した。竹千代の母・お江与は信長の妹・お市の娘だ。お江与にとってはいわば仇の娘が乳母になったわけだ。尋常な人事ではない。そして福の一族は揃って異例の出世をした。さらに、春日局は家光の生母であるというトンデモ話がある。江戸城の紅葉山文庫の蔵書「松のさかへ」に書いてあり、もはや江戸城内では公然の秘密だったことがわかる。家光の偏諱(いみな:時の権力者から一字をもらう)は祖父の家康+光秀であろう。光の字がある武将は他にない、それにしても、と思う。次男・忠長は父の秀忠+信長である。

秀吉の政権下で未だに謎とされる事件が二つある。千利休と関白秀次の切腹である。原因は未だ解明されていない。通説では当事者の個人的な悪事が原因とされている。いずれも秀吉の情報統制下の出来事だ。「本能寺の変」の動機が秀吉によって捏造されたと同様に、この二人の切腹の原因は秀吉の捏造である可能性は濃厚だ。二つの事件は、秀吉の「唐入り」の節目に重なる。対馬の宗氏をはじめ、唐入りを阻止したい人物は何人もいた。全国の武将たちも同じ気持ちだっただろう。利休は驕りを罪状に挙げられ処分されたが、じつは秀吉に唐入りを思いとどまるよう諫言したのではないか。秀吉は、利休がオピニオンリーダーになって、唐入り反対勢力が結集することを怖れたため処分したのではないのか。

そして関白秀次の事件だ。秀次が辻斬りをしたり神仏を冒涜する無礼を働いたなどとされているが(いわゆる殺生関白)、秀吉による処分はいかにも謀反に対する断罪で苛酷を極め、一族、近親までが広く処刑され、交流のあった公家や文化人も流罪などに処された。秀次は賢明で当代一流の教養人と評されており、本心では唐入りに反対していた。秀吉は、秀次が朝廷と結託して武将たちを味方につけて謀反を起こすのではないかと恐怖に囚われたのだ。ふたつの事件は秀吉の「唐入り」につながる。自分が推進する唐入りに反対者がいて、阻止のための謀反が企てられたことを公にしたくなかった。そのため、当事者の悪事に原因があると公式発表したのだ。

これらは明智憲三郎「本能寺の変、431年目の真実」で書かれていたことだ。わかりやすい納得できる解釈だと思う。筆者は「三面記事史観」からは何も学ぶことはできないと豪語する。そして、昭和の時代に日本は再び唐入り(中国大陸侵攻)へと進んでしまった、我が国は歴史に学ばなかったと断じる。しかし、いわゆる「日中戦争」は侵略ではないし、昭和の日本は中国の土地など必要としていない。秀吉の唐入りとは全然意味が違う。さて、わたしが好きなのは、光秀は小栗栖で死なず、天海僧正となって徳川幕府の黒衣の宰相として権勢をふるったという有名な伝説だ。小池和夫・森秀樹「そして─子連れ狼刺客の子」では、90年ぶりに(!)光秀と伊達政宗が剣を交える驚愕の(笑)シーンがあったりして。たまらんな〜。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4286143821/dgcrcom-22/
>
明智憲三郎「本能寺の変、431年目の真実」


●足をくじいた続き。心配してくださる担当者さんたちに「大丈夫です〜」と言いつつ帰宅。が、数歩でギブアップ。明日のためにも無理したくない。

幸いなことにタクシーが停まっていたので乗り込む。ニコニコといい感じの人。行き先に病院名を告げると、今からですか? 救急? と聞かれてしまう。

病院のすぐそばにマンションがあるのだと話していたら、その運転手さんの妹さんが勤めているのだという。奇遇ですね〜と話していたら、おもむろに「これ開封済みだけど、使って」と湿布薬をくださった。私がお客さんなのに。

早めにメーターを倒してくださり、おつり分で湿布薬をと言ってたら、そんなことしてもらうわけにはいかないと断られる。うわー、私がどこかの大手企業の社長なら、この人を専属にしてもらうわ。九州の人だったよ。 (hammer.mule)