ネタを訪ねて三万歩[118]不思議な繋がりが増えてきた/海津ヨシノリ

投稿:  著者:  読了時間:9分(本文:約4,200文字)


噂には聞いていたのですが、店の大小や地域に関係なく特定の店にしか置いていなかったので忘れていて、たまたま気まぐれで入った100均でそれを発見しました。20mlの油絵の具です。

基本色しかありませんが、混色すれば問題ありません。テレピンやペトロールなどの溶き油の方が高いのです。この不条理を知ってしまった時の衝撃はかなりのものです。まさに価値観の崩壊ですね。

もちろん高価な絵の具と比べれば色々と違いが出てくるのでしょうが、少なくとも私の使用範囲ではほとんど問題はありませんでした。さらに、ナイロン筆5本で100円はかなり使えます。正直ビックリするクオリティーです。

当然一本1000円以上する筆と比べれば違いは出て来ますが、私の使用範囲ではやはり大きな問題ではないのです。衝撃を通り越しています。このように価値観は毎日激変していますね。価値観は固定ではありません。

従来からある価値観は、ある部分で大切な文化なのかもしれません。しかし、文化とは生き続けるからこそ文化であり、絶えず変化していくモノであると感じています。

世の中は既に10年一昔前には存在していなかったようなモノで溢れています。当然、10年後には現代の我々の感覚で言えばもっと多くの「なんですか?コレ」的なモノで溢れているでしょう。




そんな世界の中にいて、古典的な価値観や思考を引きずる事は正直ナンセンスとさえ感じてしまいます。ちなみにココで言う古典的とは、そこそこ20〜30年ほど前も含まれてしまいます。笑えないですね。そんなことでニヤニヤしていたら、以下の文面をネットで発見し、思わず納得してしまいました。

理由もなく会えるのが友達で、理由がないと会わないのが知り合いで、理由をつくって会いたくなるのが好きな人。

友達だと思っていたのは単なる知り合いだったわけです。最近は、面識もないのに唐突に会って盛り上がってしまう人も多く、とても不思議な体験を色々しています。

もちろん、不用意に誰とでも会って盛り上がってしまうという意味ではありません。基本的にどちらかと言えば人見知り族の私ですから。

また、諸般の事情で会うことがなくても、定期的に何らかの方法で連絡を取り合っている関係であれば、上記の説は少し変化するでしょう。どちらにしても色々なシーンで価値観が大きく変化し始めている時代なのは確かです。

例えば、私は高校時代の同級生数名とはいまだに年賀状交換をしています。しかし、本当にそれだけの関係なのです。都内に住んでいて会うことは簡単なはずなのに、卒業後に会ったことはただの一度もありません。本当に不思議です。

にもかかわらず、今年は会いましょうという儀礼的な文章が年賀状に記載されているのです。でも連絡方法は手紙しか方法がないのです。メールアドレスを教えてもらえれば連絡が取りやすいのに。

そこで、数年前にそれらの友人達にメールアドレス教えて欲しいと改めて手紙をしたためたのですが、リアクションはゼロでした。単なる社交辞令を本気にしてしまった私のポカということですね。

そもそも友達とは、何か共通の趣味や仕事などがあるから繋がっているコトがほとんどです。発端は同級生であったり、仕事仲間であったりし、その延長上で誰かを紹介されるといった流れが大部分ではないでしょうか。

同じ趣味であっても微妙に方向性が違っていたり、年齢と共にその微妙なズレが変化していたりするので、ある日突然打ち解けるといったコトもよくありますね。

最近は私にとって不思議な繋がりが増えてきたことで、この繋がりをどう説明したらいいのか? という観点で自分なりに整理していて、あることに気が付きました。ネットでの繋がりです。

ネットで繋がる関係は、相手が解らないところからスタートします。その利点は、余計な先入観を持たずにコミュニケーションを交わせることです。解りやすく説明すると「映画のリメイク版でオリジナルを越える作品がない(少々乱暴ですが)」と説明すると理解してもらえそうですね。

一度見てしまったイメージ(オリジナル作品)は、脳裏に焼き付いてしまいます。その後、映像技術がどれだけ発達しても、焼き付いたイメージを払拭できないために、オリジナルを越えられないわけです。

これは漫画にも当てはまりますね。最初に漫画で読んでしまった名作小説や児童文学の類は、漫画のイメージが焼き付いてしまうため、そのイメージを良くも悪くも生涯引きずることになります。

ところが、本の場合だとこれが少し違ってきます。文字としての情報は読んだ時点でのスキルや知識に大きく影響しますので、20代で読んだときのイメージ、30代で読んだときのイメージは大きく変化します。

まさにこの関係がネットではないかと感じるようになりました。外見や声からイメージを作り上げてしまう初対面とは異なり、すべてが文字を読み上げる中でイメージを練り込んでいくからです。

例えば、散々ネットでやりとりをしてから会うと、想像していた細かな仕草などがドンピシャであることが多いのも不思議です。

もちろん、写真や映像で相手をある程度知ることも可能です、それらを一切公開していない人もいるわけです。それなのにイメージがドンピシャというのは、やはり何か滲み出るモノがあるのでしょう。

ただし、知り合っても会うこともなく、いつの間にか近況アップが途絶えてしまったりすると忘れてしまうこともありますね。この問題は致し方ないでしょう。アクティブな人と、そうではない人の落差が大きいのがネットの世界ですから。

しかし、困った問題も当然あるわけで、外人さん達のフレンドリーさが逆に面倒なことも多々あります。例えば勝手にグループに参加させられていたりとか。

5〜6グループなのでまだ面倒なことにはなっていませんが、発言が暴発すると辛いですね。また、ちょっとした誤解やミスが重なってしまうと、いとも簡単に関係が消滅してしまうのもネットの怖いところですね。

まっ、それはそれで贅沢な悩みなのかも知れません。とにかく出会って交流があることは素敵なことですから。

交流といえば、先月、昔色々とお世話になったメーカーの担当者が集まる、OB会のような飲み会に参加しました。正確には、私とある方とで始めた飲み会の第二弾だったのですが、口コミで皆さんが集まってくれたという流れです。

皆さんは現在それぞれ別の会社で活躍されているので、完全にOB会です。色々な方の話を聞くのはとても楽しいひとときです。そしてそれが異業種の方達であれば、本当に目から鱗が落ちる連続です。

もちろん同業者がつまらないと言っているわけではありません。同業者だからこそ感覚が麻痺してしまう部分があるという意味合いです。常に新しい刺激が欲しいのです。同じ刺激の連続は感覚を麻痺させるだけでなく、アイデアも鈍ってきます。

常にフットワークを付けておきたいですから。まっ、フットワークだけで終わってしまうことも多々ありますけれど......。

とにかく直接的な影響ではなく、間接的な影響が心地よいのです。異業種の方達のセンスには大いにリスペクとすることばかりです。そして、案外自分の仕事のアイデアやヒントに繋がることがあり、驚いています。

もちろん、貪欲にそれらの情報を仕入れるというスタンスではありません。そもそも、大いなる遊びの範疇ということで行動していますので。

もっとも、遊びだからテキトウという意味ではありません。利害関係がない状況下で、お互いが情報を交換していることが、結果として実になっているかもしれないよね〜と言う意味です。

それでは業界関係の話はしないのか? と突っ込まれそうですが、そんなことはありません。業界情報を共有してくれる友人には恵まれています。

◎今月のお気に入りミュージックと映画

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[It's Not For Me To Say]by She & Him in 2014(U.S.A)

今月リリースされたばかりの新アルバム "Classic" に含まれている曲。邦題は「お目当て違い」。オリジナルは1957年にジョニー・マティス歌った名曲ですが日本で紹介されたかは不明。基本的にカバー曲は好きではないのですが、ズーイー・デシャネルがボーカルをすると別世界の曲のようで本当に酔いしれてしまいます。

[The Big Bang Theory]by Mark Cendrowski in 2007-(U.S.A)

邦題「ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則」。カリフォルニア工科大学のほとんど科学オタクとしか言えない頭脳明晰な物理学者コンピと、向かいに引っ越してきた美女とのコメディー。

オタクネタは、『スター・ウォーズ』、『スーパーマン』『スタートレック』『バトルスター・ギャラクティカ』『猿の惑星』『ドクター・フー』『ロード・オブ・ザ・リング』といったTV・映画ジャンル、『ヘイロー』といったTVゲームにいたるまで、まさに多種多彩。しかもそれらの映画の出演者や著名な学者が本人役で主役するといった重厚さもナイス。SF・科学オタク必見です。

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【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/
怪しいお菓子研究家
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2006年から銀座のアップルストアで続けてきた「画像処理テクニック講座」は2013年の8月の第80回をもって、アップルさんの都合により一旦終了してしまいましたが、色々な方から再開の希望が寄せられており、苦慮していたのですが、このたびボーンデジタルさんのご厚意で再開されることになりました。

題して「画像処理テクニック講座 in ボーンデジタル」。しかも通し番号は継承される形で。ということでボーンデジタルとしての第一回目は2015年の1月ですが、詳細はこのテキストが公開された後に決定する予定なので、興味のある方は私のブログかFBをチェックして下さい。宜しくお願い致します。