3Dプリンター奮闘記[51]今後は光硬化式のプリンターが熱い
── 織田隆治 ──

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あけましておめでとうございます。みなさん、良いお正月をお迎えになりましたでしょうか?

僕? 僕はさんざんなお正月でした...。"休んでない自慢"とかに思われそうなんですが、ありがたいことに本当に休みなしです...。

そろそろ新しい3Dプリンターを入れないと、業務が押しまくりになってきましたよ。というわけで、新しい3Dプリンターを導入することになりました。年末にお願いして、今週末に届くのです!!!! 

本来なら、レビューなんかを書いてみたいところなんですが、間に合いませんでした。残念。実はまだプレスリリース前の機体ですので、詳細は書けないんです。楽しみですが、それはプレスリリースが発表された後ほど...。

今回導入したのは、熱で素材を溶かしながら積層するタイプのプリンターです。低価格化が進んでおり、安いものは5〜6万から、高いものはまあ、それなりに...という価格帯になってきましたね。

さて、熱溶解積層型の3Dプリンターですが、最近では週刊で送られて来る組み立てキットが発売される等、どんどん身近なものになってきました。

これ、完成するのは何か月後になると思いますが、この手のプリンターの進歩は日進月歩なので、完成した際には少し古いものになっているかと思います。




しかし、僕が今メインで使っている熱溶解積層型の3Dプリンターは、もうすでに3年以上前の物。それでも、メンテナンスをしながら、現在でも第一線で活躍しています。

色々新しい機種を見ていますが、精度が上がったり、スピードが上がったり、支持軸が3点支持になったものが出て来ている感じで、根本的なシステムに変化はありません。

まあ、これは3Dプリンターの原理から見ると当たり前なことなんですけどね。ですが、この「速度と精度」って凄い進歩なんですよね〜。後は、どれだけプリンターに特化した良いデータを作るか、ということでしょうね。

そういえば、フルカラー熱溶解積層型の3Dプリンターメーカーが買収された、という話も聞こえてきましたが、僕これ、どうかな...って思います。

この手のプリンターは、インクジェットのプリンターと同じで、基本色の素材のリールを、ヘッド内部で混合して溶かしながら絞り出す機構になっていると思います。

ですから、色の切り替え部分は、必ずグラテーションになってしまうんですね。つまり、キッチリとした色の切り替えが困難ということ。

フルカラーの3Dプリンターといえば、粉末をインクジェット印刷方式でフルカラーにして固めて行くタイプという認識が定着しているので、フィギュアなんかが印刷できると思われがち。

ですが、僕が思うに、この熱溶解積層型の3Dプリンターのフルカラーは、フィギュア等をフルカラーでプリントするものではなく、グラテーションで色々な色が出せるプリンター、という認識です。

ですが、もしかしたら、もっと凄いのが出て来る可能性もありますよね。このヘッド内部の切り替えが凄くて、本当にフルカラーで出力できる熱溶解積層型の3Dプリンターなんて、出て来たら即導入したいものです。

熱溶解積層型の3Dプリンターも熱いですが、今年から来年にかかっては、光硬化式のプリンターが熱いと思っております。

この数年でその光硬化式プリンターの特許等が切れて行きます。もうすでに色々動きがあるようですが、ここ一、二年の熱溶解積層型の3Dプリンターの進歩と同じくらい、色々なプリンターが出て来ると思います。

熱溶解積層型の3Dプリンターは良い感じになってきましたので、今後は光硬化式のプリンターに注目ですね。

今まで、光硬化式のプリンター本体は結構高価、しかも素材も高価、といった感じでしたから、これも高機能で低価格なものが出て来る可能性が高いです。そういった光硬化式のプリンターが出て来ることにより、素材自体の価格も下がって来ると思います。

熱溶解積層型の3Dプリンターの素材も、二、三年前までは1kg1万円ほどしたのですが、今では2000〜3000円くらいまで落ち込みました。需要が増えると生産量も増え、当然価格も下がって来る図式ですね。

光硬化式のプリンターの素材は、今のところ1kg2万円〜6万円くらいします。これが、これからどこまで下がるかにも期待したいところです。

あと、これが一番難しいんですが、光硬化式のプリンターの場合、どうしてもその構造上から、造形サイズが小さくなってしまいます。これも、もっと凄い技術や素材が出て来て、造形サイズの大型化が進んで欲しいものです。

まあ、デカイものを出力するってことは、それだけ素材も必要になってくるので、素材が高いとどうしても躊躇しちゃうんですよね。失敗したらかなりの衝撃ですし...。

光硬化式のプリンターの難しいところは、出力時に失敗することが結構ある、ということなんです。まあ、これも今のところって感じで、今後どう進歩して行くかってことも期待しています。

今、こういう感じに色々とめまぐるしい進展があるわけですが、最近のマスコミでは、一時期よりあまり取り上げられなくなりました。報道って、珍しいからとか、銃作って捕まったとか、野次馬根性が発端になってるんだな〜とつくづく実感します。

本当の実力はこれからで、今本当は取り上げないといけない時期に来ているんだと思います。特に、「モノ作りニッポン」を取り戻すにはね。そこんとこ、どうなのかな〜なんて思っちゃう今日この頃です。

さて、次回は新しいプリンターのレビューでもしてみますよ〜! 今回はちょっと短めですみません。次回はジックリと!

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