Take IT Easy![44]イノベーション=原型をつくること
── 若林健一 / kwaka1208 ──

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昨年の夏、総務省が「異能ベーション」などという造語を作るほど一般的になった「イノベーション」という言葉、あちらこちらで使われるようになって、「イノベーション」の安売りが始まった感がしています。
< http://www.inno.go.jp/
>

「イノベーション」とはどういうものか? ということについて、それぞれ意見が分かれるところではあると思うのですが、私の中での「イノベーション」とは、「原型をつくること」と定義しています。

つまり、今まであるものの用途を変えてみたとか、応用先を広げてみたというだけでなく、「モノとしての形」や「生活の中での位置付け」が根本から変わる変化を伴うものです。

例としてよく挙げられるものに、SONYの「Walkman」やAppleの「iPhone」があります。「Walkman」のカセットテープサイズの本体を持ち歩いて、ヘッドフォンで聴くというスタイルはどのメーカーの製品でも同じ、は長い間、ポータブルオーディオとしてのアイコンでした。

iPod登場後はその地位を奪われたと言われていましたが、ポータブルオーディオとしての「原型」はやはり「Walkman」にあったと私は考えています。




「iPhone」も画面全体がタッチパネルでキーボードがなく、画面上に表示されるアプリを切り替えることで多機能を実現する、この形は初代iPhoneから変わらず、その他のスマートフォンにも影響を与え「原型」として変わることがありません。

これらの製品に何かを加えたところで、それは「イノベーション」と呼ぶことはできないのです。「Walkman」にFMラジオ機能をつけても、新しいiPhone用アプリをインストールしても、やはり基本的なスタイルは変わらないままであり、小手先の変化でしかありません。

先週取り上げた「本体と画面が別のテレビ」は、同じ形態の機器が既にあり「イノベーション」と呼ぶには相応しくありませんが、それでも従来のテレビのあり方を変えるという意味で、大きな変化をもたらすと考えています。

しかし、今の電機業界では小手先の変化を求める傾向が強くなってしまっていて、それが日本のモノづくり衰退の原因ではないかと思います。

人間のように言葉を話す家電、マイナスイオンで空気をきれいにする掃除機、いずれもプラスアルファの進化は遂げてはいるものの、その原型は変わらないまま。

これでは、いつまでたってもプラスアルファでの勝負になってしまい、目先のアイデアを追うのが精一杯で、5年先や10年先を考えることができません。

日本のモノづくりが競争力を取り戻すためには、新しい原型をつくりだすという視点でのモノづくりへの取り組みが必要だと感じています。

【若林健一 / kwaka1208】 kwaka1208@pote2.net
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