[3840] 新しい3Dプリンター「Bellulo」が来た!

投稿:  著者:  読了時間:18分(本文:約8,500文字)


《だいじょうぶです。私が保証します》

■ショート・ストーリーのKUNI[167]
 細川くんは出かけられない
 ヤマシタクニコ

■3Dプリンター奮闘記[52]
 新しい3Dプリンター「Bellulo」が来た!
 織田隆治

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◎デジクリから2005年に刊行された、永吉克之さんの『怒りのブドウ球菌』が
電子書籍になりました。前編/後編の二冊に分け、各26編を収録。もちろんイ
ラストも完全収録、独特の文章と合わせて不条理な世界観をお楽しみ下さい。
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■ショート・ストーリーのKUNI[167]
細川くんは出かけられない

ヤマシタクニコ
< http://bn.dgcr.com/archives/20150129140200.html >
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細川くんはたいへん困っていた。東京に二泊三日で出張に行くよう言われたか
らだ。

なぜ困るかというと細川くんはものすごく小心者で心配性でおくびょうで優柔
不断で決断力がなく、外出するにもものすごく時間がかかってしまうのだ。

毎日の出勤にあたっても、いざカギをかけ、一歩踏み出した直後から「ほんと
にカギをかけたか」「ガスの元栓はしめたか」「こんろの火は消したか」と疑
念があぶくのごとく次から次へと浮かんではどすどすと溜まり始めてあふれか
えりそうになり、いてもたってもいられず引き返すはめになることがしばしば
だ。おちおち旅行にもいけない。行っても気になって楽しめそうにない。

だから、出張はあの手この手の理由をでっちあげては避けてきたが、今回はそ
うもいかなくなった。これ以上断るとやばい。しかし。

新幹線で東京。自宅から直行&直帰。

ああ、考えただけでおそろしい。ふだん通勤で昼間家をあけるだけでも心配な
のに、その3倍心配しなければならない計算だ。何かあったときの困難も会社
にいるときの数倍と思われる。だが、非情にもその日は近づくばかり。

ついに、その日がきた。

荷造りは前日からしっかりしておいた。キャリーケースを玄関に出す。出した
とたん、「ほんとに荷造りは十分か」という疑念がわいてきた。パンツは入れ
たか、靴下は、iPhoneの充電ケーブルは。胃薬は、バファリンは...

入れたよ! 入れたじゃないか! もうひとりの自分が言うが、自分ほど信用
できないものはない。しっかり荷造りしたケースをまた開けて確認する。

よし、あった...あるに決まってるじゃないか! 落ち着け自分。細川くんは深
呼吸する。あ、肝心の仕事の資料は! またケースを開けて確認。あった。

だからね、もー、あるに決まってるじゃないか。だいじょうぶ、だいじょうぶ
だってば! また荷造りしなおす。これで15分はロスした。

その後、いつもの確認作業を始める。ガスの元栓。よし。風呂場のガスもOK。
各部屋の窓の施錠。ベランダ側のドアの施錠。自分は本当にズボンをはいてい
るか。OK。みんなOK。

パソコンは電源を落とした。待てよ。SNSはログアウトしたっけ。もし、おれが
旅先で突然死したら、変死ということで警察のやっかいになるかも知れぬ。
警官は何か手がかりはないかとパソコンを調べる。警官も人の子だ。ログイン
したままのSNSをのぞく。絶対のぞく。

へー、こいつこんなやつなんだ。職場ではふつうにふるまっていたようだがけ
っこう変態だなとか...やばい、死んでしまえばどうでもいいと言われるかもし
れないが、やっぱりいやだ。防げるものなら防ぎたい。ログアウトしてるかど
うかチェックしなければ!

電源を入れて立ち上げてみたら、SNSはちゃんとログアウトしていた。

だから言ってるじゃないか。慎重なおれがそんなドジを踏むもんか。はは。は
はは...待てよ。Amazonはどうだっけ。サインインしたままだったりして。ひま
にあかせて検索したあれとかこれとかがばればれになる。

「姪っ子にもらったんだよー」と言ってたキティちゃんのポーチを、自分で買
ったこともばれてしまう! 

...だいじょうぶだった。だから、もー...これでまた15分はロスした。

いや、こういうこともあろうかと細川くんは、ジョルダンの乗り換え案内より
1時間早めに出発することにしていた。だからまだだいじょうぶだ。とはいっ
てもあと30分しか余裕がない。

それより、30分も経過するとまたキャリーケースの中が心配になってきた。パ
ンツは入れたっけ? iPhoneのケーブルは? また大急ぎでチェックする。あ
った。ガスの元栓もやりなおしだ。時間が経ったからといってガスの元栓が勝
手に開くわけはないと思うが、念のため。よし、確かに閉めた。

いや、待てよ。「元栓が閉まってる」とは本当にこういう状態をさすのだった
か? 細川くんはまじまじとガスの元栓を見る。つまみが横を向いてる状態が
たぶん、閉まってるということだ。たぶん...たぶん、これでいいのだろう。

ああ、なんだかすべてにおいて自信が持てなくなっている。東京から戻って来
たら火事で丸焼けでご近所にも迷惑をかけ、莫大な費用を請求されそうな気が
する。

「あんたのせいで人生狂わされたんやで、どないしてくれるねん!」「ほんま
や!」「一生かかっても弁償せえよ!」...わああああ! いや、きりがないき
りがない! 人生、なるようになるんだ! いい加減に出発しないと間に合わ
ない。

いや、まだ間に合うと思う。思うが...油断はできない。

何年か前にも新幹線で名古屋に行こうとしたことがあった。しかし、地下鉄御
堂筋線で新大阪に着くまでに、天王寺で風呂場の窓の施錠が気になり始め、大
国町で冷蔵庫のドアが開いたままのような気がし始めて思わず腰を浮かせたが
なんとか踏みとどまり、難波でタバコの火を消したかどうかが心配で心配でし
かたなくなり、よく考えたら自分はタバコをすわないのであるが、もうとにか
く心配でほとんど中腰のまま辛抱していたが、とうとう心斎橋でドアが開くな
り降りて帰って来てしまったことがあった。もちろん、すべてだいじょうぶだ
ったが、ああいうこともあるのだから...と思っているとチャイムが鳴った。

ぴんぽーん。

ドアを開けるとスーツ姿の男が立っている。

「ななな、何のご用です、ぼくはものすごく忙しいんですけどっ!」

「すいません、お手間はとらせません。ロボットを買っていただけませんか」

「はあ?」

「手短に説明させていただきます。失礼とは思いつつ、先ほどからのひとりご
 とを全部聞かせていただきました」

「え、き、聞こえてたの?!」

「はい。それで...当社のロボットは大したことはできません。戸締まり火の元
 その他確認専用ロボットでして」

「はあ?!そんなぴったりのロボットが、あるわけないだろ!」

「それがあるのです。他には何もできませんが、それだけは確実にできるので
 す。戸締まりや火の元の確認が心配で仕方ないとおっしゃる方は一定の確率
 でおられます。それで開発したのですが、思うように売れず...いまなら格安
 でご提供させていただきます。これなんですが」

男が、もうひとりの男を招き入れた。ように見えたが、それがロボットだった。
見かけはふつうのサラリーマン。地味なスーツを着て髪をふつうに整えている。

「これが?」

「はい、今なら2980円でご提供いたします」

「安っ!」

「買っていただけるのですね!」

男はめちゃくちゃうれしそうな顔になった。よっぽど売れないのだろう。

「でも...これ、どうやって使うの?」

「このロボットがお部屋の中をすべてチェックしてまわります。お出かけの時
 はいっしょに連れていってください。道中『ガスの元栓閉めたっけ...』と心
 配になったときにはいつでもこのロボットに聞いてください。『大丈夫です。
 わたしが保証します』という力強い言葉であなたの心配は雲散霧消」

「なるほど! 自分ひとりだからいつまでも心配だが、だれか証明してくれる
 人がいるとその心配はなくなるってわけだ! しかし、もっと小型化できな
 かったんですか」

「そこですが...もっと小型化しても、それを外出時に持って歩くのは荷物が増
 えることになります。ただでさえ旅の荷物は軽くしたい。デジカメしかりノ
 ートパソコンしかり、メーカーは軽量化で必死です。でも、このロボットで
 すと自分で歩くのでその心配がありません」

「なるほど!...と手放しで喜べないような気もするが、気のせいかな」

「気のせいです。絶対お得です。こんなに大きなロボットが2980円、消費税こ
 みですよ!」

「そうだなあ...しかし...」

「大丈夫です。何かあればいつでも私にご連絡いただければ」

結局、細川くんはそのロボットを買ってしまった。2980円で安心が買えるなら
安いものだと思ったのだ。だいたい、もう時間がない。

細川くんはロボットに急いで火の元・戸締まりその他もろもろを確認させ「だ
いじょうぶです。何の問題もありません。私が保証します」と断言するロボッ
トとともに駅に向かった。

駅に着くなり細川くんは後悔した。ロボットの分も交通費がいるじゃないか!

それでも一応切符を買い、地下鉄に乗った。あびこあたりでふと「コンロの火
は消したっけ...」と思い出したが、たちまちロボットが「だいじょうぶです。
私が保証します」と言いきった。

動物園前駅では壁の象やトラの絵を見ているうちに「ひょっとして炊飯器やポ
ットの電源がそのままかも...」と気になったがロボットは「大丈夫、プラグは
抜いてありました」と断言した。なんてたのもしい! それなりに役にたつじ
ゃないか。

しかし、新幹線の切符をロボットの分まで買う段になってさすがに腹が立って
きた。2980円のロボットに13620円の切符? だれだよ、こんなやつ買ったの
は! 自分だ。

細川くんはロボットと並んで座りながら後悔の塊となった。そもそも細川くん
のように出かける時も心配で仕方ないような人間は、大きな買い物ができない
ようになっている。とっさに決められるのは3000円までだ。

「そこを読まれていたか...」

列車はどんどん進み、京都を過ぎた。

「次の停車駅は、名古屋です」とアナウンスされる。

すると細川くんは「ツタヤで借りた『アメイジングスパイダーマン』のDVD、
返したっけ...ひょっとしてプレーヤーに入れたままだっけ...」と心配になって
きた。

「名古屋」から名古屋名物ういろうを思い出し、そこから映画「ウィロー」を
思い出し、ついでに思い出したのだ。DVDを返却してようがしてまいが、プレ
ーヤーに入ったままであろうとなかろうと全然どうでもいいのだが、気になり
始めると止まらない。細川くんは「DVD、どうだっけ...」と思わず口にした。

返事はなかった。隣の席に目をやると、ロボットは白目をむいてぐにゃぐにゃ
になっていた。えーっ、もうバッテリー切れ?! 
どうするんだよ、こんな大荷物! 

DVDはしっかりキャリーケースに入っていた。


【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net
< http://midtan.net/ >
< http://koo-yamashita.main.jp/wp/ >

毎日、結露処理に追われている。集合住宅の端の家は結露がひどいと聞いたこ
とがあるが、うちはまさにそれ。ほっとくとびしょびしょになる窓とサッシを
ふいてはしばらく換気。タオルをしぼって乾かす。窓を閉める。これを日に何
度もくりかえす。早く春になってほしい(そして夏にならないでほしい。頼む)


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■3Dプリンター奮闘記[52]
新しい3Dプリンター「Bellulo」が来た!

織田隆治
< http://bn.dgcr.com/archives/20150129140100.html >
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ついに、新しいプリンターが届きました。「Bellulo」ベルロという機種で、
熱で素材を溶かして積層するタイプのプリンターです。

前から使っているBFB3DTOUCHと同じ種類のプリンターですが、このBFBは購入
してもう3年が経過しています。この3年の間、色々メンテナンスをしながら、
かなり酷使してきましたが、いまだ現役でバリバリ造形しています。

で、今回導入した「Bellulo」ベルロですが、これは僕がいつもお世話になっ
ている、3DプリンターやCADCAMの販売等をしている株式会社システムクリエイ
トさんがオリジナルで販売するプリンターで、2月には正式なプレスリリース
があるかと思います。

詳細な事は、そのプレスリリースを待っていただくとして、まず僕が驚いたの
は、そのスピード。

これまで使って来たBFBから比べると倍以上、場合によっては3倍くらいのスピ
ードなわけです。僕からしたら、「シャアが来た!」って感じ。そりゃ、3年も
経てば色々と進化しているんだな〜と実感するはずです。

BFBの樹脂を絞り出すヘッド部分は0.5mmで、樹脂を積層する厚み(ピッチ)は
0.125〜0.5mm。それに対して、Belluloは0.3mmで、積層ピッチは0.05〜0.1mm。
まあ、これだけ見ても、Belluloの方が精細な3Dプリントができるわけです。

あと、重要なのが造形サイズ。これは、造形の出来る大きさのことです。BFB
は240mm角くらいの物が造形でき、Belluloは200mm角の造形サイズになってい
ます。この4cmの違いってのが、結構でかいものなんですよ。

僕の場合、大きい物をプリントすることが多く、その時に、BFBの240mm角+
積層ピッチ0.5mmというスペックはかなり重要になってきます。

3Dプリントは積層する大きさと、積層するピッチが重要になってきます。同じ
1cmの高さのものをプリントする場合、積層ピッチが0.1mmの場合は100回積み
上げ、0.5mmなら20回で積層できる訳です。

大きなものですと、そんなに精細なディテールにはこだわらないことが多く、
後でヤスリがけやパテ等で修正する場合、この積層痕の幅なんて、そんなに重
要ではないわけです。

そういう事で、精細なプリントができるに越したことはないのですが、30〜50
cm角くらいの物体をプリントする場合には、積層ピッチを大きくとることで高
速化をはかれます。そういった意味で、まだまだこのBFBが活躍しそうです。

同じタイプのプリンターでも、こうやって棲み分けが始まっているんだと思い
ます。

しかし、これまでかなり酷使してきたので、それなりにガタが来てしまってい
るんですよね...。そういう個所は、分解して掃除してみたり、色々と強度を上
げる改造、メンテナンスが必要になってきます。

そういうデメリットもありますけど、分解して掃除したり、改造したり組み立
てたりすることで、3Dプリンターの仕組み等を理解できるというメリットもあ
ります。

そうなると、もっとここをこうしたら良いのになぁ...とか、色々と不満なんか
も出て来る訳ですね(笑)

新しいBelluloですが、設定によってかなりきれいな物がプリント出来ます。

プリンターの癖を理解して、そのプリンター、出力するものに一番良い設定を
見つけるには、結構な使い込みが必要になってきます。

Belluloの一番目のメリットは、サポート材を選べるという所でしょうかね。
水に溶けるタイプのPVAという素材を、サポート材に使える他、同じ素材のPLA
に混ぜ物をしたもので、きれいにメインのPLAと剥離する素材もあります。

触ってみたところ、メイン材に使うPLAよりもかなり弾力のある素材で、それ
によって剥離が出来るようになっているようです。

素材にしても、色々と良いものが出て来ていますね〜。最近では、金属の粉を
混ぜ込んだPLAもあり、磨いて真鍮の輝きを得られる物。電気を通す物。透明
で柔らかい素材や、ナイロンはもとより、多種多様な素材が発表、販売される
ようになってきました。

柔らかい素材に関しては、ファッションの分野にも使えるようになるんだろう
な〜なんて思います。

とかなんとか言ってますが、実は凄くお仕事が沢山ありまして、せっかく入っ
て来たBelluloをいじくり倒すことが出来ず、かなりフラストレーションが溜
まってしまっています。

そして、2月8日には、幕張メッセで開催されるフィギュアのイベント『ワンフ
ェス』ですよ...。

この記事を書いている今、まだ原型が出来ていないという惨事。昨年の夏前か
ら、かなりのお仕事を頂いていて、やりたくてもなかなか出来ない状況でした。

まあ、あと2週間ないんですが、これから仕事と平行してバリバリ進めないと
いけません...。嗚呼...生き残ることができるのでしょうか...といった状態。

僕の次回の掲載は2月第2週の予定。生き残っていれば又お会いしましょう!(笑)

その時には、またワンフェスの話題でもさせて頂きたいと思います。

え? 興味ない?

ではでは!


【___FULL_DIMENSIONS_STUDIO_____ 織田隆治】
oda@f-d-studio.jp
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< https://www.facebook.com/FullDimensionsStudio >


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編集後記(01/29)

●藤原正彦「とんでもない奴」を読んだ(2014、新潮社)。すごいタイトルだ。
柴田錬三郎の「図々しい奴」を思い出す。でも正式には「管見妄語 とんでも
ない奴」である。週刊新潮の連載をまとめたものだが、政治経済の今日的トピ
ックは意外に少ない。筆者の論理で押しまくる政治経済論は切れ味が鋭くて大
好きなのだが、書籍になり文庫になる頃には、そんな古いトピックに興味を持
つ人はいないからと、筆者独自の見解をにじませることができるテーマを選ん
でいるという。最初の読者は奥さんで、いつも辛辣な批評をされるようだが、
度胸のすわった人だ。わたしは何を書いても妻に見せる勇気はない。

誰が「とんでもない奴」なのか。悪い意味なら鳩山か菅か。いい意味なら誰だ。
お金がもったいないからとバスの後部バンパーに飛び乗り、上部の取っ手につ
かまって1キロあまりを無銭乗車した17歳のことだ。ネットに写真が出て御用
になった。些細な事件だ。だが、本当に「とんでもない奴」は俺だよと言いた
かったのが筆者で、13歳の時に同様なことをしでかしてウケたことを自慢して
いる。また、中学校の給水塔の上からグラウンドに向かって、高校のとき誰も
いない教室から中庭に、海水浴で無人灯台によじ登って下に向かって、放尿し
たというたわいない話でタイトル倒れだが、他にいい評論はたくさんある。

中高6年間、サッカー選手として俊敏獰猛な動きと流麗華麗な足技で観衆を魅
了した、と自称している筆者は「日本サッカーの致命的欠陥はここ50年間、何
はさておき守備陣のダッシュ力欠如だ。すぐ相手に振り切られてしまうから、
逆襲によりあっけなく点を取られてしまう」と喝破する。世界の速いフォワー
ドは50メートルを6秒そこそこで走る。6秒5のバックスでは10メートル並走し
ただけで80センチも先に出られてしまう。さすが数学者の目のつけどころ。し
かも、敵の逆襲を恐れていつも後方に引き気味、だから前線と最終ラインとの
間を狭く保つコンパクトサッカーができないのだ。

「日本代表の守備陣は、50メートルを6秒前半で走れる者のみにしないといけ
ない。半ば生まれつきの能力だからほとんど触れられないが、守備陣のダッシ
ュ力がない限り、いくら監督や作戦を変え、いくら技術やチームワークを向上
させようと、永遠にザル守備は続き、世界には太刀打ちできないのだ」。なる
ほどね〜。ちなみにわが高校は(って40年前の話だが)サッカーの名門だった
から、体育の時間はサッカーばっかりという手抜き授業。わたしの定位置は右
のフルバック(最近聞かない呼称)。しかし鈍足だったから、あっさり相手に
振り切られてしまったのは度々。筆者の言うことはまったく正しい。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4103274115/dgcrcom-22/ >
藤原正彦「とんでもない奴」


●もーやだ。寝る。                   (hammer.mule)