3Dプリンター奮闘記[53]本業でも造形、趣味でも造形、なんでも造形/織田隆治

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「なんとかなった...」

この一言につきます。何がって?

実は、ワンフェスとお仕事の納期が完全に重なっていた訳ですよ。前回の記事のタイミングでは、まだ気楽に書けていたわけですが、いざ現実となるとかなりヤバイ状況でした。

今回重なったお仕事ってのが、某所に納めるロボットの外装でして、それが結構デカいし制作期間もなかったわけです。

ワンフェスなんて、半年も前から分かってたことなんで、それをちゃんと計画して進めていればよかったんですけど、ここ半年ほど、本当に忙しくて、趣味の造形をする時間と心の余裕がなかったんです。

実に言い訳っぽいんですけど...。

大きなお仕事が重なって、すごくありがたいことではあるんですが、こういうのって、何故か重なるんですよねぇ...。ってこと、みなさんもあるでしょ?

僕の場合、お仕事自体もすごく楽しいんです。本業でも造形、趣味でも造形、なんでも造形ですから。




今回のワンフェスでは、とある小説に出て来るモンスターを作ったんですけど、それも凄く楽しかったんですけどね。

小説の著者の方からも激励のメッセージを頂いたりして、やる気はマンマンでした。で、制作に入ったわけですけど、一つ作って、ある程度出来た段階でしばらく仕事に集中。

そして、間を開けて見ると、なんだか雰囲気やディテールが気に入らない。

で、また一から作り直す。

な〜んてことを三度も繰り返してしまいまして、結局ギリギリまで造形していました。

ワンフェスなんかのイベントの場合、作った原型をシリコンで型取りし、そのシリコン型にレジンキャストといわれる樹脂を流し込んで複製し、制作キットとして何個か持って行って販売するわけです。

原型が出来てからが勝負で、複製したものを袋詰めしたり、展示する完成サンプルを作らないといけないんです。

組み立てて、色塗って完成させ、販売するキットは一つずつ袋詰めしないといけません。これが、結構時間と忍耐の必要な工程で、家庭内工場みたいな状態になります。

まあ、僕の場合は工房事務所ではあるんですけどね。本業でも同じようなことをやっていますし、慣れてはいるんですけど。

ワンフェスの準備と平行して、あるロボットの外装を3Dプリンターで出力して、組み立て、磨き上げて塗装してました。

3Dプリンターで出力できる範囲があまり大きくないので、一つのパーツをデータでいくつかに分割して出力します。

うちで使っている3Dプリンターの出力範囲が230×275×210mmというサイズですので、その大きさに収まる分割で出力しています。

それを組み立てていくというプラモデル状態です。

しかも3Dプリンターで出力したものには、積層痕という樹脂を積み上げて行く際に出来る細かい凹凸ありますから、地道にヤスってはパテ埋め、パテ埋めしてはヤスる。というこれまた忍耐を気合いの必要な作業があります。

今回のロボットは、40cm四方で高さが50cm程。小さく感じるかもしれないですが、内部機構との兼ね合いで、パーツの厚みに制限が出たり、接着面が小さいので、接着に色々と工夫を施す必要があったり、なかなか大変な作業です。

他にも付属パーツが沢山あり、それは手作業で作る必要もあり、制作期間も正味一週間という、かなりヤバイ状況でしたが、なんとかワンフェス前日に納品できました。

実は、ロボットの本体はすでに納品されており、パーツが出力し上がった段階で仮に組み付けることも出来ず、現地で一発合わせ! という非常に怖い状況であったんです。

こんなのも、3Dプリンターがなければあり得ないことです。

内部機構の3DCADデータは頂いていたので、それに合わせて設計して出力したので、当たり前と言えばそうなんですけど、CADデータだけでは分からないこともあります。

3Dプリンターで出力したものって、小さいものならそうでもないんですけど、大きなサイズになると、積層ピッチや温度、その他諸々の仕様で、歪みや伸縮が出るものです。

本当、実際の現場でヒヤヒヤしてました。

これまでの経験で、この3Dプリンターと素材では、これくらいの伸縮が出るだろうな...という職人的な勘に頼る部分でもありましたし。

で、現場にて...。ど、どうかな...。おお!!! ピッタリじゃん!!!ってことで、非常にうまく行きましたとさ。

貫徹作業を終えて、その足で新幹線に飛び乗り、昼一に東京の現場に入り、色々と調整しながら組み付けて行くんですが、終ったのが夜7時頃。それから、ワンフェス会場である幕張メッセ入り。

前日搬入ってのがあり、それは完全に間に合いませんでしたけど、同じディーラーの友人にお任せしてしまいました。ごめんなさいね...。

当日は朝7時から7時半には会場入りして準備があるので、起きられるか非常に不安だったので、メンバーの友人に、「もし、8時までに会場に現れない場合は、ホテルのドアを蹴破ってでも起こしに来てくれ...」と遺言を残し、くったくたの状態で、10時にはグタグタでホテルのベッドで泥酔。

なんとか日頃の責任感で6時に起床し、7時過ぎにワンフェス会場へ。展示品をきちんと並べ、準備完了。

「終った...僕のワンフェスが...」という安堵感でドッと疲れが(笑)

こういうイベントって、準備が終ると、後は寝て待て状態なんですよね。ですので、ワンフェスが始まると、ディーラーのやることはほとんどありません。

途中、卓内の椅子で何度も記憶をなくし、それでも一般参加者さんには気さくに対応し、知り合いのディーラーにもちゃんと挨拶をしにいくという、涙なしでは語れないようなワンフェスになりました。

でも、これが楽しいんですよねぇ...。やめられない(笑)

という事で、そんなこんなの行脚でした。

また半年後にはワンフェスがあります。次回はちゃんと計画立てて頑張ろう!(と、毎回思うダメな僕です)

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