晴耕雨読[09]システマを始めて一年半が過ぎたら
── 福間晴耕 ──

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以前にも書いたように、最近は自転車(ロードバイク)に加えて、システマというロシアの格闘技も練習しているのだが、一年半程続けてちょっとした発見があった。

システマを始める前から、休日になるとロードバイクで50km程走っていたので(ちなみに自転車乗りにとっては、この数字はそれほど大したものではない)、そこそこ足腰には自信を持っていた。

だが、システマをやってみて分かったのは人間、練習していない動きはたとえ鍛えている部分であっても全然出来ないということだった。

単純な話、キックの練習で足を水平に90度上げるだけでもバランスを崩すし、日常行っている歩行やペダルを漕いだりする動き以外をしようとしても、上手く動かすことが出来ないのだ。

例えば片膝を上げて8の字を書くように動かす練習をしたのだが、そもそも片足で長時間立っているだけで足元がぐらついてくるありさまである。

そしてシステマの練習をした翌日には、ロードバイクで50km走った時以上の筋肉痛に悩まされる。運動量は圧倒的に自転車の方が多いのにも関わらず、筋肉痛は日頃やらない運動の方がきついらしい。




これは足腰に限った話ではなく他の部位も同じで、たとえ鍛えていても日頃動かしてない動きをすると、うまく動かない上に筋肉痛に悩まされる。

それでも、最近ようやく身体のいろんな部位の自由度が上がって、以前よりは酷い筋肉痛に悩まされなくなってきたのだが、面白いのはこれまで10年近くロードバイクに乗っていても同じだったポジションが変化し始めたことである。

一般的にロードバイクに乗っていると、練習するに連れて身体の柔軟性が増して、いわゆる前傾姿勢が取りやすくなり、最初の頃ならとても届かない程サドルを上げても平気になると言われているが、自分の場合、姿勢が変わっていったのは最初の数年だけで、後は殆ど姿勢は変化しなかった。

それが最近、競輪選手やレースに出るようなプロの選手ほどではないものの、それなりにシートをあげても平気になってきた。

それ以外にも、身体の引き出しが増えたというか、単純だがやってみると出来なかった色んな動きが出来るようになって来ているのも面白い。そして、心なしか歩く姿勢も以前よりはだいぶ良くなった気がする。

そんなわけで、複数の運動をしてると思わぬところで繋がったり、身体の自由度が増えるのを実感している。

システマのインストラクターの先生などは更に凄くて、不安定そうな姿勢で立っているところを、普通なら倒れるような力で押してもびくともしなかったり、身体のある部位を押さえつけても、縄抜けのようにするりと抜けたりして驚かされる。

いつか自分もそんなことも出来るようになるのだろうか。

■デザイナーがハマった格闘技「システマ」福間晴耕
(デジクリ No.3695 2014/05/22)
< https://bn.dgcr.com/archives/20140522140100.html
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【福間晴耕/デザイナー】
フリーランスのCG及びテクニカルライター/フォトグラファー/Webデザイナー
< http://fukuma.way-nifty.com/
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HOBBY:Computerによるアニメーションと絵描き、写真(主にモノクローム)を撮ることと見ること(あと暗室作業も好きです)。おいしい酒(主に日本酒)を飲みおいしい食事をすること。もう仕事ではなくなったのでインテリアを見たりするのも好きかもしれない。