おかだの光画部トーク[130]医療のITが凄いことになっていた/岡田陽一

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自分のフィールドと違う分野のセミナー・イベントに参加する機会があり、大いに刺激を受けるとともに、Webのことばかりにとらわれてないで、もっと視野を広げないといけないと感じた。

参加したセミナーは、このふたつ。
「『先端医療に学ぶイノベーションとコミュニケーションの進化』in OSAKA」「第5回神戸医療イノベーションフォーラム」
< http://www.synqa.jp/event/1840/ >
< https://www.facebook.com/events/316643305189604/ >

どちらも、神戸大学大学院 医学研究科 消化器内科 特命講師 生命医学イノベーション創出人材養成センター 医師 杉本真樹さんのイベント。

杉本真樹さんとは、昨年11月の「神戸ITフェスティバル」でのMac30周年イベントで、企画や準備をご一緒させていただいた時から、色々とお話する機会が多く、今回の医療関連イベントも畑違いながら「プレゼンの手法」というところに興味があったので参加してみた。

そこで、彼が起こしたさまざまなイノベーションを知って、今どきの医療とITの融合にただただ驚きと、自分がやってることとの世界の違いに、どう表現していいのかわからないが、何か凄く反省しつつも気持ちが高揚した複雑な気分になった。


タブレット端末や、アプリ、Oculus Rift、プロジェクションマッピング、3Dプリンターなど、IT業界やWebやアプリ界隈でもよく見聞きするキーワードだが、わたしが認識していた使い道は、ゲームや映像などエンターテインメントだった。

ところが、医療分野ではこれらが生命に関わるとても重要な使われ方をしていて、まさしくそれがひとつひとつイノベーションを起こしている。

例えば、プロジェクションマッピング。テーマパークやイベント、コンサートなどでのエンターテインメントで使われているのはよく見かけるが、これを手術室に持ち込むと、安全に手術を行い人の生命を救うことができるそうだ。

今までは、腹腔鏡手術などでは医師の経験とカンに頼る部分が多く、カメラを入れるためにメスを入れる箇所と、患部にメスを入れる箇所、どこを切るかが難しかったそうだ。

モニタに映したCTの断層画像と、目の前に横たわった生きた患者の体を見比べて、どこを切るかを判断するのだから、想像するだけでも難しいだろう。

そのCTで撮った患者の断層画像を、モニタではなく、プロジェクションマッピングで患者自身の体に投影することで、あらゆる問題が解決する。患者の体に、患者本人の断層画像を映すのだから、これ以上正確なものはない。

血管の位置から、内臓、患部の切り取る部分まで、正確な位置が体に描かれるので、血管を避けながら安全な場所にカメラを入れる穴を開け、手術ができる。

これによって、出血が少なくなり、時間も短く患者の負担がかなり軽減されたそうだ。しかも、経験が浅い医師でも、安心して手術することができるので、失敗して起こる訴訟も減るなどさまざまなリスクが軽減される。結果、医療費の抑制にも繋がっている。

医療機器は何千万円〜数億円という金額を連想してしまうが、こういうことがわずか数万円のプロジェクターで可能なことから、地方の小さな病院でもできるところが凄い。

今流行りの3Dプリンター。これも、医療での使われ方は想像を超えている。

お父さんから小さな子どもへ、肝臓の生体肝移植。これは、当然ながら、肝臓のサイズが違うので非常に難しい手術だ。お父さんの肝臓をどれくらい切り取って、小さな子どもにぴったりと合わせるか。想像するに医師ではない我々が、粘土でシミュレーションしたとしても難しい。

それを、お父さんと子ども双方CTスキャンでデータを撮り、そのデータを使って正確に3Dプリンターで肝臓のモデルを作る。実物と同じ大きさの肝臓の3Dモデルを使って、どれくらい切り出して、どこにぴたりと合わせるかを、事前に綿密にシミュレーションすることで、安全に、正確に、短時間で、この難しい生体肝移植手術を成功させたそうだ。

今、CG業界や映像界隈で3Dスキャナを使って取ったデータを使い、3Dプリンターでモデルを作ることをよく見るようになったが、これらの3Dデータは、表面の立体データしかもっていない。どう頑張っても表面が同じ立体物ができるだけだ。

しかし、医療ではCTを使って中身の断面・断層の正確なデータがあるので、本物そっくりの臓器モデルを作ることができる。ここが大きな違いのようだ。

こういう色々な話を、イノベーションを起こし続けている本人から聴くと、自分が日々やってることなんてちっぽけなことだよなぁと感じてしまう。

【岡田陽一/株式会社ふわっと 代表取締役 ディレクター+フォトグラファー】
< mailto:okada@fuwhat.com > <Twitter:http://twitter.com/okada41 >

杉本真樹さんと立ち上げたApple User Group KOBEのイベント、「第1回 AUGM in KOBE(アップルユーザーグループミーティング in 神戸)」を3月29日(日)に開催します。
< http://augkobe.com/entry-6.html >

近日中に告知&参加申込み開始予定。150人くらいのキャパになりますので、是非ご参加ください。

そして、2015年、マンスリーで開催予定の「CSS Nite in KOBE」。2月のVol.6は27日(金)に開催。Googleアナリティクスの基本的な解説と、コンテンツ(記事)の改善などの内容です。まだまだ席は余裕なので、是非ご参加下さい。
< http://cssnite-kobe.jp/vol6/ >