装飾山イバラ道[154]無料で略奪してみる「クラッシュ・オブ・クラン」
── 武田瑛夢 ──

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今回はゲームの話だけれど、心待ちにしていた今年発売の予定だったゼルダのゲーム最新作は、発売が延期になったみたいでガックリ。究極のゲームにするための時間だそう。通常で新作まで四年くらいは待つわけだから、待つのはしょうがないけれど、ゲーム界のテンポというものもいろいろあるものだ。

スマホのアプリも一通り揃えてしまうと、面白いものを探すということもあまりしなくなってきたけれど、テレビCMをしていた「クラッシュ・オブ・クラン」というゲームに、とうとう手を出してしまった。世界147カ国でNo.1の戦略ゲームだ。

・クラッシュ・オブ・クラン(Clash of Clans)
< https://itunes.apple.com/jp/app/kurasshu-obu-kuran-clash-clans/id529479190?mt=8
>

「略奪する女」のCMを見ると、女性も遊んでいるようなイメージだけれど、実際にやってみると柴崎コウがあんなに軽くヤッター!(ハート)なんていう雰囲気で遊ぶ感じではなかった。

よっしゃー! 10万ゴールド頂き(握りこぶし)。というような男っぽいものだ。グラフィックが細かいのでiPadで遊んでいるけれど、これは男の子系のゲームが大丈夫な私でも、慣れるのにちょっと大変だった。

同じTD系(タワーディフェンス)のゲームでは、以前紹介したスマホアプリ「ザ・セトラーズ」や「エレメンタルモンスターTD」をやっていたので興味を持った。

こういった戦略ゲームは、準備と配置をじっくりかつ適当に試せるので、リアルタイムに武器を駆使して戦うような、アクティブな運動神経は必要ないところがいい。




●村の配置は自分で決める

村には軍事施設ばかりで畑を耕したりするのどかさはなく、なぜか村娘がウロチョロしていて可愛い。攻め込む時だけ持ち時間が三分以内と決められているので緊張感はあるけれど、用意した兵士を指でたたいて好きな場所に置いていくだけだ。

マルチプレイでは世界中の村に攻め込むことができるけれど、対戦相手としてマッチングされるのは、トロフィーが同じレベル程度の人に限定される。初心者だから負け続けるという心配はないのだ。その点はいろいろと配慮された優しいゲームだ。

自分の村には防衛のための大砲や壁を設置して、金山で掘り出すゴールドやエリクサーという資源を守り、適地に攻め込む時にはそれを奪うだけ。奪うんじゃない、貰うんだと思った方が気持ちがいいかもしれない。

最初は攻め込むのにも遠慮があったけれど、そういうゲームだと割り切るとどんどん奪いに行けるようになる。

ログオフしている相手の防衛設備や建物を、めちゃめちゃに壊して略奪するゲームだけれど、施設は自分がログインした時に自動的に復帰し数秒で建て直される。不動産はなくならないのだ。

ログオフ前に防衛施設の増強に資源を使い切っておけば、寝ている間に生産される分を取られるだけで済む。もうそれは置き土産のようなものかもしれない。

ログオフしていた時の防衛戦は、リプレイの動画で見ることができる。大事な自分の村が壊されるのは辛いけれど、うまく配置したタワーや大砲がけなげに守っている姿はいじらしい。何%壊されて何ゴールド奪われたのかの結果も残る。基本的に自分の兵士たちは防衛戦では出てこないので、防衛機器対兵士といった感じだ。

●課金する人しない人

防衛設備の建設は、大工さんが時間をかけて建ててくれる。最初は用意されている二人の大工で建て始めるけれど、一人が大砲を建てている時にもう一人が金山を建てると、建設が終了するまでは他のものが建てられない。三人目の大工を雇うにはゲーム内のお金で500エメラルドかかり、これはリアルの世界の課金500円で買うことができる。

最初に用意されているエメラルドもあるけれど、チュートリアルで数エメラルドを使ってしまうので250前後しか残っていない。500エメラルドにするにはゲームで掘り出したり達成項目をクリアしたりと大変だ。そういうことかぁと、ゲームしながら課金の仕組みもわかっていくのである。

当たり前だけれど、課金系スマホゲームはお金を払うかどうかを自分で決める責任がある。クラクラでは主に時間の短縮の対価としてお金を払うみたいだ。ということは、時間がかかってもいい人はゆっくりとタダで遊ぶこともできる。そしてこのゲームにはそういう人がとても多い。

課金か無課金かによるスタンスの違いで、掲示板では言い争いになったりもするようだ。争うのはゲームの中だけにしたいけれど、それぞれ思うところがあるようだ。

リアルマネーを出す人がいるからこそゲーム会社は儲かり、大量の無課金の人がいるからこそゲームの世界が楽しくなっていると思う。プレイヤー数が多いゲームはそのどちらもが楽しくなければ成り立たないのだ。

私も他のゲームで課金したことがあるけれど、少し課金しただけでランキングがぐんと上がるので、いかに課金しない人が多いのかを知った。

お金をかけていなくてもゲームの中では強い人がいっぱいいるし、お金でスピード出世のようなこともできる。村を見れば見抜ける人にはわかるらしいけれど、私にはリアルに課金している人かどうかはさっぱりわからない。

課金しなくても楽しいところまでゲームをして、楽しくなくなったらやめるという方法もある。待つ時間が嫌だからお金でサクサク行ける人もいるし、待っている間に別のことをすればいいという人もいる。ゲーム自体が時間の無駄という人もいるのだから価値観はそれぞれだ。

●トロフィーの数

タウンホールは6で中位の私は、今のところ無課金でゲームを進めているけれど、ゲーム内の資源はすごく奪ったしすごく奪われた。不思議と奪われる額よりも奪った額の方が多い。皆がそうだと成り立たない気がするけれど、このゲームの特徴でレベルの高い金山や設備を持っている人が、対戦レベルでは下に下りて来たりしているのだ。

ゲームではベテランだけれど、今は同格の人からは思わぬ大量のゴールドを奪えるものの、相手にはそう痛手でもないことが多々ある。そしてわざと負けに来る人もいて、レベルを決めるトロフィーの数を下げて、私のトロフィー数が上がったりする。低いトロフィー数の中でマッチングされる戦いの方が、略奪が容易になることもあるからだという。初心者には疑問のテクニックが多数あるけれど、攻略WEBサイトに掲載されているので参考になる。

●可哀想でキツイけど

日本でヒットするには、女子受けも狙いたいからのテレビCMだと思うけれど、やられた兵士が蒸発して消えたり、墓が立ったりするのでメンタル的にはどうだろうか。女子受けはしないゲームに見える(私は好きだけれど)。

私はゴールドなどの資源を奪うことだけが目的の、緑色の兵士ゴブリン(大量)で攻め込むのが好きだけれど、タワーから弓矢で打たれるとあっけなく声をあげて死んでしまう。奪ってくれたゴールドは残るけれど、可哀想なのでやさしい女子にはキツイんじゃないかと思う。奪うんじゃない貰うのよ、兵士は蒸発するけど蘇るので大丈夫! と思うことにしよう。

●コミュニケーションが好きな人も面倒な人も

クラン戦というチームごとに協力して戦うしくみがあり、メッセージのやりとりをして参加することができる。仲間うちだけのクランも組むことができるので、知らない人とのコミュニケーションが面倒なら、知り合いだけにすることもできる。

私は仲間だけの少人数クランにしている。クラン戦はしないけれど、防衛の時の兵士として援軍を送りあうためだけに使っているのだ。

仲間の村を見ることもできるし、ゲームの中だけのメッセージのやりとりが気軽で楽しい。そして他の人の村のデザインや配置を見ることができるというのが、このゲームを面白くしていると思う。

グラフィックはきれいだけれど、強い人の村ほど武器や壁がゴリゴリで地獄絵図のようだ(笑)。初めて見る兵士や武器に怖じ気づいてしまうけれど、時間をかければいつか手に入るという希望もある。本を読むようにどんな人でもある程度は先に進めるゲームになっている。

いつかは課金したくなるんじゃないかと思う一方で、それより先に飽きるかもしれない。ゲームにとって飽きられることは課金されないより残酷なことだ。日本語版が出てかなり経つけれど、無課金でずっと遊び続けている人もいるくらい、長期にわたって楽しめるらしい。

そんなのにハマると時間が取られて大変と思うかもしれないけれど、先に進むほどに待ち時間も増えるので自然と手が離れるのだ。ハマりたい人は課金してサクサク行けばいいし、たまに見た時にだけやることもできる。世界には大量課金の人もいるらしいし、そちら側の世界はまた違った景色なのだろう。

ここまでは私が遊んでみた感覚で書いたものなので、これから戦いを続けて分ることも多いと思う。無課金で遊ぶには設備の用意に時間がかかるので長期戦になると思う。

今までのTD系と違って、世界中のプレイヤーが相手というのは面白いし、村の中に建てられる国旗のデコレーションを見てフランス人だーと思ったり、ユーザーネームにつける文字の書体も国のもので、まったく読めない名前もあってリアルな感じがする。

防衛に力を入れすぎて、奪いに来る人がいないと寂しかったりするのは、時間をかけて作ったワナに何もかかっていない時のようなもの。ほどほどで五分五分の戦いをしている時が一番楽しいのかもしれない。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/
>

花見はいつもの井の頭公園に行った。満開の時で池の白鳥ボートもフル出動。ボート同士がぶつかり合うのを見ていたら、本物のカモも窮屈そうに間を泳いでいて大変そうだった。一年で一週間だけ密度の高まる公園で、人もカモも場所取りが大変だ。

・ゲームをまったくやらない者にとって、ネットのコミュニティ上で「課金」という言葉がリアルとは逆の意味で使われているのに大いに違和感がある。提供者がユーザーから料金を取り立てることが「課金」だが、ユーザーが料金を支払うことを自ら「課金」と呼んでいるのだから変な人たちだ。すでに誤用が定着しているようで困った事態である。「課金」に応じることを表す言葉がないからだろうか。「課税」に対するのが「納税」であるから、課金に対するのは「納金」になるのか。「貢金」なんてのどう? 正しい意味で。(柴田)