もじもじトーク[23]街中で見つけた素敵な書体たち〜第3回〜日本人の感性には明朝体がマッチする?/関口浩之

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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。前々回より四回連続で「まちもじ」特集をお送りしてます。今回は第三回です。

普段の生活の中で見つけた文字にフォーカスしたお話です。街中の看板やポスター、中刷り広告、テレビテロップなどから気になる文字を取り上げます。


●街中で発見した素敵な明朝体

最近、とても気になるポスターがあります。これです!
< http://goo.gl/M1vS04 >

最近、個人的に好感度アップ中の石原さとみさんが出演している、鏡月のコマーシャルで使用されている明朝体です。

「夏と、きみと、ふんわり鏡月。」のキャッチコピーも素敵ですが、ここで使われているひらがな、すごく雰囲気ありますよね!

「ふ」なんか、ふんわり雲の上に浮かんでいる感じがしませんか? 筆を滑らかに動かしている筆づかいが伝わってきます。

「と」「き」「ん」「わ」「り」もじっくり観ると、素敵ですね〜。

このキャッチコピーをゴシック体に置き換えると、ふんわり感はでないと思います(笑)

いままで、焼酎のボトルラベルで使用されている書体といえば、毛筆体が多かった気がします。男のお酒って感じがします…。

石原さとみさんを採用した効果もあると思いますが、ふんわり感を出して若者や女性にも気軽に飲んでもらうため、このポスターが採用した明朝体は絶妙だと感じました。

二番目のポスターは、ベットマットレスの広告ポスターです。このポスターを見たとき、心地よさを感じました。

星空を背景に明朝体を横書きで配置していますが、宇宙という大自然の空間に文字がとけこんでいます。

字間をあけて組むことで、ゆったり感が出ています。マットレスのCMですし、心地よさを伝わることは大事ですね!

ちなみに、僕は、紙のデザインに関してはまだまだ勉強中でして(汗)、文字詰めについてはコメントできる造詣は持ちあわせておりません(修行中です)。

三番目のポスターはビールのお中元のポスターです。日本人の慣習であるお中元、そしてお酒には明朝体がしっくりきますね!

●このポスター、いいね!

このポスターは半年ぐらい前に期間限定で、都営大江戸線の六本木駅のエスカレータ脇に30枚ぐらい貼り出されたポスターです(パネル展示といったほうが正しいかな…)。 じゃーん、これです。
< http://goo.gl/4tDkUX >

高畑勲さんが脚本・監督した「かぐやの物語」のPR広告です。特命コピーライター太田光さんが書き下ろしたコピーライティングのパネルです。

通常、ポスターといえば、映像ビジュアルがバーンと押し出されて、それにキャッチコピーが書かれていることが多いですよね。

でも、このポスターが非常に新鮮だと感じたのは、文字のみで表現されているからだと思います。

そして、キャッチコピーの長さに応じて、文字の大きさが変化しています。

パネルの大きさが限られているので、一行に二文字、三文字のケースもあり、文字だけでこれだけ印象に残るポスターは見たことがありません。

ここで使われている明朝体の書体は何だろうと、すごく気になりました。

たぶん、あの書体かなぁ…って予想はしてましたが、家に戻って書体見本帳で確認したところ正解でした!

この書体は、フォントワークス社の「筑紫オールド明朝」です。上品な中に色気を感じませんか?(意見には個人差があります…w)

六本木で開催されたWebアクセシビリティのセミナーに参加したあと、23時ぐらいにこのパネルを発見しました。すかさず数枚iPhoneで撮影しました。

「今日は遅いから明日早起きしてカメラ持参して撮影してこよう!」と意気込んで翌日、六本木駅に足を運びました。

でも掲載は前日で終了しており、パネルは深夜に撤去されてました………。ガーン………。

でも、ここのWebページで約30枚のパネルが掲載されてました。うれしい!
< http://goo.gl/lDQJp2 >

●筑紫明朝

筑紫明朝の生みの親である藤田重信さんとは、以前、セミナー登壇でご一緒したことがあります。

なので、藤田さんのツイッターで、現在開発している新書体の制作過程の情報や、文字のうんちく話を追っかけております。

そのなかで、気になるものを二つご紹介します。
< http://goo.gl/khu1oj >

この明朝体の文字比較、すごく楽しいです。フォントオタクでなくても感動すると思います!

一つ目の「冬のクリスマス」の文字比較をじっくりみてください。

左側に掲載されている「リュウミン」や「秀英明朝」は印刷物でよく使われている書体ですね。

「游明朝」は最新のMac OSやWindows OSにバンドルされているフォントなので、最近、Web画面で徐々に見かけるようになりました。

また、「筑紫明朝」はNHKのテロップで使われている書体ですね。

左側に並んでいる四つの明朝体は、比較的見慣れている明朝体と言えると思います。

一方、右側の四つの明朝体をじっくり観察してみてください。結構、くせがある明朝体と感じるかもしれません。

「筑紫Q明朝」はまだ発売されていない明朝体です。はらいがバビューンとすごく延びていて、そして先に尖りがありません。

ここまで個性たっぷりなデジタルフォントは見たことがありません。でも、二番目に掲載した「森鴎外」の文字組見本をみてみると、あら不思議、違和感ありません! 

僕、この書体好きです! このフォントで組んだ森鴎外の小説を読んでみたくなりますね。

ちなみに「筑紫アンティーク明朝」「筑紫Bオールド明朝」「筑紫Cオールド明朝」は発売済みの書体です。

B/Cとあるのは、ひらがな・カタカナのバリエーションの違いで書体名が異なっています。

●エヴァンゲリオン文字

エヴァンゲリオンで使用されている力強い明朝体といえば「マティスUB」ですね。エヴァンゲリオン文字(エヴァ文字・エヴァフォント)と呼ばれています。
< http://goo.gl/W8Ky6v >

ちなみに、UBはウルトラボールドの略称で、ウェイトが非常に太い書体です。

縦組みと横組みで、これだけきれいに整列させて表現すると楽しくなりますね。

そして、この「マティスUB」という明朝体が使用されることで、エヴァンゲリオンの世界観が自然と伝わってくるのが不思議です。

二番目と三番目の事例は、音楽番組の歌詞で使用されているテロップ文字です。音楽の歌詞テロップは明朝体が多いような気がします。

放送局が違うというのもあると思いますが、女性ボーカルの歌詞では細めか標準の太さの文字、男性ボーカルの歌詞では太めの明朝体が使われてました。

明朝体って、いろいろなフォントメーから何種類も発売されています。そして、同じ書体でも太さ(ウェイト)が3〜8種類ぐらいあります。

明朝体は「これは○○書体だね」とすぐに分からないケースが多いですね。

でも、コンテンツに相応しい明朝体をじっくり選択し、適切なウェイトできれいに文字を組むと、アピール力や伝わる感性や感情が大きく変化するのではないかと思いました。

●金沢で見つけた明朝体

先日、北陸新幹線に乗ってセミナー登壇で金沢へ行ってきました。

駅を降りると正面コンコースに「金沢に来るなら、春か夏か秋か冬がいいと思います。」という垂幕がありました。

親しみを感じる明朝体なのですが、さて、このフォント、なんという書体なのだろうか?
< http://goo.gl/2fwZoA >

もし、お分かりの方、いらっしゃいまたしたら教えてください〜。よろしくお願いします。

今回は明朝体にフォーカスしましたが、次回の第四話の最終回はデザイン書体のまちもじをお送りする予定です。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
< http://fontplus.jp/ >

1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。

その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。

小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。