ところのほんとのところ[118]中国企業からのアプローチ/所 幸則 Tokoro Yukinori

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ある日、フェィスブックに[ところ]の作品を好きだという、中国の女性からのメッセージがきた。色々な国の人から、所幸則の作品が好きだとメッセージは来るので、その時も普段通りの感謝のメールで終わらせていた。

しばらくして、その女性が中国のカメラ・フィルターメーカーN社の人だということが判明した。

[ところ]が調べたわけではなく彼女の方から、このフィルターを送るので、試してみて欲しいと言ってきたからだ。試すだけなら別にいいよ、と返事を出したところ、後から条件が出てきた。このフィルターを使って撮った写真の、データをくれという。

うーん。最初から言わずに、だんだん断りにくくなるようにしてくるあたり、ちょっと嫌な雰囲気がしてきた。一応1200ピクセルくらいの、facebookで表示できる程度のデータで、名前を入れるよということは伝えた。

使いたくなるようなカメラやツールならまだしも、非常に廉価なフイルターのプロモーションに写真家の作品を使わせてくれという意味である。日本の企業なら、こんな順番でアプローチはしてこない。こうなってくると、ちょっと調べたくなってくる。




本当に女性なのか? 写真も別物かもしれない。なんか怪しい。フレンドの数も[ところ]の知っているカメラマン関係だけでも50人以上だ。きっと営業用facebookなんだね。

このメーカーの製品をサクッと調べてみると、アマゾンでも売ってるみたいだけど、星が多いのはたぶん身内からの投票だろう。

実際、送ってきたものを手に取ってみると、日本製はパッケージからしっかりしているのに、それは明らかに安物ですよという感じ。いつもケンコーのプロ仕様などを使ってる人達が見ると、びっくりするレベルである。

フィルターのパーツが入っているプラスチック?(石油製品であることは間違いがない)が黄ばんでいたりするのにびっくり。アンティークか? それならわからないでもないが。ホルダーの左右のネジで調整する部分も、かなりがっかりする安っぽさ。

レンズの先にフィルターをつけるねじが切ってないレンズ向けのもので、レンズの胴体の前の方にホルダーで装着するのだが、一応使ってみるかと挑戦したけれど、[ところ]の愛機にはうまくつかなかった。

ついたとしても、[ところ]はいつも斜めがけでカメラをぶら下げてるし、この大きなフィルターホルダーはネジの精度が日本の匠の技で作られてないので、まず落下するだろうなと思った。

問題点をいろいろやりとりをしていたら、送り返してくださって結構です、というメール。もめごとにならないよう、自腹切ってEMS使って送ろうとしたら、世田谷区のYさんに送ってくれという。

Yさんは[ところ]の個展によく来ていた、いわゆる写真の上手なハイアマチュア。Google+では語学も生かしマメに世界の人と交流しつつ、写真のアップもきちんとしていたので、今は知らないけど、当時フォローワーが日本で一番いた、いいね! を押しやすい写真を撮る人だった。

彼の使っているレンズがズームで、ねじ込み式フイルターをつけられないタイプだったこともあり、N社から声をかけられるままにそのフィルターを使用しているようだ。

[ところ]が中国に送り返したら、また日本に送るのは送料がかかるから、渋谷から世田谷に送ってくれということだ。そして、Yさんからまた誰かしらにそのフィルターが送られる、ということになるのだろうか。

しかし、はっきり言って、ちゃんとした写真家ならリスクを犯すのは避けるべきだと思う。だって日本にはケンコーがあるんだから。中国にはケンコーの偽物があって、あきらかに画像の色が悪くなったり、シャープじゃなくなったりするらしい。

[ところ]はフィルターをヨドバシ.com、ビックカメラ、アマゾン以外で買ったことないが、ND4・8・16をいろんなサイズで合わせて100枚は持っている。すぐなくすし、保護フィルター代わりにもつけるのですぐ傷がつくからだ。

そして最後に、送ってきたときの包装のことを書いておこう。[ところ]は荷物をちゃんと梱包するのが苦手だ。よく「なーに、その包み方みっともない」と言われて包み直されるが、その五倍ぐらい雑で荒っぽい包装だった。日本人のメンタリティーとの違いを痛感した。

これから何年後か想像もつかないけれど、中国にもかつてあった匠の心が甦ると思う。そういう志を持つ人が、IT企業の偉い人にいる。きっと変わる、そう期待したい。

●「アインシュタインロマン 所幸則 Tokoro Yukinori」
会期:6月19日(金)〜7月30日(火)11:00〜21:00 日休〜20:00
会場:H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHI
東京都千代田区丸の内2-4-1丸の内ビルディング1F
< http://hpgrpgallery.com/cms/wp-content/files_mf/1432454086TOKORO_ReleaseSS.pdf >
< http://hpgrpgallery.com/window/ >

●PARADOX ─ TIME アインシュタイン・ロマンスをめぐる冒険 ─
Yukinori TOKORO 所幸則写真展
会期:2015年7月1日(水)〜 9月25日(金)10:00〜19:00 入場無料
会場:ESPACE KUU 空(エスパス・クウ)東京都豊島区西巣鴨3-20-1 大正大学5号館一階
< http://taisho-kuu.tokyo/ >


【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/ >
所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/ >