3Dプリンター奮闘記[66]3Dデータと3Dプリンターを使った面白い仕事
── 織田隆治 ──

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さて、夏も過ぎ去り、秋の気配がどんどん濃くなってきています。朝晩寒くなってきましたねぇ……ということで、みなさん、風邪なんかひいてないでしょうか?

僕、ここ何十年と風邪をひいた事無し。病院にも、骨折以外ではかかったことがありません。丈夫に出来ているんでしょうねぇ。友人からは、そういう奴に限って、コロッといっちゃうから気をつけて、なんて言われますけどね……。

8月はこのデジクリもお休みで、お盆休み、夏休み、といった休み三昧だったとは思いますが、僕は休み開けに大量のフィギュアの納品を抱えてアタフタしていました。

そこで、面白いお仕事も入ってきたので、ちょっと紹介。




「うしおととら」というアニメをご存知でしょうか? かなり以前に、僕は週刊漫画雑誌で読んでいた作品で、それが現在になってアニメとなり、今放送されているわけです。

その主人公が持っている槍があるんですが、その槍を原寸大で制作するプロジェクトがあり、それを制作させていただくことになりまして、8月はその造形もやっていました。

制作は、ライノセラスにてモデリング、その後、FDM、熱融解式3DプリンターMF2200Dで出力し、細かいキズや文字などを手作業にて彫り込んでいきます。

その他、光硬化樹脂タイプのProJet1200にて細かい模様の入ったハンコを作り、それを使って細かい模様を作っていく作業などもやっています。

詳細は、「うしおととら」のTwitterの公式アカウントにて、その制作行程が紹介されていますので、ご興味ある方はご覧になり、ぜひ正式アカウントをフォローしてみてください。

< https://twitter.com/Ushitora_TV
>

3Dプリンターを使った面白い仕事は、その他にもあります。

それは、この秋公開予定のとある映画にて、模型を3Dプリンターにて制作するために、こちらで3Dモデリングをするお仕事でした。

ミニチュアに使用したり、実物大に出力したりと、色々なプロップに使用されるようです。こちらはまだ公開されていませんので、詳細はいずれ……。

さらに、これも秋公開の映画の3DCGモデリングのお仕事もさせていただきましたが、これもまだ公開前……。

話は変わりまして、3Dプリンターと3DCADの方に。ちょっと宣伝っぽくはなるかと思いますけど。

みなさん、3Dプリンターは3Dデータがあって初めて生きて来るもの、というのはご存知かとは思いますが、まだまだ3DCADの敷居が高いかとは思います。

そこで、3DCADを使えるようになるセミナーを立ち上げました。大阪なんですけどね……。

Rhinoceros基礎から始める実践講座
< http://shigotoba-base.com/event-archive/
>

講師には、Next Productの下岡英司さんをお迎えしています。基礎編、基本編、活用編とに別れています。

これは、3D初歩の方から、プロフェッショナルまでを育成するプランです。ライノセラスにて、金型データまでを制作している下岡さんの講義になりますので、かなり実践的な講座になっていますので、ご興味ある方はご連絡下さい。

この後、来年1月運営開始の3Dプリンターとレーザー彫刻機を常設したレンタルオフィスでの運用にも繋げて行く予定です。

レンタルオフィスは、大阪市内、心斎橋からも徒歩で行ける場所にあります。詳細は、また近日に。

3DCADの講習、3Dプリンターの使用方法、出力したものの仕上げ、撮影、生産、販売サイトまで、オールインワンの企画が出来るスタイルになっており、今までにない集合オフィスになる予定です。

あ、そうそう。先日、夏季実習講義として、母校の大阪芸大にて三日間だけですが、実習講義をしてきました。

僕は大阪芸大の美術学科を、四半世紀前に卒業したんですけど、懐かしさいっぱいでした。そういえば、卒業してから行ったこともなくて、これが25年ぶりの登校となりました(笑)

新しい校舎も増え、食堂の位置も変わったりしてましたが、昔のまんまの所はそのまんま(当たり前)。ノスタルジックな気分に包まれてしまいました。

朝から晩までの実技講習だったので、学内をゆっくり歩くことも出来なかったんですが、また学園祭なんかがあれば顔を出してみようかな〜。

講義内容としては、3Dプリンターで出力したものを、いかにきれいに見せるかというもので、ヤスリの使い方から塗装まで実践してやってみました。

これまで、3Dプリンターで出力したら、それで満足していた学生さんたちも、磨けば光る、という当たり前のことに気がついたようでした。

積層痕が段々に出ていたものが、研磨などをすることによりどんどんツルツルになって行き、最後は塗装までして、自分の持っていたイメージになっていく様を実際に経験するのを、とても生き生きとした表情で進めていました。

今後、そういったことが当たり前になり、仕上がりの美しさを探求出来るようになっていって欲しいですね。

そこで思ったんですが、芸大、デザイン、アニメ系の専門学校でも、プラモデルを作ったことがある人が非常に少ないということ。これは、やっぱり時代なのかなぁ……なんて思いまして、ちょっと寂しい気がしました。

これからも、アナログの大切さをもっと布教していかねば! と実感する僕なのでありました。


【___FULL_DIMENSIONS_STUDIO_____ 織田隆治】
oda@f-d-studio.jp
< http://www.f-d-studio.jp
>