腕時計百科事典[07]腕時計のブランド(ロレックス)
── 吉田貴之 ──

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今回は誰でも知っているブランド「ロレックス」のお話です。

誰でも知っているけれど、実は日本やアジアでの人気が他の地域と比べて相対的に高く、独特な市場の雰囲気がある、ということはあまり知られていません。その歴史をひもとくと、ロレックスが日本人の気質にあっていることがよくわかります。




●経営への意識

ロレックスの創業者、ハンス・ウイルスドルフは幼い頃に両親を亡くし、学費を稼ぐために花屋を経営していました。これが彼の経営力と独立心の基礎となっています。すでに一大産業として存在した時計業界に就職したハンス・ウイルスドルフは、五年後には自分の時計販売会社「ウイルスドルフ&デイビス」を設立します。

●「ブランド」を意識した時計メーカー

ハンス・ウイルスドルフは「ウイルスドルフ&デイビス」の設立からわずか三年後には「ROLEX」を商標登録しています。また、時計製造とブランディングの関係の重要性を時計雑誌に寄稿するなど、設立当時からブランド作りの重要さを意識した希有な時計メーカーであったことが伺えます。

●オイスターケースの開発

当時の主流は懐中時計でしたが、徐々に腕時計の需要も高くなりつつありました。ハンス・ウイルスドルフは精度の高い腕時計が求められていると考え、スイスのエグラー社の開発した小型で高精度のアンカーエスケープメントを採用した腕時計の販売に乗り出します。

一方、腕時計は懐中時計に比べて水や埃にさらされることが多く、それによる故障の発生率の高さが腕時計の普及を妨げる一因でした。ロレックス社(開発はオイスター社)を代表する技術である「オイスターケース」はこの問題を解決し、また大々的に広告することでロレックスの名前は博く知られることとなります。

●パーペチュアルの開発

オイスターケースはすばらしい防水ケースでしたが、ゼンマイの巻き上げや時刻合わせの際、ねじ込み式竜頭を解除しなくてはいけないことがユーザーの「竜頭のねじ込み忘れ」を招き、防水を謳った腕時計だけに水の進入による修理も少なくありませんでした。

これを解決したのが、1931年に登場した自動巻機構「パーペチュアル」です。これにより、ゼンマイの手巻きが不要となり、また高い精度で動作することで時刻合わせの回数も減らすことができ、竜頭操作を極力少なくすることに成功しました。

●モデルの展開

その後は高い防水性能を生かして、海洋開発者に向けた「サブマリーナー」、さらに防水機能を高めた「シードゥエラー」、探検家用の「エクスプローラー」、パイロット用の「GMTマスター」、モータースポーツに最適な「デイトナ」など、スポーツや過酷な環境でも使用できる腕時計を次々に生み出し、時計業界を超えた一大ブランドとして確固たる地位を築き上げ現在に至ります。


【吉田貴之】info@nowebnolife.com

イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
http://www.idia.jp/


兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。


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■クリエイター手抜きプロジェクト[441]イベント編 マッシュアップアワード 11(MA11)/古籏一浩
https://bn.dgcr.com/archives/20151019140200.html

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今回は10月3日、4日に開催されたマッシュアップアワード 11(MA11)のイベントレポートです。

・MASHUP AWARDS 11
http://mashupaward.jp/


マッシュアップアワードは、地元の長野県塩尻市で何回も開催されているイベントです。今回は、何らかの事情により主催が別の会社になったようです。

昨年は審査員としてイベントに参加しましたが、今回は見学者として傍観するだけでした。その理由は簡単で、農作業と重なってしまったためです。稲刈り後に脱穀作業があるのですが、10月3日、4日の予定になっていたからです。農業系は他と違って天気次第なので、明確に日程を決めることができません。二週間くらいの幅を持たせておかないといけません。

ということで3日の午前中だけ参加して、午後から農作業の予定でしたが、前日の暴風前により、はぜかけした稲が全部倒れるという被害にあって、脱穀ができない状態になってしまいました。



ということで、3日、4日ともひたすら見学するということになりました。とはいえ、見学するだけでは面白くないので、いつものようにイベントの様子をツイートすることにしました。

昨年もツイートしているのですが、今年は動画でもツイートすることにしました。昨年はできなかったことが簡単にできるのは便利です。

ただ、Twitterの動画は30秒以内という制限があります。プレゼンのタイミングを見計らって記録するのですが、これはかなり難しい。プレゼンしている人に30秒で区切ってくれ、とも言えませんし、どうしてもプレゼンの一部しかツイートすることができません。

ただ、最近のマッシュアップアワードはソフトウェアだけでなくハードウェアを絡めたものが多いため、どのように動くかを動画でツイートできるのは写真よりはるかにわかりやすい。

結局、Twitterの30秒動画だけでは限度があるので、二日目はビデオカメラを持ち込んで表彰式の様子を録画するという無難な選択肢になりました。

マッシュアップアワードはアイデアが重要です。アイデア出しの段階で技術的に可能かどうか分かってしまう部分はあります。が、できるかできないかという判断は、その時点ではしないのがポイントです。自分ができないと思っているだけで、他の人が可能な技術やアイデアを持っているかもしれないからです。

昔のマッシュアップアワードでは、特定のAPIを使わないといけないこともありましたが、今はどんなAPIを使おうと自由です。また、ハードウェアを用意して組み合わせることも問題ありません。もう、何でもありの製作イベントになってしまいました。

制限がある方が力を発揮できる人と、制限がない方が力を発揮できる人がいます。自分がどちらのタイプなのか分かっていれば、制作時にどうすればよいかの助けになります。

あと、マッシュアップアワードには時間制限があります。昨年は二週間くらいの時間的余裕がありましたが、今年は二日間のみでした。もっとも、自分たちで解決できない技術的問題は外部の人を頼って作ってもらってもよいことになっています。こうなると技術者・知人ネットワークが重要になります。

今回は単語を組み合わせて話すという昔からあるネタがありましたが、人工知能を使って最後に余計な一言を付け加えるというものがありました。小学生が作成したものです。

一発バカネタもカテゴリとして用意されてましたが、そういうのは今回はありませんでした。イグノーベル賞が狙えるくらいバカなネタがあると楽しいのですが。

今回のマッシュアップアワードの表彰の様子をYouTubeにアップしてありますので、興味のある方は、ご覧ください。

・発表イントロ


・No.1 リアルタイム避難訓練


・No. 2 たすかる


・No.3 電力監視


・No.4 Maestro(マエストロ)【優勝はこれでした】


・No.5 コップの水


・No.6 オメガネメガネ


・No.7 ゲラゲラ作文


・No.8 モベリウォーズ


・審査発表


いろいろありますが、ハードを作れる人は強いなあ、という感じはしました。1995年以降、ソフトウェアに傾きすぎた感じもあるので、ここ最近のハードウェアで制御したり楽しむというのは、結構いいんじゃないかなと思います。

ということで二日目は、見学しているだけでは面白くないので、IchigoJamという1500円のBASICマイコンをいじって遊んでいました。IchigoJamにも、そのうちいろいろなセンサーがつくボードが出るみたいなので楽しみです。

・IchigoJam
http://ichigojam.net/



【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/


稲の成長を動画にしてみました。まあ、暴風で倒れる前までですが。


10月21日にオライリーから「JavaScriptによるデータビジュアライゼーション入門」が発売されます。翻訳本で私は監訳という立場ですが。

・JavaScriptによるデータビジュアライゼーション入門
http://www.amazon.co.jp/dp/4873117461/


・Photoshop自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00W952JQW/


・Illustrator自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00R5MZ1PA


・Adobe JavaScriptリファレンス
http://www.amazon.co.jp/dp/B00FZEK6J6/


・ExtendScript Toolkit(ESTK)基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00JUBQKKY/


・データビジュアライゼーションのためのD3.js徹底入門
http://www.amazon.co.jp/dp/4797368861


・4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/


・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/